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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

よしくまアドベンチャーin鳥の巣半島いきもの調査隊!

2017年06月02日
田辺 中村千佳子

 こんにちは。田辺自然保護官事務所アクティブ・レンジャーの中村です。

 5月27日(土)に和歌山県田辺市新庄町にある鳥の巣半島で「よしくまアドベンチャーin鳥の巣半島いきもの調査隊!」という自然観察会を行いましたので、その様子をご紹介いたします。 

 鳥の巣半島は照葉樹林に覆われ田畑が点在する小さな半島ですが、田畑に水を送るため約40個のため池があり、枇杷(びわ)が人気の特産品です。また、半島にある泥岩岩脈は日本最大規模であることから、国の天然記念物にも指定されています。

 今回は、ため池にどのような生物が暮らしているかを調査するため、講師をお招きして約15名の親子に調査に参加していただきました。

 ため池までの道中には、枇杷にたくさん実がなっていて、参加者も「美味しそうだね。」と眺めていました。また、海岸では、打ち上げられたウミガメの骨を発見した子どもたちが大興奮でした。

ため池までの道中にいくつもある枇杷       ウミガメの骨

 いよいよため池に到着し、前日に仕掛けたわなを引き上げます。

 子どもたちがわなをおそるおそるのぞきこむと・・。いました! 

 外来種のアフリカツメガエルです。アフリカツメガエルは、アフリカ中南部原産ですが日本の気候にも適応しており、水が凍らない限り生きています。実験動物やペットとして輸入され現在も流通していますが、日本国内で野生下での定着が確認されているのは、鳥ノ巣半島以外に千葉県の利根川下流域周辺のみとなっています。

 13個のわなに沢山のアフリカツメガエルが入っていて、子どもたちは「わー!一杯いる~!気持ち悪―い」と悲鳴にも似た声をあげていました。

 もちろん外来種の問題はただ気持ち悪いだけでなく、侵入した先で元々いたヤゴやゲンゴロウといった里地のいきものを捕食して、生態系のバランスを崩してしまう等の深刻な状況を引き起こしてしまうことにあります。田辺自然保護官事務所では、鳥の巣半島の生物多様性の保全のため、アフリカツメガエルの防除に対する地域の主体的な取組を支援する事業も実施しています。

仕掛けたわなを引き上げています         アフリカツメガエル

捕まえたいきものを講師に見せる参加者       田んぼの観察

 はじめは、虫やカエルに触るのを嫌がり、トンボもなかなか捕まえられなかった子どもたちも、次第に積極的になり、自分で捕まえたいきものの名前を講師の先生に聞きにいく姿も見かけられ、微笑ましくもありました。今回の鳥の巣半島いきもの調査隊!の子どもたちには、この体験をきっかけに、半島内の外来種問題を身体で感じ、生物多様性を保全する事の大切さを考えてくれるようになると嬉しいですね。