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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 熊野

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2009年07月03日串本海中観察会 【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 昨日、7月~9月にかけて環境省・和歌山県主催で全4回予定している串本海中観察会の下見を、熊野自然保護官事務所3名、和歌山県職員4名、串本海中公園センター職員で行いました。

 スノーケルは手軽に海中景観を楽しむことができるレクリエーションです。しかし万が一、途中で気分が悪くなったり、しんどくなったりした参加者が出た場合の対応ができるよう、海中公園センター職員の方からスノーケルの技術指導を受けました。



 串本海域は世界最北限のサンゴ群集が広がり、約120種のサンゴが確認されています。多様なサンゴに支えられ、様々な美しい亜熱帯や温帯域の魚たちが生息しています。その豊かな海が評価され、串本海域はラムサール条約湿地※の指定や国立公園の海中公園地区にも指定されています。
 今回は、前日の大雨の影響で透明度が良くありませんでしたが、本番は梅雨明けしているので、見事なサンゴの群落や綺麗な魚たちを観察できるのではないかと思います。


串本海域で多く見られるクシハダミドリイシとスギノキミドリイシ
撮影:2008.07.15

※正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」です。湿地、湿原、泥炭地、陸水域、水深6mを超えない海域等を湿地と定義して、国際的に重要な湿地が登録され、日本には33箇所が指定されています。

 今回の下見で安全確認を行いましたので、当日は安心してご参加していただけると思います。是非参加されてみてはいかがでしょうか。



串本海中観察会の詳細は以下の通りです。
(第1回の7月26日は好評につき、定員となりました。ありがとうございました。)


串本海中公園観察会 ~スノーケルでサンゴの海を体験しよう!~ 

主  催:近畿地方環境事務所、和歌山県
協  力:株式会社串本海中公園センター
後  援:串本町
場  所:和歌山県東牟婁郡串本町 串本海中公園センター
開催日時:1回目 平成21年7月26日(日) 9:45~16:00
     (予備日時:8月1日(土) 9:45~16:00)
     2回目 平成21年8月20日(木) 9:45~16:00
     (予備日時:8月28日(金) 9:45~16:00)
     3回目 平成21年8月27日(木) 9:45~16:00
     (予備日時:8月31 日(月) 9:45~16:00)
     4回目 平成21年 9月 6日(月) 9:45~16:00
     (予備日時:9月12日(土) 9:45~16:00)
内  容:①串本海中公園の生き物についての解説
②スノーケルの使い方に関する実技講習
③スノーケリングによる海中観察 
集合場所:和歌山県東牟婁郡串本町 串本海中公園センター 錆浦海中公園研究所前
持 ち 物:水着、タオル、軍手、スノーケル用具
(マスク、スノーケル、フィン、ウェットスーツは無料貸し出しがあります。)
参 加 費:2,000円(保険代、昼食費、施設使用代)
参加資格:小学4年生以上(小学生は保護者同伴)
定  員:各回20名(先着順)
開催条件: 開催日前日17:00の気象庁発表の天気予報で、和歌山県南部に波浪警報が発令された場合は延期とする。なお、波浪警報が出ていなくても海中公園センターと協議し開催が難しいと判断された場合は延期とする。その場合は、参加者に当日8:00までに電話連絡する。
申込方法:1人1回の申し込みとし、6月26日から2日前までに近畿地方環境事務所熊野自然保護官事務所に電話にて申込。 TEL:0735-22-0342  受付時間:9:00~17:00(平日)

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2009年06月24日巣 【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 宇久井ビジターセンターの軒先に、先日まで一時的に居住していた野鳥がいます。



 外から見た感じでは、枯れ葉等が確認できました。高所にあり、しかも奥まった場所にあるため、中まで確認できませんでしたが、雛の声は盛んにしていました。

 この巣は、イソヒヨドリという鳥の巣です。
 思い返すと、ビジター周辺にて以前イソヒヨドリをよく目撃する時期があり、草らしきものをくわえている時も確認しました。イソヒヨドリは一般に小動物を食べるため、よく幼虫やムカデ等の餌をくわえている事を見かけますが、草は初めてでした。


イソヒヨドリの雌。くわえているものは巣材のようです。

 ツバメは全国各地で人家に営巣し、よく見かける機会がありますが、今回ビジターセンターに来たイソヒヨドリは、初めて近くで確認しました。
 イソヒヨドリは熊野では優占種の一つで、見慣れているのですが、他地域では珍しい鳥のようです。また名前の一部に「イソ」というがついているので、従来日本では海岸付近に生息している野鳥なのですが、近年山の方にも分布域を拡大しているようで、名前と合致しなくなってきています。

 ビジターセンターの職員の話によると、最近雛の声が聞こえなくなったようで、無事に巣立ったようです。

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2009年06月19日ネイチャーゲーム研修 【その他】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 先日梅雨入りしたのですが、熊野では空梅雨で、ここのところ強い日差しが降り注いでいます。

 この度、主に小学校低学年担当の先生方に対して、ネイチャーゲームの講師を担当する機会を頂きました。
 小学校では、生活科や他の教科でも環境に関連した内容を扱う機会があり、教育手段の一つとして、ネイチャーゲームを取り入れたいとのお話でした。

 身近にある自然に対して、普段とは違った視点で見てみると、いつもは気付かなかった事や世界を覗くことができます。今回は主に視覚を使った、ネイチャーゲームを紹介しました。


「ミクロハイク」。虫になった気分で、虫眼鏡で小さな世界を探険します。


「森の美術館」。各々の好きな自然のポイントを絵にしてもらいます。

 昨年も同様に先生方を対象としたネイチャーゲーム研修を行ったのですが、この研修を受けて、先生方がネイチャーゲームを生徒さんにして下さったようで、これをきっかけとして、子供達が日常生活でも自然環境に目を向けることが増えたとおっしゃっていました。
 これらゲームが、楽しみながら身近な自然に目を向けてくれるような、最初のステップとなって欲しいと思います。

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2009年06月10日崖の合間 【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 昨日から梅雨入りが発表され、全国的にぐずついたお天気になっているようです。こちらでも梅雨らしい空模様になっています。

 先日、川舟に乗船し、熊野川の下流部にて植生調査を行いました。
熊野川は河口域付近においても、両岸に荒々しいそそり立った崖が多く見られます。


 そのたじろぐ程の造形にも目を奪われますが、そこに息づく生命にも感嘆してしまいます。

 崖の合間に生育している植物達です。船頭さんからの話によると、川岸に生育している植物は、下流から上流にさかのぼって開花していくようです。


テリハノイバラ バラ科

サツキ ツツジ科

 熊野川は度々増水して、そこに生えている植物達を押し流してしまいます。したがって熊野川流域は、開けた場所に最初に生えてくる植物(いわゆる先駆的植物)や根がしっかりした植物が育ちやすい環境なため、通常の河原では見られないような希少種が分布する独特な生態系がつくられています。
 この様に環境変化の激しい場所でも巧みに適応した植物達がいることに驚かされます。

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2009年06月04日環境月間 【その他】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 6月と言えば、梅雨の月を連想される方が多いかと思います。先日からここ熊野でも、すっきりとしない天気が続いていて、梅雨入りも近いかと感じる今日この頃ですが、6月は「環境月間」でもあります。


環境月間ポスター
 中でも6月5日は環境の日に指定されていて、日本の提唱により、国連でも「世界環境デー」として定められています。これを契機とし、環境保全について認識してもらうために、全国で様々な行事が催されています。

 那智勝浦町にある宇久井ビジターセンターにおいても、3R(リデュース、リユース、リサイクル)をテーマに展示を実施しています。


環境問題についての普及啓発パネル


風呂敷についての展示。
リサイクルに関連して、風呂敷をとりあげてみました。

 風呂敷は繰り返し使えて、省資源になり、使わない時はたたんで収納できます。しかも非常に機能的で、様々な形状のものに合わせて包め、また鞄にもなります。さらに実用性以外にも美しく綺麗な装いも兼ね合わせています。
 ちょっとした結び方の工夫によって、様々に変化する奥深い「風呂敷」に目を向けてはいかがでしょうか。

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2009年05月28日集合住宅 【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 本日熊野では暴風警報が発令され、大荒れの天候の中、日記を書いています。

 先日、串本町の九龍島※1にて行われたグリーンワーカー事業※2の環境調査に同行しました。非常によく潮の引く大潮の日であり、干潮時に現れた磯で、興味深いものを目にしました。


蜂の巣のように、岩に無数の穴が空いているのが分かるでしょうか。


よく見てみると、これらは生き物たちの巣穴になっていました。ヨロイイソギンチャク、ヒザラガイ等々が各々1つ1つ穴に入り、海辺地区の集合住宅と化していました。

 満潮線と干潮線の間にあたる場所は潮間帯と呼ばれ、1日の内で陸上と海中が入れ替わり、大きく環境が様変わりします。この様な変化の激しい場所にも多くの生き物たちが暮らしています。満ち潮時には海面の下に隠れてしまって、窺い知ることが出来ない環境を垣間見ることができました。

 春は昼間に潮がよく引く日があり、磯で生き物を観察したり、遊んだりするには最適の時期です。身近にあっても意外と知らない磯の世界を体感してみてはいかがでしょうか。


※1.串本町古座の沖合に浮かぶ約2.5haの無人島で、吉野熊野国立公園特別地域に指定されています。

※2.動植物の保護、環境美化、公園施設の維持管理、景観保全、調査等の業務を、地域の自然や社会状況を熟知した方を雇用して行うことにより、管理レベルのグレードアップを図る事業です。(環境省HPより)

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2009年05月19日風車・綿棒の花 【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 昼間は夏を思わせるような陽気で、植物の活動も活発になってきています。樹木の花々が次々と開花し始めています。一見何かに似ていると感じさせられる白い花をご紹介します。


テイカカズラ キョウチクトウ科
 花びらの端がねじれて、風車のような風貌をしています。このテイカカズラは、カズラの仲間なのでツル性の植物で、木々に巻き付いて成長します。今はまだつぼみが多いですが、これからどんどん花をつけ、多くの白い風車を目にすることが出来るでしょう。


トベラ トベラ科
写真はつぼみの状態です。なんだか綿棒のようなふわふわした感じがしませんか。海岸付近でよく見られ、崖などにも生育する逞しい植物です。


トベラ トベラ科
こちらは開花した状態のものです。花が密になっているため、遠くからでも白い花が目立ちます。

これから夏にかけて、色々な花が私たちの目を楽しませてくれそうです。

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2009年05月14日ツバメ 【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 宇久井ビジターセンターの近くにある休暇村南紀勝浦の施設に、ツバメの巣が作られています。

巣の下にはしっかりとした板が設置されていました。ツバメに対する愛情が感じられます。最初巣はもぬけの殻だったのですが、しばらくすると親鳥が戻ってきました。

 「ツバメが巣をかけると縁起がよい」と昔から各地で言い伝えがあるように、人と身近な鳥なので、その姿や人家の軒先などで作られた巣を見かけられた方も多いと思います。
 休暇村では昨年と同じところの巣に加えて、今年は柱を一つ隔てた横の壁にも新たに作られていました。4月には小さな雛が餌をもらう光景を見たのですが、その雛たちは巣立ったようです。今回は雛が確認できませんでしたが、この辺りでは年に数回繁殖を行うので、これからまた繁殖してくれるのではと期待しています。
 ツバメは秋になると東南アジア等の南方へ渡っていきます。これからしばらく元気に巣立っていくことを願いながら見届けていきたいと思います。

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2009年05月07日ビジターセンターでの遠足 【施設・利用】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 先日の日記で那智勝浦町にある宇久井ビジターセンター周辺の園地整備が完了したことをお伝えしました。先日、早速整備したばかりの園地を地元の中学生達が学校の遠足で利用してくれました。先生の依頼を受け、館内や野外をセンター職員と共に案内しました。

 「国立公園って知ってる人?」の質問からスタート。しかし反応は「・・・。」国立公園については、近くに住んでいても、子供たちにはほとんど認知されていない状況でした。周知を図るにはまたとない機会と思い、気を取り直して、3県にまたがって指定されている吉野熊野国立公園や、里山の自然が残る宇久井半島とそこに暮らす動植物についての解説を行いました。

館内の案内

 その後、センター周辺の園地内を散策と自然観察を行いました。この度整備された海蝕洞が眺望できる松尾展望広場、半島南端に位置し南の海岸線が一望できる駒ヶ崎灯台等を巡って、今、花が満開になっているモチツツジやアキグミ、タチツボスミレ等を観察しました。当日は天気もよく、動くと汗ばむほどの陽気のなか、春の自然を満喫してくれました。普段ほとんど接することがない自然に触れ合うことができたようで、中学生活の一つの思い出になったのではないかと思います。

園地内散策

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2009年04月21日春めく生き物達 【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 桜の花はほぼ終わりを迎えましたが、春真っ盛りとなっている現在、宇久井ビジターセンターでは、色とりどりの草花によって賑いをみせています。その一部をご紹介したいと思います。
 

ゲンゲ(マメ科)

ヒメハギ(ヒメハギ科)

タツナミソウ(シソ科)

 この他にもムラサキサギゴケ、ジシバリ等の草花やスダジイ、ウバメガシ、モチツツジ等の木々の花が咲き誇り、これらに誘われたかのように蝶達の舞いがあちらこちらで見られるようになりました。
これから次々と花を咲かせる植物や、活動が盛んになる虫たちを見るのが楽しみです。

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