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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2009年12月14日ハイシート【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 前回の日記でもお伝えしましたが、大台ヶ原の森林の衰退の原因の1つとして、シカの数の増加が挙げられています。シカの数は増えすぎると、樹木への食害の影響が大きくなってしまうため、大台ヶ原ではシカの数を調整する取り組みが行われています。




↑シカの食害を受けた針葉樹林。このように樹皮をぐるりとはがされてしまうと、最後に木は枯れてしまいます。

 色々な種類の罠を仕掛けたり、銃を使ってのシカの捕獲を行っていますが、その手法も現在進行形で色々と工夫がなされています。そのひとつとして、実用化できないかその効果を試しているのが、この「ハイシート」と呼ばれるものです。


↑クリックで拡大!

 高々と木の上に取り付けられたこのイスは、「わ~座ってみたい!!」と私の心を引きつけましたが、皆様これはなんだかおわかりでしょうか。
 地上から約4~5メートルの高さに取り付けられたもので、シカの死角になるこのイスの上から、麻酔銃などによる捕獲を行うためのものだそうです。大台ヶ原では、まだ試験的に人がイスに座り待機し、いかにシカに気付かれずに人の気配を消すか工夫をこらしている段階にとどまっていますが、海外などではすでに実用化されているのだそうです。

 私が以前留学をしていたオーストラリアでも、カンガルーの数が増えすぎていたため、数の調整を行っていました。(増えすぎたカンガルーは自然界のバランスを崩すだけでなく、牧場の家畜が食べる牧草を、食べ尽くしてしまうからだと記憶しています。)

 遠い国の話しだけではないのだな~、と少しでも身近な出来事なのだと皆様にも感じていただければ幸いです。

===================お知らせ===================
 大台ヶ原山上の駐車場へと続く、大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は冬期閉鎖中のため、車の通行ができません。
閉鎖期間:今年12月1日(火)午後3時~来年4月22日(木)午後3時まで
(気候の状況などにより日程が変更される場合があります)

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2009年12月09日登山者カウンター 【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
この数日、吉野では良い天気が続いています。お陰で朝晩の冷え込みがまた一段と激しくなっているような気がします・・・

 さて今回は、冬の登山口の情報をお伝えしたいと思います。昨日(12月8日)、弥山への登山口がある行者還(ぎょうじゃがえり)トンネルの西口に設置していた登山者カウンターの回収に行ってきました。

写真:行者還トンネル西口(登山口)に設置していた登山者カウンター(12月8日撮影)
皆さん、お気づきでしたか?この場所に今年の4月下旬からひっそりと佇んでいたのです。行者還トンネルに至る国道309号ももうすぐ冬期閉鎖(※)となるので、このカウンターも今年のお役目を終え、回収することとなりました。

(※)弥山登山の主要な登山ルートとなっている行者還トンネルの西口付近に至る道路(国道309号線)の一部が冬期通行止めとなります。ご注意下さい。
  閉鎖場所:天川村 大川口 ~ 上北山村 西原
  閉鎖期間:平成21年12月15日(火)午後3時 ~ 平成22年4月15日(木)午後3時まで
(※気候の状況などにより、日程が変更される場合があります。)


 行者還トンネル西口付近の状況は・・・
この登山者カウンターを回収した12月8日は快晴だったので、暖かいだろうと勝手に思いこんでいたのですが、出発前に事務所で「夕方になると道路が凍結するよ」と話をしていて、「まさか・・・」と思い出発しました。登山口近くまでは何事もなく、いつも通りの道でした。ところが!!「まさか・・・」が「まさか!!」に変わるものを発見してしまいました。

写真:道路脇にできていたつらら(12月8日撮影)
この数々のつららは、長さが30㎝ほどもある巨大なものばかりでした。行者還トンネル西口付近は登山口と言えども、標高が1100mほどの高さに位置しています。やはり山は侮れないと実感しました。

このように、昼間でも氷が残る寒さとなっています。これからの登山、道路の通行を考えていらっしゃる方は、道路の凍結など十分に注意していただきたいと思います。

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2009年12月07日しょっぱい罠【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 タイトルを読んで「?」と思った方もいらっしゃるでしょうか。ところが大台ヶ原には、「甘い罠」でなく「しょっぱい」罠が存在するのです。



木の枝からぶら下がっているのが「しょっぱい」罠です。②は拡大したもの。脱脂綿のようなものに染みこんだ、茶色いものは醤油です。

 この罠は、シカをおびきよせる罠として試験的に作られたものなのです!
※大台ヶ原にはシカを捕獲する罠がいくつかありますが、これについては効果があるかを試している段階です。

 前回の12月4日の朝倉さんの日記などでもお伝えしていますが、大台ヶ原の森林の衰退の原因の1つとして、シカの数の増加が挙げられています。こうした罠は、大台ヶ原のシカを捕獲して、シカの数を調整するために取り付けられているのです。 

しかしなぜ「しょっぱい」必要があるのでしょうか?

 シカにとって山には豊富な食料がありますが塩分が乏しく、足りない塩分を補うためにシカがこの「しょっぱい」匂いに寄ってくるのだそうです。(例えば梅干が入ったお弁当を食べたりしていると、シカが寄ってくるのだとも。)



↑そして「しょっぱい」罠の下には、シカの足を捕まえる罠が仕掛けてあります。

 今回初めてこうした罠を、実際に見せていただく機会に恵まれました。今後も、大台ヶ原で行われている自然再生の取り組みを、少しでも皆様に、具体的に伝えられるようにしたいと思います。

===================お知らせ===================
 大台ヶ原山上の駐車場へと続く、大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)は冬期閉鎖中のため、車の通行ができません。
閉鎖期間:今年12月1日(火)午後3時~来年4月22日(木)午後3時まで
(気候の状況などにより日程が変更される場合があります)

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2009年12月04日大台ヶ原でのお仕事 【動物】【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
最近の吉野の朝は、晴れる日は冷え込みが激しく、雨の日は暖かい・・・でも雨は嫌だ・・・という複雑な気分になっています。どっちが良いのか悩むところですが、やっぱり晴れの日が清々しくて良いですね!

 今回は、大台ヶ原で12月2日~4日にかけて行った「ニホンジカの個体数調整」についてお話したいと思います。
まず「個体数調整」とは、健全な森林生態系を守るため、ニホンジカの数を適正にしよう!という取組です。大台ヶ原ではニホンジカの数の多さが問題となっています。普通、野生動物を見ることはあまりありませんよね?しかし大台ヶ原では、夜に懐中電灯で辺りを照らすと「ここはサファリパークか!?」と思うほどニホンジカを見ることができます(懐中電灯で照らすと、目が光ります)。

ニホンジカが増え過ぎるとどんな問題が起こるかというと・・・ニホンジカが食べる草(中には貴重な植物も!)が激減したり、樹木の皮剥ぎが増えるといったことが起こります。

では、なぜ増えたかというと・・・このことについては、さまざまな説があります。そのひとつに「狩猟の減少」があります。最近では狩猟をする人が減ってしまい、ニホンジカが増えてきているというものです。そこで、この「個体数調整」では「猟友会」の皆さんに大台ヶ原に入ってもらい、銃とワナを使って昔のようなバランスの良い状態を取り戻すように頑張っています。
私たちは安全対策として、猟銃使用の個体数調整中に大台ヶ原に登山者が入って来ないように、登山ルートがある場所で見張りをする予定でした。
しかし、12月3日は大台ヶ原お得意(?)の雨&霧に見舞われ、中止となってしまいました。

写真:12月3日の大台ヶ原駐車場の様子

また、12月なので気温がとても低いだろうと思い、準備万端で臨んだのですが、大台ヶ原ビジターセンター前に設置してある温度計を見ると!4℃でした。普通なら「寒い」と思う気温ですが、-2℃などの気温を見てきた後では、「今日は暖かいなぁ・・・」と思ってしまいました。

写真:大台ヶ原ビジターセンター前の温度計(12月3日12時頃撮影)

 今回の個体数調整などの取組で、「自然界ではバランスが重要」ということを改めて考えさせられます。「食物連鎖」という言葉がありますが、生き物の間では必ず「食う、食われる」の関係が存在し、その関係は複雑に絡み合っています。ニホンジカでは、「食われる」関係に人間による「狩猟」も関係していたのです。そのことをきちんと認識し、人間とニホンジカや大台ヶ原の自然について今後もしっかりと考えていきたいと思います。

===========お知らせ===========
 大台ヶ原地区担当の青谷ARがお知らせしているように、大台ヶ原では、来年の春までドライブウェイが通行止めとなっています。ご注意下さい。

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2009年12月01日森から見る【動植物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原の自然について、長きにわたって研究や調査を続けていらっしゃる方々がいます。先月の終わりに、大台ヶ原で行われている自然再生事業(※)についての意見交換がありました。そこで私は、これまで大台ヶ原で行われてきた研究内容や調査結果の講演を聞ける機会をいただきました。

※この事業の詳細は、吉野熊野国立公園大台ヶ原HP 
http://c-kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/odai_top.htm 
から、「大台ヶ原自然再生」へGO!

 翌日は講演をしてくださった先生と大台ヶ原へ。長く大台ヶ原の森を見つめてこられた先生に色々なことを教えていただきました。


問題:木の幹に亀裂が入っていますが、これはある動物が残したものです。
(ヒント:熊の爪痕ではありません)



正解はシカが角を磨いた跡!なのだそうです。
(角が痒いかどうかは不明ですが)
 しかしこの話はこれだけでは終わりません。いったん木の幹に傷がつくと、
シカ:「ここから樹皮がめくりやすいですな~。」
となってしまい、シカが口を使って木の皮を剥ぐ、というシカの食害にあいやすくなってしまうのだそうです。
 大台ヶ原では、トウヒやウラジロモミといった針葉樹林を中心に、シカの大きな食害にあうと、木々が次々と枯れてしまうことがあるので問題になっています。

 こうした経過が明らかになってきたのも、長年のねばり強い研究の成果なのだな~と思うと、ますます頭が下がる思いです。自然の本当の面白さは、本の中にではなく、自然の中にあるのですね!
 さあ皆さんもぜひ大台ヶ原へ・・・来年の春に! ↓↓↓

===================お知らせ===================
 大台ヶ原山上の駐車場へと続く、大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)が冬期閉鎖となり、車が通行できなくなります。
閉鎖期間:今年12月1日(火)午後3時~来年4月22日(木)午後3時まで
(気候の状況などにより日程が変更される場合があります)

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2009年11月26日大台ヶ原年末大掃除【イベント】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 11月の3連休の2日間にわたって大台ヶ原の大掃除が行われました。
【1日目】


 大台ヶ原のパークボランティアの皆さんと共に、ビジターセンターの協力もいただきながら、まずは!道路沿いのゴミを集めます。
その日の気温は2~3℃・・・このまま冷えれば雪が降るかも?と思うような寒い中での作業でした。

 落ちているのは空き缶、空き瓶、お菓子の空き袋、プラスチックの破片、遠い昔に捨てられたと思われる得体の知れないもの、ネット、タバコの吸い殻、みかんの皮、キウイ・・・キウイフルーツ???



①なぜかこの日は10個くらいのキウイフルーツが次々と発見されました。誰かがうっかり落としてしまったのでしょうか。
②3時間ほどかけて集まったゴミは軽トラックにこれだけ集まりました。車の中からポイッと投げ捨てられたゴミもあるのでしょう。

【2日目】
 翌日は大台ヶ原の歩道のまわりの清掃です。こちらは昔と比べて、だんだんと集められるゴミも減ってきて、「利用者のマナーが良くなってきたんだね~。」とボランティアさんも笑顔。

 皆さん!ゴミはゴミ箱へ・・・と言いたいところですが、山にゴミ箱はありません。皆さんのゴミは、皆さんで持ち帰ってくださいますよう、ご協力をよろしくお願いします。

===================お知らせ===================
 大台ヶ原山上の駐車場へと続く、大台ヶ原ドライブウェイ(大台ヶ原公園川上線)がまもなく冬期閉鎖となり、車が通行できなくなります。
閉鎖期間:今年12月1日(火)午後3時~来年4月22日(木)午後3時まで
(※気候の状況などにより日程が変更される場合があります)

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2009年11月24日冬の心配事 【利用・施設】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
今年の冬は暖冬のようですね。しかし、管内では暖冬とは思えないほどの寒さが続いています・・・

 冬になると心配になる事がいくつかあります。
ひとつめは、「路面の凍結」です。出張時は朝早くから移動することが多いので、氷が溶ける前に移動・・・ということで、スリップに怯えながらの出張になります(車のタイヤはスタッドレス&真冬に出張はあまりないはずですが・・・)。
ふたつめは、「施設(※)」の不具合です。これは、雪や霜などで倒れたり、支柱が浮き上がったりすることがあるためです。
(※)「施設」とは、設置している案内板やハシゴ、防鹿柵などのことです。


写真:防鹿柵の完成後の検査風景(11月6日撮影)
上の写真に写っている白いものは・・・以前の日記(※)でお知らせした11月3日に降った雪です。弥山(みせん)の山の上ということで気温が低いため、日の当たらない場所では3日経ったとは思えないほど残っていました。11月6日にこの雪が残る弥山で新しくつくられた防鹿柵の完成後の点検を行いました。この防鹿柵も雪や霜などでネットが緩んで柵内にシカが進入する可能性があるので、冬の前と春にしっかりと点検する必要があります。数が少なくなったオオヤマレンゲを守るための柵なので、冬の間も何とかシカの進入&食害を防ぎ、来年にまたオオヤマレンゲの白く美しい花を見たいものです。
(※)「もう真冬? 【天候】【動物】」をご参照下さい。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2009/11/11/index.html

また、11月6日はとても天候に恵まれ、清々しい初冬の風景も見ることができました。

写真:弥山の山頂付近の森(11月6日撮影)

 ~~~~~~~~~~お知らせ~~~~~~~~~~
弥山登山の主要な登山ルートとなっている行者還トンネルの西口付近に至る道路(国道309号線)の一部が冬期通行止めとなります。
閉鎖場所:天川村 大川口 ~ 上北山村 西原
閉鎖期間:平成21年12月15日(火)午後3時 ~ 平成22年4月15日(木)午後3時まで
(※気候の状況などにより、日程が変更される場合があります。)

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2009年11月20日冬の仕事【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 大台ヶ原も冬を迎えつつあり、大台ヶ原を担当している私も事務所にこもって仕事をする日が増えました。「山が閉鎖されている冬の間は、何をしてるの?」とよく聞かれるのですが、主に書類の整理や、冬の間に行う小中学校への出前授業の準備、次年度の活動の計画を錬ったりしています。春の山開きを心待ちにしながら・・・。



↑冬の間はよくこの中(吉野自然保護官事務所)にいます。

 早々に冬を迎える山とおつきあいをしていると、まだ11月なのに私の頭の中は大晦日の気分です。今年はこうだったな~だから来年はああしたいな~などど、反省と希望をめぐらせています。特に来年のアクティブ・レンジャー自然観察会は子供達にも親しみやすいプログラムを追加できたらな~と考えています。

===================お知らせ===================
 大台ヶ原山上の駐車場へと続く、大台ヶ原ドライブウェイがまもなく冬期閉鎖となり、車が通行できなくなります。
閉鎖期間:今年12月1日(火)午後3時~来年4月22日(木)午後3時まで
(※気候の状況などにより日程が変更される場合があります)

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2009年11月16日もうすぐ冬なのに・・・ 【動物】

吉野熊野国立公園 吉野 朝倉和紀

 皆さん、こんにちは。
近畿地方では、今週もすっきりしない天気が続きそうですね。気温もどんどん低くなっているので、せめて日光浴ができるほどの天気であれば良いですが・・・

 さて今回は、そんな天気や気温に負けない(?)昆虫たちの紹介をしたいと思います。
昆虫と言えば、冬が近づいてくると見かけなくなる・・・と思われがちですが、以前ご紹介した(※)ツマグロヒョウモンなどのように、秋によく目にするものもいます。
(※)8月27日 「秋を彩る蝶 【動物】」をご覧下さい。
http://c-kinki.env.go.jp/blog/2009/08/27/index.html
日に日に寒さが増している吉野自然保護官事務所には、つい先日から訪問者がいます。

写真:(左)立派なオオカマキリのメス(カマキリ科:11月13日撮影)、(右)コカマキリのメス(カマキリ科:11月16日撮影)
どちらとも随分と大きなお腹をしていたので、産卵場所を探していたのかもしれません。
産卵と言えば・・・

写真:ヨモギハムシのオス(ハムシ科:11月13日撮影)
写真はオスなのですが、メスは「大丈夫か!?」と思うほど大きなお腹をしており(卵が詰まっています)、事務所のまわりに生えているヨモギの葉をムシャムシャ食べています。

これらの訪問者は事務所の外なのですが・・・事務所内にも侵入してくる者もいるのです!

写真:事務所に侵入した謎のイモムシ(ケムシ?)(11月13日撮影)
さらに何と!!この写真を見ていただくとお分かりいただけると思うのですが、写真左に写っている黒い棒はシャープペンの芯(直径0.5mm)なのです!!小ささがお分かりいただけるでしょうか?蛾(ガ)の幼虫には間違いないのですが、何しろ小さい(まだ卵から孵ったばっかり?)ので何という種類なのかは分かりません・・・しかし、一体どこから侵入したんでしょうか?

 このように吉野自然保護官事務所では、冬を目前としていながら、昆虫たちの賑やか(?)な活動を見ることができます。昆虫は、都会のど真ん中ですら生息しており、観察することができる生き物です。観察するコツは、舐めるように植物や地面を見ることです。皆さんの家のまわりにも、きっと昆虫たちが生息し、賑やか(?)な活動があるはずなので、天気の良い日に観察してみてはいかがでしょうか?きっと新しい発見や感動の場面に遭遇できるはずです!!

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2009年11月13日木の子供【植物】

吉野熊野国立公園 吉野 青谷咲子

 11月3日、大台ヶ原でとうとう雪が積もりました。「積雪は10センチほどで見渡す限りの雪化粧となり、すばらしい景色であった!」と西大台利用調整地区(※)の巡視員さんからの一報。翌日の3日は大台ヶ原の山頂近くで富士山が見えたとのこと!大台ヶ原では、台風の後や空気のとても澄んだ日などに富士山を見ることができるのです。

 うわ~いいな~!はやく山に行きたいな~、と思ったその数日後の6日に大台ヶ原の植物調査のため、パークボランティアさんと大台ヶ原でお仕事でした。幸か不幸か、この日は汗ばむくらいの晴天で、雪もほとんど溶けてしまっていました・・・。

 毎年行われているこの植物調査は、主にトウヒやウラジロモミといった針葉樹の子供(実生=「みしょう」と呼ばれています)の成長を記録するもので、平成16年から始まり、今年で5年目となりました。長い月日が経つと、成長の勢いがぐんと増した子供達も現れだして、ボランティアさん達もまるで我が子の成長を見るかのように嬉しそうです。


 このトウヒの子↑は平成17年生まれ。身長は3.5センチだったのが今年で5センチまで伸びました。4年でたった1.5センチしか伸びていませんが、針葉樹は子供の間はこんなふうに成長が遅いのだそうです。


 子供達の周りにはまだ雪が残っていました。


 新しく子供が生まれているのを発見しては喜びの声をあげ、また来年への成長を願って大台ヶ原を下りました。
参加していただいたボランティアの皆様、どうもありがとうございました。


※「利用調整地区」とは、将来にわたり良好な自然環境を保持し、より質の高い自然体験の場を提供するため、自然公園法に基づいて立入り人数等を調整する区域のことです。現在、吉野熊野国立公園大台ヶ原の一部地域(西大台)がこの利用調整地区に指定されています。

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