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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2007年11月15日11月、大峯季節だより【気候】

吉野熊野国立公園 吉野 木谷昌史

ススキ…



写  真:ススキ
撮影場所:和佐又山スキー場(奈良県上北山村)
撮影日時:平成19年11月12日


皆さんこんにちは!
大峯の麓、和佐又山ではススキが見頃を向かえています。
一見すると爽やかな秋の風物詩ですが、丁度この日は大寒波がやってきて鼻水が流れ落ちる中の写真撮影でした。
さて、11月も前半が終わり、後半に入ろうとしています。そんな11月の大峯の季節をお伝えしたいと思います。



写  真:初冠雪の様子!
撮影場所:七曜岳付近
撮影日時:平成19年11月12日
コメント:あれが寒波か!!




写  真:あられの塊
撮影場所:七曜岳付近
撮影日時:平成19年11月12日


-気候-
11月12日に弥山(天川村)で初冠雪を記録(地元奈良新聞にも掲載)本格的な冬の到来です。
紅葉も落ち葉に変わり気がつくと北風が冷たくなっていました。ラニーニャの年は厳冬になると言われているだけに、この寒波はそれを予感させます。

-11月の平均気温-
・8.9℃ 気象庁HP参照(平成17年:上北山村)

-日の出・日の入-
・日の出:6時分30 日の入16:55時分

※山間地では山に囲まれているため上記の時刻より日が早く沈むので注意して下さい。




写  真:午後5時時点の山の中
撮影場所:和佐又山コル付近
撮影日時:平成19年11月12日


-服装-
・日陰や山頂付近、尾根部では厚手のインナーシャツにジャケット必須。僕自身、まだ薄手の手袋で対応していますが来週あたりは厚手の物に対応しようかと思案中。
耳あても必要になってきています。

-植物-




写  真:福田自然保護官と落葉した落葉広葉樹林
撮影場所:小坪谷(奈良県天川村)
撮影日時:平成19年11月9日


11月…
紅葉も過ぎ、物静かになった大峯では静かに冬が始まっているようでした。


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2007年11月06日森の次世代【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 釜田淳志

大台ヶ原では紅葉シーズンも終わり木々が葉を落とし、ふかふかの落ち葉の絨毯を踏みしめて歩く季節になりました。そろそろ樹木に霧氷がつきはじめるころでしょうか。

ところで、紅葉のこの季節に普段よく目にしている樹木ですが、みなさんはその樹木の次世代である実生(みしょう)を見たことがありますか?実生とは、種から発芽して芽吹いたものをいいます。
今日は、そんな大台ヶ原の優占種である樹木の実生をご紹介します。


トウヒ(撮影:2007.10.17)
細長いふさふさとした葉が柔らかい。
だいたい3cmくらいだが、この大きさになるまで3、4年かかるそう。

ウラジロモミ(撮影:2006.6.21)
モミの枝先を切ってそのまま植えたような姿。
トウヒと似ているが、常緑樹らしく葉が堅く緑が濃い。

ブナ(撮影:2005.4.8)
背丈は低いが、葉は成木と同様の大きさに。

ヒノキ(撮影:2007.7.11)
葉の表側を日に当たるよう、反って成長している。

先日、パークボランティアの活動として毎年行われているこれらの実生の生育状況・更新状況の調査を実施しました。その中で、トウヒ・ウラジロモミなどの次世代がしっかりと定着していました。これらの実生が、成長して大きな木となるようにと思いながら調査を終えました。

実生調査の様子(撮影:2007.10.29)

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2007年11月05日香る葉【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 木谷昌史

 
 出勤途中でみかける田んぼでは、刈り取りを終え干していた稲もいつの間にかかたづけられていました。冬に向けての準備がもう始まっているのでしょうね!気づけばもう11月。朝起きる前、布団の中のヌクヌクがやたらと気持ちいい季節です。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか!



写  真:カツラの落ち葉


紅葉の見頃を迎えている大峯の林ではカツラの落ち葉から甘い香りが漂っています。
淡いほのかな匂いに包まれて、すごく優しい気持ちになりました。至福の時です。
この季節、林の中を歩いていて甘い匂いが漂ってきたらそれはカツラの葉の匂いかもしれませんね!



写  真:カツラの落ち葉を匂ってみると・・・!?



写  真:カツラの木と木の葉



写  真:カツラの樹形



 この日は羽井佐自然保護官と共に双門弥山線に設置した環境省の施設の点検に行ってきました。双門弥山線はダイナミックに流れる弥山川の渓谷沿いにあるためコースは極めて急峻です。 
 その様子がこちら ↓


写  真:渓谷の様子
コメント:岩の大きさに大自然の畏怖を感じます。



写  真:鉄梯子を登る羽井佐保護官
コメント:急峻と言わざる所以



写  真:吊り橋付近の紅葉

※以上の写真はすべて平成19年10月30日に奈良県天川村双門弥山で撮影されたものです。

 --注意!--
双門弥山線では険しい道のりの中を縫うようにところどころ施設が設置されているのですが施設の管理者は様々で老朽化した施設や破損した施設もあるため、現在、奈良県によって通行止めになっています。
安全管理上、一般の方の入山はご遠慮頂いておりますのでご理解とご協力をお願いします。



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2007年10月31日大台の宝石【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 釜田淳志

こんにちは。昨日今日と秋晴れの暖かい日差しが降り注いでいる吉野です。

近頃、気温が下がり昆虫の活動も目立たなくなってきましたが、先日大台ヶ原で落ち葉の下からきれいな昆虫を見つけました。



オオセンチコガネ(センチコガネ科)(撮影:2007.10.23)
きれいな藍色に光り輝いています。


オオセンチコガネ(撮影:2007.5.23)
こちらは、瑠璃色。大台ヶ原ではこの色の個体がポピュラーでルリセンチコガネと呼ばれています。まるで宝石のようにきれいなのでとても印象に残ります。

同じ種の昆虫ですが、このような色の違いが個体変異としてあるそうです。(紀伊半島では、瑠璃色、関東では赤系統の色が多いそうです。)
このオオセンチコガネは糞や腐肉を餌とする糞虫で、大台ヶ原ではシカの糞を分解している姿をよく見かけます。シカの生息密度の高い地域なので、それだけ糞が多く、このセンチコガネの役割の大きさがわかります。

これから爬虫類、両生類や昆虫など休眠・冬眠の季節に入り、出会いの機会も少なくなりますが、これらの動物も目につかないどこかで体を休めているところを想像すると風景の中に広がりが出てきて面白いかもしれません。

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2007年10月29日海からの恵み【気候】

吉野熊野国立公園 吉野 木谷昌史


皆さんこんにちは!

先日、熊野アクティブ・レンジャーの鈴木さんから水平線に上る朝日の写真が投稿されたのを見て魂のエナジーが沸き立った吉野(大峯地区)アクティブ・レンジャーの木谷です。

 海に面していない奈良県、その奈良県にある大台ヶ原から水平線から朝日を見ることができます。その輝きは紅葉に負けず劣らず美しく、この日もただただ見入ってしまいました。





写  真:朝日!
撮影場所:日出ヶ岳下のテラス
撮影日時:平成19年10月21日


この日、大台ヶ原地区パークボランティアによる自然観察会が行われました。その観察会の中でボランティアさんから「大台ヶ原は標高が1600m近くあるにもかかわらず海まで15km程しかなく、そのため標高0mの海から湿った浜風がグッとそそり立つ大台ヶ原にぶつかるため年間4000mmもの雨をもたらします。」と解説があり、スタッフとして同行していた木谷も「なるほど!」参加者と一緒に驚いてしまいました。多雨地帯の地形上の特徴を体感することができた瞬間でした。

その雨のおかげで多様な生物が育まれているのですね・・・ と一人で呟きながら地面に生えたキノコをパシャリ ↓





写  真:森の中のキノコ
撮影場所:苔道
撮影日時:平成19年10月21日


森の中ではいたるところで海からの恩恵が見られます。いや大台ヶ原すべてが海からの恩恵で成り立っていると言っても過言ではないかもしれません。嗚呼感謝です。


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2007年10月25日針広の妙【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 釜田淳志

こんにちは。先週から、朝夜は寒く暖房器具を押し入れから引っ張り出すほど秋も深まっている吉野です。

一方、大台ヶ原では秋の真只中で、標高の高い東部地域(東大台)で紅葉が見頃になっています。


正木峠からの展望(撮影:2007.10.21)

日出ヶ岳から正木峠を望む(撮影:2007.10.21)
様々な色彩が鮮やかな針広混交林ならではの景色が広がっています。


三つ巴(手前:ゴヨウツツジ、左:オオイタヤメイゲツ、右:トウヒ)
この色形の取り合わせは見事!!

そんな周回歩道を歩いているときに、おもしろい木に出会いました。


ツタウルシの紅葉(撮影:2007.10.20)

一見すると、ふつうの広葉樹かなと思いますが、これ実はウラジロモミ(針葉樹)の立ち枯れした木につる植物であるツタウルシ(広葉樹)が巻き付いて葉を広げているのです。光を効率よく受けようと同心円状の立派な樹形になっており、一緒に歩いていたパークボランティアさん、職員一同とも植物の特性に驚きの声をあげていました。今回、亜高山帯植生の大台ヶ原だからこそ味わえる妙を、改めて感じました。
 これからは、標高が比較的低い西大台のブナ・ウラジロモミ・カエデの針広混交林が見頃になりそうです。

(写真撮影:木谷アクティブレンジャー)

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2007年10月22日10月・大峯季節便り

吉野熊野国立公園 吉野 木谷昌史

 皆さんこんにちは!
手袋と一緒に出勤するようになった吉野(大峯地区)アクティブ・レンジャーの木谷です。

10月も半ばを過ぎたので紅葉情報と合わせて大峯の季節の便りをお届けしたいと思います。



写  真:紅葉に染まる森
撮影場所:弥山南尾根から八剣谷を撮影
撮影日時:平成19年10月17日

-気候-
・天気は比較的安定し、青空が広がる日が多い。この季節は空気が澄む日が多いので、遙か彼方のお山まで眺めることができるかも・・・

-10月の平均気温-
・16.6℃ 気象庁HP参照(平成17年:上北山村)

-日の出・日の入-
・日の出:6時分08 日の入17:15時分
※山間地では山に囲まれているため上記の時刻より日が早く沈むので注意して下さい。

-服装-
・手はかじかみます、体の末端への配慮はかかせません。

-動物-
標高の低いところでは熊の目撃が報告されています。
せっせと木の実を食べて冬ごもりの準備をしているところでしょうか?

-植物-
紅葉の見頃です!
弥山周辺では1500mぐらいで紅葉のピークを向かえています。ただ、今年の色づきはいまいちで、縮れて枯れている葉も多く見られました。




写  真:色づきと同時に枯れかけているブナの葉
撮影場所:むなつき八丁(聖宝の宿から弥山の間:天川村)
撮影日時:平成19年10月18日

青空と紅葉のコントラストがたまらないのが今の大峯です。
気温も肌寒さと清々しさの間ぐらいで季節の変わり目がはっきり感じることができますよ。
そんな山の中で歌を歌ってみました ↓

赤や黄の 木の葉に落ち葉 紅葉の葉 色づく山は 宝石箱かな! (字余り)

では、また来週


写  真:林内の紅葉の様子
撮影場所:むなつき八丁(聖宝の宿から弥山の間:天川村)
撮影日時:平成19年10月18日

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2007年10月19日木の実【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 釜田淳志

こんにちは。先日、自宅に帰ったらムササビが待っていてくれた吉野アクティブレンジャー釜田です。台所の木の引き出しが食い荒らされてボロボロになっていました…。実物を目の前にして、かわいいだけではない野生動物の一面を改めて実感しました。

さて、今日はそんなムササビも餌としているドングリについてです。秋といえば木の実が多くなる時期でもありますが、大台ヶ原でいわゆるドングリをつける木は、里山などの二次林にあるようなクヌギやコナラなどとは違い、ブナ、ミズナラの木です。ミズナラは、今年は全国的に豊作のようで、大台ヶ原もわりと実が付いているようです。このドングリを餌とするクマやネズミ、リス、カケスなどにとっては喜ばしいことでしょう。




ミズナラの堅果(撮影:2007.10.17)

上の写真は、別々のミズナラの下に落ちていたドングリです。ところで、この二つを比べてみるとどうでしょう。
 まず、色の違いがあると思いますが、これは成熟具合の違いのようです。もう一つ形に注目してみると、上の写真のドングリほうがずんぐりとしている感じがします。写真には撮らなかったのですが、並べて比較してみるとその違いが顕著でした。
 なんでこのように同じ種類の木でも、その実の形が違うのでしょうか?
自分は、親の遺伝子の差異が関係しているのではないかと考えたのですが、調べてみるとそれだけでなく、同じ木でも年によってその形に違いがあるそうです。
 そもそも、何でずんぐり型や、やせ形の堅果があるのか疑問に思ったのですが、その要因についてはいろいろと仮説があって、現在その仮説を明らかにする研究が進められているそうです(興味のある方はお調べ下さい)。なんだかちょっとした疑問から、いろいろな不思議と興味が湧いてきました。

クマの人里への出没には、餌であるドングリの豊凶が大きく影響しているそうですが、今年のドングリの豊作でクマの出没ニュースが少ないことを願います。

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2007年10月15日童話の世界へご招待【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 木谷昌史

皆さんこんにちは!
青空に棚引く雲を見て「もうすっかり秋だな?」と感じた吉野(大峯地区)アクティブ・レンジャーの木谷です。

先日、釜田アクティブ・レンジャーから色づき始めた大台ヶ原の紅葉情報がありましたが、その大台ヶ原で自然観察会(アクティブ・レンジャーと大台ヶ原自然体験)を実施しました。
※この日のメイン解説は釜田アクティブ・レンジャー




写  真:ツタウルシ
撮影場所:大台ヶ原(苔探勝路)
撮影日時:平成19年10月10日


観察会中、一本の枯木に大きな白色のキノコを発見しました。その名もサンゴハリタケ!
紅葉で色鮮やかになった林内ではこの透き通った白色が際だちます。



写  真:サンゴハリタケ
撮影場所:大台ヶ原(苔探勝路)
撮影日時:平成19年10月10日




写  真:キノコの一種
撮影場所:大台ヶ原(苔探勝路)
撮影日時:平成19年10月10日

今の季節、大台ヶ原ではカラフルにペイントされた木の葉やユニークな形をしたキノコが私たちを童話の世界に誘います。

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2007年10月11日紅葉のはじまり【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 釜田淳志

みなさん、こんにちは。今日の吉野は曇り空で、事務所の窓から見える山々からモヤが立ち上っています。今週はすっきりしない天気が続いており、晴れ間が待ち遠しい心持ちの吉野アクティブレンジャー釜田です。

さて、今日は大台ヶ原の紅葉についてお知らせしたいと思います。
大台ヶ原は、西日本では最大規模のブナの天然林が広がっており、ブナ、ミズナラ、カエデをはじめ20種以上の広葉樹が分布しています。そのため紅葉が見事で、10月中旬になると毎年たくさんの利用者が訪れます。しかし、今年は例年よりも色づくのが遅いようで、まだ本格的な紅葉には1、2週間かかる様子です。ただ既に色づき始めている樹種もあります。





ツタウルシ(ウルシ科)(撮影:2007.10.10)
樹木に巻き付くつる植物で、光を求めて寄生した樹木の上方まで伸びるように成長します。
現在このツタウルシは鮮やかな色を見せてくれています。


ゴヨウツツジ(ツツジ科)(撮影:2007.10.10)
大台ヶ原でも標高の高い正木峠付近では、このゴヨウツツジが木道の脇に分布しトンネルのようになっており鮮やかな赤が目を引きつけます。


近くで見ると、まるで花が咲いたようになっている。
(撮影:2007.10.10)

この写真2枚でもそうですが、紅葉には遠くから見る楽しみ、近くから見る楽しみがあると感じました。
大台ヶ原の紅葉の見頃は、場所によって異なりますが山上の駐車場付近で、あと1週間から10日後くらいが見頃になるようです。大台の樹海がさまざまな色を描いてくれるのが今から楽しみです。

※紅葉時期の土日は、混雑が予想されます(山上駐車場は約200台まで)。環境省ではマイカーによる交通渋滞や路肩駐車による自然環境への影響を防ぐため、公共交通機関での来訪をお願いしております。秋の観光シーズンの土日は、駐車状況や天候をお知らせするリアルタイム情報を以下のHP(PCサイト、携帯サイト)にて掲載しておりますので、事前にチェックされ、公共交通機関で来訪されることをお勧めします。
http://www.odaigahara.net/
http://www.odaigahara.net/m/

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