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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2009年06月15日大台ヶ原の自然観察会【お知らせ】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 吉野熊野国立公園の大台ヶ原では、5月~10月までおよそ月1回のペースで、大台ヶ原地区のパークボランティアさんがご案内する、大台ヶ原自然観察ハイキングが行われています。先日も6月14日(日)に東大台を歩く観察会が行われました。

 観察会の前日、パークボランティアさん達はコースの下見をかねて、勉強会を行っています。上を見ては樹木の種類を勉強し、下を見ては花の名前を調べたりと、皆さんとても熱心です!



写真:足下にひっそりと咲く小さな花にも目を向けます。線香花火のようなこの花は「イワセントウソウ」という名がついています。

 大台ヶ原には、何気なく歩いているだけでは気がつかない生き物や風景があります。大台ヶ原が初めての方も、何度もいらっしゃった方も、一度自然観察会にいらっしゃいませんか?きっと新しい発見があると思います。

~大台ヶ原自然ふれあいイベント~
○大台ヶ原自然観察ハイキング○
大台ヶ原をよく知っているパークボランティアが、ただ歩くたけではわからない、雄大な自然の裏側をご案内します!
開催日程:平成21年 7月19日(日)、10月18日(日)
開催時間:10:30~15:00(当日の状況に適したプログラムを行います)

○~苔の森でミニエコツアー~○
大台ヶ原の「苔道」をアクティブ・レンジャーがご案内します!
開催日程:平成21年 6月27日(土) 7月25日(土) 
           8月8・9日(土日)・15・16(土日)
           9月19・20日(土日)
開催日時:10:40~12:10/13:30~15:00(1日2回予定)

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2009年06月11日大台ヶ原の危険生物【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 最近の大台ヶ原はカエデの緑がまぶしく、爽やかな風と共にどこからかエゾハルゼミの鳴き声が聞こえてくるようになりました。そんな大台ヶ原は平和そのものに見えるかもしれません。
 しかし、事件は起こりました。6月4日に西大台の巡視から帰ると、瀬川自然保護官の手になんと大きなダニが食いついていたのです!!



写真:瀬川自然保護官の手に吸着したマダニ(左)。マダニの拡大映像(右)。
 マダニは野外性のダニの仲間で、基本的に山野で野生動物の血を吸って生活しています。いったん食いつくと自分の体が数倍にもふくれあがるまで血を吸い続けます。マダニは頭の部分を皮膚の中に食い込ませて血を吸うので、無理に引き剥がすと体の一部が皮膚内に残り、傷が悪化する場合もあります。

 マダニが息絶えれば離れるかも?という意見が出たので早速マダニ退治が始まりました。



写真:水の入ったバケツに手をいれ、マダニを窒息させようと悪戦苦闘する瀬川自然保護官。(かなり長い間水に浸しておかないと効果はないようです。)

 国立公園である大台ヶ原では、犬などのペットの持ち込みをご遠慮していただいております。これは持ち込んだ生き物による野生動物への影響や、犬が苦手な他のお客様への配慮といった理由からですが、安易にペットを持ち込むと、大事なペットが森の中でこうしたダニに襲われる可能性もあります。今日も調査で大台ヶ原の森に入った際に、濱名自然保護官のズボンにも付いていました。ダニとの遭遇は決して珍しい事ではないのです!

 マダニは様々な病原体を媒介する可能性もある生き物なので、ペットを危険から守るためにも、国立公園のマナーにご協力ください!

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2009年06月09日登山道の通行止 【お知らせ】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
吉野(大峯地区)アクティブ・レンジャーの朝倉 和紀です。

 最近吉野ではあまり天候が良くありません。本日より九州南部から東海地方の広範囲が梅雨入りしたと発表されましたね。梅雨入りかな?と思っていた矢先の出来事でした。皆さんのお住まいの所はどうですか?梅雨のじめじめした天候に負けず、気分くらいは晴らして今年の梅雨を乗り切りましょう!!

 大峯山系の弥山に至る登山コースの一つである、双門弥山登山コース(通称)が通行止となりました。6月3日に環境省近畿地方環境事務所のホームページで緊急情報(※)として掲載されました。現在歩道が一部崩壊して危険な状態であり、利用される皆様の安全を第一に考え、やむを得ず当分の間通行止となってしまいました。ご理解のほどよろしくお願い致します。
これで弥山への道は閉ざされた・・・ということはなく、迂回ルートもあり、他方面からのアクセスが可能ですので、ご安心下さい。弥山への登山ルートについては、川合弥山登山コース、坪内弥山登山コース、行者還トンネル西口弥山登山コース(すべて通称)が利用可能です。


通行止となる区間の位置図

(※)近畿地方環境事務所ホームページ 緊急情報
      http://c-kinki.env.go.jp/emergency/2009/06/76.html

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2009年06月05日西大台のご紹介【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 より良い自然を残すため、そしてより質の高い利用を目指すため、大台ヶ原の西側の区域を占める「西大台」は利用調整地区(※)に指定されています。下の地図の緑色の部分が利用調整地区なのですが、実際に山を歩けば「どこから?どこまでが?」となるに違いありません。そこで目印となるのが、西大台の入口のゲートです。

※利用調整地区とは・・・将来にわたり良好な自然環境を保持し、より質の高い自然体験の場を提供するため、立入り人数等を調整する区域のことで、自然公園法に基づき国立公園特別地域内の一部地域に指定されます。


 西大利用調整地区にはふたつの入口ゲートがあります。ひとつは大台ヶ原山上の駐車場近くにある大台教会の下の入口①、そしてもうひとつは上北山村小橡にある、秘境の湯「小処温泉」からの登山道につながる入口②です。



↑クリックすると拡大された画像を見ることができます。
画像:①大台教会下のゲート(上)、②小処温泉側のゲート(下)。

 これらのゲートをくぐれば、緑の広がる森を独り占めした気分になれます。この時期の西大台は、しっとりと水気を含んだ緑が美しく、鳥たちのさえずりが静かな森に響きわたっています。



写真:6月4日(木)の西大台。バイケイソウの葉が緑の絨毯のように広がっています。(撮影:瀬川自然保護官)

 西大台の美しく静寂な森は、事前に予約をしていただき、立入り人数を制限すること等で守られています。この制度、見方を変えれば「少ない人数で森を貸し切ってしまえる!」とも言えるでしょう。
 最近、都会の喧騒に疲れてはいませんか?休日だというのにゴロゴロしてばかりいる旦那さんにウンザリしていませんか?そんな方は、今すぐ西大台の予約のお電話を!(立入り希望日の3ヶ月前から17日前までに電話での事前予約を受け付けています。)

申請(予約)窓口:
吉野自然保護官事務所
〒639-3111奈良県吉野郡吉野町上市2294-6
【TEL】0746-32-3730(利用手続き窓口)
平日(12月29日~1月3日を除く)9:00~12:00 13:00~17:00

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2009年06月02日自然と歴史 【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
吉野(大峯地区)アクティブ・レンジャーの朝倉 和紀です。

 5月27日に管内にある前鬼三重滝(ぜんきみかさねのたき)へ巡視に行ってきました。
三重滝までは登山口から約2時間で到着し、途中には行者さんが冷水を浴びて祈願をする「垢離取場(こりとりば)」があります。この三重滝は、しぶきがかかるほど近くで見ることができ、大峯の豊かな自然に間近に触れることができる場所です。三重滝までの登山道を安全に利用してもらえるよう、環境省では鎖やはしごなどを設置しており、定期的に異常がないか点検します。


写真:前鬼三重滝

 今回巡視を行ったのは、前鬼の里と言われている場所であり、言い伝えでは、「役行者(役小角:えんのおずぬ)が前鬼(ぜんき)と後鬼(ごき)という鬼を従えていた。鬼の夫婦に5人の子ども(五鬼)がおり、現在の下北山村の前鬼を護るように命じられた。」と言われています。
ここでは、五鬼の住居跡も見ることが出来ます。今では一件を除き石垣のみが残っている状態です。森の中にある石垣は一段と趣のあるものとなっています。
知れば知るほど、大峯の歴史の深さには驚嘆するばかりです。


写真:石垣と階段(五鬼の住居跡)

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2009年05月26日花の季節【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 平地ではそろそろ梅雨を迎えそうな気配の中、大台ヶ原ではツツジ達が開花を始め、花の季節がやってきました!5月中旬にはシャクナゲが威風堂々と咲き誇っておりましたが、6月からは純白の美しいシロヤシオが私たちの目を楽しませてくれます。



写真:5月22日(金) 東大台のシオカラ谷付近で一足先に開花していたシロヤシオ。標高の低めなシオカラ谷では花の開花が少し早めです。

 枝先に5枚の葉が輪生状に付くことからゴヨウツツジとも呼ばれているこの花は、あの!愛子さまのお印としても広く知られています。
6月10日前後には東大台の正木峠へ登りながら、白く染まったシロヤシオの群生を見ることができるのではないでしょうか。
直前の開花状況については、大台ヶ原ビジターセンター(TEL:07468-3-0312)へお問い合わせください。

 また、吉野熊野国立公園大台ヶ原HPより、大台ヶ原の山の上にある大台ヶ原ビジターセンターからの四季折々の自然の写真とお便りを発信しています。大台ヶ原に密着した情報が掲載されていますので、ぜひご覧ください!
http://c-kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/odai_top.htm
※トップページ左の「自然情報」からお入り下さい。

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2009年05月25日1泊2日巡視の旅 【利用・施設】【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
吉野(大峯地区)アクティブ・レンジャーの朝倉 和紀です。

 5月20日・21日にかけて、管内の巡視を行いました。1日目は、国道309号線の熊渡の登山道入口から入山し、弥山小屋で一泊。2日目は、弥山小屋から近畿最高峰の八経ヶ岳を通り、下山するルートをとりました。

 八経ヶ岳からの眺めは素晴らしく、さすが近畿の最高峰!と言えるほどです。登山道から少し外れたところにある頂仙岳は、登り口や登山道が分かりにくいため、少し注意しながら進む必要があります。道に迷ったり、事故が起こると楽しい登山が台無しですよね。
しかし、このルートは弥山、八経ヶ岳、明星ヶ岳、頂仙岳と4つの山を堪能できる魅力的な登山道なのです!皆さんも連続4つの山々を堪能してみてはいかかですか?


写真:近畿の最高峰、八経ヶ岳から大栂山方面を望む

 前回のAR日記(※)のとおり、七曜岳では様々な生物に出会いましたが、今回のルートでも、ルリセンチコガネやゴミムシの仲間などの昆虫、アオダイショウやタゴガエルに加え、様々な植物たちと出会うことができました。


写真:ルリセンチコガネ(オオセンチコガネの亜種)

※5月18日 七曜岳 【利用・施設】【動物】【植物】をご覧下さい。

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2009年05月20日大台ヶ原山祭り行事【イベント】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原では毎年、登山者の安全を祈願して山祭り行事が行われます。この祭典とあわせて自然観察ハイキング、スタンプラリー、特産品の展示や販売などが平行して行われ、山の上は人々の賑わいを見せます。私は業務として自然観察ハイキングに同行しました。

 この山祭り行事は今年で39回目を迎えていますが、登山者の安全祈願は明治30年代、大台ヶ原の山の上に「大台教会」が建てられた頃から行われていたそうです。祭典の目玉である「護摩たき※」は登山者の安全祈願と、これまで山に関わり亡くなられた方々の供養の意味も込めて行われるそうです(※今回、残念ながら護摩たきは悪天候のため中止となりました)。



写真:祭典の様子。雨のため室内で行われました。(撮影:朝倉AR)

 山に眠る御霊に大台ヶ原の登山者を守ってもらうよう祈願する・・・海外でも、山には神聖なものが宿るとされている場所があり、今でも森に入る前にお祈りをする所もあると聞いたことがあります。それだけ山というものは今でも世界中で広く人々から尊ばれ、そして畏れられているのだな~と改めて感じます。



※昨年の山祭り「護摩たき」の様子。(写真提供:大台ヶ原ビジターセンター・ふれあいコーディネーター)

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2009年05月18日七曜岳 【利用・施設】【動物】【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

皆さん、こんにちは。
吉野(大峯地区)アクティブ・レンジャーの朝倉 和紀です。

5月13日に和佐又山から七曜岳に続く歩道の一部を巡視しました。
この歩道では危険箇所がいくつかあります。環境省では利用者の方の安全を考え、標識の設置、崖際のロープ設置を行っています。しかし、この歩道には無双洞や水簾の滝(すいれんのたき)など各所に見所があり、七曜岳からの景色は素晴らしく、一見の価値アリなので、皆さんも登山時には注意をして頂き、是非大峯の素晴らしさを体感して頂きたいと思います。何よりも安全第一ですね!


写真:七曜岳から国見岳方面を望む

今回は、ニホンカモシカをはじめ、ナガレヒキガエルと出会い、オオイタヤメイゲツの芽生えやツクシシャクナゲの蕾を見ることができ、生物との出会いあふれる巡視となりました。


写真:ナガレヒキガエル

写真:ツクシシャクナゲの蕾

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2009年05月12日苔のおはなし【イベント】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原は日本でも有数の苔の森です。日本には約1700種の苔があるそうですが、大台ヶ原ではこれまでに約650種類の苔が確認されています。
 5月10日(日)に企画展「大台ヶ原の自然」(4/13~6/12まで奈良県川上村にある「森と水の源流館」で開催されています)に関連して、大台ヶ原で苔の観察会が行われました。観察会では森と水の源流館の学芸員、木村さんが苔についてとても興味深い苔のお話をしてくださいました。



写真:苔の観察会の様子。普段なかなかその素性を垣間見ることが少ない苔たちですが、よ~く近づいて見てみると、そこにはこれまで知らなかった不思議な世界がありました。



写真:スギゴケの仲間のメスの器官(上)とオスの器官(下)。オスには体の上に雨などの水を受けるカップがあり、その中に水がたまると精子が泳ぎだします。そして、さらに雨が降ることによって精子を含んだ水滴が跳ね、メスの器官に受け止められれば見事、受精することができます。(撮影者:瀬川自然保護官)

 こんなアクロバティックな事が起きているとは知らず、驚きの連続でどんどん苔の世界へ引き込まれていきました。大台ヶ原へ来られる皆様も、(そうでない方も!)虫メガネを持って足もとの苔をじっくり見つめてみてはいかがでしょうか。何か新しい発見があるかもしれません!

【大台ヶ原イベントのご案内】
第39回 大台ヶ原山祭り行事

吉野熊野国立公園“大台ヶ原”を訪れる観光客や登山者の安全を祈願し、あわせて観光・登山シーズンの訪れを祝います。

行事内容:
①開会式②祭典③スタンプラリーハイキング④自然観察ハイキング⑤特産品展示即売会
開催日時:平成21年5月17日(日)午前11時00分(雨天決行)
               終了予定 午後 4時00分
開催場所:奈良県吉野郡上北山村大字小橡 大台ヶ原山上

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