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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 熊野

355件の記事があります。

2007年11月09日季節の移ろい 【動物】【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

皆さん、こんにちは。
熊野では最近窓を開け放していると寒く感じる季節となり、そろそろ冬支度をし始めようかと考えています。

宇久井ビジターセンターの遊歩道にて季節の移り変わりを感じました。



〈種〉アサギマダラ 
〈科〉チョウ目 タテハチョウ科
ここ宇久井では秋頃から観察できるようになりました。長距離移動するチョウで秋になると南西諸島や台湾等の南方に移動し、そこで繁殖した子孫が北方へ戻ってきます。
アサギ(浅葱)とは緑がかった薄い藍色の意味で、そこから名づけられました。
また白いタオルをぐるぐる回すと寄ってくる習性があるようです。

〈種〉ヤマトシジミ 
〈科〉チョウ目 シジミチョウ科
小型のチョウで本個体はメスです。ツワブキ等を食草としているためなのかツワブキの付近に多くいました。


観察できるチョウが夏期よりは少なくなったように思いますが、夏とは違った種類がみられます。気候も適していますので、チョウの散策でもいかがでしょうか。

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2007年11月08日熊野花ごよみ -11月-  【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 鈴木さやか

こんにちは、熊野アクティブ・レンジャーの鈴木です。
今日は久しぶりに「花ごよみ」シリーズです。


写真:セイタカアワダチソウ(2006.10.13撮影)
【学名】Solidago altissima
【科】キク科
【花の咲く時期】10~11月

最近、野原などが黄色一色に染まっている光景を目にしたことはありませんか?今花盛りのこのセイタカアワダチソウは、北アメリカ原産の多年草植物です。その繁殖力はとても強く、種子だけではなく、根も使って生育範囲を広げているそうです。


写真:「オーシャンブルー」(2007.11.8撮影)
【学名】Ipomoea indica
【科】ヒルガオ科
【花の咲く時期】6月~冬

亜熱帯原産のノアサガオの突然変異亜種のようです。リュウキュウアサガオ等様々な名前で呼ばれています。

今回紹介した植物は、宇久井半島で見られる外来種植物です。地元のボランティアさんが、駆除活動をしていますが、毎年よく生育しています。駆除活動の一環となればと願い、宇久井ビジターセンターでは今週末に外来種植物を使った「草花染め」を行います。ちなみに、セイタカアワダチソウは黄色、オーシャンブルーは桃色に染まるんです。

山や野原に生えている植物が、日本で古来から見られる「在来種」か「外来種」か、なかなか気にしている人は少ないかもしれませんが、このような視点で生き物を観察することも面白いですよ。


※「草花染め体験」の募集は定員が満員となり、締め切りました。次回をお楽しみに!

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2007年11月01日これ、なんでしょう?  【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 鈴木さやか

こんにちは、熊野アクティブ・レンジャーの鈴木です。
今日は私のお気に入りのひとつをご紹介します。

写真:(2007.11.1撮影)

これ、なんだと思いますか?ヒントは、海の生き物!
答えは………ウニ!!そう、これはウニの殻なんです。
寿司ネタにもなっているウニは、軍艦巻きの王者と思っている人も多い(?)はず。このウニは、コシダカウニといい、他のウニと違って「腰が高い」…つまり殻に高さがあります。

ウニにも色々と種類があり、殻を見てもその種類を判別できるんですよ。

写真:殻が楕円形なナガウニ(2007.11.1撮影)

写真:殻が平たいアカウニ 生きている時のトゲは赤色です(2007.11.1撮影)

写真:シラヒゲウニ トゲは白やオレンジ色です(2007.11.1撮影)

こう見てみると、名前って「見たまま」ですね。
植物同様、海の生き物の名前もおもしろいです。

この他にも、熊野の海の中には様々な種類のウニがいるんですよ。

写真:生きているノコギリウニ(2000.7.20 串本にて撮影)

写真:生きているガンガゼ(2006.7.20 串本にて撮影)

潮だまりにはガンガゼがいたり、海岸を歩いていれば、打ちあがったウニの殻を発見することもできますよ。なかなか割れずに綺麗に残っている殻を見つけることは難しいかもしれませんが、見つけたときの感動はひとしおかも。

今日紹介したウニの標本は、宇久井ビジターセンターに展示中です。
是非、じっくりと見に来てください☆

宇久井ビジターセンター http://www.ugui-vc.jp


※今回紹介したウニの中には、毒のあるものもあります。すべて寿司ネタにはならないので、要注意なのです。

 

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2007年10月30日名前の由来 【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

皆さん、こんにちは。
最近かなり涼しくなって秋の深まりを感じるこの頃ですが、未だに蚊の活動が衰えをみせない熊野からお伝えします。

本日宇久井ビジターセンターの遊歩道で観察できた、最近咲いている植物について書きたいと思います。

ツリガネニンジン キキョウ科ツリガネニンジン属
釣り鐘型の花と太いチョウセンニンジンに似た根を持ち合わせていることからこの名がつけられたようです。
葉の形が大きく変化し、変異が大きいため花が咲いていない時期は判別が困難です。
また春の若芽は食用にでき、かなり美味しいようです。


ツワブキ キク科ツワブキ属
葉がフキに似て厚く、表面につやがあるので、「ツヤブキ」が変化してこの名がついたようです。若い葉柄は佃煮にして食用にでき、葉はあぶって腫れもの等に張るみたいです。


ママコノシリヌグイ タデ科イヌタデ属
本種はちょっと恐ろしい名前で、漢字で書くと「継子の尻拭い」と表します。つまり継子にこのトゲのある茎で尻を拭くことからきています。
このトゲで周囲の植物等に絡み付いて成長します。

様々な生き物の名前の由来を調べてみると意外な驚きや発見ができて、直接観察とはまた違った興味や関心を惹かれるかもしれません。

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2007年10月23日魅力、発掘!!  【その他】

吉野熊野国立公園 熊野 鈴木さやか

 みなさん、こんにちは!
 今日は熊野アクティブ・レンジャーの鈴木からお届け致します。

 最近、熊野地域は晴天続きで、空がとてもきれいなんですよ。紀伊半島の東側に位置する熊野は、朝日か夕日かといわれると…朝日!と思われてしまいがちでしょうか。けれども、夕日もとっても綺麗なんですよ!

写真:鍋島の夕日 (2007.10.20撮影)

 この写真は宇久井半島入り口から見た風景です。鍋島は宇久井湾にある島で、宇久井半島のすぐ隣に位置します。鍋島には鳥居もあり、宇久井の人たちにとって特別な場所とされていたのかもしれません。

 宇久井半島周辺にはこのような島が点在していて、赤島や地ノ島、それから目覚山(現在は陸続きとなっていますが、昔は離れ小島で目覚嶋と呼ばれていました)など、磯釣りのポイントとしても有名なのだそうですよ。

 現在、畝井アクティブ・レンジャーを筆頭に、宇久井ビジターセンター職員さんの協力のもと、宇久井半島の見所をわかりやすく紹介できるようなマップを作成中です。今回紹介したような、きれいな景色が見られる場所等々も紹介していければと思っています。これからもどんどん宇久井半島の魅力を発掘して、みなさんに紹介していきたいと思いますので、乞うご期待ください☆

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2007年10月17日事務所及びVCへの来訪者 【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

皆さん、こんにちは。
近頃昼間は天候が良好で気持ちの良い日が続いています。気温も過ごしやすくなり快適な日々が流れています。

本日は熊野の事務所と、宇久井ビジターセンターにご訪問してくださった?トンボをご紹介したいと思います。

<熊野自然保護官事務所にご来訪>
クロイトトンボ (トンボ目イトトンボ科)

全体的に黒色をしていますが、胸部の横側と腹部の先は非常にきれいな青色をしており対照的で目立ちます。大きさは3cm程度で、春から秋に活動します。クロイトトンボの中には類似種がありますが、本種のオスは胸部の横側が粉をふいたようになるようです。

<宇久井ビジターセンター(VC)にご来訪>
カトリヤンマ (トンボ目ヤンマ科)

主に蚊等を採食することからこの名がつきました。複眼という眼が非常に大きく、胸部は緑色をしているのが特徴です。北海道の一部とその他の日本全土に生息し、夏から秋にかけて活動します。

来所記念の撮影をさせていただいた後、無事お帰りいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます、ありがとうございました。

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2007年10月12日宇久井の魅力を記録 【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 鈴木さやか

 こんにちは。熊野AR鈴木です。
 今日の熊野は久々の青空が広がりましたよ?。すがすがしい秋空を堪能しました。

 さてさて、宇久井ビジターセンターでは6月から作品を募っていた「第一回宇久井半島フォトコンテスト?海人も森人も集合!写そう宇久井半島のこんな魅力?」の受賞作品11作が決まりました!

 グランプリは「「外の取」の日の出(丸井規男氏撮影)」。紅の空からあがる太陽がとても美しく、「外の取」海岸がいつもとは全く違う姿に見えます。宇久井の海もとても綺麗です。準グランプリは「早朝の砂浜を清掃する住民(三枝敏邦氏撮影)」、3位は「半島の恵みを自然塾と一緒に収穫(猪島郁氏撮影)」と、2作品とも宇久井半島らしい人と自然との関わりを写した写真です。これらの作品は、宇久井ビジターセンターの来館者の投票により決定したものです。応募して下さった方々、それから投票して下さった方々、ありがとうございました!

写真:上位3作品の授賞式を先日行いました。みなさん、おめでとうございます!(2007.10.6撮影)

これらの作品は10/31(日)まで宇久井ビジターセンターで展示します(毎週水曜日は休館日です)。宇久井のさまざまな魅力がつまっている作品ばかりです。是非是非、見に来て下さい。

写真:受賞した11作品を展示中です。(2007.10.5撮影)

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2007年10月04日子どもパークレンジャー 【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 皆さん、こんにちは。
ようやく秋らしい日が続くようになりましたね。でもこちら熊野ではまだまだ蚊に対する警戒は怠れません(今日も3カ所刺されました)。

 さて、今年度3、4回目となる子どもパークレンジャーが2日間にわたって開催されました。この度は前回と違って、地元の中学生を対象に実施しました。テーマは「宇久井の森にせまる!」で、宇久井ビジターセンター付近にある森林の樹種等を調べたり、荒廃しつつある森林の整備を行ったりしてもらいました。

樹高や直径を測量しました。高い樹木は14m位ありました。

コドラートを作って周辺のタケやツル類の除去を行い、区画内の稚樹について調査しました。


調査の発表のようす。

昔は人の手が入って維持されていた里地環境が全国各地で保てなくなってきていますが、本活動を通じて身近にもこのような環境があることに気づいてもらえれば思います。

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2007年10月02日まだまだ…潮だまり! 【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 鈴木さやか

 こんにちは。熊野AR鈴木です。
 ここ数日、どんよりとした雲り空が続いています。今日も雨が今にも降り出しそうな天気です。…が、こんな秋のような気候ですが、まだまだ熊野では海や川遊びが楽しい季節!
ということで、今日は13日に開催するアクティブ・レンジャー観察会をお知らせします。

 観察会では、吉野熊野国立公園に指定されている宇久井半島地玉の浜で、海の水たまりである「潮だまり」にスポットを当てて磯の生き物を観察します。先週、地玉の浜ではスズメダイの群れがよく観察できましたよ。

写真:この水槽には、顔に青い線が入っているネズスズメダイと黄色いラインの入っているイソスズメダイ等写っています。(2007.9.30撮影)

 10月には10月の面白さがあります!みんなで10月の生き物の様子を観察してみませんか??ご参加お待ちしています。

 詳細はこちら↓↓↓
 
吉野熊野国立公園 自然観察会
? アクティブ・レンジャーと宇久井自然体験 潮だまりウォッチング ?

■開催日時■
平成19年10月13日(土)        
9:30?12:00(受付は9:00?)
■参加対象■
小・中学生と保護者(小学生は保護者同伴)
■募集人数■
15名(先着順)
■集合場所■
宇久井ビジターセンター(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町宇久井) 
■参加費■
100円(保険代)
■持ち物■
濡れてもよい服装、かかと付サンダルとくつ下(または濡らしてもよい靴)、タオル、帽子、飲み物、日焼け止め対策、雨具、着替え
■開催条件■
前日、17時時点での気象庁発表の天気予報で、開催日午前中の和歌山県南部の降水確率が50%以上の場合、また波浪・高潮・雷の各注意報が発令された場合は中止とします。その他開催が難しいと判断した場合には中止とします。中止の場合は参加者に電話連絡します。

■申込先及び問い合わせ先■
参加希望者は観察会前日までに近畿地方環境事務所熊野自然保護官事務所まで電話でご連絡ください(TEL:0735-22-0342 受付時間8:30?17:30)


写真:前回の観察会の様子(2007.8.25撮影)

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2007年09月28日串本モニタリング 【動物】【その他】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

皆さん、こんにちは。
日中は暑いですが、朝晩は過ごしやすくなってきた熊野から報告します。
環境省が全国各地にモニタリング地点を森林・草原、里地里山、干潟、サンゴ礁等の生態系毎に合計1000箇所程度設定し、長期的な観測を行うため環境情報の収集を継続的に実施・蓄積していく「モニタリングサイト1000」が行われています。その一地域に設定されている串本海域におけるモニタリングのため、野村恵一氏ら串本海中公園センターの方々に同行しました。
 

モニタリングサイト1000の旗

イシサンゴ目ミドリイシ科 クシハダミドリイシ   
串本海域で最も多く見られるサンゴの一つです

スズキ目スズメダイ科 ソラスズメダイ   
鮮やかな青色をしています(飼育すると鮮やかさは損なわれてしまうそうです)

スズキ目ツノダシ科 ツノダシ  黄、黒、白でカラフルです

イシサンゴ目ミドリイシ科 ヒラニオウミドリイシ  本州ではこの地域にしか生息していないようです

シサンゴ目ミドリイシ科 ヒラニオウミドリイシ  白化しています

 これまで見たことのないサンゴや魚を多く観察でき感動を覚えました。海洋の規模から考えるとほとんど離れていない距離でも、生息しているサンゴや魚類が大きく異なっており、串本海域は狭い範囲でも様々な地形を形成していて、多くの生物を育んでいるのだなと実感しました。
 一方、現在問題となっている白化現象が調査を行ったほとんどの地域で見られました。台風や温暖化等の影響によって白化が発生しているといわれています。このような貴重な自然を今後も維持できるように、努めていかなければいけないと感じさせられた調査となりました。

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