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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2011年11月21日完成検査 【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
11月9、10日に大峯地区の防鹿柵の完成検査のため、弥山に行ってきました。前々回、前回と連続で弥山への登山ですが、今回は巡視ではなく、完成検査のために行ってきました。

 今回もいつもの登山道を進んでいきます。天気は曇、気温も低すぎない登りやすい状態でした。時間に余裕があったのでゆっくり登る予定でしたが、思いのほかスイスイ進み、予定よりも30分早く山頂に到着できました。山頂についてすぐ、今回完成検査を行うもののひとつが目に入りました。

写真:左)テーブルの間に見慣れたものが! 右)近くで見るとこんな形

 皆さんは、上の写真のものが何かお分かりですか?


正解は、「グレーチング」です。グレーチングとは、板が十字に組まれているものです。では、これが何の役にたつのかと言うと・・・


正解は、「ニホンジカにとって足場が悪くなる」です。私たち人間にとっては何の問題もないのですが、足が細いニホンジカにとっては、このグレーチングが「歩きにくくてしょうがいないもの」になるのです。もし、このグレーチングの溝に足が挟まって骨折などしてしまえば、動けなくなって死んでしまう可能性があるので、このグレーチングを嫌がって近づかないのです。まだグレーチングに苦戦する姿を見たことはありませんが、誰も引っかかることなく避けているニホンジカもなかなか賢い生き物だと感心してしまいます。

 翌日、別の場所の完成検査を行いました。その際に、新しく設置された防鹿柵に沿ってニホンジカの足跡が見つかりました。

写真:左)新しく設置された防鹿柵 右)柵の際にはシカの足跡が!

 今まで通っていた場所に柵ができ、戸惑っていたのでしょうか。柵に沿って随分長い距離に足跡が見られました。ニホンジカにとっては困った出来事かもしれませんが、山全体の自然環境を考える場合には、増えすぎてしまったニホンジカの食害を防ぐためのこうした取組みも、とても大切です。「自然環境」を考えるときには、一つの生き物のみに焦点を合わせるのではなく、全体を見渡さなければいけないと再認識させられました。

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2011年11月08日台風後の巡視Part2 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
今回も前回に引き続き、紀伊半島を襲った台風後の巡視についてお伝えします。

 11月20日に双門弥山線歩道(沢沿いを通って弥山に登る上級者コース)の巡視を行いました。この歩道は管内の歩道の中で台風が来るたびに登山道の荒れ具合が特に気になる場所ですが、いつもは大きな被害はありませんでした。しかし、今回は巡視前に「崩壊箇所がある」という情報を耳にしたので、安全第一で行うこととしました。


写真:朝日に映える緑

 被害の大きさなども気になったのですが、この日は天候に恵まれ、紅葉しかけているオレンジ色?と常緑樹の緑がとても綺麗で、不安を吹き飛ばしてくれました。登山道に入っても、ほとんど歩道の被害は見られず、順調に足が進みます。


写真:「日本の滝100選」に選ばれている「双門の滝」

 大きな被害がないまま、双門の滝まで進むことができました。登山口から双門の滝までは全行程の3分の2ほどの距離なので、被害の少なさに一安心です。
しかし!大きな被害を受けた場所はこの先にあったのです。

写真:左)斜面が崩落して弥山川には巨石がゴロゴロ 右)崩落した斜面

 斜面が崩落して大量の土砂や岩が沢に流れ込んでいました。随分大きな崩落で、尾根から崩れているようです。沢沿いは背丈かそれ以上の岩がゴロゴロしているので、崩落地の対岸を通って進みました。「ここから被害が続くのかな?」と思ったのですが、この場所から先ではほとんど被害が見られません。どうやら、被害は登山道中この一箇所のみのようです。しかし、この崩落地を大きく迂回したので、先に進むのに思った以上に時間がかかってしまいました。これからの時期は日の入りの時間も早くなってきますので、登山を計画されている方は、時間に十分余裕を持って行動していただきたいと思います。

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2011年10月24日台風後の弥山巡視 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
最近は気温も下がり、また一段と日が短くなっているのを実感します。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 前回の和佐又山巡視(※)に続き、今回は奈良県吉野郡天川村にある弥山の台風後の巡視を行いました。
(※)2011年10月5日 「和佐又山巡視 【その他】」をご参照下さい。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2011/10/05/index.html

 歩き始めた時は特に大きな影響は見られず、一安心でしたが、尾根に近づくに連れ、歩道上に強風で飛ばされたであろう枝たちが目に付きます。そして、尾根では・・・

写真:左)天候は良く、紅葉しかけたカエデ類がきれいですが・・・ 右)歩道にはこんな大きな倒木が・・・

 何と、立派な大木が何本も根こそぎ倒れてしまっていました。やはり尾根ではとても強い風が吹いていたのでしょうか。台風の凄まじさを目の当たりにしました。

写真:左)冷水が流れる弥山川 右)川岸を見れば、崩落によって大量の土砂が弥山川に。

 登山道巡視の後は、弥山川の状況調査に行きました。弥山川には「キリクチ」というイワナの地域個体群が生息しており、奈良県の天然記念物に指定されています。上の左の写真では一見問題なさそうに見えるのですが、至る所に倒木があり、流れを遮断しかけているものも見られます。もちろん倒木だけではなく、上の右の写真のように、尾根からの広範囲の土砂崩れによって弥山川が埋め立てられた場所も見られ、一層今回の台風の影響の凄さを実感しました。


写真:左)濃いオレンジ色で目立ちやすいオオヤマレンゲの種子 右)無事に着地!元気に育ってね!

 今回の巡視は、登山道、弥山川と続けて自然災害の驚異を目の当たりにしましたが、山頂付近ではオオヤマレンゲが無事に種子をたくさん付けており、一安心することができました。ぜひ、この種子たちには元気に育ってもらい、弥山・八経ヶ岳を彩り、山の元気な姿を見せて欲しいと思わずにはいられませんでした。

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2011年10月17日秋のUFO【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原もすっかり秋ですが、この頃になると、大台ヶ原ではUFOがよく見られます。目撃者の情報によるとそのほとんどは小さく赤っぽいボデイーをしており、木からぶら下がっているようだ、とか。

 知る人によるとそれは「マユミ」「ツリバナ」などと呼ばれ、大台ヶ原でも利用者の目を楽しませているとのこと。今回はその物体の撮影に成功したので、ここに公表させていただくことにしました。

【激写!ヒロハ(ノ)ツリバナ】

↓画像クリックで拡大


①ヒロハツリバナの実。裂けて中から種(赤い種4つ)がぶら下がっている様子。
②果実が裂ける前は4翼。中に種を包み込んでいます。
③よく似ていると噂されているもの。



6月頃には、ヒロハツリバナは大台ヶ原で小さく可憐な花を咲かせています。

 ヒロハツリバナ(ニシキキ科ニシキギ属)は山地に生える大形の落葉低木。その名を通り、花が釣られているような姿をしています。日本では北海道、四国、本州では広島県より東で確認されているようです。
 残念ながら本当のUFOではありませんでしたが、変わった形をした実は、貴方のすぐそばに存在していることでしょう!

□■□■大台ヶ原紅葉状況(10月16日現在)□■□■



日出ヶ岳(東大台):ゴヨウツツジ散り始め
大蛇嵓(東大台)から:見頃
大台ヶ原ドライブウェイ沿い:10月末頃まで
★大台ヶ原最新の紅葉情報は大台ヶ原ビジターセンター(TEL:07468-3-0312)にお問い合わせください。

□■□■大台ヶ原へのアクセス情報□■□■
台風の影響による国道および県道の一部通行止めにより、現在迂回路が設けられております。乗用車は大台ヶ原への通行が可能です。

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2011年10月11日大台ヶ原の自然再生 その②【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原の自然再生 その① はコチラ → http://c-kinki.env.go.jp/blog/2011/09/1312.html

 大台ヶ原の森の中には、シカから植物を守る柵が建てられています。今や全国的にシカの食害が叫ばれており、大台ヶ原もその例外ではありません。
 大台ヶ原では、シカの食害から実生・稚樹などを守り、森林が自力で再生する手助けをするために、自然再生事業を開始してから、大規模なものから小規模なものまで、これまでに約40もの柵が作られています。



シカの食害から植物を守る防鹿柵(ぼうろくさく)



防鹿柵の位置図(図は2009年のものです)
 柵が作られる場所は、前回の日記で書いたような集会や会議で決められます。

 こうした柵の内側(シカがいない環境)でどのように植物が回復しているのか、専門家の手によって調査が続けられています。今のところ経過は順調で、柵の中では植物が復活してきています!

~~~~~ おまけ ~~~~~
自然再生事業「再生」業務



 今年は台風が何度も大台ヶ原を襲ったことで、せっかく作った柵も倒れた木で、あちらこちらで被害が出ました。柵の点検や補修も専門の方にしてもらっています!自然を再生するために、こうしたところでも努力が続けられています。

■■■大台ヶ原へのアクセス情報■■■
台風6号の影響による県道路肩決壊により、現在迂回路が設けられております。乗用車は大台ヶ原への通行が可能です。

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2011年10月07日山道の複線化【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 皆さんは山を歩く時、どこを歩きますか?
 道があるところを歩く!のではないでしょうか。しかし、時にこんな道を見たことはないでしょうか・・・



「あれ、道がふたつある・・・」



「あれ、道がたくさんある!」
写真:国立公園内の歩道

 上の写真のような道は、歩きにくいところを避けるため、写真を撮影するためについ歩道からはずれたり、水が流れによってできた筋を歩いてしまったり、細い獣道を歩いてしまったりなど・・・こうした事が繰り返されて、できてしまいました。
 ひとつの道の横にまた道ができることを「複線化」と呼ぶそうですが、私たちが歩道の外に足を踏み入れるだけで意外なほどに植物が弱ってしまいます。踏み固められた地面には植物が生えにくく、複線化した道を歩くことでまたその範囲が広くなると、それだけ裸地化が進む原因のひとつになってしまいます。

 こうした道の複線化が進まないよう、歩くべきでない道に倒木を置いて進路を遮ったり、歩くべき道に誘導するよう石や倒木を置いたりなど、大台ヶ原の歩道でもさりげない手入れがされています。


 

 複線化が特に酷い時には、上の写真のように左側にできてしまった道へ、人が歩いていかないようロープで誘導しています。こうすることで植物が回復します。

 まだまだ山を知らない私にとっては、一見自然にできたような道も、山を愛する利用者やスタッフによって手入れされているのだな~と驚くばかりです。

 植物を守るためにも、故意に歩道の外に足を踏み入れないよう、ご協力をよろしくお願いします!


□■□■□大台ヶ原紅葉情報 10月5日(水)現在□■□■□
・日出ヶ岳~正木峠(東大台):ゴヨウツツジの葉が色づき始めました
大台ヶ原は10月3日の早朝、気温が4℃との報告もありました。本格的な秋を前に冷え込む日も出てきています。
★大台ヶ原最新の紅葉情報は大台ヶ原ビジターセンター(TEL:07468-3-0312)にお問い合わせください。

■■■■■大台ヶ原へのアクセス情報■■■■■
台風6号の影響による県道路肩決壊により、現在迂回路が設けられております。乗用車は大台ヶ原への通行が可能です。


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2011年10月05日和佐又山巡視 【その他】【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
最近はまた一段と朝晩の冷え込みが厳しくなっていますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。

 さて今回は、奈良県上北山村にある和佐又山の巡視を行いました。台風6号、12号、15号と3つの台風が近畿地方に大きな影響を及ぼしました。これによって歩道が被害を受けている可能性があるので、恐る恐る(?)巡視を行うこととなりました。

写真:いつもよりも水量が多くて(?)見応えがある水廉の滝

 いざ出発してみると、ほとんど歩道は荒れておらず、一安心です。そのまま順調に巡視を続けることができました。


写真:左)緑が綺麗なチドリノキ 右)サルナシの実

 この日はとても天候に恵まれ、上の写真にもあるように、チドリノキの緑がとても映えていました。このチドリノキは何の仲間か皆さんはご存じでしょうか。
 何と!チドリノキは、「カエデ」の仲間なのです!葉を見ても、とてもカエデの仲間には見えませんね。チドリノキの種は、カエデの仲間のように「羽」が付いており、いくつも連なって枝から垂れ下がっています。これを「千鳥が群れて飛んでいる姿」を連想して「チドリノキ」という名前が付いたようです。なかなか情緒ある名前ですね。このほかにも、台風の強風で落ちた(と思われる)サルナシ(マタタビ科)の実も見ることができました。サルナシはキウイフルーツ(オニマタタビ)の仲間で、キウイフルーツよりも少し小さいとてもよく似た実をつけます。この日に見たサルナシは、まだ動物など誰にも食べられていなかったようで、とてもきれいな実でした。

 今回巡視した和佐又大普賢岳線歩道は、特に台風の影響が見られませんでしたが、これから登山を計画されている方は登山道が荒れている可能性が十分にありますので、時間に余裕を持って計画を立てていただきたいと思います。

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2011年09月20日香久山小学校出前授業 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
台風6号、12号と続き、次は15号が通過する予想ですね。皆さん十分にお気を付け下さい。

 9月12日に奈良県吉野郡川上村にある蜻蛉の滝で、香久山小学校の4年生を対象とした出前授業を行いました。
この出前授業は、同じく川上村にある森と水の源流館と合同での実施です。
小学校の先生からの要望があり、川の出発点になる「森」の話を森と水の源流館の木村氏が、森から流れ出た水からなる「川」の生き物の話を私が行い、全体として「水」を大きなテーマとして行いました。

写真:左)蜻蛉の滝に到着! 右)森の中で木村氏から森の話

 森の話では、実際に蜻蛉の滝のまわりの森に入り、高級爪楊枝の原料にもなっている「クロモジ(クスノキ科)」の説明や枝の匂いを嗅いでみたり、「コケ」の話や水を掛けて瑞々しくなったコケの観察、毎度おなじみの「ウラジロ(シダ植物)」を使った「ウラジロ飛行機」作成を行い、森の中で楽しみながら学習をしました。
特に子どもたちはクロモジの枝の匂いが気に入っているようでした。

 森を抜け、蜻蛉の滝の入口まで戻って昼食をとりました。昼食の後は、川の生き物探しです。
子どもたちが濡れても良いように水着に着替えている間、木村氏と気温や水温などの周囲の情報収集を行いました。計測結果は、気温26℃、水温は20℃でした。
この日の天気は曇りだったので、20℃の川水は思いの外冷たく感じます。それでも子どもたちは元気よく入って行き、水の冷たさにはものともしない様子でした。

写真:左)みんなで(私も)川の生き物探し! 右)川の生き物探しのまとめ

 以前の出前授業(※)のときには、ほとんど川の生き物が捕れなかったこともあってとても心配でしたが、今回はサワガニやカワヨシノボリ、カワムツ、ゲンゴロウの仲間、カゲロウの仲間、ヤゴなどなど、みんなのお陰でたくさんの生き物を観察することができました。
(※)2011年8月15日 川上小学校出前授業 【その他】をご参照下さい。

観察した後に水質調査も行い、BOD(生物化学的酸素要求量)を計測しました。
※BODとは、水をきれいにする微生物が欲しがる酸素のことです。
水が汚れていると、微生物は活発に働きます。そのときに、水中の酸素を使うのです。
なので、BODが低い(あまり働かなくてよい)=きれい、BODが高い(働かなくてはいけない)=汚いという結果になるのです。

そのBODの値は低く、水はきれいという結果になりました。
生き物と水質調査を合わせて、最後に結果まとめを行います。みんなで見つけた生き物の名前を紙に記録し、どんな生き物が捕れたか、捕れた生き物から何がいえるのか、水質調査の結果と比べると・・・など、子どもたちが分かるように説明をしました。

 森の仕組みを知り、水の勉強をした後は、最後のプレゼント配りです。
しかし!簡単にプレゼントを渡してしまうのでは芸がありません。そこで、川から上がる際に発見されたカエルの名前を当てられた人にプレゼント!!ということになりました。

写真:左)何ガエルでしょう? 右)答えられればプレゼントが!

 実はこのカエルの名前は、授業の始めに木村氏から紹介されていました。なので、よく話を聞いていた子は答えられるような仕組みになっていたのです。
答えは、「カジカガエル」ですが、子どもたちからは「ツチガエル!」や「こんなカエル知らない!」などの答えが飛び交っていました。
しかし、木村氏が出したヒントからみんな無事に答えられ、プレゼントの「イタドリの笛」が配られました。もらった傍から子どもたちはイタドリの笛を鳴らすことに夢中になっていました。
香具山小学校の4年生のみんなは、最後までよく話を聞き、質問をするなど、積極的に取り組んでくれているように感じました。
「森に入ったことがない」など、最初はちょっと不安な反応でしたが、森を知り川を知り最後にはみんな揃って笑顔になっていることに、嬉しく思いました。
 香久山小学校4年生のみんな、ご協力下さった先生方、森と水の源流館の木村氏、尾上氏、どうもありがとうございました!!

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2011年09月08日1泊2日大峯巡視の旅 【利用・施設】【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
台風12号が近畿地方南部を中心として猛威を振るいましたが、皆さんはご無事だったでしょうか?吉野自然保護官事務所では、すぐ近くの吉野川が警戒水位に達しましたが、幸いにも氾濫することなく、その他大きな被害はありせんでした。

8月25、26日に奈良県吉野郡天川村の弥山周辺に巡視に行ってきました。25日は、新しく今年度設置する防鹿柵の現場立会を行いました。生憎の天候となり、カッパに身を包みながらの作業です。現場立会は、設置する場所に沿って歩き、要所ごとに打合せを行います。

写真:左)現場立会の様子 右)防鹿柵の中の未熟なオオヤマレンゲの実

 26日は早朝から巡視を行いました。幸いにも朝は日が射しており、カッパはお役ご免となるところですが、朝露や昨日の雨で下草が濡れているので、カッパのズボンだけ着用して出発です。「ズボンが濡れないように」ということでカッパを着用したのですが、日が照っているため気温がどんどん上がり、進めば進むほど暑く・・・すぐにカッパの中は蒸れて汗だくになり、結局ズボンはズブ濡れ?になってしまいました。しかし、道中の景色を見ていると、とても清々しい気持ちになります。

写真:上)雲に包まれる大峯の山々(八経ヶ岳から) 下)眼下に広がる大峯山系

 この他、登山道脇には毒を持っていることで有名なトリカブトの仲間のカワチブシ(キンポウゲ科)が鮮やかな紫色の花を付けています。休憩中にこの花を見ていたら、ハナバチの仲間が飛んできて盛んに花粉を集めていました。

写真:忙しそうですね

 今回は、2日で水が豊富と言われる大峯の姿、近畿最高峰からの素晴らしい眺望と、雨と晴れの両方の大峯の顔を見ることができ、とても贅沢な経験をすることができました。

※お知らせ※
現在、台風12号の土砂災害などの影響で、大峯山系のほとんどの登山口に至るルートが通行止となっています。登山を計画されている方は、登山情報と併せて道路情報も忘れずにご確認していただければと思います。

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2011年09月07日大台ヶ原の自然再生 その①【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 日本で最も雨がたくさん降るといわれる大台ヶ原。ここでは豊かな自然が育まれ、苔むす森が存在していましたが、環境の変化により森の様子が大きく変わってしまったそうです。
 そこで「苔むす森をふたたび」をスローガンとして、大台ヶ原ではかつて存在していた自然を取り戻す取り組みが行われています。今回は、実際にどんなふうに取り組みが進められているのかをご紹介します。



森林や植物、昆虫や鳥などの生き物・・・自然をよく知る先生達が大台ヶ原に大集合!

 年に何度か、こうした集まりがあります。今回は8月29~30日の2日間にわたり、調査現場を視察!大台ヶ原の自然について各分野の調査の報告や、それについての意見交換がされました。



去年植えられたトウヒ(大台ヶ原を代表する針葉樹)苗の生長具合を確認中。
(詳しくは http://c-kinki.env.go.jp/blog/2010/11/1149.html )

 かつて、このあたりでは(写真:正木ヶ原峠)トウヒの木々が「苔むす森」を育んでいました。シカの食害の影響を受け、自ら再生する力を発揮できなくなったこの森のために植えられたこの苗たちも、自然再生の新たな取り組みです。



そして次なるステップへ。

 大台ヶ原の豊かな自然が維持できるよう、シカの食害から保護すべき場所が新たに決まります。この写真の場所には、後にシカから植物を守る柵が立つ予定です。

 次の日記でも、引き続き取り組みの様子をお伝えしたいと思います。

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□■□■大台ヶ原へお越しの皆さまへ□■□■
 大台ヶ原ドライブウェイは台風6号の影響による路肩決壊により、一部が通行止めとなっていますが、現在迂回路が設けられており、乗用車は大台ヶ原への通行が可能です。詳細は奈良県吉野土木事務所にお問い合わせ下さい。http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-1777.htm
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