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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 熊野

355件の記事があります。

2010年02月24日春待ちわびし日々 【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 昨日、那智勝浦町の宇久井ビジターセンターでは、ウグイスの初鳴きが確認されました!今日も春の到来を感じさせる暖かさになり、春がすぐそこまで近づいていることを実感させられます。

先日人以外にも春の到来を心待ちしている生き物を見つけました。

クチキコオロギ マツムシ科
昆虫博士である吉野の朝倉アクティブレンジャーに尋ねたのですが、本種の生態はよくわかっていないとのことです。

 このコオロギは樹皮と樹名板と呼ばれる樹名が書かれた板の間に、ひっそりと隠れていました。オス、メスと子供と思われる小さい個体が一緒に仲良く潜んでいました。昆虫でも家族でまとまる習性をもっているかどうか気になるところです。

 皆さんの周りでも身近でも普段目に留まらない場所で冬場を耐えしのぎ、私達と同じように春を待ちわびている生き物がいると思います。普段の生活でも心の片隅に留めてみると、これまでに無い連帯感が感じられるかも知れません。

いきものみっけ参加者募集中:http://www.mikke.go.jp/

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2010年02月18日寒空の下で 【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 日本各地で寒波が押し寄せているようで、ここのところまた寒さが厳しくなり、暖房器具が恋しい日々が続いています。
 
 身がすくむような冷え込む季節にあっても、宇久井ビジターセンターの横にあるプランターにおいて、春の近づきを感じる出来事がありました。





 土の上に小さな緑色のものがあることが、分かりますでしょうか。ハマダイコン(アブラナ科)の芽がでました!右は近接した写真です。ちなみに開花時は下の写真のように、淡い紫色の花をつけます。

 種は今年の秋にまきました。乾燥した房からとった小さな種だったのですが、この寒空の下でも耐えて、地上へと姿を現してくれました。寒さに負けない力強さとともに、着実に近づく春への歩みが感じられ、元気をもらえたひとときでした。

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2010年02月10日旬情報 【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 昨日から春を思わせる陽気に包まれた熊野からお伝えします。

 今日は那智勝浦町にある宇久井ビジターセンターの園地にて旬を迎えている植物についてのご紹介です。

まずはこちら。



ヤブツバキ ツバキ科

 遊歩道沿いに生育しているヤブツバキが次々に花を咲かせています。つぼみも多数見られ、どこか哀愁を感じてしまいながらも、冬の世界で見られる数少ない花として楽しませてくれます。

次はこちら。

トベラ トベラ科

 暖地の海岸近くに自生していて、一年中葉をつけている常緑の樹木です。現在は実が熟して3つに裂けて、中の赤い実が見えています。ねばねばとした実で、メジロなどの野鳥が狙いにやって来ます。
 またトベラは枝葉を切ると悪臭がするので、節分に魔よけとして用いられるところもあるようです。

 紀南地方は真冬でも寒さがそれほど厳しくないため、このほかにも花や実をつけた植物や野鳥などの動物たちが活発に過ごしていますので、お近くにお越しの際は是非散策してみてください。自然の息づかいが感 じられること請け合いです。

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2010年02月04日「地球のいのち、えがいてみよう」開催中 【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 生物多様性という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。まだまだ認知度が低く、馴染みのない方も多くいらっしゃるかと思います。あらゆる生き物がそれぞれ豊かな個性を持ちながら織りなす様々な生態系があることを指します。

 今年は国連により国際生物多様性年に定められ、生物多様性条約※を結んだ国が集まる第10回締約国会議(COP10)が名古屋で開かれます。

※生物多様性条約:正式名称は「生物の多様性に関する条約」。生物の多様性を守り、生物資源を持続的に利用し、その利益の公平な分配を目指す。

生物多様性条約について:http://www.biodic.go.jp/biodiversity/treaty/index.html



 この会議に連動させ、日本各地のビジターセンター等にて、現在「地球のいのち、えがいてみよう」という壁面アートの作成を来館者参加型で実施しています。




宇久井ビジターセンターでの様子。

各自が身の回りにいたり、これまでに出会ったりした生き物を思い浮かべて、思い思いの生き物を折り紙やお絵かきによって表現してもらっています。

 みなさんのお陰で、1月の開始からわずか1ヶ月で用紙が賑やかになってきました。みんなで作った共同作品は名古屋に送られ、国際生物多様性の日関連イベント等で展示されることが検討されています。
 宇久井ビジターセンターでは5月の連休まで実施しますので、是非お近くにお越し下さる際にはお立ち寄り下さい。

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2010年01月28日出張授業 【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 先日の地元紙の情報によると、那智勝浦町の那智駅前にあるヒカンザクラが見頃を迎え、メジロが蜜を吸いにやって来ているとのことで、徐々に春の足音が高まっているようです。

 先日新宮市内の小学校から自然に関わる授業を行ってもらいたいとの要望を受けて、出張授業を実施しました。

 今回は葉っぱのテーマで行いました。
こちらがあらかじめ周辺地域で採集しておいた落ち葉等を、じゃんけんして集めていきます。

集めた自分の葉っぱを確認しています。


 次は自分の集めた葉っぱを用いて、葉っぱでじゃんけんをしました。最初に進行役であるこちらが、「大きな葉」「細い葉」等々のテーマを設定し、子供達は手持ちの葉っぱの中から選別してじゃんけんをします。よりテーマ沿った葉を出した方が勝ちとなります。
 若干近隣の教室の事が心配になるくらい、学年対抗戦(1、2年生)では大変な盛り上がりを見せました。


最後は自分の好きな葉っぱを選び、上に紙を重ねて写し取りました。

 身の回りの自然の持つ多様性について、理解を深めてもらえたのではないでしょうか。

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2010年01月22日御浜町のお宝発見・僕らのお宝発見 【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 三重県御浜町では現在、エコツーリズムに向けて、地域の方々と協働でワークショップ形式で取り組みを進めています。(15日の吉野ARの日記で、13日に開催された第1回のワークショップのことが取り上げられています)従って、地域の方々に、地元の魅力を再発見して頂くことが重要になります。
<参考>前回の日記(御浜町のエコツーリズムについて):http://c-kinki.env.go.jp/blog/2010/01/06/index.html

 そこでこの度「御浜で自然体験・僕らのお宝発見」と銘打って、町内を流れる志原川にて、自然観察会を開催しました。
 川舟下り等を通じて環境保全活動をされている市民団体の方々や植物に詳しい方のご協力を得て、志原川を川舟で訪ね、志原川河口に広がる湿地を探訪しました。


船底が浅い川舟で、静かな水面をすすみます。

葉を落としたハマナツメの群落。志原川は絶滅危惧種に登録されているハマナツメの日本最大規模の群生地になっています。

春先を告げるタネツケバナ。播種(はしゅ)する前のもみを水に浸ける頃に、この花が咲くことから名付けられたそうです。昔の人は自然をよく観察しながら、生活していたことがしのばれます。
 
 この他にも強い風によって、葉が枝の一方にだけつく片葉になったヨシや、節分の魔除けとして用いられたトベラの葉を観察したり、光沢のあるカワセミの行き交う姿が見られたりと、冬の志原の自然を満喫しました。
 地元の方々も普段とは違った視点で志原川を堪能し、新たな発見をされたようです。御浜町のお宝(魅力)発掘に繋がればと思います。

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2010年01月06日エコツーリズム 【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 皆様、あけましておめでとうございます。今年も吉野熊野国立公園の魅力をお伝えしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
 さて、エコツーリズムという言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。エコツーリズムとは、観光旅行者に、環境へ悪影響が及ばないように配慮しながら、地域の自然、歴史や文化などにふれあい、学び、知る、体験をしてもらう活動のことです。観光活動の過剰な利用により、自然環境が劣化するといったことがないよう、環境保全と観光活動の両方の必要性の高まりから、平成19年にエコツーリズム推進法が制定されました。

 このエコツーリズムについて、三重県御浜町の皆様と一緒に考えていくイベントを町役場と連携して実施します。

 その第一弾として、13日に「浜街道で創る御浜の未来 ~エコツーリズム検討会~」、17、24日には第2弾として「吉野熊野国立公園 自然観察会~御浜で自然体験・僕らのお宝発見~」を予定しています。


17、24日の自然観察会の詳細はこちら:http://c-kinki.env.go.jp/to_2009/0106a.html

 エコツーリズムは、観光収益により地域の活性化につなげるねらいもあります。
 検討会や自然観察会による自然観光資源の発掘によって、地元の方々が地域の魅力を再認識し、地域の自然を利用した企画が、地域主体で立ち上がる一助となればと思います。

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2009年12月21日冬の候にも 【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 先日から寒波が日本列島を襲い、各地からの日記には白銀の世界となった光景が多数投稿されていますね。一方熊野事務所がある紀南の海岸部では、気温は低いものの山々は緑の様相です。この冬の時期にも花や実をつけている植物をご紹介します。


ヤブツバキ ツバキ科
冬に咲く花の中でもとりわけ華やかで、冬の季節に彩りを添えてくれます。


センリョウ センリョウ科
マンリョウ ヤブコウジ科
縁起物として、お正月飾りによく用いられますね。

こちらは黄色い花たちです。

キノクニシオギク キク科
ツワブキ キク科

 キノクニシオギクは海岸の岩場等に咲いていて、寒風にも負けない力強さを感じます。冬の海岸に彩りを添えてくれる、紀伊半島ならではの花として吉野熊野国立公園の指定植物にもなっています。
指定植物について→ http://www.sizenken.biodic.go.jp/park/info/datalist/plant1.html

 11月末に投稿しました豊岡から飛来したコウノトリですが、先日鳥羽方面に飛び去った模様です。一ヶ月近くにわたり賑わせてくれましたので、少し寂寥の感があります。

 今日が今年最後の熊野からの投稿になります。今年もご覧頂きありがとうございました。それでは皆様良いお年をお迎えください。

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2009年12月17日視覚や聴覚から感じる暖かさ 【その他】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 前回の日記で今年の冬は暖かいですと投稿したのですが、今週に入り一気に冬を感じさせる気温となり、こちら南紀でも山合いでは雪化粧となりました。
 
 やはり気温が下がってくると暖が欲しくなります。宇久井ビジターセンターでは、館内も冷え込んできたということで、先日から暖房を使用し始めました。そこで一役買っている暖房器具がペレットストーブです。


ペレットストーブ。見ているだけで暖かくなります。

燃料となるペレット。

 ビジターセンターで使われているペレットは間伐材と木屑から作られている木製ペレットです。昨今木材生産の過程で出る間伐された木材が利用されずに山林に放置されている状態が全国的によく見られますが、ペレットはこの無駄になっている資源の活用法の一つとなっています。

 ペレットが自動的に少しずつ注入されるのですが、その時に心地良い「カラン」という音がして、音からも暖かくさせてくれます。エアコンなどの文明の利器からは感じられない感覚器官に訴えかける味わいが素晴らしい代物です。

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2009年12月11日犯人は? 【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 今日は朝から時折雷がとどろく大雨の様相です。最高気温が16度と、秋を思わせる暖かさで、今年はまだ例年より寒さを感じる事が少ないように思います。しかしもう12月も中旬に入り、街角にはクリスマスの雰囲気が感じられるようになりました。

 さて先日、宇久井ビジターセンターの園地にあった残渣(ざんさ)が何者かに食べられた形跡が数回確認されたことから、センサーカメラ※を設置して、犯人捜しを行いました。
※野生動物などが接近すると、センサーが関知して自動撮影するカメラ

犯人はタヌキでした。タヌキが右から左に移動してく様子がコマ送りのように写っています。

 宇久井半島には多数のタヌキが生息しているようで、夜間を中心に良く目撃されています。この辺りのタヌキは、疥癬(かいせん)と呼ばれるダニが寄生することにより脱毛してしまう病気にかかっていることがよく確認されています。このタヌキも少し毛が抜け落ちているので、罹病しているのではないか心配です。
 
 また、クリスマスの到来を間近に控え、宇久井ビジターセンターではクリスマス特別イベント「ビジターセンターでクリスマスツリーを作ろう!!」を開催します!
その1:まつぼっくりで作る手乗りツリー↓


 
 この他に、その2:みんなで飾る大きなツリーもあります。壁面に貼った巨大ツリーに折り紙などを使った飾り付けを行っていくもので、どなたでも自由に参加できます。
宇久井ビジターセンターホームページ:http://www.ugui-vc.jp/

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