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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2011年08月23日現地検討会 【その他】【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
朝夕は随分涼しくなりましたが、まだまだ昼間は日差しが強いですね。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 8月5日に希少生物の現地検討会が行われました。当日は生憎の天気となり、カッパ、長靴に身を包んでの実施となりました。

写真:一度だけ青空が!この後またすぐ雨空に・・・

 ひと言に「希少生物の保護」と言っても、対象種だけを守るのではなく、その種が好む周囲の環境も保護する必要があるのです。例を挙げると、動物の中には「ある一種類のものしか食べない」という生き物がおり、「ユーカリの葉しか食べないコアラ」もその中の一つです。コアラを保護するためには、唯一の食べ物であるユーカリの木が生える環境を保護しなくては、コアラは生きて行けないのです。今回の現地検討会も、周囲の環境が適切かどうかを確認する意味も含めて行われました。
この検討会では、「マムシ目撃の多発場所」も通ることになり、さすがに今日は見られないだろうと思っていた最中、きちんと(?)見ることができました。

写真:どこを見ているのかな?

 マムシ目撃多発場所も無事に通り過ぎ、昼食時でもパラパラと小雨が降っていましたが、そんなことはお構いなしに、私の昼食を狙うものが現れたのです。

写真:(左)私のお昼ご飯が・・・ (右)よく見ると、ちゃんと口を伸ばしています

 何と、私が食べていた最中のおにぎりにウラギンシジミ(シジミチョウ科)が横取りにきたのです。まわりにも昼食を食べている人がいるのに、私のまわりばかりを飛び回り、おにぎりに着地、すかさず口を伸ばしては何かを吸っていました。私が写真を撮ったり観察したりしていると、満足したのか、飛んで行ってしまいました。

 今回の現地検討会では、たくさんの動植物を見ることができました。対象種にとっても、周囲の環境が悪化しているようには見受けられなかったのですが、残念ながら、見ることも気配を感じることもできませんでした。しかし、「対象種が見られない=いない」と放り出すのではなく、この豊かな自然環境を守り続け、「絶滅」という悲しい出来事が起こらないよう、最善の努力をしていきたいと思います。

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2011年08月17日アクティブ・レンジャー自然観察会【イベント】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 近畿地区のアクティブ・レンジャー日記で、国立公園のイベントの報告が続々と掲載されていますが、どれも面白そう・・・「うわ~、海!海!楽しそうやな~」と指をくわえながら日記を読んでいる、大台ヶ原の「山」担当の青谷です。
 いやしかし「山」も負けてはいられません。夏休みまっただ中のこの時期、大台ヶ原のイベントにも子ども達がたくさん参加してくれました!

<アクティブ・レンジャー自然観察会「夏の森でエコハイキング」を8月6日(土)、13日(土)>



 まずは「国立公園」の話から・・・国立公園って何だ?子ども達にはどう伝えれば??どんな説明がわかりやすく、面白く伝わるのか、いつも頭をひねります。



 コースは標高1500~1600メートル付近。ここ大台ヶ原では、普段は見慣れないもの、初めて見れるものが実はたくさんあります。セミの鳴き声も、町中で聞こえる声とは違ってきます。



 ササの種類の見分け方を熱心にメモする子ども達。
青谷:「夏休みの自由研究?」子ども達:「ううん、違う。」
お母さん:「この子たち、いつもメモを取るんですよ。こうゆうのが好きで・・・。」
す、すごい!

 こうして熱心な参加者の皆さんにも支えられ、夏休み期間の「自然ふれあいイベント」は無事終了することができました。このイベントのためにはるばる大台ヶ原まで足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。9月からはショートコース:1kmの「苔の森でミニエコツアー」を開催いたします!

※7月23日、24日に予定しておりました「夏の森でエコハイキング」は台風の影響により、残念ながら中止となりました。参加を希望していただいた皆さまには大変申し訳ありませんでした。

○o。.。o○大台ヶ原のこと、自然のこと、もっと知ってみませんか?○o。.。o○
■苔の森でミニエコツアー
 〈コース〉お手軽「苔道」1km
 〈内 容〉ゆっくりと歩きながら、植物の紹介や森の変化を紙芝居などでご紹介。大台ヶ原を歩く前、歩いた後にオススメです。
〈開催日〉9月3日(土) 9月17日(土) 10月1日(土)
〈時 間〉①10:40~12:10 ②13:30~15:00
★お問い合わせ・事前予約は、吉野自然保護官事務所(TEL 0746-34-2202) まで!

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□■□■大台ヶ原へお越しの皆さまへ□■□■
 大台ヶ原ドライブウェイは台風6号の影響による路肩決壊により、一部が通行止めとなっていますが、現在迂回路が設けられており、乗用車は大台ヶ原への通行が可能です。詳細は奈良県吉野土木事務所にお問い合わせ下さい。http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-1777.htm
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2011年08月15日川上小学校出前授業 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
最近、日没時間の早さから秋が近づいてきているのを感じています。ツクツクボウシも鳴き出し、晩夏であることを実感しますが、まだまだ日中は暑い日が続いていますね。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 7月29日に奈良県吉野郡川上村の川上小学校の4年生を対象に出前授業を行いました。打合せの時に、小学校の先生から「昆虫の観察を・・・」とのお話をいただき、「これは有り難い!」とばかりに、生物多様性について考えてもらえるような内容で行いました。昆虫は地球上の生き物の中で一番種類が多く、生物多様性を伝えるには絶好の対象なのです。
当日は晴れでしたが、少し曇が出ており、暑すぎず雨が降らない程度で観察には良い天候でした。そんな天気の中、陸生昆虫を観察しながら足を進めていきます。


写真:チョウが飛んでる!

 陸生昆虫は、ヤマトシジミやアオスジアゲハなどのチョウをはじめ、草むらを飛び跳ねるエンマコオロギやショウリョウバッタ、石の下のアミメアリの巣などなど・・・身近に生息する代表的な昆虫がたくさん見られました。その中でもっとも人気があった?のが、ナナフシです。エダナナフシという種類で、一見木の枝のように見えるのですが、子ども達は次から次へと見つけました。
様々な昆虫を観察しながら川に到着し、次は水生昆虫の観察を行いました。

写真:川に入る準備・・・


写真:左)水生昆虫観察! 右)冷たくて気持ちいい!

 水生昆虫では、カゲロウやトビケラ、ゲンゴロウの仲間などが観察できました。しかし、成虫が発生している時期だからか、ほとんど幼虫が見つかりません。水生昆虫は少し残念な結果になってしまいましたが、美しい鳴き声で有名なカジカガエルを見ることができました(昆虫ではありませんが・・・)。

 とても短い時間ではありましたが、とてもたくさんの昆虫を観察でき、生物多様性について感じてくれているようでした。子どもたちも、何かを見つけては「先生、先生!」と盛んに声をかけてくれ、とても熱心に取り組んでくれました。
川上小学校の4年生の皆さん、お手伝いをして下さった先生方、どうもありがとうございました!!

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2011年07月29日大台ヶ原の雨【天候】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 紀伊半島へやってきた台風6号は、ここ大台ヶ原にも多量の雨をもたらしました。奈良地方気象台によると、降り始めの17日午後2時〜20日午後1時にかけ、大台ヶ原のある上北山村小橡で最大雨量863ミリを記録したそうです。全国で最も雨の多い地域と呼ばれるだけに、凄まじい雨が降ったようです。

 大台ヶ原から直線距離で約30キロメートル離れた吉野自然保護官事務所では、台風接近にも関わらず雨はさほど降っていなかったため「台風はいつ来るんや~?」とのんきに構えていました。そう、事務所の近くを流れる吉野川の変わり果てた姿を見るまでは・・・。


普段の穏やかな吉野川


7月19日に増水した吉野川
「これは・・・大台ヶ原方面で大雨が降っているに違いない!」

 というのも、大台ヶ原は奈良県、三重県、和歌山県の3方へ流れる川の源流となっており、多量の雨は、吉野川へも流れてくるからです。


大台ヶ原から3方面に流れる主な川
●・・・大台ヶ原 ×・・・吉野川(上記写真地点) ▲・・・瀞峡(※)

 吉野熊野国立公園の水系のひとつである瀞峡(※)も大台ヶ原を源流としており、大台ヶ原で大雨が降ると水位が大幅に上昇するそうです。

 それにしても雨が近くで降っていなくとも、河川の急な増水にご注意ください!とはこのことですね。

※瀞峡(どろきょう)・・・和歌山、三重、奈良県を流れている北山川の峡谷。大台ヶ原を源流とする熊野川の支流の北山川の中・下流域に位置しています。激しく浸食と蛇行を繰り返し、厳しくそびえ立つ絶壁の間を広大に流れる美しい水、ここも吉野熊野国立公園の絶景のひとつになっています。

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2011年07月26日便座の陰から・・・ 【利用・施設】【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
7月21日に吉野山奥千本の金峯神社前公衆トイレに利用者数カウンターのバッテリー交換、動作確認などの点検を行ってきました。台風の後ということもあり、無事に奥千本まで辿り着けるか、公衆トイレに被害はないか・・・などの不安を抱え、現地に向かいました。
 道中、一部通行止めがありました。しかし、道が細いものの、迂回路があるので一安心です。外見では、台風の影響を受けている様子がなかったのですが、念には念を入れ点検を行います。多目的トイレの点検をしている時、便座の陰から何者かがこちらを伺っているのに気付きました。

写真:おや?どちら様?

 何と!便座の陰からこちらを伺っていたのは、アオダイショウの幼蛇(ようだ)で、さすがはヘビ!と言いたくなるほど器用に、便座の後ろの隙間に入り込んでいました。

写真:居心地はいかがですか?

 私が存在に気付いて近づいても、隙間でジッとしていたので、先にトイレの点検などを終わらせてから外に逃がすことに。
点検がすべて終わり、外に逃がすために木の枝に引っかけて出したのですが、ほとんど抵抗がありません。アオダイショウは穏和な性格のヘビなので、「さすがはアオダイショウ!」と思いながらよくよく見てみると、顔に怪我を負っています。怪我が気になるところですが、とりあえず再度トイレに入って来ないように、少し離れたところに逃がしました。

写真:怪我は大丈夫?(すべて7月21日撮影)

 これまで何度もこの公衆トイレの点検に来ているのですが、ヘビが入り込んでいるのは初めての出来事でした。しかも、出入口に扉がない男女のトイレではなく、扉がついている多目的トイレに入っていたのが驚きです。「ヘビは脱走の名手」と言われますが、今回その技?を目の当たりにした気分になりました。
 今回のような動物がトイレに入ってくることは希な事ですが、野外にある以上、すべての生きものを排除することは不可能です。利用者の方々には、気持ちよく利用していただけるよう、十分配慮しておりますので、ご理解をいただければと思います。

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2011年07月21日苔の学習会【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原のパークボランティアでは、「パークボランティアの会」が結成され、より活発な活動を行っています。今回は苔に詳しい先生をお招きした「苔の学習会」が行われました。
 日本には約1700種もの苔の仲間があるそうですが、大台ヶ原ではこれまでに約600種類以上が見つかっています。ということは日本の苔のほぼ30%を、ここ大台ヶ原に来れば見ることができるというわけですね!
 さて、ではさっそく野外で苔の観察を・・・と森に入る前から開始です。駐車上のわきに生えている苔も見逃せません。



何やら皆さんじっと苔を見つめています・・・



日光のあたる駐車場でカラカラに乾いた苔・・・



少し水をかけてやると・・・まるで花が咲いたように開きました!

 この苔(スナゴケの仲間)は、晴れた日などは自分の体から水分が逃げないよう縮こまっていますが、ひとたび水を浴びれば、今度は光合成をするため体をいっぱいに広げ、日の光を浴びようとします。

 苔は種類の豊富さにも驚かされますが、その生態も面白みにあふれています。苔に虫の食べ跡が無いのは、苔が虫が嫌う物質を出しているから、らしい・・・海外には毒のある苔もある・・・など。少し中身を知るだけで、生き物というのはその見え方が変わるものですね。

 こうして得た知識を、利用者の皆さんにもお伝えできるよう、パークボランティアさん達も日々活動されています!

---------------【重要なお知らせ】----------------
平成23年7月21日(木)現在、台風6号の影響のため、大台ヶ原山上へと続く「大台ヶ原ドライブウェイ」は災害規制のため通行止めになっています。
※近畿地方環境事務所HP「緊急情報」より http://c-kinki.env.go.jp/

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2011年07月15日大峯の夏 【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
梅雨も明け、真夏の日差しが降り注いでいますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 7月13日に弥山、八経ヶ岳へ巡視に行ってきました。雨が降るような予報で心配でしたが、何とか巡視中に大雨に見舞われることなく、無事に終えることができました。


写真:左)歩道に落ちていたナツツバキの花 右)斜面のバイケイソウの群落(ともに7月13日撮影)

 巡視した歩道上には、ナツツバキ(ツバキ科)の花がたくさん落ちていました。大峯地区では、ナツツバキは大木が多く、花を見たことがありませんでした。散った後ではありますが、今回初めてその花を見ることができました。標高が高くなり、弥山山頂に近づくに連れ、バイケイソウ(ユリ科)が見られました。バイケイソウも花を咲かせており、顔を近づけると独特なニオイを発していました。

 弥山、八経ヶ岳と言えば・・・

写真:開花中のオオヤマレンゲ(7月13日撮影)

 もう時期が遅いかな?と思っていたのですが、防鹿柵の中では、まだまだ咲きたての綺麗な花が残っていました。弥山小屋でお聞きした話では、オオヤマレンゲの花は一斉に咲くのではなく、代わる代わる咲かせ、比較的長い期間見られるのだそうです。そのお陰で、未熟な種子から蕾まで見ることができました。



写真:八経ヶ岳から南東方向を望む(7月13日撮影)

 近畿地方最高峰の八経ヶ岳の山頂では、晴れ間も見ることができ、思っていたよりも遠くを確認することができました。巡視中は動けば汗が噴き出てきますが、風がとても心地よく感じました。避暑地としてはとても良い場所ですが、この時期は夕立など天候が急変する可能性が高いので、十分に注意していただきたいと思います。

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2011年06月29日吉野山の四季 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
最近吉野では、梅雨明けをしたような好天が続いています。好天なのは嬉しいことなのですが、今度は日差しの強さに参ってしまっています。全国ではすでに熱中症が多発しているようなので、皆さんも十分ご注意下さい。

 さて、6月23日に吉野山の巡視に行ってきました。吉野自然保護官事務所の中は汗が滴るほど暑かったので、「事務所よりも標高が高くなるし、吉野山はきっと涼しいはず!」と期待をして出発しました。
・・・しかし!現実はそれほど甘くなく、山頂付近の奥千本でもそれほど気温は変わりませんでした。作業をすれば汗が滴る・・・という気温の中、チョウを見つけました。


写真:シロツメクサの蜜を吸うミドリヒョウモン(タテハチョウ科)のオス(6月23日撮影)

 まだ傷がほとんどついていない綺麗な個体だったので、ごく最近羽化したもののようでした。私たち人間には暑く感じる気温ですが、このチョウが活動するには丁度良い気温なのでしょう。



写真:左)金峯神社(奥千本)近くにある展望台より北方向を望む 右)真夏を思わせる吉野山下千本七曲り坂(ともに6月23日撮影)

 上の写真の下千本七曲り(写真右)では木々が茂り、すっかり夏模様になっていました。吉野山に来た際には、可能な限りこの場所から「定点撮影」(※)を行っています。この七曲りは吉野山の入口で、ここから登り始め、吉野山の桜を一望できる上千本の「花矢倉」などに向かうために通る場所でもあるのです。
(※)定点撮影については、2009年11月2日 「冬の準備? 【その他】【植物】」をご参照下さい。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2009/11/02/index.html
それでは、吉野山下千本七曲りの季節の変化をご覧下さい。

写真:上)2006年4月 左下)2009年10月 右下)2010年3月 (すべて同じ位置から撮影)

 このように写真を並べると、春の桜、秋の紅葉、冬の寒々しさが一目瞭然で分かります。「吉野山と言えば桜」が有名ですが、夏はアジサイ、秋は紅葉、冬は積雪とそれぞれの時期にも見どころが詰まっているのです!

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2011年06月28日エゾハルゼミ【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原では6月も半ばに入ると、西日本では分布が高い山に限られる「エゾハルゼミ」というセミの鳴き声が森に響きわたります。
 このセミは高い木で鳴いているので、なかなか姿は見られませんが、脱皮した後の抜け殻はよく見ることができます。



撮影:6月17日(西大台)エゾハルゼミの抜け殻

 さっそく抜け殻を発見・・・高く細い枝にぶらさがるようして脱皮したようです。セミにとっては脱皮するだけでも命がけの行為なのに、こんな状況でさぞヒヤヒヤしたことでしょう。アクション映画さながらのドラマがあったに違いないと想像を膨らませました。



撮影:6月17日(西大台)エゾハルゼミの成虫

 少し雨が降っていたので、羽を濡らして飛べなくなった成虫をじっくり観察することができました。
 大きな音(鳴き声)が出せて、空も飛べる機能もついた体を手に入れた成虫たち。せっかくここまで来たけれど命の期間はあとわずか。今は子孫を残すために、大台ヶ原でオスがせいいっぱい鳴き続けています。

 「ミョ~キン ミョ~キン ケケケケケ・・・」と鳴くエゾハルゼミは7月いっぱい、その後は「ジーーー」と鳴くコエゾゼミにバトンタッチです。

★エゾハルゼミの鳴き声(環境省生物多様性センター いきものみっけHPより)
http://www.mikke.go.jp/discovery/detail/ezoharuzemi

------大台ヶ原には「西大台」と「東大台」の2つの区域があります------
◆西大台・・・「利用調整地区」に指定され、より良い自然環境を守るため、1日に入山する人数が決められています。入山するには事前に手続きが必要です。
詳しくは吉野熊野国立公園大台ヶ原HP↓「西大台利用調整地区」へ!
http://c-kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/west_odai/west_odai_index.html

◆東大台・・・西大台と違い、こちらはどなたでも手続きなしで自由に入山することができます。
※大台ヶ原ドライブウェイ、山の上の駐車場も自由にご利用いただけます。
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2011年06月16日何の音? 【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
最近は梅雨らしい雨がしとしと降る日が続いていますね。悪天候で気分も落ち込んでしまいがちですが、皆さんはいかがでしょうか。

 今回は、雨が降ってきそうな曇り空のもとで起こった出来事についてお伝えします。
この出来事に遭ったのは、少し前の6月7日のこと・・・
昼休みに事務所の外に出たところ、事務所前から「パチパチパチ・・・」と何かが弾ける音が。始めは事務所前に植えられているヤマザクラの実が落ちていると思ったのですが、実が落ちるにしては、あまりにも大きな音・・・何か別の生き物か?とも思いましたが、昆虫でこんな音を出すものはいないはず・・・謎は深まるばかりでした。恐る恐る音が出ている方へ近づいてみて、音の正体に気付きました。


写真:左)ヤハズエンドウの若い実 右)熟した実(ともに6月7日撮影)

 何と、音を出していたのは、ヤハズエンドウ(マメ科)でした。ヤハズエンドウは、皆さんが理科の時間に習ったカラスノエンドウと同じもので、路肩や荒れ地など、どこででも見られる植物です。マメ科の植物らしく、鞘に入った実を付けます。上の左の写真はまだ若い実ですが、熟すと右の写真のように黒く硬くなります。この鞘の中に数個の種子が入っています。これがどのように音を出していたかというと・・・


写真:左)種子が飛んだ後の鞘 右)種子が飛ぶ前の鞘の中(ともに6月7日撮影)

上の左の写真を見ていただくと、鞘がねじれているのがお分かりかと思います。右の写真では、中に丸い種子が入っているのが分かります。この鞘がねじれ、中の丸い種子を飛ばしており、この時に「パチパチパチ・・・」と鞘が裂ける音がしていたのです。
この音の正体を見つけたときは、知っているようで知らない世界をのぞき込んだような新鮮な気持ちになりました。梅雨の時期には憂鬱な気持ちになりがちなので、皆さんもこの時期にしか見られない身近な生き物の不思議を見つけてみてはいかがでしょうか。

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