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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2011年02月23日上北山小学校PTA研修会【イベント】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 1月、2月と吉野熊野国立公園大台ヶ原の郷、上北山村の小中学校で大台ヶ原の出前授業を行いましたが、今回は授業を聞いてくれた児童の保護者の皆さんに向けて、大台ヶ原についてお話をさせていただきました。



国立公園としての視点から大台ヶ原を紹介する濵名自然保護官

 この上北山村は北東部に大台ヶ原、西部に大峯山脈が連なり、村のなんと43%が国立公園という、日本が誇るべき自然に囲まれた村なのですね!という濵名自然保護官の説明に改めて「そういえばそうだな~。」と感じました。



緑の部分が吉野熊野国立公園。赤く囲まれた部分が上北山村(かみきたやまむら)です。村のかなりの面積を国立公園が占めています。



連なる山々の風景と、透き通った水の流れる清流の景色が広がる上北山村。

 国立公園は「我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地(by自然公園法)」として国より指定され、大きな開発から守られます。

 余談ですが、私の実家は裏庭が神社の山で、その山は鎮守の森になっていることもあり、今のところ森が大きく開発される心配がありません。庭から見える自然の風景が、変わらず保たれるということは当たり前のようで、実はそうでもないのだな、とふと考えさせられました。

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★大台ヶ原ドライブウェイ開通まで【あと57日!】★
平成23年4月21日(木)午後3時 開通予定
大台ヶ原山上駐車場へ続く大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は、現在、冬期閉鎖のため通行止めです。※開通日は気象の変化により変更される場合があります。
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2011年02月22日五條西中学校出前授業 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
2月18日に奈良県五條市にある五條西中学校で、中学1年生を対象に出前授業を行いました。


写真:出前授業を行う濵名自然保護官(2月18日撮影)

 まず濵名自然保護官より、「生態系」や「生物多様性」、「国立公園」の言葉を交えつつ、生物多様性をなぜ守らなければならないのか?など、写真や絵を使った分かりやすい説明がありました。その話を踏まえて、濵名自然保護官とバトンタッチをし、私が「大台ヶ原の自然」についての授業を行いました。


写真:出前授業を行う私(2月18日撮影)

 「大台ヶ原の自然」の話では、生徒の皆さんと楽しみながら国立公園(特に大台ヶ原)の学習を出来るようにしようと思っていたので、クイズをしたり、発言を求める内容で行いました。生徒さん達は、こちらが発言を求めるとすぐに答えを返してくれ、とても授業を行いやすい雰囲気をつくってくれました。話は、大台ヶ原の特徴や自然の豊かさ、生息・生育している動植物、いま起こっている問題などについて、順を追って説明しました。

 上の2枚の写真を見ていただくとお分かりですが、何と!授業を受けた生徒さん達の人数は100人を超え、今までの出前授業の中で最多となりました。私はこんな大勢の前で話をすることが初めてだったので少し心配でしたが、生徒さんが話をしっかりと聞いてくれたので、私自身も楽しみながら授業を行うことができました。最後まで話を聞いてくださった生徒の皆さん、お手伝いして下さった先生方、どうもありがとうございました!!

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2011年02月17日上北山小学校出前授業【イベント】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 近畿で大雪が降った翌日の2月15日、大台ヶ原の郷、上北山村の小学校にて出前授業を行いました。
 上北山中学校の生徒の皆さん同様、大台ヶ原に「トウヒ」という針葉樹の苗を植えていただいたので、今回はトウヒに関する授業です(トウヒ植樹イベントの詳細;http://c-kinki.env.go.jp/blog/2010/11/1149.html )。



トウヒの苗を植えてたこと、覚えているかな~?
みんなが植えてくれた苗は、これから無事に育つのでしょうか?

 今回は児童のみなさんにトウヒの苗になりきってもらい、苗にふりかかる災難を体感してもらいました。
 トウヒの苗になりきった皆さんに、まずは「運命のカード」を引いてもらいます↓



「あ!シカに木の皮をかじられてしまった!!どうしよう~!」

 苗になりきっていた皆さん、ここでシカに扮した先生によって靴下や上着を脱がされてしまいます。

 トウヒは、ぐるりの皮をかじられてしまうと、枯れてしまいます。これ以上、木の皮をかじられないようにするには、どうすればよいでしょうか?目の前に用意したアイテムから「解決策」を選んでもらいます。
「木にネットを巻く!」
「防鹿柵(ぼうろくさく)をつける!」



実際に防鹿柵に使用されている網をかじるシカさん。ワイヤーが織り込まれているので、固くてやぶることができません。

 こうしていろんな問題を解決することで、トウヒのみなさんは生き延びることができました!
 授業を聞いてくれた児童のみなさん、先生方、そして今回も授業内容を一緒に作ってくれた大台ヶ原ビジターセンターのふれあいコーディネーターさん、どうもありがとうございました!

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★大台ヶ原ドライブウェイ開通まで【あと63日!】★
平成23年4月21日(木)午後3時 開通予定
大台ヶ原山上駐車場へ続く大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は、現在、冬期閉鎖のため通行止めです。※開通日は気象の変化により変更される場合があります。
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2011年02月14日やっと・・・ 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
今年も天川村の小学校で出前授業を行うため、2月8日にその打ち合せで天川村に行ってきました。以前、洞川(どろがわ※)では、雪国かと思うほどの雪が積もり、路面凍結していましたが・・・
(※)2011年2月3日 「雪国 【その他】」をご参照下さい。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2011/02/03/index.html

少し暖かくなり、小学校がある川合(かわい)では雪が解け始めてきているようでした。

写真:やっと雪が解けた天川小学校のグラウンド(2月8日撮影)

 出前授業の打合せを行った後、授業で使う情報を収集するため、小学校内を見せていただきました。日光が当たる場所では、やっと雪が解け始め、地面が見えてきています。「これならば」と小学校を一周し、動物が残したサイン(フィールドサイン)などを探しました。


写真:見つけたニホンジカのフィールドサイン 左:糞 右:足跡(赤丸内)(2月8日撮影)

 さすがに村でも、被害が出ているだけあり、ニホンジカのフィールドサインはすぐに見つかりました。雪がこれ以上降ってせっかくのフィールドサインをまた見失ってしまわないよう願いつつ、このような自然の情報を使って、今年も野外で授業を行いたいと思っています。

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2011年02月09日舞い出す○○ 【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
今回は、そろそろ舞い出す(舞いだしている?)スギの花粉についてお伝えします。今年は(今年も?)、例年の3倍ほどの花粉が舞うとの予想が出ています。古くから林業が盛んで沢山のスギやヒノキが植えられている吉野地方では、最近スギの雄花(おばな)が気になるようになってきました。


写真:大きく目立つようになってきたスギの雄花(1月24日 濵名自然保護官撮影)

 上の写真のように、ついこの前までは深い緑色一色だった木々に黄色い雄花が目立つようになってきました。私たち人間にとっては迷惑?な花粉ですが、スギは迷惑行為をしたいが為に飛ばしているのではありません。スギは風に花粉を運んでもらい、雌花(めばな)に到達させ、種をつくり、次世代を担う子孫を残そうとしているのです。
・・・しかし、私たちがこの花粉で困っているのも事実です。
大気汚染物質などとは少々性格が異なりますが、環境省のホームページでは、花粉の飛散(ひさん)状況を地域ごとに情報発信しています。ぜひご活用下さい!

環境省花粉情報サイトはこちら!
       ↓
http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/

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2011年02月08日トウヒのソックリさん その②【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 前回の日記に続きまして、トウヒのソックリさんである植物のご紹介です。
(前回の日記はhttp://c-kinki.env.go.jp/blog/2011/02/1209.html をご覧ください)
 トウヒとウラジロモミの違いはまだありました!

【挑戦!大台ヶ原の森で間違い探しその②】

★種(実)の落ち方にご注目!(画像クリックで拡大)


 枝についている時の姿は、前回の日記でご紹介したように付き方は違いますが、同じような形をしています。しかし木から落ちる時に、トウヒはそのままボトっと地面に落ちますが、ウラジロモミは花びらが舞い散るようにバラバラになって落ちます。この違い、ニクいですね。

※補足※上写真左は、トウヒの種の集合体です。トウヒの種ひとつひとつは下写真です。



 こうして種から、次の世代が生まれます。実生(みしょう)とよばれる子ども達の違いはどうでしょうか。

★実生の葉っぱの形にご注目!(画像クリックで拡大)


 実生の姿は、「違うな~」と感じます。見分け方として、先がV字に割れた葉は、若いウラジロモミの葉の特徴なのだそうです。

 みかけだけでなく、ニオイにも違いがあります。マツヤニが出ているトウヒ・ウラジロモミを探し、指にとって嗅いでみると・・・
トウヒ → なんだかスカっとするニオイがする!
ウラジロモミ → なんか油っぽいようなニオイがする~

 気になるニオイの違いは、春の大台ヶ原で!自然観察会でもご紹介していきたいと思っています。

 大台ヶ原で開催される自然観察会の日程は、4月以降に下記HPにてお知らせする予定です。
近畿地方環境事務所;http://c-kinki.env.go.jp/

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★大台ヶ原ドライブウェイ開通まで【あと72日!】★
平成23年4月21日(木)午後3時 開通予定
大台ヶ原山上駐車場へ続く大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は、現在、冬期閉鎖のため通行止めです。※開通日は気象の変化により変更される場合があります。
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2011年02月03日雪国? 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
いつになったら春が来るのか・・・と思うほどの寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

 さて、1月28日に天川村の洞川(どろがわ)に行ってきました。まだ吉野山の高所には雪が残っていたので、洞川も積もっているだろうなぁ・・と思いながら向かいました。

写真:洞川の町並みと雪(1月28日撮影)

 予想どおり、洞川では辺り一面真っ白でした。道路にもしっかり雪が積もっており、気を抜くと転んでしまうほどでした。洞川の方々に「夏は冷房を使うことはほとんどないよ」とお聞きしており、羨ましいなぁと思っていたのですが、冬の洞川を見て、改めて涼しい(寒い?)地域だと実感しました。

 そんな中、道路のすぐ脇で雪国ならではのものを見つけました。




写真:上)動物の足跡(赤丸内) 下)足跡のアップ(1月28日撮影)

 降り積もった雪の上に動物の足跡が残っていました。ノウサギかな?と思っていましたが、蹄(ひづめ)の跡らしきものが見えたので、ニホンジカのようでした。
上の写真の右端にタイヤの跡が残っているのがお分かりでしょうか。人が出歩かない夜に通ったのでしょう。時間帯が違うとはいえ、こんな道のすぐ脇を歩いていたことに驚いてしまいました。積雪によって、普段はわからないような動物の活動に気付かされました。しかし、人間の生活圏内をニホンジカが闊歩している状態は、あまり良いものではありません。野生動物と人間の生活圏には線引きをし、お互いに過度の影響を与えすぎないようにしなくてはいけないと感じた発見でした。

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2011年02月01日トウヒのソックリさん その①【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 最近、私の日記で、大台ヶ原の森を代表する針葉樹である「トウヒ」についてよくお話しをさせてもらっています。
(詳しくは;http://c-kinki.env.go.jp/blog/2011/01/1195.html
  
 しかし大台ヶ原で「トウヒ」を探そうとすると、実によく似た木があることに気が付きます。今回はそんなソックリさんについてご紹介します!



 大台ヶ原の森を歩くと見かける風景・・・まっすぐにのびた針葉樹が2本、見上げると葉の形もよく似ているなあ。トウヒが2本?いや、なんかちょっと違うなあ・・・
(左)色が黒っぽくて、肌が魚のウロコようになっているのが「トウヒ」(マツ科トウヒ属)
(右)茶色くて、肌にニキビがぽつぽつ出ているのは「ウラジロモミ」(マツ科モミ属)です!

 この「トウヒのソックリさん」ことウラジロモミは、トウヒと同じく大台ヶ原の森を代表する針葉樹です。一見似ていますが、よ~く見ると違いが見えてきます。

【挑戦!大台ヶ原の森で間違い探し】

葉っぱの付け根にご注目!(画像クリックで拡大)



実の付き方にご注目!(画像クリックで拡大)



 皆さん、いかがでしょうか?
 植物たちはこうした、ちょっとした違いによって、グループ分けがされているわけですが・・・
 ご先祖様が一緒だから、似ている?それとも同じ環境で育つうちに似てきた?ではこの違いはどうして存在したのだろう??想像は膨らむばかりですね!

次回の日記で、この続きをお伝えしようと思います!

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★大台ヶ原ドライブウェイ冬期行止め ~春までお待ちください~★
平成22年12月1日(水)午後3時 ~ 平成23年4月21日(木)午後3時まで
大台ヶ原山上駐車場へ続く大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は、上記期間中は冬期閉鎖のため通行止めとなります。
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2011年01月27日上北山中学校出前授業【イベント】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 先日、1月25日に大台ヶ原の郷、上北山村の中学校にて出前授業を行いました。昨年、上北山中学校の生徒の皆さんに、大台ヶ原に「トウヒ」という針葉樹の苗を植えていただいたので、今回はトウヒに関する授業です。
(トウヒ植樹イベントの詳細;http://c-kinki.env.go.jp/blog/2010/11/1149.html )



 あまり聞き慣れない「トウヒ」という名前。まずは親近感を持ってもらうため、トウヒの生態から雑学までを説明しました。



 今後、生徒の皆さんが植えたトウヒの苗はどうなる!?苗たちに降りかかるであろう災難と、どうすればその災難を回避できるか、起こりうる問題を解決できるのか、先生方を含め考えていただきました。

【起こりうる災難を予想!】
苗が風や雪などで倒れる
動物に食べられる
雨で流される
温暖化で枯れる・・・

 これに対し、解決策として一番重宝されたのが「柵をたてる!」でした。大台ヶ原ではすでにシカの食害から植物を守るため、柵が設けられている場所があります。「○○さんを壁にして守る」や「神様にお願いする」などの楽しい解決策も出ました。

 「今後の苗の行く末が気になる・・・。」と少しでも感じていただけたかな~と不安と期待を残しつつ、次回の上北山小学校の出前授業の準備にとりかかります!

 授業を聞いてくれた上北山中学校の生徒の皆さん、先生方、授業の作成に協力していただいた大台ヶ原ビジターセンターのふれあいコーディネーターさん!どうもありがとうございました!

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2011年01月24日発見! 【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
寒さはまだまだ続いていますが、日に日に日没時間がのびてきているので、暖かくなってきているのでは?と思いたくなる今日この頃です。

 さて前回(※)の続きで、雪の重さに耐えられず折れてしまった木の近くで見つけたものとは・・・
(※)2011年1月18日「大雪が降ると・・・【その他】」をご参照下さい。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2011/01/18/index.html


チョウの蛹(さなぎ)の抜け殻でした。

 これは、スジグロシロチョウ(シロチョウ科)の蛹です。皆さんもご存じ(?)のモンシロチョウ(シロチョウ科)にとても近い仲間です。特徴は名前のとおり、モンシロチョウの翅(はね)の筋を黒くしたようなチョウです。幼虫は、モンシロチョウと同じアブラナ科の植物を食べて成長します。スジグロシロチョウは、キャベツなど栽培されているものよりも道端に生えているイヌガラシなどでよく見られるため、あまり目にすることがないチョウかも知れません。しかし!もしこのスジグロシロチョウの成虫を見かけたら、翅の匂いを嗅いでみてください。とても爽やかなレモンの香りがするのです!レモンの香りがするのはオスだけで、メスを呼ぶために鱗粉に匂いを出す器官があるのです。

写真:左)モンシロチョウ 右)スジグロシロチョウ

 モンシロチョウの成虫はまだ寒さが残る3月下旬頃から見られますが、このスジグロシロチョウは、暖かくなった4月頃から見られます。この蛹の抜け殻を見ていると、成虫が舞う暖かい季節を想像し、「早く暖かくならないかなぁ・・・」と思ってしまいました。今年の冬は例年より寒い日が続き、雪で木々が倒れる問題が起こっているからこそ、私は暖かい季節が恋しくなったのかもしれません。

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