ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2009年11月11日もう真冬? 【天候】【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
今週は天候に恵まれそうにありませんね。この雨で紅葉が散ってしまうのでは?と心配になってしまいます。先週はずっと天気が良かったのです・・・が!先週の11月3日、管内で初雪を拝むこととなりました!出張の前日(11月2日)に事務所で「雪が降るかもよ~」などと冗談交じりに話をしていたのですが、まさか本当に降るとは・・・
それでは、今年の初雪をご覧下さい。

写真:和佐又山から大普賢岳方面を望む(11月3日撮影)
どうでしょうか?もう完全な冬山ですよね・・・まさかこんなに早く冬景色を拝めるとは、思ってもいませんでした。

 しかし、「紅葉と雪化粧」という四季の「秋と冬」を同時に堪能でき、自然が織り成す景色にしばし見とれてしまいました。

写真:紅葉と雪化粧(和佐又山:11月3日撮影)

 また、道路沿いの落石防止を施した壁面にスズメバチの巣を見つけました。

写真:キイロスズメバチ?(スズメバチ科)の巣(11月3日撮影)。
出入りする働きバチの姿は見られず、すでに放置したもの(※)のようでした。これだけ寒くなると、さすがのスズメバチも退散(?)しそうです。この習性のおかげで、冬にはスズメバチの被害はなくなりますが、秋の山は落葉などで登山道が分かりにくくなっている可能性があります。また、標高が高いところではまだ残雪や朝晩の凍結の恐れがありますので、紅葉鑑賞などで登山をされる方は通行には十分お気を付け下さい。

(※)スズメバチの仲間は、寒くなると巣を手放し、女王バチは朽ち木の中などで越冬(えっとう)します。そしてまた来年の春に巣作りに適した場所を求めて飛んで行きます。

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2009年11月05日アンケート結果【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 今年は大台ヶ原でアクティブ・レンジャー(以下AR)、そしてパークボランティアによる自然観察会が計12回行われました。
 毎回、参加してくださったお客さん達には、イベント終了後に観察会の内容についてのアンケートを行っています。今回はARの行った観察会のアンケート結果をこの場をお借りしてご報告したいと思います!

 AR観察会はシーズン中に7日間行い、合計69名の方に参加していただきました。

①お住まいは?
 :ほとんどの方が大台ヶ原の位置する奈良県からでした。その他に埼玉県から来られた方もいました。

②年齢は?
 :40代からがやや多いものの、年齢層はまばらです。夏休み中はご家族で来られた方が多かったです。

③大台ヶ原に来られたのは何度目?
 :初めて、または「前に一度来たことがあるよ~」という方がほとんどでした。中にはずっと昔からいらっしゃっている方もいて「ここも昔とえらい変わったな~」という貴重なお話もいただけました。

④面白かった話は?
 :植物や生き物、大台ヶ原の環境の変化の話が最も面白いと感じていただけたようです。つまらない話ナンバーワンは看板を使っての大台ヶ原・国立公園の説明でした・・・。

⑤分かりやすさは?
 :「難しいことは苦手な私」にとって、おおよそ「分かりやすい」のご回答をいただけましたことはこれ幸い。環境省の取組についての話が難しいと感じられた方もいました。




ア=大台ヶ原・国立公園の説明   イ=植物・生き物の話  
ウ=大台ヶ原の環境の話(紙芝居) エ=環境省の取り組みの話

その他、アドバイスもいただきました。
・ツアーの前にどんな植物があるのか等のアウトラインがあれば理解が進むと思いました。
・別のルートでも参加できることがあればよい。
・子供エコツアー等の企画をしてみてはどうか。
・これからの大台ヶ原の自然がどう変化していくのか聞きたい。

 今年は大台ヶ原での観察会に何度か足を運んでくださったリピーターの方とも出会える機会がありました。大台ヶ原の魅力がこうして皆さんに少しでも伝わっていることが分かり、嬉しい限りです。

 参加していただいた皆様、どうもありがとうございました。

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2009年11月02日冬の準備? 【その他】【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
今週に入ってから、また一段と寒くなりましたね。皆さん、体調には十分気を付けてくださいね。

 さて今回は、山の景色の変化についてお伝えしたいと思います。
9月18日に撮影した写真(※)では、木々が青々と茂り、「紅葉はまだだな」と思える風景ですが・・・
※大峯の秋 【植物】【その他】をご参照ください。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2009/09/25/index.html

何と!約1ヶ月後の10月29日の写真では、木々が葉を落とし始め、秋の終わりを感じさせる風景に変貌していました。この1ヶ月の間、現地に行き、巡視などを行って実際にこの目で見てきた風景なのですが、写真を見比べてみると、「これほど変化しているとは・・・」と思ってしまいました。時が経つのは早いものです・・・

写真:行者還トンネル(西口)の登山口(10月29日撮影)
この写真では冬間近な印象を受けますが、登山口付近ではまだまだ紅葉が楽しめます!

このように、毎回同じ場所で写真撮影を行うことを定点撮影と言い、地形や植生の変化など、国立公園内の環境が変わっていく様(変化が「無い」ことも重要)を皆さんにお伝えしたり、データとして保存しておくことなども、AR(アクティブ・レンジャー)のお仕事の一つです。

また、登山口付近では、リンドウが可愛らしい花を咲かせようと蕾(つぼみ)をたくさん付けていました。ぜひ秋の終わりを彩ってほしいものです。

写真:リンドウ〔リンドウ科〕(10月29日撮影)

※注意※ これからの登山を考えている方は、日の出・日の入り、気温、登山ルート等の情報収集を必ず行い、安全第一でお願いします。

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2009年10月29日大台ヶ原の紅葉【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 もうすぐ10月も終わりのこの時期、吉野自然保護官事務所のある奈良県の吉野では、柿が実り葉が紅葉を始め、ますます秋も深まってきています。
 ところが私の担当地区である大台ヶ原では、標高1600メートルを超える山頂付近ではもう紅葉のシーズンは終わりに近づき、冬の足音が聞こえてきています。この季節になると私はいつも、山の下と上での季節の「ずれ」に面白さを感じます。

 大台ヶ原へと登る「大台ヶ原ドライブウェイ」は約20キロメートルほどの距離があり、その始まり(山のふもと)から終わり(山の上付近)まで標高差が約800メートルほどあります。その標高差から気温差が生まれることで、この時期はちょうど道中で紅葉の始まりから終わりまで、「秋から冬」の季節を楽しむことができます。



10月29日:ドライブウェイ途中から見える紅葉。秋真っ盛りです。



10月29日:ドライブウェイ終盤から見える寒々とした冬景色。11月に入れば、大台ヶ原山上付近では初雪や樹氷・霧氷などが見られることもあります(参考写真↓)。



参考写真:去年の11月22日の樹氷

 この時期、大台ヶ原ドライブウェイからの紅葉の景色がすばらしいため、休日などは特に道が混雑している場合があります。対向車が景色に気を取られていたり、急に人が道を横切ったりすることも充分に考えられます。お車で大台ヶ原ドライブウェイをご利用の方は、十分な注意を払いながらの運転をよろしくお願いいたします。


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2009年10月28日もみじまつり 【イベント】【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
日が暮れる時間が日に日に早くなっていますね。それに加え、吉野の夜はずいぶん冷え込むようになり、「いい加減半袖生活はやめようかな・・・」と思うほどになりました。おかげで、もうすっかり冬気分を味わってしまっている今日この頃です。

 来週末の11月7日(土)、8日(日)に天川村で「天の川もみじまつり」が行われます。役場メイン会場では、天川村特産展やお食事コーナーなどが行われ、洞川温泉会場では、10月31日(土)から11月8日(日)まで毎日ウォークラリーが行われます。鍾乳洞や母公堂、龍泉寺など大峯の歴史を感じることができる名所をまわり、帰りには温泉へ!というコースです。

詳しくはこちらまで↓
天川村役場ホームページ http://www.vill.tenkawa.nara.jp/


そして、「天の川もみじまつり」が行われる場所からもう少し奥(行者還トンネル付近)に入ると・・・

写真:秋晴れと紅葉(10月21日撮影)

写真:登山口からの風景(10月22日撮影)

このような景色を見ることができます。この場所は国立公園の中で、美しい紅葉と険しい山々を見上げることができます。逆に弥山、八経ヶ岳などの山の上からは、紅葉を見下ろすことができます。紅葉をより楽しむために、ぜひ、「見上げ・見下ろし」の2パターンを楽しんでいただきたいと思います。

※注意※ 登山口、山の上ではすでに気温が低くなっています。防寒対策を万全に!!また、落葉などで登山道が分かりにくくなっていますので、十分ご注意下さい。

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2009年10月23日近畿最高峰 【利用・施設】【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
10月21日、22日に弥山の巡視&弥山に設置している防鹿柵(ぼうろくさく)点検に行ってきました。
以前の日記(※)でもご案内しましたが、弥山から尾根に沿って登ると、近畿最高峰の「八経ヶ岳(はっきょうがたけ)」に登ることができます。八経ヶ岳から紀伊山地の山々を見渡すと、「近畿にこんな山深いところがあったなんて・・・」と思ってしまうほど、迫力があります。
※5月25日 1泊2日巡視の旅 【利用・施設】【動物】をご覧下さい。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2009/05/25/index.html

写真:八経ヶ岳から大栂山方面を望む(10月22日撮影)

 弥山、八経ヶ岳の頂上付近では、とても気温が低く、紅葉は終わってしまっていました・・・
しかし!これらの山に登る登山口付近では、紅葉が今正にピークを迎えています!巡視を行ったこの2日間は秋晴れの清々しい天気で、紅葉も映えていました。

写真:名も無き滝と紅葉(10月22日撮影)

 また、弥山から少し離れた狼平避難小屋(おおかみだいらひなんごや)の脇を流れている弥山川では、「キリクチ(※2)」(?)が数匹泳いでいました。近年増えている山崩れによって、土砂が河川に流れ込み、キリクチの生息場所がなくなることが心配されています。この日見たキリクチは、産卵していたようなので、無事に成長することを願わずにはいられませんでした。

写真:弥山川で泳ぐキリクチ(?)(10月22日撮影)

(※2)キリクチとは、世界で最も南に生息しているイワナのことです。弥山川のキリクチは、奈良県の天然記念物に指定されています。

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2009年10月20日オオダイガハラサンショウウオ【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

これは一体何者でしょう!?



イモリだ!いや、トカゲか?
実はこの黒っぽい青色をした生き物、大台ヶ原に生息する「サンショウウオ」なのです。
 その名も「オオダイガハラサンショウウオ」という、大台ヶ原をはじめ全国でも限られた地域にしか生息しない生き物です。



 その日は雨で、シーボルトミミズ(※青みががった巨大なミミズ)がうようよとよく見られる日のことでした。「今日は気持ち悪いほどよく見るな~」と思っていた矢先、オオダイガハラサンショウウオに偶然出くわしました。体長は15センチほどで、じーっとその場を動かずにいました。「シャッターチャンスや!」とばかりに色々な角度から何枚も写真を撮りました。(そしていつもの事ながら、大事な写真に限ってピンボケ・・・)

 普段は石や倒木の下に隠れていることが多いのですが、地上に飛び出したごちそうのミミズたちを狙って、姿を現したのでしょうか。
 雨が降り、霧の森になった大台ヶ原では、こんなふうにオオダイガハラサンショウウオに出会えるかもしれません。

 そんなオオダイガハラサンショウウオのマスコットキャラクター
「大台ヶ原山椒太夫君(おおだいがはらさんしょうだゆうくん)」
↓↓↓もよろしくお願いします!


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2009年10月15日山上ヶ岳巡視 part2 【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
10月14日に、山上ヶ岳の巡視に行ってきました。天候にも恵まれ、気持ちの良い一日でした・・・が!さすがは山の上です。暑がりの私でも、長袖を3枚(薄手の長袖2枚とカッパ)着ていても、日が陰った途端に体や手が次第に冷たくなってゆく・・・という温度でした。皆さん、これからの登山は、しっかり防寒対策を!!
そんな気温の中、元気に(?)活動中の生き物が・・・

写真:毎度おなじみルリセンチコガネ。秋晴れの青空のような綺麗な青色の個体。
ルリセンチコガネの頭上には・・・

秋の鐘掛岩(かねかけいわ:黄色の矢印)がそびえていました。
そして、

写真:鐘掛岩からの展望(写真は小天井ヶ岳方面)
 この展望写真からも分かるように、紅葉はもうすぐそこまで来ています。見頃のピークはもうすぐで、来週あたりになりそうです。

※山上ヶ岳は、「女人結界」の門を境に、「女人禁制」とされています。詳しくは6月18日の日記「山上ヶ岳巡視」をどうぞ。(http://c-kinki.env.go.jp/blog/2009/06/18/index.html

なお、紅葉をご覧になる場合は、稲村ヶ岳をはじめ、山上ヶ岳周辺の他の山々からでも堪能することが出来ます。

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2009年10月06日吉野山 【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
非常に強い台風18号が接近&上陸しそうですね。吉野自然保護官事務所のある奈良県吉野郡は直撃しそうな雰囲気が漂っています・・・皆さん予報や警報などをしっかり確認し、十分ご注意ください!

 今回は、大峯奥駈道の出入口となる吉野山に焦点を当てようと思います。吉野山と言えば・・・サクラ、葛が有名ですね。しかし!それだけではなく、梅雨時期には道沿いのアジサイも見物です。また、霧がかかった幻想的な吉野山を雨の日限定(?)で見ることができます。雨の滴る本日、幸いにも雲海を見ることができました!「吉野山でこれほどの濃霧を見たことがない」というほど霧が出ていました。これも台風の影響でしょうか?


写真:吉野山の雲海(10月6日撮影)

 さて、続いては皆さんお待ちかね(?)の吉野山の紅葉情報です!
 大峯の山々ではちらほら紅葉していましたが、やはり大峯よりも標高が低いからか、「紅葉するにはまだちょっと早い」という状態でした。ピークが来るのは11月頃でしょうか?また追って紅葉情報をお知らせしたいと思います!お楽しみに!!


写真:下千本駐車場付近の斜面の紅葉情報(10月6日撮影)

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2009年10月05日筏場道の魅力【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原へは車も通れる「大台ヶ原ドライブウェイ」があるおかげで、簡単に山の上まで行く着くことができます。そのためか、ふもとから大台ヶ原へと登る登山道はあまり知られていませんが、この登山道にもたくさんの魅力が詰まっています。

 奈良県川上村から大台ヶ原へと伸びる筏場道(いかだばどう)と呼ばれる道もそのひとつで、現在は一部が通行止めになっているため大台ヶ原の上まで登ることはできませんが、登山口から約1時間~1時間半ほど、吉野川の源流である本沢川に沿って歩くことができます。
 筏場道が山の上まで開通していていた頃は、登山者の一番多く通る道であり、大台ヶ原ドライブウェイが開通してからも「バスで大台ヶ原に登るなんて!」という岳人によく利用されていたそうです。


筏場道の様子。川沿いを歩く道は平坦で歩きやすく、ハイキングにぴったりではないでしょうか。


道から見える風景。こんなのどこから来たの?と思うほど大きな岩が渓谷の風景を迫力あるものにしています。
水は青く透き通る宝石のようです。


大台ならではの「苔」がみずみずしく茂っています(左)。
時にはこんな住人(ゴホンダイコク:なんとカブトムシみたいなりっぱな長い角が1本ついている、驚きのカッコカワイイ糞虫の仲間)がひょっこり顔を出します(右)。


~注意~
山中の歩道は自然災害の影響を受けやすく、雨が続いたり台風が通過した直後などは、木が倒れていたり道が崩れやすくなっていることがありますので、十分にお気を付けください。

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