ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2009年08月27日秋を彩る蝶 【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
 前回の日記(8月21日「夏の山」)あたりから、近畿地方では一気に気温が下がったようですね。急激な気温の変化は体調を崩しやすいので、皆さん、体には十分気を付けてくださいね。

 さて今回は、最近目に付くようになってきたチョウ「ツマグロヒョウモン」をご紹介したいと思います。「ツマグロヒョウモン」の名称は、「つま先が黒い豹紋柄のチョウ」から来ていると言われています。4月から11月頃にかけて成虫が見られるようですが、秋に最も目にします。なので、このチョウを見ると、「秋だなぁ…」と感じてしまいます。

写真:ツマグロヒョウモンのオス(8月25日撮影。夕方に撮影したので、心なしか眠そうです…)

写真:葉裏でお休み中のツマグロヒョウモンのオス(8月25日撮影)

 このチョウは山地よりも平地に多く見られます。住宅地でも見かけることが多く、幼虫はスミレ類の葉を食べます。皆さんのお家の花壇を彩るパンジーやビオラ(別名:三色スミレ)などによく訪れ、産卵します。

 卵から孵った幼虫は、パンジーやビオラの葉を次から次へと食べてしまいます。「家の花壇を荒らす不届き者め!!」と仰らず、成虫になるまで観察してみてはいかがですか?感動の羽化シーンが見られるかもしれませんよ!


写真:ツマグロヒョウモンの幼虫。背中にトゲがありますが、毒は持っていません。ご安心を!(8月25日撮影)

 このツマグロヒョウモンは近年、北上していると言われています。一体どこまで北上するのか?などを調べるため、環境省では「いきものみっけ」という皆さんが気軽に参加できる生き物調査を行っています。ぜひ参加してみてください!!

「いきものみっけ」はこちらから → http://www.mikke.go.jp/

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2009年08月21日夏の山 【利用・施設】【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
 吉野では、昼は真夏のように暑く、夜は涼しくスズムシの鳴き声が聞こえ始め、秋を思わせる日々が続いています。もう晩夏かな?と思う季節になってきました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 先日、管内の巡視に行ってきました。山の上は涼しいだろうと思っていたのですが、意外にも暑く、どんどん体力を奪われ、ヘトヘトになってしまいました。まだまだ修行(?)が必要だなぁと実感しました。皆さんも夏の登山では飲み水をしっかり準備して、時間に余裕を持って行動していただきたいと思います。

今回の巡視ルート
 国道169号を南下 → 上北山村天ヶ瀬分岐 → 水太谷登山口 → 七曜岳 →水太谷登山口

写真:水太谷登山口から30分程のところにある水廉ノ滝(すいれんのたき)

 今回の巡視では、なんと!これまでの巡視ではあまりお目にかかれなかったヘビたちと遭遇することができました。しかも毒蛇で名高い「マムシ」です。最近やっと梅雨明けし、山でも日が差すようになったので、活発に活動しているのかもしれません。
 私は、「まったく気付かずに近寄り、マムシが足元をするりと通り抜け・・・」という体験をしました。咬まれなかったのでよかったのですが、皆さんも気を付けて下さいね。

写真:出会ったマムシ(毒を持っています。ご注意ください!)

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2009年08月19日大台ヶ原の入山者カウンター【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 突然ですが皆様、これは一体何かおわかりでしょうか?


 山のポスト?鳥の巣箱?
 
 実はこれ、吉野熊野国立公園の大台ヶ原に来た人を数える機械(カウンター)です。この前を通ると、機械から出ている赤外線が人の動きに反応して、入山する人、下山する人の数がカウントされていきます。ただ、この機械には弱点があり、2人で並んで機械の前を通過すると、「1人」とカウントしてしまうのです。

 設置したカウンターをより効果的に利用できるよう、東大台の入口では写真のように誘導柵をとりつけて、1人ずつの通行をお願いしています。こうすることによって入山、下山される方がカウンターの前を一列で通ることができれば、より正確な数を読み取ることができます。


写真:赤丸がカウンター。青い矢印は片側通行の例です。



これから大台ヶ原に来られる予定の皆様、東大台の入口にあるカウンターの前は、1人ずつの通行にご協力をよろしくお願いいたします。

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2009年08月14日神様トンボ 【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
 吉野では台風9号が過ぎ去り、ただただ汗が流れる暑い真夏の日差しが照りつけています。皆さん、日射病や熱中症には十分に気を付けてくださいね。

 さて今回は、暑さを吹き飛ばすような爽やかな「トンボ」についてご紹介したいと思います。
 「トンボ」と言えば、赤トンボを連想する方が多いと思います。しかし、今回の主役は「ハグロトンボ」というトンボです。このトンボは、赤トンボのように素早く長時間飛翔し続けることはなく、ヒラヒラと舞うように飛び、すぐに葉や石の上に止まります。優雅な飛び方から、日本各地で「カミサマトンボ」、「ゴクラクトンボ」、「ホトケトンボ」などの呼び名があるようです。

 吉野自然保護官事務所裏の茂みでは、7月頃からどこからともなく現れ、10数頭がヒラヒラと舞っています。「一体どこから…」と思っていたのですが、どうやら事務所のすぐ近くを流れる吉野川から毎年(?)やって来ているようです。
 若いハグロトンボ(成虫)は、薄暗い環境を好み、成熟(※)するとまた川辺にもどるようです。

(※)成熟(せいじゅく):成虫になって時間が経ち、交尾ができる状態になること。



写真:ハグロトンボのオス。体の色がとてもキレイ!

 ハグロトンボは、水草が生えた緩やかな流れのある川辺で見ることができます。住宅地でも見かけることがあるので、皆さんも探してみてはいかがでしょうか。とても優雅できれいなトンボですよ。
 ちなみにトンボは肉食性で、ハエやガ、希にハチなどを食べます。ぜひ、事務所裏でエサをたくさん食べ、元気に吉野川に戻ってほしいと思います。

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2009年08月13日アクティブ・レンジャー自然観察会【イベント】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 台風9号の影響で、私の担当地区である吉野熊野国立公園大台ヶ原周辺でも道路が通行止めになるなどの影響が出ました(現在通行止めは解除されています)。
台風の後など、平地ではなんでもなくても、山間部では予想できない被害が出ている場合があります。どうぞ山や川へ行かれる方は、事前に道路状況などを調べていただきますよう、お願いします。

 これまで降り続いた雨と台風の影響で、大台ヶ原で予定されていたイベントが次々と中止になってしまいました。大台ヶ原に足を運ばれる予定だった皆様、ぜひ気を取り直してまた大台ヶ原に来てください!

 雨が続いた中、大台ヶ原が奇跡的に晴れた8月8日(土)に、大台ヶ原にてアクティブ・レンジャー観察会~苔の森でミニエコツアー~を開催しました。



写真:大台ヶ原の苔道での観察会の様子。苔道は大台ヶ原ではあまり知られていない周遊コースですが、苔を中心とした植物の種類も豊富で、キツツキのあけた巣穴も近くで見られるなど、森をより近くに感じることのできる穴場スポットです!

 私はこの案内を始めて2年目になり、「知らなかった~!」「案内してくれると、いつもただ歩いている景色が変わりますね。」という嬉しいご感想をこれまで沢山いただきました。
 しかし、「動植物をとらない(落ち葉、落ち枝も含む)」という、国立公園の自然を守るルールがある大台ヶ原では、どうしても口で説明するだけの場面が多くなってきます。「どうすればそのルールを理解し、守られた自然を知ってもらえるか、どのように工夫すれば体感してもらえるか」が大きな課題だな~と常々感じています。

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9月もやります!
アクティブ・レンジャー自然観察会 ~苔の森でミニ・エコツアー~
開催時間:10:40~12:10/13:30~15:00(1日2回開催)
開催日程:平成21年  9月19日(土)、20日(日)
お問い合わせ:吉野自然保護官事務所 TEL:0746-32-2202
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2009年08月06日山頂のトイレ 【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
夏らしい日々が続いていますね。「夏と言えば山!」と思われる方もいらっしゃるかと思います。そこで今回は、山頂にあるトイレについて紹介したいと思います。

 山の上にトイレがあることに、皆さんはどう思われますか?「便利!」という声があるかと思います。確かに便利なんです。…が、山頂という特殊な場所にあるので、掃除や消耗品の運搬など、維持管理が大変なのが現状です。屎尿(しにょう)をどうするかなどの諸問題があります。最近では、微生物を使って屎尿を処理するトイレなどもあるようです。携帯トイレも高性能なものが登場しているようです。一度使ってみてはいかがでしょうか?
 弥山(みせん)の山頂に、公衆トイレがあります。このトイレは、環境省が設置したものです。ここでは、屎尿をモノレールによって麓まで運んでいます。なぜ微生物を使ったトイレではないかというと、冬の間にはこのトイレを閉めるためです。屎尿運搬とトイレの清掃を弥山小屋の管理人さんにしていただいています。


写真:弥山山頂の公衆トイレ(公衆トイレとは思えないほどキレイ!)

 弥山山頂のトイレなどでは、利用協力金の呼びかけを行っています(この協力金はトイレットペーパーなどの購入費などに使用しています)。利用される方々(自分も含めて)が気持ちよく使っていただくために、みんなでキレイに使って行きましょう!

写真:利用された方は、ご協力をよろしくお願いします!

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2009年08月05日雨と霧の大台ヶ原【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 梅雨明けが伝えられてからも、吉野や大台ヶ原では雨の多い日が続いています。

 雨といえば、昔まだ人々が大台ヶ原に足を踏み入れていないころは、「大台ヶ原の山の上に大きな池があり、その池の水が川へとあふれ出ていた」といわれていたそうです。また「魔の山」「迷いの森」といわれていたり、妖怪伝説があったりと、大台ヶ原はなんとも神秘的で謎の多い山だったようです。
 こんな「いわれ」があったのは、大台ヶ原で雨がよく降り、濃い霧があたりを覆い尽くしていたからだろうな~と感じることがよくあります。



写真:雨が降り、霧が濃い日の東大台。霧に浮かび上がる倒木の影が、不気味な生きものの姿に見えることも。

 明治時代以降、車道も歩道もまだ整備されていない大台ヶ原に、人が入るようになりました。彼らはどんな景色を見ていたのだろう?と想像を膨らましてみると、観光地となった今でも、雨や霧の風景が一段と幻想的に感じられます。

             ~大台ヶ原の雨~
大台ヶ原は日本有数の多雨地域で、年間の平均の降水雨量は、奈良市や大阪市と比べてなんと約3倍(年平均降水量は約4800mm)以上です。梅雨の時期だけではなく、台風の影響を受けやすい7~9月の夏にもよく雨が降るようです。

大台ヶ原の気候についてはこちらも詳しく載せてありますので、ぜひご覧ください。
吉野熊野国立公園 大台ヶ原
http://c-kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/odai_top.htm
(→大台ヶ原の自然環境へGO!)

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2009年07月31日アクティブ・レンジャー自然観察会 【イベント】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 こんにちは。九州南部など、一部を除いて未だ梅雨明けしませんが、皆さんはいかがおすごしでしょうか。

 以前、大台ヶ原地区担当の青谷AR(アクティブレンジャー)が紹介していた「苔の森でミニエコツアー(※)」は、私にとって初めてとなる自然観察会でした。青谷ARについて回り、自然観察会の極意(?)を伝授していただきました。
 そして、ミニエコツアー第2回目(7月25日(土))の午後の部に、初めて私が自然観察会を行いました!「みんなで楽しく、分かりやすく」、私自身も楽しみながら行うことを心がけていました。

(※)青谷ARの6月15日「大台ヶ原の自然観察会」を御覧下さい。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2009/06/822.html


写真:AR自然観察会の様子①(撮影:青谷AR)

写真:AR自然観察会の様子②(撮影:青谷AR)

 所々で観察会の内容を青谷ARに確認し、参加された方々にも協力していただき、何とか無事に終えることができました。
自然観察会が終了し、一息ついていた時に参加された方から「声が大きくて分かりやすかったよ」「丁寧な説明ありがとう」と言っていただき、とても嬉しく、「また頑張ろう!」という気持ちを強く持たせていただきました。
これからもっと「誰もが楽しく、分かりやすく、ためになる」AR自然観察会にしていきたいと思います!

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2009年07月30日夏本番【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 吉野自然保護官事務所のすぐ横の垣根で、アシナガバチの仲間(キボシアシナガバチ)が巣を作っていることを大峯地区担当のAR朝倉さんが紹介してくださいました。が、働きバチも次々と羽化し巣も大きくなってきたので、ついに巣を撤去することになりました。

6月26日のアシナガバチの説明と巣の様子↓大きさとハチの数を比較してみて下さい。
 http://c-kinki.env.go.jp/blog/2009/06/829.html

 「袋で捕まえます。」という朝倉ARの言葉に不安を感じましたが、虫をよく知る彼ならやってくれるに違いない・・・。


というわけで、ビニール袋をもって朝倉ARがそっと接近。近くまで来てのぞき込むと、あちらもいっせいにギロリと睨んできます。彼らの目には、私たちがどんなふうに見えているのでしょうか。


 恐ろし~!ようやるわ~と尻込みする私をよそに手慣れた様子で、ハチごと巣を袋にとじこめると、口から逃げないように袋を上へと持ち上げます。「上へ上へ登るのが昆虫の特徴なんです」だそう。


ミッション完了!
                ※注意※
      【危険ですので、安易にマネをしないでください】

 万が一ハチに刺されると腫れるだけでなく、体がアレルギー反応を起こして大きなショックを受ける場合もあります(私達はハチの抗体検査を受けています)。体質によっては命の危険性もありますので、よい子は絶対にマネをしないで下さいね。
 山に入るときも、くれぐれもハチにはご注意ください。

 女王バチが一匹逃げてしまったのですが、不思議と襲ってくる様子がありませんでした。大群だと襲ってくるけれど、もともと臆病なので一匹だけだとさっさと逃げてしまうそうです。
 すっかり夏本番を迎えた吉野からのハチの便りでした。

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2009年07月24日アリと植物 【動物】【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
最近吉野では蒸し暑い日々が続いています。早く梅雨明けしないかな…と思う今日この頃です。

 さて今回は、蒸し暑い夏にせっせと働く「アリとキリギリス」ならぬ「アリと植物」をご紹介したいと思います。「アリ」は皆さんご存じかと思います。「植物」は、「里地里山」でよく見かける(?)「アカメガシワ」という日当たりが良い場所に生える木です。

 この「アカメガシワ」という木は、花外蜜腺(かがいみつせん)というものを葉に持っています。花外蜜腺とは読んで字のごとく、花以外に蜜が出る部位です。もちろん花も咲かせます。しかし、「アリ」を引き寄せるために、いつも蜜を出しているのです。


写真:(左)アカメガシワ (右)アカメガシワの葉
いつも「アリ」を引き寄せる理由の一つに、自分の葉(アカメガシワの葉)を他の昆虫に食べられないようにするため、「アリ」を用心棒として雇っていると言われています。


写真:アカメガシワの葉(赤い矢印は花外蜜腺)と蜜腺に集まるアミメアリ

 「アカメガシワ」と同じように花外蜜腺を持つ植物に、吉野山でも有名な「サクラ」があります。蜜腺の位置は異なりますが、同じように機能しています。

写真:ヤマザクラの花外蜜腺(赤い矢印)

 このように、いつも何気なく見ている昆虫や植物は、深い関わり合いをもっています。生物同士の複雑な関わり合いの中に、「生物多様性(※)」を垣間見ることができます。皆さんの身近なところでも、様々な「生物多様性」が潜んでいるので、ちょっと注意して動物や植物を観察してみてはいかがでしょうか?

(※)生物多様性に関するページはこちら
     http://www.biodic.go.jp/biodiversity/

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