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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 田辺

23件の記事があります。

2021年04月30日すさみ町の「恋人岬」と「婦夫波」

吉野熊野国立公園 田辺 戸口協子

新緑の輝きが眩しい季節、暖流「黒潮」流れる南紀熊野からこんにちは。

田辺管理官事務所の戸口です。

先日、すさみ町へ巡視に行ってきました。

巡視日には、沖縄以南で台風が発生していました。吉野熊野国立公園が位置する紀伊半島は、沖縄方面から遠く離れているものの、その台風の影響により、海域では強いうねりがありました。

すさみ町には「恋人岬」と名の付く場所があります。この岬のすぐ沖には二つの島があり、岬のすぐそばにあるのが「陸の黒島」、少し沖側にあるのが「沖の黒島」と名付けられています。

01_Koibitomisaki_kokuzu
恋人岬周辺の空中写真(出典:国土地理院の地理院図を加工して作成)https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

そのうち「陸の黒島」は、恋人岬との間で、潮が引いた時には砂州が現れます。その砂州を挟んで、この海域では、条件が整うときに見られる素敵な現象があります。それは、砂州の両側から白い弧を描き押し寄せる波が、砂州の上でぶつかり交わる波の姿、「婦夫波」です。相反する方向から波ができることが不思議ですが、島の周りの複雑な流れにより起こる現象の一つです。"恋人"岬の先には" 婦夫"波、という恋愛成就に縁起の良い場所ですね♪

この日は、遠方の台風の影響で比較的波が強めでしたが、私自身、「婦夫波」を初めて見ることができました。

02_Meotonami(20210422) 03_Meotonami_Sasu(20200821)
婦夫波 砂州が少し見えている様子

婦夫波は

(1) 満潮時刻の2時間程度前であること

(2) 強すぎず、弱すぎずちょうど良い具合の風があること

などの条件がそろったときに見られる自然現象です。

新型コロナウイルス感染症が落ち着いたら、ぜひ、タイミングを合わせて、美しい恋人岬からの眺望を楽しみにすさみ町を訪れてみてもらいたいと思います。

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2021年03月30日春の熊野古道・大辺路『長井坂』の巡視

吉野熊野国立公園 田辺 戸口協子

鳥がさえずり、野山から花が香る季節となりました。

みなさま、こんにちは。田辺管理官事務所の戸口です。

先日、すさみ町にある長井坂の巡視に行ってきました。長井坂というのは、世界遺産『紀伊山地の霊場とその参詣道』にも登録されている熊野古道のうち、紀伊半島南部の沿岸部を通っている大辺路(おおへち)の一部です。

JR周参見駅からしばらく国道沿いを歩き、和深川沿いの里道に入ると、道端や山の中腹にヤマザクラなどのサクラが咲いているのが見られました。

1.すさみ町の野山に咲くサクラ
緑の山に彩り添えるサクラ

里道の両脇にある田んぼや水路からは、タゴガエル(和歌山県レッドデータブック準絶滅危惧)の鳴き声が多く聞こえ、冬眠から目覚め、求愛時期に入っていることがうかがえました。また、長井坂西登り口近くに流れる和深川では、夏には涼しげな澄んだ声で鳴くカジカガエル(和歌山県レッドデータブック準絶滅危惧)を見ることができます。

2.すさみ町和深川(春)
和深川

和深川を渡るところから長井坂に入ります。入口からすぐ坂が始まり、「長井」坂の名前のとおり、急勾配の坂道がしばらく続きます。

植林されたスギ林の間を、息を切らしながら登りきると、稜線にさしかかります。

3.すさみ町長井坂 4.すさみ町の広葉樹が多い稜線の古道
5.古道沿いのヤブツバキ
長井坂

(上)広葉樹の多い稜線の古道

(下)古道沿いのヤブツバキ

稜線に沿った道の右手側には吉野熊野国立公園の枯木灘海岸が位置しており、所々にある展望地点からは海岸線から遠くまで広がる太平洋を見渡すことができます。

6.沖の黒島・陸の黒島方面の眺望 7.江須崎方面の眺望
沖の黒島・陸の黒島方面の眺望 江須崎方面の眺望

稜線沿いには広葉樹が多く、積もった落ち葉やその下にある腐葉土により歩道はふかふかで、歩いていて気持ちがよかったです。

8.すさみ町の古道を歩く

落ち葉の中には、和歌山県の県木であるウバメガシが多くありました。ウバメガシは海岸沿いに多く自生する照葉樹で、この地域では特に冬の厳しい西風が吹き付けるため、斜面にへばりつくような形に木が育ちます。「枯木灘」の名前は、その様子が枯れ木に見えることが由来とも言われています。

古道沿いのサクラの中には、花芽一つ当たり2輪ずつ、ほんのりピンク色の花びらを持つ花が咲いている木もありました。 2018年に103年ぶりに新種として発見され話題になったクマノザクラの特徴と似ています。もしかしたらクマノザクラかも⁉︎(雑種もあるようなので、断定はできません。)

9.古道沿いに咲くサクラ 10.公園外で咲いていたクマノザクラ
古道沿いに咲くサクラ (参考)公園外で咲いていたクマノザクラ

また、途中でこんなものが見つかりました。

これ、何に見えますか?

11.天然のエビフライか 12.巨大松ぼっくり
これは...天然のエビフライ?? 巨大松ぼっくり

全長が約12cmもあり、大きさからしてもエビフライそのもの...に見えますが、これは植林された外国のマツ「テーダマツ」の松ぼっくりをリスが食べた跡です。見事な大きさの森のエビフライには、テンションが上がりました。

最後の急な坂を下ると、見老津駅付近の海岸に降りてきました。

13.すさみ町見老津の海
見老津の海岸

稜線を歩いている間は海岸を望みながらの眺望に(花粉も多かった!?こともあってか)少し陶酔したような感覚でした。

今はまだ感染症対策が欠かせませんが、安心できるようになった際の訪れたいところリストに追加してみては?海を見ながらの古道歩き、おすすめです。

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2021年01月07日2021年 丑(うし)年 スタート!

吉野熊野国立公園 田辺 戸口協子

皆様、新年、明けましておめでとうございます。

田辺管理官事務所の戸口です。


2021年元日、田辺周辺では風が強く雲も多かったものの、太陽が顔をのぞかせてくれました。

さて、今年は丑(うし)年、ということで、吉野熊野国立公園で見られる「ウシ」に注目してみました。


まずは、陸で見られるウシ。これは「ウシハコベ」という植物です。

01_ウシハコベ(2020年12月撮影)
ウシハコベ

植物の名につく「ウシ」は、「大きい」という意味を込めて使われることがあります。下の写真で見てわかるように、春の七草の1つであるハコベ(ミドリハコベ)の葉に比べて、ウシハコベの葉の方が大きいことがわかります。12月末時点で田辺では花と実が同時に見られました。

02_ハコベとウシハコベ(2020年12月撮影) 03_ウシハコベの花と実(2020年12月撮影)
ハコベ(赤丸)とウシハコベ(黄丸) ウシハコベの花と実

次は、カマツカ(別名:ウシコロシ)です。

ウシコロシの名の由来は諸説あるようですが、牛の鼻に輪を通すための穴を空けるときの道具や、また鼻輪としてその枝を使ったことから、この名前が付いたようです。冬季は葉が赤く紅葉し、鮮やかな赤い小さな実はクリスマスリースなどにもよく使われています。

04_カマツカ(別名ウシコロシ)2020年12月撮影
カマツカ(別名:ウシコロシ)

次のはまさに、葉の形が牛の顔のシルエット。ミゾソバという植物で、別名「ウシノヒタイ」。

05_ミゾソバ(別名ウシノヒタイ)2020年12月撮影
ミゾソバ(別名:ウシノヒタイ)

今年の干支を表すのにぴったりなかわいい牛の親子に見えました!真ん中の子牛の額にはリボンのようなものが見えますが、これはウシノヒタイの花の一部で、全て咲きそろうと、こぺいとうのような形をしています。

06_牛の親子(2020年12月撮影)
牛の親子!?

また、白浜町の国立公園区域内には、地名に「ウシ」が入っているところがあります。南紀熊野ジオパークのジオサイトにもなっているシガラミ磯に隣接する「牛ヶ壺湾」です。この浜は全体的に小石によってできていて、波の動きにより水中でぶつかり合う小石のコロコロ・サラサラという音が耳に心地よいところです。

07_白浜町の牛ヶ壺湾(2019年10月撮影)
白浜町の牛ヶ壺湾

最後は海にいる「ウシ」です。角が牛の角に似ていることから、「ウミウシ(海牛)」と呼ばれています。吉野熊野国立公園の海域におけるダイビングでも人気者。カラフルでSNS映えし、動きがゆっくりなので、被写体には最適です。陸は寒くても海の中でウミウシたちは活発です。

08_天神崎のアオウミウシ(2009年3月撮影)
アオウミウシ(吉野熊野国立公園・天神崎にて。写真提供:山西秀明氏)

ほかにも身近なところに「ウシ」がつくものがあるかもしれません。自分なりの発見をしながら、吉野熊野国立公園の自然を楽しんでいただけるとうれしいです。

新たな年、2021年が、どうか皆様にとって良い年になりますように。

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2020年10月27日田辺市のひき岩群で見つけた秋

吉野熊野国立公園 田辺 戸口協子

 抜けるような澄んだ青空、うろこ雲やすじ雲を眺めていると、どこからかキンモクセイの香りが漂ってきます。陽光の柔らかい秋の空気に包まれる日が多くなりました。

 皆さま、こんにちは。田辺管理官事務所の戸口です。

 先日、田辺市稲荷町にある「ひき岩群」へ巡視に行ってきました。

 ひき岩群は、浅海に堆積したれき岩・砂岩・泥岩層からなる地層が隆起し、柔らかい泥岩が大きく浸食した一方で、硬い砂岩がさほど浸食されなかったことから、下の写真のようなケスタ地形が形成されています。ここは標高80~150mの丘陵地で、浸食によってむき出しになったれきを含んだ厚い砂岩層が、南北方向に約30度程度傾いて折り重なっているように見えます。

 「ひき岩群」という名称は、その砂岩からなる奇岩群が天を仰いでいる「ヒキガエル」の姿に似ていることに由来しています。傾斜角度が約30度ということと砂岩の色が、まさにヒキガエルが群れをなして天を仰いでいるようであり、圧倒される景観となっています。また、ヒキガエル以外にも様々な形をした奇岩を随所に見ることができます。

1_ひき岩群のケスタ地形。展望地からは田辺湾まで見渡せる。(2020年10月20日撮影)

ひき岩群のケスタ地形。展望地からは田辺湾まで見渡せる。

2_天を仰いでいるかのうような3匹のカエルたち(2020年9月15日撮影)

天を仰いでいるかのような3匹のカエルたち

3_恐竜の背骨(2020年10月20日撮影) 4_象の背(2020年10月20日撮影)
恐竜の背骨 象の背

 ひき岩群の乾燥した岩山部分では、和歌山県の県の木であり、紀州備長炭の材料として広く利用されているウバメガシが見られます。この季節はウバメガシもドングリを実らせています。ウバメガシのドングリは2年かけて生産されたドングリで、枝先から少し内側のところに小さくかわいらしいドングリが実っているのが見られます。同じドングリでも、田辺市内の標高が少し高い場所で見られるアカガシのドングリと比べるとつぶらなドングリです。

5_ウバメガシとアカガシのドングリ(2020年10月23日撮影) 
ウバメガシとアカガシのドングリ

 ドングリの他にも、アケビやクリが実っていたり、紀伊半島の固有種であり絶滅危惧種となっているキイジョウロホトトギスが咲いたりと、紀南地方の秋の彩りを感じました。

6_アケビ(2020年10月20日撮影)

8_キイジョウロホトトギス(2020年10月20日撮影)
7_クリ(2020年10月20日撮影)
アケビ(上)とクリ(下) キイジョウロホトトギス

 また、あまり目立った存在ではありませんが、湿地ではホザキノミミカキグサという植物が花を咲かせていました。これは日当たりの良い貧栄養な湿地に生え、小型で紫色の花を咲かす多年生の食虫植物であり、和歌山県レッドデータブックでは絶滅危惧IB類に分類されています。食虫植物には、陸上で昆虫などを食べるものもありますが、この植物は水中のミジンコなどの微生物を捕虫袋に取り込んで自分の養分にします。かれんな花からは想像できませんが、実は肉食系の植物で、しかも水中生物を捕食する食虫植物を私は初めて目にしました。

9_ホザキノミミカキグサ(2020年10月20日撮影)
ホザキノミミカキグサ

 このように、ひき岩群は全体が特異な岩山で乾燥しているところのように見えますが、内側には谷間がいくつも存在し、そこには湿地や滝など多様な環境が形成されており、その環境に適応した食虫植物などの貴重な植物を見ることができます。

 小川のせせらぎと鳥や虫の声を聞きながら谷間を抜けて、壮観で魅力的なカエルたちに会いにぜひお越しください。

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2020年09月16日吉野熊野国立公園 鹿島における海岸パトロール

吉野熊野国立公園 田辺 戸口協子

 皆さま、こんにちは。

 田辺管理官事務所のアクティブ・レンジャー戸口です。

 9 月に入り、日中はまだ暑い日もありますが夜に聞こえる虫の声はすっかり秋になってきましたね。

 さて、8 月31日に和歌山県みなべ町の南部湾に浮かぶ鹿島(かしま)へ海岸パトロールに行ってきました。

1_南部湾に浮かぶ鹿島
南部湾に浮かぶ鹿島

 鹿島は埴田漁港の南西約1.2kmに位置する無人島です。周囲約4㎞、面積2.6haの小島で、もともと南北2つの島に分かれていましたが現在は砂州でつながって1つの島になっています。宝永と安政の大地震の時には、鹿島が大津波を2つに分けてみなべの街を救ったとのいわれがあります。南側の島の中央部には鹿島大明神が祀られ、島全体が信仰の対象とされています※。

2_鹿島大明神にご挨拶
鹿島大明神にご挨拶

 この島には、環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠB類となっている「ウチヤマセンニュウ」という鳥が繁殖のために春から秋にかけてやってきます。今回の上陸でその姿を写真に収めることはできませんでしたが、「チュピチュピチュピ」というかわいらしいさえずりを何度も聞くことができました。派手さはありませんが、小さくすばしっこい鳥です。

3_(参考)ウチヤマセンニュウ(吉野熊野国立公園・新宮市孔島にて:写真提供 中井節二)

(参考)ウチヤマセンニュウ

〔吉野熊野国立公園・新宮市孔島にて:写真提供 中井 節二〕

 このように鹿島は希少な鳥類の繁殖地となる貴重な海岸林を有していることから、周辺の海岸域とともに吉野熊野国立公園に指定されています。この自然環境を将来にわたって残していくために、今回の海岸パトロールでは、国立公園及びその周辺地域における利用状況の見回りや利用者への適正な利用についての普及啓発を行いました。また併せて清掃活動を実施しました。

4_パトロールの様子(2020年8月31日撮影) 5_回収したゴミ(2020年8月31日撮影)
パトロールの様子 回収したゴミ

 今回、回収したゴミの中にはバーベキューの網が複数ありました。バーベキューの網をはじめ、大量生産、大量消費で安価で手に入るようになったものは、使い捨てが目立ちます。使い捨てという利用の仕方は環境への負荷が大きく、循環型社会を目指す今、改めて立ち止まって考え直さないといけませんね。

 自然の中で思いっきり楽しみ、持ってきたものは思い出と一緒にすべて持ち帰る。小さな意識の積み重ねにより、将来にわたってみんなが心地よく、楽しめる自然を維持していきましょう。

※ 鹿島への行き方については、みなべ観光協会のホームページをご参照ください。なお、鹿島は私有地です。島内ではマナーを守って楽しみましょう。

https://www.minabe-kanko.jp/sightseeing/1306

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2020年08月03日知られざる白浜 ~番所山の夏の海~

吉野熊野国立公園 田辺 戸口協子

 大暑も過ぎ、遅目の梅雨明けで夏本番ですね。

 みなさま、初めまして。このたび、田辺管理官事務所のアクティブ・レンジャーになりました、和歌山県紀北出身の戸口と申します。

 田辺管理官事務所の担当エリアは、吉野熊野国立公園の和歌山県西岸部を中心とするみなべ町からすさみ町までのエリアです。先輩アクティブ・レンジャーさんに引き続きエリアの魅力を伝えていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

 担当エリアの中でも、パンダや白良浜、円月島などの関西では観光で名の知れた白浜。そんな白浜ですが、まだあまり広く知られていないスポットを今回ご紹介したいと思います。

天然アーチ越しに望む田辺湾(2020年7月撮影)
天然アーチ越しに望む田辺湾

 ここは番所山。田辺湾の南側で、紀伊水道に突き出した小さな半島です。かつては島でしたが、海流により東側の陸地との間に砂地の平地(陸繋砂州)ができて陸続きになりました。

陸繋砂州で繋がる番所山(出典_国土地理院ウェブサイト)

陸繋砂州で繋がる番所山

(出典:国土地理院 https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

 県道34号沿いにある町営臨海浦海水浴場から砂浜沿いに咲く自生植物の花畑を楽しみながら西進すると、そこに広がる海には...

天然のアーチ、見事です!(2020年7月撮影) 砂浜沿いに咲くユウスゲ(2020年7月撮影)
砂浜沿いに咲くオニユリ(2020年7月撮影)

     天然のアーチ、見物です!     砂浜沿いに咲くユウスゲ(上)

                             オニユリ(下)

 この天然のアーチは塔島礫岩層(とうじまれきがんそう)の比較的柔らかい礫岩からできています(崩落・落石のおそれがあるため、近づきすぎないようご注意ください。)。まさに、波が織りなす自然のオブジェです(円月島も成り立ちは同じ)。

タイドプール越しに望む田辺湾(2020年7月撮影)
タイドプール越しに望む田辺湾

 降雨後でも水が濁ることがほとんどなく、田辺湾口にある塔島の岩礁地帯により、外洋からの波も打ち消され、穏やかで流れもほぼありません。海岸沿いでジオ観察、岩場ではシュノーケルや磯観察、釣りなど、多様な楽しみ方ができます。

臨海浦海水浴場から望む番所山・塔島(2020年7月撮影)
臨海浦海水浴場から望む番所山・塔島

 番所山には、100年以上前に「エコロジー」の考え方を提唱した世界的博物学者である南方熊楠の研究の軌跡を紹介する南方熊楠記念館があります。故・小嶋一浩氏による洗練されたデザインの内装・展示室には、粘菌の細胞の中の原形質が約60〜120秒毎に逆流するのを観察できる顕微鏡があります。また、展示内容もさることながら、屋上デッキからの田辺湾の見応えある360°展望には、つい予定より長居されるお客様が続出です!

南方熊楠記念館展望デッキから望む景色(2020年7月撮影)
南方熊楠記念館展望デッキから望む風景

 記念館では番所山ハイキングマップ等も配布されていますので、散策の際にもぜひお立ち寄りください。

番所山ハイキングマップ(提供:南方熊楠記念館)
番所山ハイキングマップ(提供:南方熊楠記念館)

 今夏は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、楽しみにしていた夏休みも短くなっているところが多いと思います。こんなご時世だからこそ、3密に気を配りながら、自然からパワーをもらい、身体と心の軸を整えられるお休みになるといいなと思います。

 新型コロナウイルス感染症の収束を心から願います。

※海水浴場や南方熊楠記念館などの施設利用に際しては、各施設のHP等の情報をご確認いただいき、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策をとったうえでのご利用をお願いいたします。

  白浜町役場:http://www.town.shirahama.wakayama.jp/

  南方熊楠記念館:http://www.minakatakumagusu-kinenkan.jp/

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2019年12月16日つれもていこら観察会~満天の星空をみよう!~を開催しました

吉野熊野国立公園 中村千佳子

 皆さんこんにちは。田辺管理官事務所の中村です。風が一層冷たく、冬らしくなってきました。空が澄んでくる冬は、星もきれいに見え、流れ星を見つけると嬉しくなり願い事をしたくなりますね。

 さて、田辺管理官事務所では、星空観察を通じて光害(ひかりがい)や大気汚染等に気づき、環境保全について関心を深めていただくことを目的として、12月2()にみなべ町にて、つれもていこら観察会~満天の星空をみよう!~を開催しましたのでご報告します。

 当日は、朝から雨が降っていましたが夕方には止み、観察会を行うことができました。

近隣から13名が参加してくれました。

星空観察について講師から解説
星空観察について講師から解説

 はじめに、講師の角田 夏樹氏より、光害(ひかりがい)や星空観察についてのお話しを聞きました。

 今回の観察場所の近くにある千里の浜はアカウミガメの産卵地としても有名で、野生動物は光に引き寄せられたり、逆に夜は光を嫌って逃げていくなどの説明がありました。

 照明にはこういった様々な影響があること、道路・街路などの人工照明の過剰な明るさや不必要な方向に漏れた光はエネルギーの無駄になること、街灯の高さを低くしたりデザインを工夫することで明るさだけでなく周辺環境に配慮した照明が必要であることなど、分かりやすい解説で、星空ガイドとしてのこれまでの活動をお話いただきました。

 次に、星空観察を行う広場へ移動しました。北極星や夏の大三角形、秋の四角形等をレーザーポインターを使って夜空に当てながら星の場所を教えてもらいました。また、大きな望遠鏡で月の表面のクレーターや天の川に集まる肉眼では見えない無数の星々の観察も行いました。

広場での星空観察
広場での星空観察

 参加者からは、「はじめて(大きな望遠鏡で)月や星を見ました。感動しました。」「色んな星をしっかり見られたし、星の名前もよくわかった。」「流れ星を見られて嬉しかった。」「光害についてこれから必要でない光は消そうと思った。」などの感想が寄せられました。

集合写真
集合写真

 これからの季節、共に空を見上げ、自然の光を眺めながら贅沢な時間を過ごしてみませんか?

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2019年11月22日よしくまの夕景

吉野熊野国立公園 中村千佳子

 皆さん、こんにちは。田辺管理官事務所の中村です。風が一段と冷たくなりました。事務所周辺では、たわわに実ったみかんを収穫する様子が見られるようになり、これからの季節、こたつに入りながら、地元でとれたみかんを食べるのがとても楽しみです。

たわわに実ったみかん

 

 さて、皆さんは和歌山の夕陽100選を知っていますか?和歌山県観光連盟が選定した、和歌山県内の美しい夕焼けを見ることができるスポットです。秋は夕焼けが特にきれいな季節でもあります。今回は吉野熊野国立公園内のお薦め夕陽スポットをご紹介したいと思います。

 まず始めに、みなべ町千里の浜の夕焼けです。千里の浜は本州で有数のアカウミガメ産卵地として知られていますが、夕焼けの美しさも地元で有名です。

 夏の終わりから秋にかけて、夕方の風がおさまる頃、静かで穏やかな海と燃えるような空を見ることができました。

みなべ町 千里の浜の夕焼け
みなべ町 千里の浜の夕焼け

 続いては、最近インスタグラム等で人気上昇中の田辺市の天神崎。こちらは潮位が満潮に近づいたときに、磯が鏡面になるため「田辺のウユニ塩湖」と呼ばれ、カメラを持った多くの利用者で賑わっています。私も皆さんと一緒に撮影するのですが「ウユニ塩湖」のように撮影するのは難しく、もう少し撮影技術を磨いてから挑みたいです。

田辺市 天神崎の夕陽
田辺市 天神崎の夕陽

 

 一番のお薦め夕陽スポットといえば、白浜町の円月島。日本の夕陽100選にも選ばれており、夕陽に染まる海を眺めながら、家族連れやカップルが散歩をしたり、太陽が沈む瞬間をカメラで撮影したりと沢山の観光客が訪れる場所です。私も何度も美しい景色を見に行き、癒やされています。

白浜町 円月島の夕陽
白浜町 円月島の夕陽

 

 よしくまの田辺といえば、青い海に青い空というイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、時には夕陽を眺めながら夕焼けに染まる海と空を眺めてみませんか。夕陽を見るには日没30分前頃からが一番美しいと思います。皆さん是非お越しください。

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2019年09月09日「よしくまアドベンチャーin天神崎でシュノーケル!」を開催しました

吉野熊野国立公園 中村千佳子

 こんにちは、田辺管理官事務所の中村です。夏休みが終わり子ども達の声が聞こえなくなった海水浴場は、なんだか少し寂しいような気もしますが、私にとっては、これからがスキューバダイビングで海中観察する絶好のシーズンとなるので、田辺周辺のどの海へ潜りに行こうかと今からわくわくしているところです。

 さて、8月26日(月)に田辺市の天神崎周辺の海域にて令和元年度子どもパークレンジャー事業「よしくまアドベンチャーin天神崎でシュノーケル」を開催しましたのでご報告します。

 当日は県内から30名を超える応募があり、その中から14名の子ども達が参加しました。

 子ども達を海の世界へと案内してくれたのは、日頃から田辺湾でスキューバダイビングのガイドを行っている紀州灘ダイビング組合の皆さんです。まずはウェットスーツの着方やマスクのあわせ方、海中観察時の注意点等を教えてもらい、その後海へ向かいました。

 

海に入る前に事前学習をしました
事前学習

 ウェットスーツを初めて着る子ども達からは「きつい」「暑い」という言葉が聞こえつつも、表情からは早く海に行きたい!という気持ちがでており、私も早く海の中に入ってもらいたい思いになりましたが、そこは安全のため準備を怠らないようにぐっと我慢しました。

 海に到着するとマスクの曇り止めの方法やシュノーケルの水抜きの方法を練習します。

浅場で練習しましたフィンのはきかたを習いました
浅場での練習

 さあ、いよいよグループに分かれて海中観察に出発です。初めは水泳のクロールをするように手を動かして、慣れていない様子の子もいましたが、段々と上手に泳げるようになりました。

 スタッフにナマコを触らせてもらっている子もいました。触った感想を聞くと「初めて触ったけど、柔らかくて気持ち悪かった」と言っていました。

 じっくりと海中観察を行い、ダイビングショップに戻ったら、どんな魚をみたか、図鑑で調べてみたり、スタッフに教えてもらったりしました。

カメラを見つけピースする参加者スタッフに手を繋いでもらいながら泳ぐ参加者
カメラにピース

カメラにピースする参加者スタッフにナマコを手に乗せてもらい感触を確かめる参加者
                       ナマコの感触を確かめる参加者

 子ども達からは、「最初は怖かったけど、スタッフの人が優しく教えてくれて嬉しかった」「サンゴはいないと思ったけど生きているのを見られて嬉しかった」「色んな生き物が見られて楽しかった。また泳ぎたい」等の感想が寄せられました。

 これからも、「地域の宝」である子ども達に、身近な自然について楽しく学びながら、豊かな自然を大切にする気持ちを育てていってもらえると嬉しいです。

海中で見た生きものを調べます集合写真
海中で見た生きものを調べます         集合写真

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2019年02月28日よしくまの春

吉野熊野国立公園 中村千佳子

 皆さん、こんにちは。田辺自然保護官事務所アクティブ・レンジャーの中村です。

春の訪れを感じる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。事務所周辺では梅の花が咲き、蜂たちが花粉を集める姿が見られ、ほのかに梅の香りが漂っています。周辺の梅林も多くの観梅客で賑わっています。

「一目百万、香り十里」とも呼ばれる梅林を是非、皆さんにもご覧頂きたいと思います。

梅林情報は下記のURLからご覧下さい。

南部梅林開園情報

https://www.minabe-kanko.jp/topic/3224

紀州石神田辺梅林開園情報

http://www.tanabe-kanko.jp/event/kanbai/

 南部梅林に咲く梅の花  梅の花の花粉を集める蜂達

 南部梅林                       花粉を集める蜂達

 さて、今回は紀南地方に春の訪れを感じさせるカスミサンショウウオの産卵について紹介したいと思います。

 カスミサンショウウオは全長10センチ程の両生類で、日本固有種です。西日本の平地から丘陵地にかけて分布し、主に農耕地や水辺周辺の雑木林に生息しています。12月頃から3月にかけて浅い水辺で産卵をし、5月頃までにふ化します。この時期、田辺市稲成町にある「ふるさと自然公園センター」の周辺では、水草等の茎に巻きついたひも状の卵囊と産卵に来た成体を観察することができます。

産卵に来たカスミサンショウウオの成体

カスミサンショウウオ

 よく見ると、つぶらな目と小さな手が可愛らしくてじっと見つめてしまいます。産卵が終わると普段は山の中で暮らしているので、あまり姿を見ることができません。この時期だけの貴重な姿です。卵囊はぷるぷるとした感触で中には沢山の卵が見えます。少し動いているものもありました。

カスミサンショウウオの卵囊はひも状です。

 カスミサンショウウオの卵

 今年も沢山の卵を確認することができ、大変嬉しかったです。

 皆さんもよしくまの春を満喫しにお出かけください。

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