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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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山陰海岸国立公園 竹野

312件の記事があります。

2014年09月22日オオミズナギドリ調査【動物】

山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明

皆さんこんにちは、竹野の酒井です。

先日、冠島で行われたオオミズナギドリ調査に同行してきました。
今回はその様子をお伝えします。
冠島は舞鶴沖にあるオオミズナギドリの繁殖地として国指定鳥獣保護区に指定されており、また国指定天然記念物でもあるため通常は上陸禁止の島です。春と夏には毎年調査隊が泊まりがけで鳥類調査を行います。
オオミズナギドリはいわゆる渡り鳥で、春から夏にかけて産卵と子育てを行うためにフィリピンの方から日本に渡ってきます。

オオミズナギドリというと、まず巣が特徴的なことがあげられます。
 鳥の巣というと、木の上にある小枝や草等の固まりといったものをイメージされる方も多いと思われますが、オオミズナギドリはそれらとは違い、土に穴を掘って巣穴とします。



雛はこのような姿。ふわふわした灰色の羽毛で覆われています。
土中に巣(空洞)があるため、島内では巣を踏み抜かないように気をつけて歩くことが必要です。(これはうっかり踏み抜いてしまった巣穴にいた雛を撮影したものです)

ちなみに雛の親である成鳥はこのような姿です。


オオミズナギドリは陸から飛び立つときは斜面や崖などで助走が必要です。
ハトやスズメなどのその場で飛び立つことができる鳥とは違い、ある程度の速度の風を翼に当てないと飛びたつことができないのでしょう。




鳥類調査では主に足輪の調査を行っていました。
一時的にオオミズナギドリを捕獲し、ナンバーが記載された金属製の足輪を確認することによって、行動範囲や最初の捕獲からの年月を調べるという調査です。

オオミズナギドリは飛ぶためには助走が必要なため、飛んで逃げられるということはないのですが、島内は巣穴だらけのため、踏み抜かないように気をつけつつ、走り回るオオミズナギドリを捕まえなくてはなりません。
じっとしているオオミズナギドリに目線を合わせず、ヘッドライトの光(調査は夜に行われました)も当てず静かに近寄り、素早く捕獲すると良く捕まえることができるようです。

捕獲ができたらできたで今度はオオミズナギドリとの戦いがはじまります。
調査隊の隊長が説明していましたが、オオミズナギドリには適切なつかみ方というものがあり、そのつかみ方から外れると文字通り、痛い目に合うようです。
つかみ方はボールを持つように人差し指と親指でオオミズナギドリの頭をがしっと掴み、余った指で足を押さえるというもので、オオミズナギドリはかなり大柄で力の強い鳥なため、持ち方をまちがえたり、下手な捕まえ方をしたりするとくちばしで手を噛まれ、噛まれないように上手く頭を掴んでも足を押さえないと爪で引っかかれるとのこと。
また、足に気をとられて頭を押さえる力が緩むとくちばしで嫌と言うほど噛まれるようです。
調査隊のメンバーの中にはオオミズナギドリに噛まれすぎて手が傷だらけになっている人もいました。


今回の調査では計543羽のオオミズナギドリを調査し、そのうちの74%が足輪付きの再捕獲個体だったとのこと。
調査隊の隊長のお話では、再捕獲個体の数が増してきているのだそうです。

次回調査は来年の春になりますが、今回と次回を比べて、どのように調査結果が変化していくのか、楽しみですね。


といったところで今回はここまで。

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2014年08月15日あだ名はたっつぁん【生物】

山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明

皆さんこんにちは
竹野の酒井です。
暑い日が続きますが皆さんお元気でしょうか?
水田が多く海風が抜ける竹野は都市部に比べると比較的涼しい環境ではありますが、それでも夏の砂浜の見回りをしていると、頭がくらくらとする暑さです。
海水浴に来られる皆さんも、砂浜では特に熱中症に気をつけて下さい。
砂浜でじっとしている時や、海で泳いだ後の、運動によって体が熱を持っている状態のまま砂浜で休憩する時などは要注意です。

さて、そんな暑い話はここまでにしまして、涼しげな海中の話をしたいと思います。

6月の自然学校シーズンと比べると、竹野の海中生物の様子もずいぶん変わりました。
今の時期に見ることができる特徴的な物と言えば、何度かこの日記にも出てきていますソラスズメダイ(空雀鯛)とオヤビッチャ(親美姫)などですね。


(ソラスズメダイ)

それから今年は非常にタツノオトシゴ(竜の落とし子)が多い年のようです。


(タツノオトシゴ)

たまにタツノオトシゴは魚類、両生類、爬虫類のどの生き物の分類になるの?と聞かれることがありますが、タツノオトシゴは”魚”です。
(姿が魚っぽくないうえに、卵胎生に似たような習性も持っているので間違えるのも仕方ないですが・・・)
タツノオトシゴはトゲウオ目という奇妙奇天烈な魚が集まるグループにいます。
このグループの他の生き物として、常に体を逆立ち状態にしているヘコアユ(兵児鮎)やとても長いくちばし状の口を持つヤガラ(矢柄)などがいます。

海でタツノオトシゴに出会ったなら、是非、海中での動きを見て頂きたいと思います。
普通の魚と違って泳ぐのは遅いのですが、タツノオトシゴの泳ぐ姿はまるで宇宙のようなのです。
普通の魚は尾びれと体のくねりで推進力を得て、胸腹背の各ひれで姿勢をコントロールして泳ぐのですが、タツノオトシゴには胸ひれと背びれしかありません。
そのため、タツノオトシゴは尾びれや体のくねりを使わず、胸びれ背びれを羽ばたくように動かして泳ぎます。またその胸びれ背びれも小さく見えづらいため、体を動かしていないのに前に動いているように見え、まるで無重力空間で滑っているように見えます。
なかなかに奇妙で面白い動きですので生きたタツノオトシゴを見る際は是非注目してみて下さい。


海はその日その日によって表情を変えるまさに「水物」ですので、日によっては非常に珍しい生き物を見つけることもあります。

例えばこんな生き物。



これはツノウミフクロウと言うウミウシの仲間です。
漢字名は調べきれなかったのですが、この生き物の仲間に夜行性のウミフクロウという種がいますので、おそらく漢字名は「角海梟」となるでしょうか。
本来は屋久島や沼津、伊豆諸島等の南方もしくは黒潮系列の場所に分布しているのですが、対馬海流にのってこちらまで来たようです。
日本海側で見つかるのは非常に珍しいとのこと。

夏休みもあと少しですが、今夏最後の思い出に山陰海岸国立公園の海で生きもの観察をしてみてはいかがでしょうか?



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2014年07月23日2014夏シーズン開始しました【告知】

山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明

皆様こんにちは。
竹野の酒井です。

海の日の三連休を過ぎ、竹野及び山陰海岸国立公園の観光の一つ目のピークである夏のシーズンが本格的にはじまりました。
7月1日には竹野浜や山陰海岸国立公園内の各海水浴場で海開きが行われ、夏のシーズン中の安全と無事をみんなで祈願しました。


海開き当日の竹野浜の海中の様子は・・・


このように青く澄んでいます。
透明度のある水と海底に映る波のきらめき、そして砂紋が非常に美しいですね。

兵庫県が行った今年度の海水浴の水質調査では、山陰海岸国立公園内の兵庫県に属する海水浴場は全て泳ぐに適した良好な水質であるとの結果が出ています。

砂浜の海水浴場も遊ぶことも良いですが、海中生物が多くいる岩石の海水浴場で遊ぶことも良いものです。
例えば新温泉町にある田井ノ浜等は岩石と礫でできた海岸のため、浜辺の石をひっくりかえすだけでヒトデやウニ、ウミウシなどの沢山の生き物を見ることができます。



このような磯の生き物にうってつけな田井ノ浜にて、8月に浦富自然保護官事務所主催の磯の観察会を開催します。
(前回の実施の様子)



日時は8月10日(日)の10:00~15:00。
定員20名、参加費100円です。

詳細につきましては下記の連絡先までお問い合わせ頂くか、以下の近畿地方環境事務所のURLをごらんください。
http://c-kinki.env.go.jp/to_2014/0630a.html

ご予約は
浦富自然保護官事務所
TEL(FAX兼用):0857-73-1146
携帯電話:090-7120-3890
受付時間:9:00~17:00(平日のみ)
担当:宮森
までどうぞ。

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2014年06月30日チープな臭い【生物】

山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明

皆さんこんにちは。

竹野の酒井です。
夏至も過ぎ、炎天下で活動をしていると頭がくらくらするような季節がやってきました。
強い太陽光線は体力を奪い、気温を上げますが、同じように海水温も上げています。海水温が上がりますと海での活動がしやすくなり、自然学校のこども達も寒さに震えることなく海の生き物を観察できるようになりました。

さて、そのような自然学校のシーズン中に海で面白い生き物を発見しましたのでご紹介したいと思います。


まずこちらをご覧ください。



これはアオウミウシ(青海牛)。
磯でよく見られる生き物で竹野スノーケルセンターのマスコットにもなっている生き物です。
ウミウシは生き物の分類グループの中では貝の仲間に入ります。
大きさは一般的な大人の親指の幅ぐらいです。

さて前置きが長くなりましたが、今回ご紹介したい生き物はアオウミウシ・・・ではなく、その隣の黄色い何かです。


アオウミウシと比べるとずいぶんと大きく、奇妙な形をした生き物ですが、これもウミウシです。
メリベウミウシと言います。
大きさは・・・


20cm以上はあるでしょうか。

このウミウシの面白い特徴は臭いにあります。
~メリベと名前の付いているウミウシの特徴として、果物の臭いがすることが特徴の一つです。
昨年、竹野スノーケルセンターでヤマトメリベというメリベウミウシの仲間が捕獲されましたがそのときの臭いはスイカの臭いでした。
他にはグレープフルーツの臭いに近いとも言われています。

この個体の臭いは
柑橘系の臭いではありますが、生のグレープフルーツのようなさわやかでスカッとする香りでは無く、安い男性用香水や制汗剤の人工的なシトラス系の臭いが一番近いと思います。
なぜこのような臭いがするのかはわかりませんが不思議で面白いですね。

ちなみにこのウミウシ、竹野スノーケルセンター前の大浦湾でまだ見ることができますので見てみたい嗅いでみたいと思われた方は是非竹野までお越しください。

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2014年05月28日フクロウ【動物】

山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明

みなさんこんにちは。
竹野の酒井です。
つい先日のことですが珍しい生き物が竹野スノーケルセンターで保護されました。

いつものように竹野スノーケルセンターでの用事を終え、海を見るために更衣室を通過しようとしましたら妙な視線を感じました。ふっと振り返ると・・・




フクロウ(梟)がいました。
昼間のためか非常に眠そうな顔をしています。
まだくちばしが黄色くサイズも小さいため、まだ子供のようです。



真正面から見るとこのような姿です。
結構ずんぐりむっくりとした体をしています。



フクロウの特徴の一つに非常に首の可動範囲が広いことあげられますが、これはそれを示す典型的な写真です。
多くの鳥は目が頭の左右に付いていますが、フクロウは頭の前に二つ付いており、目の付き方は人間と同じです。
そのため、目標との距離を測る力には優れているのですが、視野という面では一歩劣ります。狭い視野を補うため、首の可動域を広くしているようです。

ちなみにこのフクロウは嵐から避難しようと思って木のうろに入り込むはずが、なぜか脱穀機の廃棄ダクトの中に入り込んでしまい、身動きがとれなくなったところを保護した個体であるとのこと。
保護した時点で目立った外傷や衰弱は無かったのですが非常に動きが鈍く、いかにも眠そうだったため、夕方に山に返すまでスノーケルセンターで預かることになったのだとか。
写真を撮っていても、首から下は身じろぎ一つしませんでしたが、その分良く回る首で、更衣室にはいってきた人間を見続けて警戒している姿が印象的でした。

最近ですと、とあるファンタジー映画の影響が強く、かわいい鳥というイメージがついていますが、もともとフクロウという生物は日本ではイメージの悪い生き物であることが多かったようです。
フクロウは昔、母親を食べて育つ鳥ともいわれており「不孝鳥」や「父喰らう」ともいわれ、家父長制を敷く社会では非常に縁起の悪い物とされてきました。
話が逸れますが戦国時代の松永久秀や斎藤道三などの悪名とどろく人物やあくどい手段を多用する人物を梟雄などと呼ぶこともあり、これだけでもフクロウのイメージの悪さが想像できるかと思います。
ただ、面白いのがこのような悪いイメージがあると同時に「福老」等と書いて縁起物扱いすることもあるということです。
なぜ善悪両方のイメージがあるのかは分かりませんが不思議ですね。

ちなみにこのフクロウ、保護した日の夕方には元気に山に帰っていったそうです。

と言ったところで今回はここまで。


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2014年04月16日スノーケルセンターリニューアル【その他】

山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明

皆さんこんにちは。竹野の酒井です。

さて、昨年の10月からリニューアル工事を行っていた竹野スノーケルセンターの展示改修工事についてですが、工事は無事完了し、4月1日からリニューアルオープンいたしました。
今回はリニューアルを終えた竹野スノーケルセンターを少しお見せしたいと思います。

まず始めに竹野スノーケルセンターとはなんぞやという所から説明いたします。
竹野スノーケルセンターは、平成4年に環境省が設置しました、海の楽しさ面白さを伝え、海を楽しむアクティビティを行っている唯一の施設です。平成12年にはアクティビティを行うための施設の他に、自然や地域についての情報発信を行う展示施設を追加するための改修工事を実施しています。
今回は、この展示改修をしました。

竹野スノーケルセンターは兵庫県豊岡市竹野町の大浦湾沿岸にあります。
県道11号線から休暇村竹野海岸への道へと進み、すぐに大浦湾への道へとつながっていますので、そこを曲がり、蛇行する道を下って行くとスノーケルセンターが見えてきます。
駐車場に車を止めスノーケルセンターの短い玄関を抜けるとそこは・・・


洞門でした。
今回のリニューアルでは、岩石、地形、地質といった展示にも力を入れているため、メインの展示スペースの半分ほどはこうした擬岩で巨大ジオラマのように作られています。
この擬岩ですが、ロッククライミングが趣味の私が思わず登りたくなるような(もちろん登れませんし、登ってはいけませんが)精巧な作りとなっています。



こちらは生き物展示スペースです。以前も展示していましたが今回の改修工事で生き物展示がより美しく、見やすくなりました。大浦湾、日本海の生き物や、竹野川の生き物を水槽に入れ、展示しています。
今ですと、日本海のタコや、ナヌカザメの子供、障害物で隠れているわけでもないのに良く観察しないとどこにいるのかわからないぐらい擬態の上手いハゼの仲間などが展示されています。

こちらは竹野スノーケルセンターのマスコットキャラクター「海夢くん」のオブジェです。


いわゆるゆるキャラ・・・というものでしょうか。
このキャラクターが竹野スノーケルセンターにいらしたお客さんをお出迎えいたします。
一緒に記念撮影を行うこともOKですし、またがって座ることもOKですので、記念に一枚いかがでしょうか?

その他にも大浦湾を眺めながら休憩ができるくつろぎスペースや、スノーケルに関わる展示、ワークショップ等が行えるフリースペースなど様々なコーナーができました。
今回ご紹介したもの以外の展示が見たいという方は新しくなった竹野スノーケルセンターに是非お越しください。

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2014年03月07日針300本ぐらい【生物】

山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明

皆さんこんにちは。

竹野の酒井です。
3月に入り海の波もずいぶんと穏やかになってきました。
1月や12月は波が荒く、白波と漂着物であたりは覆われていました。
それではここで皆さんに漂着物に関する質問を一つしたいと思います。

竹野で冬の間よく流れ着く、これは何だと思いますか?



これは「アバサー」「イラフグ」という別名を持つ、「ハリセンボン」という魚です。
フグに近い生き物(フグ目の生き物)で体中に針を持っていることが最大の特徴です。
この針はうろこが変化した物であり、かなり鋭く尖ります。
普段海中を泳いでいるときは、針は寝ているのですが、危険が迫ったときには水を吸い込んで体を膨らませ、針を立たせ外敵から身を守るのだそうです。



フグ目の生き物はフグ、ハコフグ、カワハギ、マンボウ、モンガラの類ですが、フグ目の特徴として泳力が弱い生き物が多いことと特徴的な生物が多いことがあげられます。
フグといって皆さんが真っ先に思い浮かぶのは恐らくフグ料理か、毒についてのことだと思います。フグやハコフグ、カワハギとモンガラの一部などは外敵から身を守るために毒を体にため込む性質がありますが、ハリセンボンはフグ目ですが卵以外に毒はなく、毒の代わりに棘で外敵から身を守ります。
食べられないために毒を蓄えて、外敵から身を守るか、食べられないために棘を蓄えて、外敵から身を守るかの違いですね。
余談ですが、同じフグ目のハコフグは体の内側に骨板という骨で作った鎧を着込み、体からは毒を出して身を守る、毒と鎧の合わせ技で外敵から身を守っています。

ちなみに「針千本」という名前ですが、実際の所、棘の数は300本程度です。
300本と棘の本数が足りないのは千の意味は1000でなく「一攫千金」「千差万別」と言った「とてもたくさん」という意味合いからとられているためでしょうね。

冬の間に海岸を散策すると大抵何匹かはこのハリセンボンが浜に打ち上がっています。
というのもこの魚は以前の日記で紹介した「死滅回遊魚」であるため、冬になると低水温に耐えきれず、死んでしまいます。その死体が波に流されて、浜に打ち上がってくるというわけです。

ちなみにこのハリセンボンは卵巣に毒がある以外は無毒なので食べることができるそうです。
沖縄ではアバサー汁といって味噌汁に入れたり、唐揚げにして食べたりするそうです。
あとは内蔵や肉を抜いて皮だけにしたのち、膨らませて乾燥させフグ提灯にしたりします。
いわゆる剥製のような物と思って頂ければ問題ないです。

皆さんも海岸散歩を楽しむ際は足下をよく見て歩いてみてはいかがでしょうか?


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2014年02月26日コウノトリの故郷で授業【イベント】

山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明

皆さんこんにちは、竹野の酒井です。

2月7日(金)、2月14日(金)と2週続けて、出前授業に行ってきました。
今回の出前先は豊岡市立三江小学校です。校庭にコウノトリが営巣したことで有名な小学校です。
今回の授業テーマは「生き物同士のつながり」と「海岸漂着物」。小学校4年生から6年生までの計86名に対して3学年合同授業という形で授業を行いました。

初回の授業となった2月7日(金)は「生き物同士のつながり」がテーマです。
食物連鎖に関わることを中心に、アイスブレイクを兼ねてイルカとイノシシの頭骨を片手にそれぞれの骨に残された歯の形から、この生き物は何を食べるのか、この生き物に食べられた生物は何を食べるのか、といった説明を行い、その後コウノトリを食物連鎖の頂点とした、但馬地域の食物連鎖を考えるゲームを班対抗戦で行いました。


↑食物連鎖のゲーム中



↑グループワーク中

ゲームは班員が力を合わせて考えないと全て解くことは難しい難易度の設定でしたが、なんと満点の班が二つも出てきました。
その他の班もこのゲームではかなり高得点をとっていました。
学年混成班ではありましたが班員同士うまく考え、話し合ってくれたようです。

2回目の授業である2月14日(金)は「海岸漂着物」をテーマに山陰海岸に流れ着く様々な物と、なぜ海岸に漂着物が流れ着くのかについての授業を行いました。
グループワークとして、漂着物がどの国から流れ着いた物なのかをバーコードを使って調べる作業や、山陰海岸に流れ着く漂着物を題材としたクイズ、日本周辺の海流の説明などを行いました。



↑生き物の漂着物の説明中

写真ではサケガシラという、リュウグウノツカイの遠い仲間の説明をしています。
その他にも、漂着物が地域の観光や生物に与える影響や生物、4時間の授業の総まとめなどを行いました。

今回は何か問いかけをするとすぐさま自分たちで考え、自分なりの答えを返してくれる、積極的な児童が多く、良い授業ができたと思っています。

今回で、今年度の出前授業はおしまいとなります。
4月以降のイベントは現在案を練っている段階ですが、出前授業につきましては前回の日記でも書きましたとおり、受付は開始しています。
学校関係者の皆さん、自然学校の事前、事後授業に、環境学習活動の追加授業に、学校の授業計画が進みすぎてしまった際の空き時間の穴埋めなどに是非出前授業をご活用ください。

お問い合わせは以下までご連絡下さい。
環境省竹野自然保護官事務所 担当:酒井
TEL:0796-47-0236
FAX:0796-47-0249


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2014年02月03日柴山小出前授業!(一年ぶり2回目)【イベント】

山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明

皆さんこんにちは。
立春を過ぎ、ようやく冬の寒さのピークも終わろうとしています。
以前の日記でクサギカメムシの動きから、今年は大雪になると予想していたのですが思ったほど降らず、雪が少なかったといわれた昨年以上に雪が降っていません。
豪雪になると思って新しく買った除雪スコップも玄関で埃を被っており、少々肩すかしです。

さて、1月29日に香美町立柴山小学校に出前授業に行ってきました。
小学3年生を相手に海岸漂着物について、1校時分お話しをしてきました。


今回の出前授業は参加人数が10名とのことで、みんなで輪になって話すようなスタイルをとり、最初に簡単に国立公園と自然保護官事務所のお仕事について説明した後、今回の出前授業の事前学習として児童達が拾ってきた漂着物について解説しました。

空きペットボトル、漁具、生物の残骸等の漂着物が多かったのですが、中には中国の将棋「シャンチー」のコマや、船に使われていたのであろう操舵輪のマークの入ったパーツ等も見つかりました。
大まかに児童達が拾ってきた漂着物をどのようなジャンルのものか分類しました。(生物の残骸、医療ゴミ、漁具、家庭ゴミなどなど)

その後、児童が拾ってきた漂着物や資料として持ち込んだ漂着物のバーコードを使って、漂着物の原産国調べを行いました。



今回のバーコード調べでは、漂着物を調べて四つの国の物を集めるゲームを行いました。
やはり日本、中国、韓国、ロシアの四カ国の物が多かったのですが、そのほかにも、イギリス、ドイツといった欧州の国々や、インド、ベトナム、タイといった南アジア、東南アジアといった国々の物も見られました。
この漂着物調べは児童達にかなり人気のプログラムであり、最低四つ調べてと言うと、その倍以上調べる子もいるほどです。



その後見つけた国はどこにあるのか、またそこからどうやって流れてきたのかを世界地図を使って説明していきます。
児童達の中には世界地図を見ることが初めての子もいたようで、世界の広さや世界の中での日本の小ささに感心していました。中には、サッカーの試合やニュースで良く聞く国名を地図上で調べている子もおり、地理についての良い勉強になっていたようです。
世界地図についての説明が終わった後、漂着物がどのようなルートで運ばれるのか、なぜ中国、韓国、ロシアの漂着物が多いのかを海流図を使って説明しました。



その後、竹野で流れ着いた珍しい漂着物について、紹介をしました。
写真で見せているのは竹野漁協が海に流した、恐らく魚供養か水難者供養のためであろう卒塔婆と軍隊で使われる銃の的です。(銃の的には実際に弾痕らしき物があります)
その他にも、羅針盤やクジラの指骨、サメのひれなどを紹介しました。

最後にまとめと質問コーナーを行って終了です。
質問コーナーでは、漂着物が1番は浜に流れ着く日はいつか、山陰全体で年にどのくらいの個数の漂着物が流れ着くのかといった、今回の授業の内容を掘り下げる質問から、人はなぜ海にゴミを捨てるのか、と言ったある意味哲学的な質問まで飛び出しました。

まとめでは、児童達一人一人にできる海岸漂着物を減らすための方法と気をつけて欲しいことについて説明をしました。

今年度の出前授業は、現在依頼を受けている分で終了となりますが、次年度分の授業依頼は随時受け付けております。
山陰海岸国立公園のある市町に勤める学校関係者の皆さん、次年度はこのような出前授業を学校で行ってみませんか?

お問い合わせは以下までご連絡下さい。
環境省竹野自然保護官事務所 担当:酒井
TEL:0796-47-0236
FAX:0796-47-0249

それではまた次回。

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2014年01月24日竜宮城へは行けません【生物】

山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明

皆さんこんにちは。竹野の酒井です。

今日は竹野からちょっとしたニュースをお伝えしたいと思います。
1月23日の午後に、面白い物が竹野浜に打ち上がりました。


リュウグウノツカイという深海魚です。
アカマンボウ目リュウグウノツカイ科の魚で遠い仲間にアカマンボウがいます。
(ちなみにアカマンボウはマンボウの仲間と思われることがありますが、マンボウとアカマンボウは別物です。パンダとニホンジカぐらい違う生き物です。)

世界にすむ硬骨魚(サメやエイ以外の魚)の中で世界最大の長さを誇る魚なのだそうです。
ちなみにこのリュウグウノツカイのサイズは・・・

大体4m20cmちょっとです。重さは計測していませんが、成人男性三人で持ってもかなりずっしりくる重量です。



顔周辺をアップにした写真がこちらです。
リュウグウノツカイ(竜宮の使い)という優美な名前とは裏腹に、顔はあまり優美とはいえません・・・
その代わりにご注目頂きたいのは体色とひれです。
体色についてはこの写真で見ると赤白く見えますが、浜に打ち上がった頃は綺麗な銀色でした。リュウグウノツカイはうろこを持たず、銀色のタンパク質で体に膜を作ることで体を保護しているのだそうです。移動や写真撮影のため、べたべたと触ったせいで銀色の膜も落ちてしまいましたが・・・。
もう一つご注目頂きたいのはひれです。透明感のある赤色の背びれが頭から尾の先端まで途切れること無く続いています。
そして頭頂部には風に流れる赤い鉢巻きのように背びれが一部分だけ長く伸びています。水中ではこれらのひれを流しながら泳ぐのだそうです。
泳いでいる姿も一度見てみたい物ですね。


ちなみにここからは余談になりますが、皆さんは童話「人魚姫」はお好きでしょうか?
童話「人魚姫」はデンマークで作られたお話しですが、人魚の話自体はドイツやギリシャ、中国など世界中に伝説があります。
幽霊の正体見たり枯れ尾花、という訳ではないですが人魚の伝説のモデルとなった物は、ジュゴンやマナティと言った海獣であることがほとんどだと言われています。
日本にも人魚伝説はありますが、日本の場合は海獣ではなく、このリュウグウノツカイがモデルになっていると言われています。
八百比丘尼伝説という伝説なのですが、その伝説がどのような内容かをおおざっぱに説明すると、若狭国(現福井県)の海岸で浜に打ち上がっていた人魚の肉を庄屋(今で言うところの村長)が村人に配った。ほとんどの村人は人魚の肉を食べれば不老不死になれるということは知っていたが、怪しんで食べずに捨ててしまった。一人だけ肉を捨てずに隠してとっておいた男がいたが、隠していた肉はその男の娘が食べてしまう。人魚の肉を食べた娘は不老不死となり何百年も生き、人々のために働いたが、最後には世を儚んで洞窟の中で亡くなったと言う物です。

その八百比丘尼伝説の人魚に関する記述を調べていくとリュウグウノツカイの特徴と人魚の特徴が合致する点が多く、日本の人魚伝説のモデルではないかと言われています。

竹野では、リュウグウノツカイやその仲間の深海魚が漂着したものが年に一回ぐらい発見されています。
もしリュウグウノツカイが漂着しているのを見つけても、くれぐれもその肉は食べないで下さいね。フィションの世界では、様々な作品の中で、「不老不死などろくな物ではないですよ」と書かれていますので・・・

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