ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 熊野

355件の記事があります。

2009年04月17日宇久井園地整備完了 【利用・施設】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 皆さん、こんにちは。前回は、宇久井ビジターセンターの遊歩道沿いに完成した松尾展望広場について投稿しましたが、宇久井園地内でその他の整備もこの度完了しましたので、ご紹介したいと思います。
 

ビジターセンター前の総合案内板。こちらで園地の概要が一目でご覧いただけます。


地玉の浜へ下りる階段。安全に通行できるようになりました。


周辺で観察される生き物に関する案内板。

 国立公園の特別地域に指定されている宇久井ビジターセンターの周囲は、畑地や薪炭林として利用されてきた場所で、現在は一部の畑を残して、その名残である石垣等が残存した中に椎や樫の常緑樹の二次林が広がっています。この様な人と深く関わってきた自然と触れ合っていただけるように、遊歩道が整備されています。
 今回、遊歩道を利用される方々が、より分かりやすく利用していただけるように、この周辺で観察できる動植物や半島の成り立ち、古来漁で用いられた信号旗等について記述した解説標識、分岐点の行き先や見所地点の名称の標識を新たに設置し、また地玉の浜に下りる崖道を階段状に整備いたしました。
 現在、様々な野草が色とりどりに花を咲かせ、春めいた光景が広がり、気候も穏やかで、大変お勧めの時期を迎えています!以前よりも分かりやすく、お気軽にご利用できるようになった遊歩道をお近くにお越しの際には是非ご利用ください。

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2009年04月10日松尾展望広場完成 【施設・利用】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 皆さん、こんにちは。桜の花びらが舞う中、蝶も活動が活発になってひらひらと舞い始め、目にする機会が増えてきました。

 那智勝浦町宇久井半島にあるビジターセンターの園地整備が行われていましたが、先日整備が完了し、展望広場が完成しました!


松尾展望広場から見た海蝕崖。

海蝕洞がドバトの羽休み場となっていました、こんな地形でも活用されている様です。

 展望広場からは、広大な熊野灘を一望でき、リアス式海岸の荒々しい海食洞や海食崖を観察することが出来ます。
ビジターセンターから遊歩道を通り、5分程度で行くことができ、気軽に観察できるようになりましたので、お越しの際には是非ご利用ください。

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2009年04月03日混声合唱団 【動物】【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 新年度が始まり、今年度最初の投稿となります。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
このところ熊野では強風が吹き荒れ、その風に乗って黄砂も多く飛び、大気が霞みがちになっています。こうした中、黄砂と共に見ごろを迎えた桜の花びらも風に乗り、桜吹雪の光景が見られます。
この現在満開になっている桜を舞台にして、混声の合唱団が結成されています。




桜に訪れたメジロ(上)とヒヨドリ(下)

 合唱団の構成員はメジロとヒヨドリです。桜の蜜を目当てに、群れになって訪れます。その際にしきりと鳴き声を交わし、少し騒がしく感じる時があるくらいです。
 この頃花冷えの日々が続き、また雨も降っていないことから、今年は例年より、長い期間桜を目にすることが出来ており、もう数日間私たちの目を楽しませてくれそうです。

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2009年03月26日ネコの尻尾 【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 春分の日を過ぎて、サクラ便りは全国各地で届けられる様になりましたが、今日は、快晴にもかかわらず、花冷えの1日となっています。
 
 先日熊野川に巡視を行った際に発見した、春を告げる生き物について、触れてみたいと思います。


ネコヤナギ ヤナギ科

 ネコヤナギは渓流沿いに生育し、本日の写真のものも熊野川沿いに生育していました。
 春になると、写真のようなビロードのようなふわふわした花を咲かせます。この様がネコの尻尾に似ている様からネコヤナギと呼ばれるようになったそうです。
 船に乗って巡視を行ったのですが、春を迎えても川はまだまだ寒かったです。これから春が深まるにつれ、渓流沿いでもどんどん花が咲き、春本番を迎えるでしょう。

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2009年03月18日大敷網 【その他】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 九州からはソメイヨシノの開花の便りも届き始め、春本番はすぐそこまできているようです。熊野でもヤマザクラが緑の山々を淡い桃色で彩り、春の装いを醸し出しています。
 
先日、和歌山県串本町大島の樫野崎灯台から海を眺めてみると、紺碧の海に黄色いものが連なって浮かんでいるのが確認できました。


少し分かりにくいとは思いますが、たくさん黄色いブイが浮いているのが確認できますか。遠くからでも、その大きさを実感できました。

 これは大敷網とも呼ばれる、大型の定置網です。大敷網は、大海原から魚を垣網で網の中へ誘導し、誘い込んだ魚を箱網に集め、集めた魚群を漁るという漁法です。
 この大敷網は、ビジターセンターがある宇久井でも漁で利用されており、ビジターセンターでも大敷網の模型を使った館内展示を行っています。来館された方はご覧下さい。

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2009年03月10日千穂ヶ峯ハイキング 【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 晴の日と雨の日がめまぐるしく交互に替わる日々が続いています。今、菜の花が満開を迎えていて、黄と緑の絨毯が風に揺れる有様は、春めく心地を抑えずにはいられません。

 先週末、和歌山県新宮市にある千穂ヶ峯においてハイキングイベントを開催しました。前日までは雨模様でしたが、当日は青空が戻ってきてくれ、寒くもない、絶好のハイキング日和となりました。
 当日は、お灯祭りで有名な神倉神社から千穂ヶ峯の尾根を通り、熊野三山の一つ熊野速玉大社へと抜ける経路を歩きました。
 

お灯祭りの舞台である石段から出発しました。


山頂の南側には展望台が設置されていて、新宮市内や熊野川を一望できます。


タチツボスミレに来たキチョウ。

 道中には花を咲かせ始めたアオモジ、タチツボスミレ、シロバナタンポポ、そしてヤマザクラ等が見られ、参加者の方々はそれぞれの違った美しさに魅了されていました。この他、展望地からの眺めや講師の先生方からの生き物に対する詳しい解説等にも満喫されたようで、また開催して欲しいとの声が数多く聞かれました。

 一部急な箇所は見られますが、標高もそれ程高くなく、全行程を2~3時間くらいで楽しめます。ハイキングコースとしてはお手軽なルートですので、これからの季節に散策してみてはいかがでしょうか。

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2009年03月04日野鳥観察会 【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 昨日桃の節句を迎えたところですが、ここ熊野でも暦通り桃の花が咲き始め、季節の節目を感じます。

 さて先日三重県南牟婁郡で活動している紀南活性化協議会と共催で、三重県御浜町市木川の河口にて野鳥観察会を開催しました。前日までの天気予報がずっと悪かったので心配していましたが、当日は無事晴れ間が出てきてくれました。

 今の時期はこちらで越冬する冬鳥と春に渡りを行う旅鳥、それに一年中見られる留鳥が観察できます。

 各自の双眼鏡と、さらに拡大して観察できるプロミナと呼ばれる道具を使って、歩いて回りました。

田んぼの中に居るタヒバリ(周囲と同化して見つけにくい鳥です)等を観察しています。

 この他にも「飛ぶ宝石」と呼ばれるカワセミや環境省が準絶滅危惧種に指定しているミサゴなど、33種類の野鳥が確認できました。参加者はほとんどが地元の方で、当日観察された野鳥を普段目にする機会があるのですが、普段は鳥を意識して見ないようで「初めて見た。」や「こんなにいるとは知らなかった。」等の声が聞かれました。また子ども達も参加してくれたのですが、「もっと色々な鳥を見たい。」との声が聞こえたり、観察した鳥の絵を描いたりと、予想以上に喜んでくれました。
 野鳥は図鑑で見るよりも実際に観察してみると、躍動を感じることが出来るので、是非観察されることをお勧めします。

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2009年02月24日キツツキの食事 【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 このところ熊野ではぐずついた天気が続いていますが、気温は高めのため、冷たい雨ではありません。こうした中、那智山では早春に花を咲かせる芳香性のジンチョウゲが咲き始め、辺りに香りを漂わせているようです。

 さて先日、普段はそれ程顔姿を見せない野鳥が、少しの間顔を出してくれました。


キツツキの仲間のコゲラで、スズメ位の小さな鳥です。

 写真の幹に小さな穴が開けられているのが、お分かりになるでしょうか。キツツキの仲間は、こうして幹の中にいる虫を出して採食します。普段から「ギィーッ、ギィーッ」という鳴き声やドラミングと呼ばれる木を叩く音はよく耳にするのですが、この辺りの木々は冬でも葉を落とさない常緑樹が主なので、年中茂みに隠れてはっきりと目にすることが難しい鳥です。この日は数少ない落葉樹のコナラの木の幹で、餌取りに夢中な様子が垣間見られ、久しぶりのご対面となりました。

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2009年02月18日春の足音 【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 先週末の春一番が吹きましたが、また冬将軍が再来し、冬らしい気候が続いています。しかしウグイスの囀りやスミレの開花等が確認され、春の足音が大きくなっています。

 巡視の際に、春の足音に耳を傾けさせられたものに出会いました。




 足音、それはウラジロの芽です。よく正月飾りや工芸品等で用いられ、私たちと関わりの深い植物で、中部以南にある低山の日当たりの良い遊歩道脇や林道の斜面に繁茂しています。芽吹いて間もないのか、毛羽立っていて生まれ立てのような印象です。さらに時間が経つと、下の写真のように2股になります。
 まだ2月で気温も低く、にわかには春の足音を実感しにくいですが、生き物たちに目を向けると春へと歩んでいることを感じさせられます。

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2009年02月13日筏師のみち 【利用・施設】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 以前(1/15)に海岸沿いを歩く近畿自然歩道「クジラのまち太地を訪ねるみち」をご紹介しましたが、吉野熊野国立公園は、海域だけでなく山間部も指定されており、今日は山あいを探勝する本歩道をご紹介したいと思います。和歌山、奈良、三重三県の県境となっている北山川渓谷「瀞峡」脇を通っている「北山峡筏師のみち」です。
 

歩道から垣間見た瀞峡

歩道中の石段

 かつては北山川を利用して、下流の町へ木材を筏にして運んでいました。そうした筏を操る人達を筏師と呼び、この筏師が下流から上流への帰路として利用してきた道が本歩道です。ところどころに苔むした石段や石垣がみられ、当歩道の歴史が偲ばれます。
 瀞峡は切り立った峡谷が見られ、国立公園の特別保護地区にも指定されており、探勝船や筏下りが観光として行われています。川から探勝する瀞峡も良いですが、陸から見下ろす瀞峡も渓谷美が堪能できます。視点を変えた瀞峡の楽しみ方はいかがでしょうか。

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