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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

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2009年07月22日夏の大台ヶ原で自然観察ハイキング!【イベント】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 夏休みを迎えた吉野熊野国立公園の大台ヶ原には、子供達の楽しそうな声が目立つようになりました。そんな中、7月19日(日)に大台ヶ原のパークボランティアさん達による自然観察ハイキングが行われました。

=観察会前日の下見の一コマ=
観察会本番のための下見では、コースの安全確認や、紹介したい自然のネタを探します。

 
 子供達に少しでも自然を楽しんで知ってもらえるよう、今回初めて用意した聴診器で「木の鼓動」が聞こえるのか実験中です。聴診器をあてれば、木が水を吸い上げる音が聞こえるようなのですが・・・どこで聞いてもらおう?どの木がよく聞こえるだろう?と本番のために考えを巡らせます。

=観察会本番=

 
 少し天気が心配されましたが、小雨が降りながらも正木峠からは尾鷲の海が見えるほど展望がよく、「気持ちいい~!」と歓喜の声が上がりました(写真左)。
時には真剣!木の葉っぱを虫メガネで観察中です。この木の名前は何かな?(写真右上)。この時期の大台ヶ原ではアキアカネが大群で飛んでいます。秋になり里に下りる頃にはオスはシッポ(腹部)を真っ赤にします(写真右下)。

次回、パークボランティア達さんによる「秋の大台ヶ原自然観察ハイキング」を10月18日(日)に予定しています!お問い合わせは、吉野自然保護官事務所(TEL:0746-34-2202) まで!

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2009年07月15日近畿の豊かな自然展【お知らせ】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 京都御苑にて7月10日(金)から8月2日(日)まで、国立公園の風景や見どころを紹介する「近畿の豊かな自然展」を開催しています。
 私が担当する吉野熊野国立公園大台ヶ原も、パネルや模型などを用いて、その魅力や取り組みなどについて紹介させていただいています。



写真:大台ヶ原の四季を紹介するパネル展示(左)。遊んで、その仕組みがわかる!西大台利用調整地区の入口に設けられた、種子落としマットの模型(右)。



写真:鹿の食害から森を守る防鹿柵の紹介。どんな柵が張られているのか、実際に手に触れてみてください。

その他にも期間限定の催しとして、
■7月18日(土)、19日(日) 大台ヶ原の郷である、奈良県上北山村の魅力をご紹介!地元の吉野杉の割り箸のプレゼント(数量限定)もあります!
■7月20日(月)~22日(水) 大台ヶ原に精通した豪華講師陣が、その魅力にさらに迫るお話をご用意しています!

この展示会の詳しい情報は、近畿地方環境事務所のホームページのTOPICSから。
http://c-kinki.env.go.jp/to_2009/0626a.html

皆様のお越しをお待ちしております!

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2009年07月14日外来生物 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
7月12日に九州の南部で梅雨明けが発表されましたね。最近の吉野は、梅雨らしからぬ青空が広がり、汗ばむ気温です。もうすぐ吉野も梅雨明けかな?と思うほどです。

 吉野自然保護官事務所では、吉野町から許可を受け、7月13日から事務所の裏の茂みにワナを設置させていただいています。設置させていただいた理由は、特定外来生物(とくていがいらいせいぶつ)(※)に指定されているアライグマを捕獲するためです。

(※)特定外来生物:もともと生息していなかった国や地域に、人間によって持ち込まれた生き物(外来生物)のうち、性質が在来の生物と異なり、生態系、人の命・身体、農林水産業に被害を及ぼすもの、または及ぼす可能性があるもののこと。


写真:事務所裏の茂みに設置した罠(まだエサを置いていないので、かかるはずもないですが…)

 特定外来生物には様々な動植物が指定されています。有名なものでは、一時話題になったセアカゴケグモ、オオクチバス、ブルーギル、ウシガエル、アライグマ、オオキンケイギクなどです。特定外来生物は、飼育、栽培、運搬、保管、輸入、販売、野外に放つことなどを法律で禁止しています。詳しくは環境省ホームページを御覧下さい。

【外来生物法】 http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html

 
 外来生物の中には、外国からペットとして輸入された生き物を飼いきれなくなり、野外に放したために各地に広がったものもいます(ペット由来の外来生物の例:アライグマ、カメツキガメ、外国産カブトムシ、外国産クワガタムシなど)。このようなことにならないよう、ペットを飼う前にきちんとした情報に目を向け、最後まで面倒を見られるかを考えなくてはなりません。私たちは日本の生態系、日本に棲む動植物「在来種」を守る責任があると思います。


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2009年07月10日アクティブ・レンジャーの制服【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 先日、大台ヶ原で業務をしている最中に「あっ、森林警備隊の人だ!」と声をかけていただきました。「そんな大それたもんじゃあ、ございません。」とその呼び名に思わず恐縮してしまったのですが、それだけレンジャーやアクティブ・レンジャーは、野外で仕事をしている時は目立つ格好をしています。




写真:アクティブ・レンジャーの制服。帽子、シャツ、ズボンがセットになっており、レンジャーとほとんど同じ制服を着ています。

 胸元と袖にはA.Ranger =アクティブ・レンジャーの名前が表示されており、Ranger=レンジャーとの区別をしています。シャツは、地球にやさしいペットボトルのリサイクルでできています。
 レンジャーやアクティブ・レンジャーは国立公園の素晴らしさや見どころ、守るべきルールなど、皆さんにお伝えしたい事が沢山あります。もしこの制服を見かけられましたら、ぜひ「アクティブ・レンジャー!」と声をかけてください!



写真:7月の大台ヶ原ドライブウェイから。大峯山系にかかる雲海。

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2009年07月08日峯中一の秀峰 【利用・施設】【植物】【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

皆さん、こんにちは。
最近吉野では、雨がしとしと降る湿度の高い梅雨らしい天候が続いています。

7月2日に大峯山系(釈迦ヶ岳)の巡視に行ってきました。
この日は天候に恵まれず、小雨がパラパラと降っては止み、また降っては止み…と繰り返しており、霧も発生…。

釈迦ヶ岳は「峯中、第一の秀峰」と謳われるほど景色が素晴らしい所と言われており、釈迦ヶ岳の素晴らしさを皆さんにお伝えできる!と思っていたのですが、あいにくの天候となってしまいました。しかし、悪天候ならではの霧に包まれる幻想的な大峯山脈を皆さんにお伝えしようと思います。

(行き方の一例:吉野から国道168号を南下→十津川村に入り、旭口(近くに旭口キャンプ場などがある)から左折→すぐ二股になるので右側に入る→道なりに1時間ほど走る→太尾登山口に到着)

霧に包まれた大峯山脈は、晴れの日に感じる清々しさから一変して、妖しさがあり、その中にどこか神秘的な美しさを感じます。

写真:深仙宿(じんせんのしゅく)から孔雀岳方面を望む

 釈迦ヶ岳の山頂には、約2mもある釈迦如来立像があります。これは、大峯一の強力(※)と言われていた岡田雅行(通称「オニ雅」)が大正13年に一人で担ぎ上げたものとされています。
(※)「強力(ごうりき)」とは、山伏や登山者の荷物の運搬や山の案内をする人のことです。「剛力」とも書きます。

写真:山頂にある釈迦如来立像
 霧の幻想的な風景の中、バイケイソウが花を咲かせていました。ルリセンチコガネ、ナガレヒキガエルやニホンジカなど、悪天候にもめげずに活動する数多くの生き物たちに出会いました。

写真:(左)バイケイソウの花(右)霧に包まれるバイケイソウ

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2009年07月02日梅雨の西大台【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 梅雨の時期になると、ついつい「きっと雨だろう・・」と山から足が遠のいてしまいますね。しかし、こんな時にこそ大台ヶ原の西区にある、西大台利用調整地区(※)は特別な輝きを放ちます!(と、今日つくづく感じましたのでその魅力をお伝えしたいと思います。)

※西大台利用調整地区・・・将来にわたり良好な自然環境を保持し、より質の高い自然体験の場を提供するため、立入り人数等を調整する区域のことで、自然公園法に基づき国立公園特別地域内の一部地域に指定されます。



写真:7月2日(木)前日の雨をたっぷり含んだみずみずしい西大台の森(左)。青々と水を含んだ苔(右上)。宝石のように透明に光るギンリョウソウ(右下)。

 西大台は雨が降ると、所々で小さな沢が生まれます。小さな沢は大きな沢に流れつき、そして涼しげなザーっという水の流れる音を森中に響かせます。



そしてのしのしと何匹も現れたナガレヒキガエル・・・雨のめぐみを受けて、西大台の森が色んな景色を見せてくれました。

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~西大台利用調整地区に入るためには事前に手続きが必要です~
■立入り希望日の3ヶ月前から17日前までに電話での事前予約を受け付けています■
申請(予約)窓口:吉野自然保護官事務所 
〒639-3111奈良県吉野郡吉野町上市2294-6
【TEL】0746-32-3730(利用手続き窓口)
平日(12月29日~1月3日を除く)9:00~12:00 13:00~17:00
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2009年06月30日天女花 【利用・施設】【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
吉野(大峯地区)アクティブ・レンジャーの朝倉 和紀です。

 先日、弥山の山頂(大黒岩付近)に防鹿柵(ぼうろくさく)が完成したので、弥山の巡視を兼ねて完成検査に行ってきました。

 弥山の尾根には、オオヤマレンゲの自生地があります。この場所は、昭和3年に国指定の天然記念物に指定されました。しかし、オオヤマレンゲは平成3年頃から衰退をし始めました。この主要因として、ニホンジカによる採食が指摘されています。
環境省では、防鹿柵を設置し、オオヤマレンゲが弥山から姿を消さないように保護を行っています。「防鹿柵」とは、ニホンジカが入れないように保護する場所を囲う大きな柵のことで、読んで字のごとく、「シカを防ぐ柵」です。

写真:完成した防鹿柵

写真:オオヤマレンゲ(モクレン科)(6月24日撮影)

 オオヤマレンゲの名前に由来は、花が蓮の形を連想させることと、大峯山の自生地が有名なことによるそうです。近畿地方では、弥山とその周辺にしか分布していません。「天女花」とも呼ばれる幻想的で美しいオオヤマレンゲの花を末永く守っていきたいと思います。

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2009年06月26日賑やかな季節 【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
吉野(大峯地区)アクティブ・レンジャーの朝倉 和紀です。
 最近一層暑くなりましたね。吉野では梅雨真っ直中だというのに雨があまり降らず、日差しの強い暑い日々が続いています。皆さんのお住まいの地域ではどうですか?

夏は暑いだけでなく、多くの昆虫が活発に活動する時期でもあります。

先日、吉野事務所の周りにある垣根で、アシナガバチの仲間(キボシアシナガバチ)が子育てに励んでいるのを発見しました。アシナガバチなどのハチの仲間には、冬になると女王バチ、雄バチが越冬(えっとう)し、春になると越冬から目覚め、巣をかまえる場所を探しに移動をします。今のところまだ巣も小さく、働きバチも羽化(うか)(※)していないので、女王バチがせっせと働いています。観察していると、とても器用に巣を増築する姿が見られ、暑さの中その働きぶりに感心してしまいます。しかし、巣が大きくなり、働きバチが続々と羽化してしまうと刺される可能性があるので、残念ながら大きくなりすぎないうちに撤去しなければなりません。

(※)ハチの仲間は、卵→幼虫→蛹(さなぎ)→成虫という過程で成長します。「羽化」とは、蛹から成虫になることです。

写真:キボシアシナガバチの巣と、巣を守る女王バチ


写真:女王バチがいない間に巣を下から見ると…(写真上から卵、幼虫、蛹(黄色の蓋がついているもの)が入っています)

この他に、夏を代表する昆虫のひとつ、クワガタムシ(コクワガタ)が事務所を訪れました。このコクワガタは、クモの巣にかかっているところを発見されましたが、間一髪のところで無事、脱出に成功しました。

写真:クモの巣にかかっていたコクワガタのメス(脱出後)

 昨日(6月25日)の夕方にはセミ(ニイニイゼミ)の鳴き声を確認し、今年も賑やかな季節がやってくるなぁ…と実感しています。

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2009年06月23日オオルリ【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原ではたくさんの鳥の声を聞くことができます。私自身、鳥の声を覚えるのが苦手で野鳥のCDを聞いては忘れ、聞いては忘れを何度も繰り返しています。
 以前、鳥に詳しいパークボランティアさんに、「どうしたら鳥の声を覚えられますか?」と聞いたところ、何度も聞いて探していくうちに覚えるようになるけれど、なかにはよく似た鳴き方や、他の鳥の鳴きマネをするものもいるから、鳴き声だけで鳥の種類を断定するのは難しいよ。と答えてくださいました。そして鳥にも「方言」があるので、CDと同じ鳴き方をするとは限らない・・・とも。
 じゃあ無理に頑張って覚えなくてもいいや~などど開き直った私なのですが、6月に大台ヶ原のドライブウェイ沿いで、濱名自然保護官がオオルリを発見しました。




写真:6月11日 大台ヶ原ドライブウェイにて。「チューピィ チュウピー♪」とさえずるオオルリ(♂)

 保護官の指さす先には、青い羽根が美しいオオルリという鳥がさえずっていました。鳥の声を聞き、探すとそこには幸運の青い鳥がいるなんて・・・。

やはりあきらめず、まずは青い鳥の鳴き声から覚えようと思いました。

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2009年06月18日山上ヶ岳巡視 【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
吉野(大峯地区)アクティブ・レンジャーの朝倉 和紀です。

 6月8日に、吉野熊野国立公園の特別保護地区(※)であり、古くから修験道の歴史が残る山上ヶ岳の巡視に行ってきました。今回は、山上ヶ岳へのアクセスルートの1つである、清浄大橋の登山口から出発しました。

(行き方の一例:吉野から国道309号線を南下 → 天川村の川合を左折 → 左折後すぐのY字路を左 → 虻トンネルを抜け、国道21号線を走る → 洞川エコミュージアムセンターを通り過ぎる → 清浄大橋)

(※)特別保護地区とは、環境省が設置した国立公園の中でも特に規制が厳しく、また特に優れた自然が残されている場所です。


 山上ヶ岳の登山口には「女人結界」の門があります。古くから「女人禁制」とされている山です。「女人禁制」の由来はさまざまな説があるようで、決定的な理由を求めることは難しいようです。
山上ヶ岳の見所として、「西ノ覗(にしののぞき)」があります。ここは、「行場(ぎょうば)」といい、行者さんが断崖絶壁から体を半分ほど乗り出し、「行(ぎょう)」を行う場所です。この他にも、「行場」があり、修験道の厳しさがうかがえます。

写真:山上ヶ岳 西ノ覗

 山上ヶ岳の頂上付近には、大峯山寺護持院の宿坊があります。山中にある宿坊は、何とも趣のある風景となっています。山上ヶ岳を訪れた際には、大峯山寺護持院でお参りをさせていただくと、より一層修験道を感じることができると思います。

写真:山頂付近 大峯山寺護持院の宿坊(左:竹林院、右:東南院)

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