ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2009年01月06日アクティブレンジャーの仕事

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 みなさま、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 1月5日より、吉野自然保護官事務所での業務を開始いたしました。新しい年が明けて、休みボケもありますが、フレッシュな気持ちでもいるアクティブ・レンジャー(AR)の青谷です。

 ARの仕事内容はその担当地区で違いますが、共通する仕事も、もちろんあります。このAR日記もそうですが、その中で頻繁に使われる写真を撮影することもそのひとつです。
 大台ヶ原地区では、自然に関する情報・イベント・国立公園にある施設、歩道や問題箇所など、あらゆる場所や状況を撮影しています。なので外に出る時は必ずカメラを持参します。
 撮り集められた写真は、業務報告をはじめ、会議やイベントのプレゼンテーション、普及啓発や国立公園の情報を促すパンフレットのために使用されることが多いです。長期的に撮りためられた写真は、これまでの自然環境の変化などを見るためにも役立ちます。

 「何かに使えるかも?」と感じれば写真撮影を行うのですが、後で使える写真は意外と少なく、単純ながらも難しい業務だなとしばしば頭を悩ませております。



写真:吉野自然保護官事務所から発信している、AR日記の写真の撮影にも使われているカメラたち。ARになった当初はうっかり持っていくのを忘れて「あ~しまった!!」

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2008年12月26日2008年から2009年へ

吉野熊野国立公園 吉野 木谷昌史

過去から現在へ、刻々と変化を遂げる自然の変化をカメラがとらえていました。
下に掲載した写真は奈良県天川村の弥山周辺を写した上空写真です。
いったいどのような変化を遂げているでしょうか?



撮影日時:1967年


撮影日時:1988年


撮影日時:2001年
※写真は国土地理院によって撮影されたものです。
(協力:NPO森林再生支援センター)

いろいろな変化があると思いますが、特に目立つのが白いラインの数です。
白いラインは斜面の崩壊地です。

1967年は2箇所だった崩壊地は、2001年には数えられる大きいものだけで10箇所にも及んでいます。原因としては、シカの食害の影響を受けて下層植生が衰退し、地盤を支える力が弱くなったからではないかと言われています。
気になる周辺生態系への影響も心配されていて、崩壊地周辺の土壌や樹木は崩れ落ちることや、残されている希少な高山植物への影響も考えられます。河川へ流れ込めば河川生態系への悪影響が心配されます。しかも、今後、その数がさらに増えるのでは・・・ と心配を胸に年を越そうとしています。
環境省では、弥山周辺に植生を守るために柵を設置していて、その中では植生の回復が見られています。それは、植生が回復する環境条件が整い自然治癒力が高まったのだと思います!しかし、柵の中の一部しか保護できていないため大峯地域全体の自然を考えると応急措置にしかすぎません。
大峯山系全域で人の手を借りることなく自然のまま植生の回復が進むという夢は残念ながら来年へ持ち越しです。
変化を遂げる自然。大峯の生態系が悪循環から好循環になる年になるよう、山で起こっている今を多くの人に知ってもらい理解してもらえるよう来年も一層努めていきたいと思っています。来年も応援、どうぞ宜しくお願いします。



弥山周辺の下層植生の様子。
クガイソウ・カラマツソウ・ヒナノウスツボなど今日ではなかなか見られない植物達が花をつける。(写真提供:平恵子さん)
撮影日時:1976年

アクティブ・レンジャー日記[近畿地区]は今年最後になりました。
今年一年、どのような一年でしたでしょうか?
近畿地区の国立公園からさまざまなエピソードが掲載され、地域ごとに特色があるのだな~とつくづく思いました。また、似たような仕事をしているだけに刺激も受けてもいました。(皆さんはどのようにお感じでしたでしょうか?)
国立公園のことやレンジャー&アクティブ・レンジャーのお仕事紹介などを面白くそして出来るだけ分かりやすくお伝えしてきたつもりです。分かりにくいところも多々あったとおもいますが、来年もどうぞご覧下さい。
「日記みたよ~」という声を聞くととても励みになるのでもし現地で見かけたら優しさの一言も是非お願いいたします。それでは皆様、よいお年を!!


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2008年12月24日大台の朝日

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原には絶景スポットがいくつかあります。今回ご紹介させていただくのは、日出ヶ岳の展望台へ行く手前のテラスです。そこから海(太平洋)までの距離は20キロメートルもありません。なので晴れた日には三重県の尾鷲湾をみることができ、さらに早起きすれば海から昇る朝日を見ることもできます。







写真:11月23日の東大台。(上)早朝6時半頃、テラスで朝日を待つ。右前方に海が見える。(下)昇る朝日。

 ここから見える熊野灘(※)から湿った空気が吹き上がり、屋久島の降水量に匹敵するたくさんの雨(年間降水量4000ミリを超える)を大台ヶ原に降らせています。この場所は時々、真っ白な霧が海のほうから吹き上がってくるのを見ることもでき、その自然の仕組みが垣間見えるようです。
今年は4月からアクティブレンジャーとしてお仕事をさせていただき、いろんな方にたくさん助けていただきました。皆さん、来年もどうぞよろしくお願いいたします。

※和歌山県南東部および三重県南部の沖合の海域。古来航海の難所。(広辞苑より)

----------大台ヶ原ドライブウェイ閉鎖情報----------
大台ヶ原山上駐車場に続くドライブウェイは冬期閉鎖のため、現在通行止めになっています。来年、平成21年4月21日午後3時より開通する予定です。

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2008年12月19日ドラミング

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 今年も残すところあとわずか。皆様いかがお過ごしでしょうか。大台ヶ原ドライブウェイも冬期閉鎖され、私はここのところ毎日事務所で仕事をしています。雪の大台を夢見つつ、しかし寒さにおびえる日々でございます。
 先週はパークボランティアさんの活動報告や、今後の活動計画などを掲載している大台ヶ原地区パークボランティア通信「ドラミング」の冬号を印刷し、今回もアタフタしながら、なんとか発送することができました。



写真:「ドラミング」冬号、全8ページ。ボランティアさんの楽しい活動報告や感想文、大台の情報や、季節を伝える写真などを掲載しています。春・夏・秋・冬と年に4回発行しています。

 ドラミングも今回で54号目。大台ヶ原のパークボランティアが発足したのは平成元年。本当に長きにわたって皆さんの活動が続けられています。来年もどうぞよろしくお願いいたします!

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2008年12月17日和佐又山というところ【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 木谷昌史

奈良県にある数少ないスキー場の一つが上北山村の和佐又山にあります。
周辺は特に雪が降るそうで、冬の週末は雪遊びをしている家族で賑わっているそうです。
大峰山脈・台高山脈の間にそびえ立つ和佐又山、向かいに走る大台ヶ原のドライブウェイからもよく見えます。


トライブウェイからも良く見える和佐又山
撮影日時:平成20年11月22日

さて、このような立地にある和佐又山の山頂は、以前は、地元の人によって展望地が管理されていたのですが、月日が流れ樹木が伸びてしまったため眺望がきかなくなっていました。
そのため、今年度、和佐又山の山頂からの見晴らしを改善するため、必要に応じて樹木を切り展望地を再び作り出しました。



和佐又山の山頂
撮影日時:平成20年12月8日

地面から1mほどの高さで切られているのは、そこから萌芽した芽をシカの食害から防ぐ効果期待しています。また、土壌流出を防ぐため必要な樹木は残してあります。
木の切り方、残し方にもいろいろな方法があるのですね、改めて感心させられました。来年は、ここからの見える山岳風景にさぞ爽快な気分を味わえることでしょう。
※和佐又山の山頂は、ヒュッテから徒歩20分ほど。気軽に登ることができるのでファミリーにもお勧めです。

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2008年12月12日ミニエコツアー・アンケート結果

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 6月から11月まで行っていたアクティブ・レンジャーによる自然観察会~苔の森でミニエコツアー~、今年は合計117名の方に参加していただきました。
 参加者の方に書いていただいたアンケートを読んでいると、おのずと改善点が見えてきます。「もっと宣伝が必要だな~。」と思ったり、「観察会の目的をもっときちんと伝えないと駄目だな~。」と感じたり。そんなことを考えながら感想を読んでいると、やはり一番多かったのは「大台ヶ原の現状がわかった」でした。

  ○数年でこんなに自然が変わっているなんてびっくりした。
  ○鹿が木の皮を剥いでいるというのを初めて知りました。
  ○倒木や立ち枯れには驚かされた。
  ○鹿による被害のことを聞いていましたが、今日どんな様子なのかがよく分かりました。この自然がずっと保護されるよう望みます。

「苔の森でミニエコツアー」では自然の素晴らしさや、面白さを伝えなくてはいけないことはもちろんですが、大台ヶ原で今、何が起きているのかを知ってもらい、どうすればいいのかな?と考えてもらえるきっかけを作ることも大事なのかな、と改めて思いました。

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2008年12月11日~雪の彼方に~【気候】

吉野熊野国立公園 吉野 木谷昌史

雪の上に、動物の足跡を見つけました。
大きさは手のひらほど。普段は見かけない大きさです。
このサイズだとサル、大型のイヌ、仔グマが頭に浮かぶのですが、形は熊の足跡とどこか似ています。餌探しでしょうか?冬眠は?いろいろと想像が膨らみます。見つけた場所はシオカラ谷を大蛇嵓に向かって登ったところ。




撮影日時:平成20年11月23日

大台ヶ原では、ツキノワグマ、キツネ、サル、カモシカ、シカ、イノシシ、アナグマ等の中型・大型の哺乳類が生息しています。
なかなか姿を見ることができない彼らですが、雪の降った翌日であれば彼らの足跡を見つけることができるかもしれません。冬ならではの自然の楽しみ方といえます。
この日は雲がなく風もない、暖かい一日でした。野外で生活している獣たちは、干されている布団のように日向ぼっこをしているかもしれませんね。雪の彼方で。

この日の活動内容は12月4日の日記【冬の到来】をご覧ください。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2008/12/04/index.html

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2008年12月04日大台の冬到来

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

大台ヶ原では11月18日に初雪が降りました。そして11月22・23日、ひと足早い大台ヶ原の「大掃除」のため、パークボランティアの皆さんに集まっていただいた時には、そこかしこに雪が積もっていました。
山の上に着いたら、ビジターセンターの展示ホールやレクチャーホールを掃除。翌日は東大台をぐるりと一周しながら、雪に埋もれたゴミを拾いました。天候にもめぐまれ、気持ちの良い活動となりました。参加してくださったボランティアの皆様、有り難うございました!

写真:11月22日の大台ヶ原ドライブウェイから。




大峰の雪山はまるで南アルプスのようです。




青空をバックに樹氷を見ることができました。大台に降った初雪がそのまま樹氷になったようです。




冬に備えてエサを探しているのでしょうか。ゴジュウカラが木の幹をくるくるまわったり、逆さまになって下りたりと、器用に動き回っていました。このような動きをすることからゴジュウカラは「木まわり」という別名を持っています。

----------------大台ヶ原ドライブウェイ閉鎖情報-----------------
現在、大台ヶ原ドライブウェイは冬期閉鎖のため、通行止めになっています。
閉鎖:平成20年12月1日 午後3時から
開通:平成21年4月21日 午後3時から

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2008年12月03日大台ケ原ドライブウェイからの見晴らし【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 木谷昌史

今日は、穏やかで日差しが気持ちいい吉野。
里まで降りてきたカエデやサクラの紅葉で色鮮やかな日和となっています。

さて、大台ヶ原に向かうドライブウェイから大峯山系が見渡せるのをご存じでしょうか?
大台ヶ原がある台高山系と八経ヶ岳や山上ヶ岳がある大峯山系は向かい合わせ。
どちらも南北に重なるように連なっているので、天気の良い日ははるか向こうの山並みまで見渡せます。
(冬季の間のアクティブ・レンジャー日記では、ここから見える名峰をご紹介していきたいと思っています。)


撮影日時:平成20年11月22日
撮影場所:大台ヶ原ドライブウェイ(県道40号)

今年は、ドライブウェイが冬季閉鎖期間に入ってしまったため通行することはできません。ですが来年は4月の下旬から開通し、春には残雪や新緑が心を躍らせてくれることでしょう。

※大台ヶ原ドライブウェイの閉鎖期間は平成20年12月1日~平成21年4月21日。
詳細は奈良県道路維持課ホームページ(3.国道及び県道の冬期通行止め)をご覧ください。→ http://www.pref.nara.jp/doroi/kanri/douroiji-04.htm

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2008年11月27日冬の準備【気候】

吉野熊野国立公園 吉野 木谷昌史

 
 今日は登山口に取り付けたカウンター
(登山者数をカウントする装置)の撤去作業に行ってきました。
 このカウンターは、今年の7月から登山口に設置し登山者の数をカウントしていましたが、本日をもって無事調査を終了しました。気になる登山者の数は、結果を集計する冬季中に発表したいと思います。
先週、寒波に見舞われた大峯山系。撤去に向かう道中、道路が凍結していなか心配していたのですが、暖かい日が続いていたため雪も氷もすっかり融けていました。(山の上の方は雪が残っていました。)
雪がどっさりと降る前にカウンターの回収を行うことができたので一安心です。
 事務所の車はスタッドレスタイヤに交換し、トランクにはチェーン&スコップを備え付け積雪にも備えています。きたる冬への準備を着々と行っています。



写  真:カウンターを撤去するアクティブ・レンジャー木谷
気温は10℃。冷たい北風で手がかじかむ。
人気の少なくなった林道にはサルの群れが出没していた。
撮影場所:行者環トンネル西口の登山口
※ここから近畿最高峰の八経ヶ岳を目指す人が多い
撮影日時:平成20年11月27日

~お知らせ~
大台ヶ原や大峯山系(八経ヶ岳・山上ヶ岳)に向かう国道や県道が冬季閉鎖されます。
これから山に登られる方、ツーリングなどで峠越えを計画している方は注意が必要です。
詳しくは奈良県道路維持課のホームページをご覧ください。
http://www.pref.nara.jp/doroi/kanri/douroiji-04.htm


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