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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2011年01月19日吉野山のキジ【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 濵名自然保護官が、吉野山で野生のキジを見かけた!ということで、さっそく写真を提供していただきました。


↑保護色のメスの姿が見えにくいので画像クリックで拡大してご覧ください。
1月14日 吉野山のキジ(雄雌)

 夫婦そろって仲良くお食事中のようでした。キジは、繁殖時に「つがい」か「一夫多妻」で行動し、それ以外はオス・メス別々の群れになって生活しているそうなのですが、繁殖期の春にはまだ少し早いような・・・?
 よく見るとオスが尾っぽを上にあげて、警戒のポーズをしています。ひょっとして、お忍びの逢瀬でもしていたところ「スキャンダルを激写されてはまずい」と警戒でもしたのでしょうか。



 出くわすと思わず嬉しくなるくらい派手な色をしているキジのオス。
私は幼いころ、通学途中でキジを見たとき「日本にクジャクがいる!」と興奮したものでした。

吉野山では、ヤマドリが道路を横切ることもよくあります。


(左)キジの足あと  (右)ヤマドリの足あと

 綺麗に一直線に歩いています。やはり美しい鳥はモデル歩き!?
ヤマドリは、オスが長~い尾っぽを引きずった跡を雪に残しているのが、なんだか微笑ましいですね。

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★大台ヶ原ドライブウェイ冬期行止め ~春までお待ちください~★
平成22年12月1日(水)午後3時 ~ 平成23年4月21日(木)午後3時まで
大台ヶ原山上駐車場へ続く大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は、上記期間中は冬期閉鎖のため通行止めとなります。
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2011年01月18日大雪が降ると・・・ 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
まだまだ寒い日が続きますね。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 前回の「新年のご挨拶」(※)では、吉野自然保護官事務所の周りに残った雪についてお伝えしましたが、今回も雪についてお伝えします。あれからまた日にちが経ち、吉野自然保護官事務所の周りの雪たちは・・・さすがにもう解けてしまいました。しかし吉野山では、「いつの雪?」と思うような一度解けかかってまた固まったような雪(氷?)が未だに見られます。
(※)2011年1月11日「新年のご挨拶 【その他】」をご参照下さい。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2011/01/11/index.html

 この年末年始に降った雪の影響で、吉野郡の木々に見慣れない問題が起きています。その問題とは・・・木が降り積もった雪の重さに耐えられなくなり、折れてしまうというものです。樹齢100年を超えるような立派な木は折れることが少ないようですが、樹齢数十年ほどの木はまだ幹が細く、自分に積もった雪の重さに耐えられないようです。吉野山でもこれらのように、雪の重さに耐えられなくなって折れてしまった木がところどころで見受けられます。

写真:雪の重さに耐えられず、折れてしまったスギ(赤丸内)

 上の写真では少し分かりづらいかもしれませんが、途中からポキリと折れてしまっています。中には、折れはしないものの枝が地面に届きそうなほど曲がってしまった木も見られました。優良な木材として数十年育てられた有名な「吉野杉」が曲がったり、折れたりしている様を見て、大雪の怖さを感じるとともに残念な気持ちになってしまいました。
 こんな出来事が起こっている近くで、ある物を見つけました。
そのある物とは・・・


また次回お伝えしたいと思います!

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2011年01月12日大台ヶ原のトウヒ【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 何度かこの日記でもご紹介させていただきましたが、昨年の秋に大台ヶ原で「トウヒ」という針葉樹の苗が、上北山村の子ども達を中心に植えられました。
☆くわしい内容は過去の日記http://c-kinki.env.go.jp/blog/2010/11/1149.html をご覧ください。

 この聞き慣れない「トウヒ」という名前、漢字にすると「唐檜」=中国ヒノキ(?)と書きます。なんだか想像がふくらむ名前ですが、由来ははっきりとわかっていないようです。ヒノキとは言いながらヒノキ科ではなく、マツ科トウヒ属なのでマツの仲間です。



大台ヶ原のトウヒ(中央2本)

 標高が高く寒く厳しい・・・私じゃ無理だな~と思うような環境で育つので、主に日本アルプスなどの中部山岳地帯などで見られるのですが、トウヒ林としてまとまって生育できる、日本で一番南の端が、標高1500メートルを超える大台ヶ原周辺です。



トウヒ(Picea jezoensis var. hondoensis)の主な分布図

 この地域は○○が生息する「南限」や「北限」なのだ!と表現されることがありますが、こうした限界は、その生き物たちの住めるギリギリの環境を示すことにもなるため、生育条件が知れる!という意味でも貴重とされるようです。環境の変化によってはその境界線も移動するので、地球環境の変動を見る上でも重要となるのでしょうか。

 トウヒは、他の種類の木とまじって林を作ることが多いそうですが、大台ヶ原にはトウヒばかりの林(トウヒの純林)があり、日本では珍しいものとされています。



トウヒの親(後)と子ども達(手前)

 植えられた苗は、今は雪にじっと埋もれているのでしょうか?

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★大台ヶ原ドライブウェイ冬期行止め ~春までお待ちください~★
平成22年12月1日(水)午後3時 ~ 平成23年4月21日(木)午後3時まで
大台ヶ原山上駐車場へ続く大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は、上記期間中は冬期閉鎖のため通行止めとなります。
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2011年01月11日新年のご挨拶 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、新年明けましておめでとうございます。

 早速ですが、2011年初出勤の時に気になったものと言えば・・・積もりに積もった「雪」です。大台ヶ原地区担当の青谷ARの日記(※)にも書かれていますが、吉野では大雪が降りました。皆さんのお住まいの地域ではいかがだったでしょうか。
(※)2011年1月4日 「吉野から新年のごあいさつ【その他】」をご参照下さい。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2011/01/04/index.html

 それから3日経ち、好天の日もあったのですが・・・

写真:事務所裏に残った雪(1月7日撮影)

この残った雪を見ていると、この3日間の気温の低さが伺えます。

そんな気温の中、事務所近くで今年初となる生き物を見つけました。

写真:越冬中のキチョウ(1月7日撮影)

 写真のキチョウ(シロチョウ科)は、成虫で越冬する種類のチョウです。チラチラと雲間から差し込む太陽の光を浴び、輝いているように見えました。

 毎朝とても寒く、路面凍結の日々ですが、このキチョウの様に精一杯頑張りますので、今年もアクティブ・レンジャー日記をよろしくお願いいたします!!

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2011年01月04日吉野から新年のごあいさつ【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 皆さま、新年明けましておめでとうございます。



年賀状:吉野熊野国立公園・大台ヶ原から見る尾鷲湾からの日の出と、大台ヶ原のマスコットキャラクター「大台ヶ原山椒大夫(オオダイガハラサンショウダユウ)君」から新年のご挨拶。

 雪の年末年始となった地域も多いのではないでしょうか。ここ奈良県の吉野でも大雪が降り、40センチメートルほど積もった所もあるそうです。

 吉野熊野国立公園である吉野山周辺は私の通勤路でもあるのですが、今朝はシカの足跡が雪に残っていたり、つららが光っていたり、畑の作物が雪から顔を出していたり、雲海が見えたり(見たのは上からではなく、横からですが・・)と、冬の吉野の風景を堪能することができました。



撮影:1月4日 雪の残る吉野川(吉野自然保護官事務所近く)

 大台ヶ原の雪解け水が、この吉野川に流れてくるのはいつ頃か。山の上は今、ただただ雪ばかりか・・・と、思いをはせています。

 今年も国立公園や自然に関する情報を発信していきたいと思います。2011年もアクティブ・レンジャー日記をどうぞよろしくお願い致します。

【雪の被害情報】
濵名自然保護官の住む住居でも大雪でこんな被害が出ました。



屋根に降り積もった大量の雪が物干し竿に落ちてポッキリ・・・帰省先から戻ると、こうなっていたそうです。

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★大台ヶ原ドライブウェイ冬期行止め ~春までお待ちください~★
平成22年12月1日(水)午後3時 ~ 平成23年4月21日(木)午後3時まで
大台ヶ原山上駐車場へ続く大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は、上記期間中は冬期閉鎖のため通行止めとなります。
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2010年12月28日とち餅 【植物】【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
もう今年もあとわずかですね。
正月といえば・・・門松、餅(鏡餅)、凧、お年玉など・・・様々なものが思い浮かぶかと思います。その中でも今回は「餅」についてお伝えします。
ひと言に「餅」と言っても、餅米をついただけの白い餅からヨモギを交ぜた草餅など、たくさんの種類があると思います。私は草餅が好物なのですが、吉野へ来てからもう一つ好物ができました。
それは「とち餅」です。とち餅は、磨り潰されたトチノキの実が入った餅のことです。このように書いてしまうと簡単に作れそうなのですが・・・このトチノキの実は灰汁(アク)が強く、そのままや水に漬けるだけでは、とても食べられるものではありません。灰を入れた水で数日、灰汁抜きをしっかり行って、ようやく食べられるようになります。食べられるようになるまで時間と手間がかかるものですが、昔から食べられている貴重な食料であるとともに、とても栄養価が高いので、病人食でもあったのです。

写真:商品化されたとち餅(赤丸内)

 とち餅は、このような姿(?)をしています。では、原料のトチノキの実はどのようなものかと言うと・・・

写真:上)トチノキが生育している谷筋 左下)殻を取る前のトチの実 右下)殻を取った後のトチの実

 上の写真の右下の様に、トチノキの実はまん丸とした栗のような形をしています。大峯地区では、大きな谷筋に立派なトチノキの大木を見ることが出来ます。しっかり探すと、たくさんの実を見つけることができるのですが、殻を剥かれ、実が無くなったものも良く見かけます。トチノキの実は、イノシシやニホンジカなどの食料にもなっているようです。実を巡った争いは、正に「早い者勝ち」です。誰が先に見つけるか、見つけた者が食料にありつけるといった、動物たちの競争の世界をのぞき見ることができます。
(※)国立公園の特別保護地区内では、動植物の採取(実も含む)も規制されています。このエリアでの木の実については、動物優先でお願いいたします。

 今回のアクティブ・レンジャー日記が2010年の最後となります。1年が経つのは早いものです。つたない文章ではありますが、今年も皆さんに吉野熊野国立公園の素晴らしさ、生物多様性の面白さなどをお伝えしてきたつもりです。読んで下さった皆さん、ありがとうございました。来年も、より面白い・読み応えのある日記にしていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします!
それでは皆さん、良いお年を!!

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2010年12月27日アンケート結果報告【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 今年も行いましたアクティブ・レンジャーによる自然観察会①「苔の森でミニエコツアー」と、新たに別コースを行く②「夏の森でエコハイキング」は、シーズン中にあわせて7日間行い、合計80名の方に参加していただきました。


「夏の森でエコハイキング」の様子

 参加者の方に記入していただいたアンケートの結果を、この場をお借りしてご報告させていただきます!
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■年齢は?
:夏休み期間はご家族連れを中心に、今年は30代の方に最も多く参加していただきました。
■大台ヶ原に来られたのは何度目?
:この観察会をきっかけに大台ヶ原に初めて来られた方が多数!ありがとうございます!
■面白かった話は?
(”大台ヶ原・国立公園の説明” “植物・生き物の話” “大台ヶ原の環境の話” “環境省の取り組みの話”から選択)
:昨年と全く同じく、今年も植物や生き物、大台ヶ原の環境の変化の話が最も面白いと感じていただけたようです。国立公園の説明をいかに魅力的に伝えるかが、昨年同様にまたまた今後の課題となりました。


「苔の森でミニエコツアー」の様子

 その他、さまざまなコメントもいただきました。
■①「苔の森でミニエコツアー」より
・小さな細かいものを観察しながら歩くのも、すばらしいと思った。森や山を歩く時の自分のふみしめる足元もよく見て、成長し始めた芽をふまないように気を付けることも大事と改めて思った。
・もう少し動植物や天候のことなども、詳しく教えてもらえたら、うれしいです。
・大台ヶ原は暑い奈良市よりすごい涼しかったこと。

■②「夏の森でエコハイキング」より
・コケの種類を教えてもらったことが印象的でした。また、コケがすごくきれいに見えた。
・散策中での普段気付かないことが、ギモンに思うことがよく分かり、解決しながら歩けることがよい。
・植物の生態について、もっと詳しく教えてもらいたい。特に生態、植生の変化の違いなど
・思っていたより歩きやすく、きちんと管理されているので紅葉の時にもまた来たいとおもいました。
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 新たに開始した②「夏の森で・・」では、例年行っている①「苔の森で・・」からのリピーターの方とも出会える機会があり、またアドバイス等もいただけ、大変嬉しく思います。参加してくださった皆様、どうもありがとうございました(来年もぜひよろしくお願いいたします!)。

私の日記は、今日が今年最後となりました。
それでは皆さま、よいお年を!


★大台ヶ原ドライブウェイ冬期通行止め期間★
平成22年12月1日(水)午後3時 ~ 平成23年4月21日(木)午後3時まで
大台ヶ原山上駐車場へ続く大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は、上記期間中は冬期閉鎖のため通行止めとなります。

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2010年12月21日大峯百選 其の拾弐 【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
今回は、またまた忘れた頃にやってくる(?)「大峯百選 其の拾弐」をお伝えします。
大峯地区で有名な植物と言えば・・・オオヤマレンゲですが、今回はオオヤマレンゲ以外の大峯を彩る花々について、見ごろの時期を交えつつご紹介します。

 まず、大峯で最もよく見かける花と言えば・・・

写真:バイケイソウ(ユリ科)
 バイケイソウです。以前の日記(※)でもご紹介しましたが、この植物には毒があり、ニホンジカが食べない植物です。また、花も何とも言えない匂いを放っています。しかし、(匂いさえ嗅がなければ)白く小さい可愛らしい花を多数付けているので、この植物は「目」で楽しむことをお勧めします。開花時期は、7月頃です。
(※)2009年4月24日 「開通!【利用・施設】」をご参照下さい。

 次は、少し意外なところ(?)で見かける「イワカガミ」です。

写真:イワカガミ(イワウメ科)
 イワカガミは、岩場や急傾斜地などで見られます。岩場が多く、険しい大峯では、思わぬところで見かけることがあります。名前のとおり、葉には、鏡のような光沢があり、ピンク色の小さな花を付けます。花は、4月下旬から5月頃に見られます。

 最後は、イワカガミと同じように岩場などで見かける「ダイモンジソウ」をご紹介します。

写真:ダイモンジソウ(ユキノシタ科)
ダイモンジソウは名のとおり、「大」の字のように見える花をつけます。白く可憐な花を咲かせ、岩場でひときわ目立っています。花は、9月から10月頃に見られます。

 大峯地区では、大きな花のオオヤマレンゲと小さなこれらの花々が山を彩っています。この花々が咲く季節に皆さんも心を和ませに見に行かれてはいかがでしょうか。

!!お願い!!
国立公園内では、訪れる多くの人々の為にも、植物の採取はご遠慮下さい。この地域の良さをより多くの人々と分かち合えるよう、皆さまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

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2010年12月16日ニホンジカの影響 【動物】【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
吉野は相変わらず寒いのですが、底冷えする日が多くなっている気がしています。天気の悪い日には、雨とも雪とも言えない不思議なものが降ってくる始末です。皆さんのお住まいの地域ではいかがでしょうか。

さて今回は、大峯地区でのニホンジカの影響についてお伝えします。吉野熊野国立公園内でのニホンジカの影響と言えば・・・大台ヶ原が有名(?)ですが、大台ヶ原の隣にある大峯地区でも見られます。

写真:食害を受けたコウヤマキ(コウヤマキ科)

写真:樹皮剥ぎの跡がハッキリと見られる

 上の写真は、以前、下北山村(国立公園内)でニホンジカに樹皮を剥がされたコウヤマキの写真です。今まで、「コウヤマキの樹皮剥ぎはほとんどない」と聞いていたのですが、この周辺ではコウヤマキの樹皮剥ぎが多く見られ、この木も実にしっかりと樹皮が剥がされていました。樹皮剥ぎのコウヤマキを見ている最中にも、「ピュウ!」という警戒音を出しながらニホンジカが数頭逃げて行きました。
 大台ヶ原、大峯地区で見られる「樹皮剥ぎ」ですが、何が問題かと言うと、木が枯れてしまうことです。樹皮剥ぎが樹皮の一部でとどまれば、助かる可能性はあるのですが、幹を一周するように剥がされると、葉で光合成を行ってつくった養分を根に送れず、根で吸収した水分などを葉に送れなくなり、いずれ枯れてしまうのです。

写真:樹皮剥ぎによって枯れたコウヤマキ

コウヤマキは、コウヤマキ科に属し、世界中で日本にしか見られず(日本特産種)、1属1種の裸子植物(マツ、ヒノキなどの仲間)です。福島県より西から四国、九州に分布するといわれています。コウヤマキの名前の由来は、和歌山県の高野山に多く生育しているところから来ているようです。木材や庭木などとして利用されていますが、自生地は局所的のようです。吉野熊野国立公園内でも、吉野山に群落(※1)があり、県指定の天然記念物に指定されています。ただし、吉野山のコウヤマキ群落は自生地ではなく、木材として植えたもののようで、スギやヒノキと同じように、昔から人との関係が深かった木であったことが伺えます。
(※1)群落(ぐんらく)とは、異なる植物同士が関わり合い、ひとまとまりの集団になっていること。

 大台ヶ原ではニホンジカの個体数調整を行い(※2)、自然のバランスを戻すお手伝いをしているのですが、大峯地区では地形が険しいなど、個体数調整を行うには大きな問題がたくさんあるので、防鹿柵(ぼうろくさく)を設置するなど、他の手を使って自然のバランスを戻すお手伝いをしています。ニホンジカがすべて悪いわけでもなく、何事にも人が手を加えればすべてうまくいくというわけでもありません。しかし、新たな樹皮剥ぎを見る度に、自然のバランスの難しさについて考えさせられるのです。
(※2)2009年12月4日「大台ヶ原でのお仕事 【動物】【その他】」をご参照下さい。

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2010年12月13日トウヒの子供たち【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 今年の秋、大台ヶ原に植えられたトウヒ(マツの仲間の針葉樹)の苗は、今どうしているでしょうか?
(なんの話?と思われた方は以前の日記http://c-kinki.env.go.jp/blog/2010/11/1149.html
をご覧ください)

 現在の状況はこちら!


 植えたトウヒ苗の周辺の土が、白い霜で覆われています。寒そう~~!

 写真は、苗の育成のために土の踏み固めをしている最中です。
トウヒの苗が植えられてから、このように根元の土を踏み固める作業が何度か行われています。
なぜかというと・・・



 苗が風に揺さぶられて根元の土に隙間ができています。土を踏んで隙間を埋めないと、苗がグラグラして倒れてしまうかもしれません。



 山の上ではもうりっぱな霜柱ができています。

 苗が植えられた場所の標高はおよそ1680メートル。トウヒは標高1500メートルくらいから上に見られる寒さに適応した木だそうですが、それでも氷つくような気温の中で立っている苗を見ると「春までがんばれ~!」と思わずにはいられません。

★大台ヶ原ドライブウェイ冬期通行止め期間★
平成22年12月1日(水)午後3時 ~ 平成23年4月21日(木)午後3時まで
大台ヶ原山上駐車場へ続く大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は、上記期間中は冬期閉鎖のため通行止めとなります。

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