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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2016年09月30日近畿の屋根「大峰山脈」

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

 9月は長月。その由来は夜がだんだんと長くなってくるので「夜長月」が短くなったとか、雨の多い時期故に「長雨月」から転じてなど諸説言われます。夜は長くなっても、睡眠時間はいつも同じ、吉野自然保護官事務所アクティブ・レンジャーの青谷です。

 まだまだ所によっては暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?不意の高温にご注意下さい。


 8月11日は、「山の日」ということでよしくまの山々も大いに賑わったものと思います。私も、大台ヶ原にて記念イベントなど手伝っていたのがつい最近と思っていたらもう9月も終わりです。なんとも早いものです。

 

 さて、2016年吉野熊野国立公園盛り上げよう第三弾は、大峰山脈をご紹介いたしましょう。

 大峰山脈は紀伊半島のほぼ真ん中に位置し、奈良県吉野山と和歌山県熊野本宮大社を繋ぐ大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)が通っています。国立公園のみならず、ユネスコエコパーク、世界遺産(紀伊山地の霊場と参詣道)にも登録されています。

 近畿最高峰といえば八経ヶ岳。標高1915m、オオヤマレンゲの自生地があり、植生保護のために防鹿柵を設置しています。開花時期(7月頃)には、真っ白な美しい花を見ることができます。左が弥山から見た八経ヶ岳、右がオオヤマレンゲです。

 大峯修験の根本道場大峯山寺を有する山上ヶ岳は、今も多くの修験者が訪れます。山に漂う雰囲気も、他とは違うものを感じました。心が引き締まるというか、凛とした空気といいますか、やはり霊場という雰囲気でしたね。弥山には立派な山小屋があります。近くには公衆トイレもあり、管理人の方が綺麗に保ってくれています。釈迦ヶ岳山頂では釈迦如来の像が祀られています。この釈迦如来像ですが、大正13年に強力を生業としていた岡田雅行が、一人で担ぎあげたといわれています。すごいですね。釈迦ヶ岳北側には仏生ヶ岳があります。ちなみに、釈迦ヶ岳は釈迦如来の住むこの世界とは別の所とされています。今までもこれからも、多くの人々がここで祈りを捧げるのでしょう。

写真は左から大峯山寺、弥山小屋、釈迦如来像です。

 このように、様々な山が連なる大峰山脈は「近畿の屋根」ともいわれ、今も多くの登山者を引きつけてやみません。これからは紅葉も美しい季節になりますので、秋のトレッキングに訪れてはいかがでしょうか?

 

 所によっては危ない道もありますので、ルールをしっかりと守り、万全の体調と装備でもって、どうぞお気を付けて歩いて下さい。

 それでは、今回はこのへんでご機嫌よう。


八経ヶ岳から仏生ヶ岳へ至る登山道から見える風景


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2016年09月20日神秘の森 荘厳の山 大台ヶ原を歩く

吉野熊野国立公園 井藤大樹

 今年の8月は例年と一味ちがいます。"山の日"が制定され、811日が新たな国民の祝日となりました。山の日は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としています。吉野熊野国立公園大台ヶ原地区では、山の日制定と当公園の80周年・拡張を記念して、ガイドウォークイベント"神秘の森 荘厳の山 大台ヶ原を歩く"を723日、811日に実施し、928日にも開催予定です。このイベントでは3つのツアーが同日に行われます。ひとつ目は、地元ガイドが案内する西大台ガイドウォーク。ふたつ目は、地元ガイドが案内する東大台ガイドウォーク。そして、大台ヶ原自然再生推進委員会委員がガイドする自然再生ガイドウォークです。参加者は、事前に申し込んだツアーに分かれて各コースを回ります。今回は、811日の山の日に開催された2回目のイベントについて報告します。

 今回のイベントでは、全てのツアーが募集定員に達し、一部でキャンセル待ちが出るほどの人気でした。さらに当日は、初の山の日ということもあってか、ツアー参加者以外にもたくさんの方が大台ヶ原を訪れていて、駐車場および周回線歩道は大変な賑わいをみせていました。

 西大台ガイドウォークでは、利用者の立ち入りを制限している利用調整地区内のコースを回りました。参加者は、ガイドによる大台ヶ原と地元の人との関わりについての話や動植物の解説に耳を傾けながらブナやウラジロモミの原生的な森林が広がる神秘的な雰囲気を楽しんで下さったようです。

西大台の原生林(西大台ガイドウォーク)

 東大台ガイドウォークでは、ビジタ-センターから正木峠を通り、尾鷲辻(おわせつじ)・牛石ヶ原から大蛇嵓(だいじゃぐら)に立ち寄って、中道からビジタ-センターに戻るコースを歩きました。このコースの見所は、なんと言っても大蛇嵓の断崖絶壁です。当日は晴天で見晴らしが良かったため、大蛇嵓から谷をのぞき込んだ参加者はあまりの標高差に足がすくむ方もいたようです。

大蛇嵓(東大台ガイドウォーク)

 この日の自然再生ガイドウォークのガイドは、奈良教育大学教授で植物生態学・保全生態学がご専門の松井 淳先生でした。このツアーでは東大台を回りながら、環境省の自然再生の取り組みを松井先生から解説いただきました。参加者は、普段入ることができない防鹿柵の中に入り、柵の内外の植物の生育状況や種類の違いなどを観察していました。

正木峠の防鹿柵(自然再生ガイドウォーク)

 本イベントのもうひとつのお楽しみは、上北山村の地物を使った美味しくて豪華なお弁当です。内容は毎回変わるのですが、今回は、上北山村特産のゐざさ寿司やシカの焼肉、村内で採れたワサビを使った花漬け、イタドリの炒め物などが入っていました。ボリュームもたっぷりで参加者には満足いただけたのではないでしょうか。

 このイベントを通して、皆さんがもっと山に親しみ、環境保全に目を向けてもらえれば嬉しく思います。

  

※ 9月28日開催予定のこのイベントは、ご好評につき、すでに定員に達しました。

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2016年07月19日よしくまの奇祭

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

 7月は文月、七夕の季節ですね。一説には、字が上手くなりたい!と書道の上達を祈り、短冊に歌や願いを書いてお祈りした七夕の祭事から、「文披月(ふみひらづき)」が転じて文月になったとか。字はもう少し上手になりたい、吉野自然保護官事務所の青谷です。

2016年吉野熊野国立公園"よしくま"を盛り上げようということで、前回は下北山村の前鬼・三重滝を紹介しました。今回は第二弾、"よしくま"の文化として吉野山のお祭りをご紹介させて頂くとしましょう。

 吉野山では、毎年7月7日に「蓮華会・蛙跳び行事」という祭事が行われます。蓮華会は、修験道の開祖である役行者が産湯に浸かったとされる池から蓮華を運んできて、蔵王大権現に奉納するものです。蛙跳び行事はその昔、山上ヶ岳の大峯山寺にて、1人の男が蔵王大権現を誹った(バカにした)ことから天罰がくだり、大きな鷲にさらわれ、崖に置き去りにされました。その時の場所とされるのが、山上ヶ岳に至る道中で見ることができる鷲ノ巣岩です。

左の岩が鷲ノ巣岩


 さて、崖に置き去りにされた男は自分の言動を深く後悔し、崖の上で許しを請いました。それを見た金峯山寺の高僧が男をカエルに変えて救いました。その後、蔵王大権現の宝前にて読経の功徳により、人の姿に戻れたという伝説です。

 まず、カエルの乗った御神輿が金峯山寺蔵王堂にやって参ります。

カエルを乗せた御神輿

 蔵王堂に到着したら、蓮華会が行われ、その後蛙跳び行事が始まります。下の写真は、僧の方たちの読経を受けるカエル。

 その後、無事人間に戻れました。ちなみに、カエルを真正面から見るとこんな感じ。

真正面カエル

 ちょっと怖いかも知れないですね。しかし、御輿に乗っているときは手を振るなど愛嬌たっぷりです。

こういったお祭りは、長い歴史の中で脈々と続く文化の一部であると思います。

 このお祭り以外にも、"よしくま"では様々なお祭りが開催されます。奈良、三重、和歌山とよりどりみどりでどれに行こうか悩みますね。そんなときは、近畿地方環境事務所のホームページから、パートナーシップイベントカレンダーをご覧下さい。

HPアドレス⇒http://kinki.env.go.jp/to_2016/8024.html

 暑さ寒さも彼岸までとはいいますが、外に出かけられる際、山に登られるときは、十分にお気を付けて。それでは、今回はこれにて。

 ※写真は許可を得て掲載していますので、無断での転写等は、どうかご遠慮下さい。


カエルのササ飾りカエルの笹かざり 願いが叶いますように

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2016年07月15日アクティブ・レンジャー自然観察会

吉野熊野国立公園 吉野 井藤大樹

 皆さんこんにちは。吉野自然保護官事務所の井藤です。大台ヶ原では定期的にアクティブ・レンジャー(以下AR)とパーク・ボランティア(以下PV)が皆様に国立公園内を案内する自然観察会を開催しています。7月2日(土)に今シーズンはじめてのAR自然観察会を開催しましたのでその様子についてお知らせします。

 大台ヶ原は雨が多い地域として知られています。その理由は、大台ヶ原が熊野灘の海岸線からわずか15kmほどの距離に位置することが大きく関係しています。黒潮に乗って南東から運ばれてきた暖かくて水蒸気を豊富に含んだ空気が山にぶつかり、その斜面を駆け上がりながら急激に冷やされてたくさんの雨をもたらすからです。

 ただでさえ雨の多い大台ヶ原で梅雨が重なり、誰しもが、今回は雨の中の観察会になるだろうと思っていました。しかし、当日、大台ヶ原は驚くほどの好天に恵まれました!8人の参加者とお手伝いに駆けつけて下さったPV1人と共に日頃の行いと天気との関係について話しながら自然観察会を開始しました(笑)。

 観察会は、上道から大蛇嵓を回るコースと大蛇嵓へは行かずに中道から帰るコースの2班に分かれて行いました。私は大蛇嵓コースを担当し、PVと共に5人の参加者を案内しました。このコースでは、大台ヶ原の動植物や環境省が取り組んでいる防鹿柵の設置などの自然再生事業について解説しました。道中、ミソサザイ・オオルリ・コマドリなどが美しい声で鳴いており、アサギマダラが羽を休める姿や変わった色のオオセンチコガネなどを観察することができました。また、大蛇嵓では絶景を堪能することができ、参加者の皆様にはご満足いただけたのではと感じています。

 

今後も次の日程で観察会を予定しています。
PV観察会:8/11(山の日)、10/16(日)

AR観察会:8/20(土)
(詳しくはhttp://kinki.env.go.jp/to_2016/post_53.htmlをご覧下さい)。

皆様のご参加をお待ちしております!

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2016年07月13日大台ヶ原地区新規パークボランティア養成研修会

吉野熊野国立公園 吉野 井藤大樹

 吉野自然保護官事務所のアクティブ・レンジャーとして平成284月に着任しました井藤大樹(いとう たいき)と申します。吉野熊野国立公園の大台ヶ原地区に関する情報を発信していきますのでどうぞよろしくお願いします。

 大台ヶ原地区では、国立公園を訪れた利用者の方々に自然の仕組みやおもしろさを知って頂くと共に、その大切さを伝えるために、自然解説や利用マナーの普及、美化清掃などを行うパークボランティア(以下PV)が活動しています。今年度は、6年ぶりにPVを募集し、その養成研修会を611日に開催しましたので、その様子についてお知らせします。

 養成研修会では、環境省レンジャーと現役のパークボランティアが講師となり、午前中はビジターセンターで座学を、午後は東大台の歩道を実際に回り、現地での研修を行いました。座学では、環境省レンジャーが国立公園の仕組みや大台ヶ原地区で実施している自然再生事業などについて解説しました。参加者の皆さんは、メモなどを取りながら熱心に聴いていました。お昼休憩をはさみ、午後からはパークボランティアが大台ヶ原の自然や歩道の整備活動などの作業を解説しました。パークボランティアが野生動植物の写真や足跡見本などの小道具を駆使しながら大台ヶ原の自然について面白く解説するのを、参加者の皆さんは感心した様子で聴いていました。また、研修中に"大台ヶ原"の名を冠するオオダイルリヒラタコメツキを発見し、観察できました。

 

 養成研修会の様子は、テレビや新聞にも取りあげられました。大台ヶ原パークボランティアに新たなメンバーが加わり、これまで以上に活動が盛り上がることを期待しています。

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2016年06月08日前鬼・三重滝へ

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

皐月(6月):大昔、耕作は「さ」と言われていた。故に耕作の時期だから「さ月」。

「皐」の字は、「神に稲を捧げます」という意味なので、この字が使われて「皐月」になったという説があるそうです。実家の周りは田んぼがたくさん、吉野自然保護官事務所の青谷です。


2016年「よしくま」を盛り上げようということで、吉野熊野国立公園吉野自然保護官事務所管内の紹介をさせて頂こうと思います。

今回は、前鬼と三重滝を紹介します。「前鬼」という場所は、奈良県は下北山村にあります。役行者の弟子である2匹の鬼、前鬼(夫)・後鬼(妻)夫婦と子供達が暮らした集落がここだそうです。


それでは早速、三重滝に向かって出発しましょう。

前鬼から閼伽坂峠(あかさかとうげ)を目指して歩いて行きます。峠にはお地蔵様がいらっしゃいますので、山行の安全を祈念し、先に進みます。

峠からは下りの連続の後、垢離取場(こりとりば)に到着です。「垢離(こり)」とは、身についた罪・穢れのことを言います。今でも、行者はここに首まで浸かって心身を清め、行場に向かいます。この日は、カエルのオタマジャクシがたくさんおりました。

垢離取場

オタマジャクシ

垢離取場を渡って(水量注意)山道をゆくと、三重滝(みかさねのたき)に到着です。三つの滝が重なっているので三重滝といい、到着するのはちょうど真ん中の滝である「千手の滝」の直下であり、三つ目の「不動の滝」の落ち口をのぞき込むことができる場所。

千手の滝

この場所の上に「馬頭の滝」があり、三つあわせて「三重滝」です。

この場所は、今でも行場として行者の方々が修行にいらっしゃいます。食べ残しや包み紙等のゴミは持ち帰って頂きますよう、お願い致します。

前鬼~三重滝までの間に、こんなものを見つけました。

オオセンチコガネ

オオセンチコガネ(別名ルリセンチコガネ)です。動物の糞をエサにしている昆虫で、食物連鎖を助ける大切な存在です。吉野熊野国立公園の山野では見かけることが多いのです。

オオセンチコガネは、北は北海道、南は九州と日本中に生息していますが、地域によって体の色が違います。奈良県(紀伊半島)の個体は、写真の様な藍色が多いようです。

続いてはこちら。

ギンリョウソウ

白い姿が美しいギンリョウソウです。菌類にくっつき、そこから栄養をもらいます。時が過ぎるとぼろぼろになり、その見た目から別名ユウレイタケとも言われています。


壮大な滝の絶景、美しい川の景観、様々な動植物たち。初心者向けの場所とは言いがたいですが、一度訪れてみることをお薦めします。

こんな所で、今回はここまで。次回は、どこになるのか?お楽しみに。それでは、また。

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2016年05月11日盛り上がろう「よしくま」in2016

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

 今年も、山登りの季節が始まりました。吉野熊野国立公園内でも、登山道やドライブウェイが開通し、多くの人が山に出かけることでしょう。

 そんな吉野熊野国立公園ですが、今年はおめでたいことが既に二つもありました。まずは、今年の3月にユネスコエコパーク(生物圏保存地域 Biosphere Reserves)の大規模拡張登録が認められました。ユネスコエコパークとは、生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目的とし、保護・保全だけでなく自然と人間社会の共生を目指すものです。現在、日本のユネスコエコパークの登録件数は、7件です。これまでは、「大台ヶ原・大峯山ユネスコエコパーク」でした。そこに、大杉谷を加え、範囲を拡張し、「大台ヶ原・大峯山・大杉谷ユネスコエコパーク」として生まれ変わりました。こんな幟が関係市町村の道路や施設で見ることができます。探してみるのもおもしろそうですね。

エコパーク幟旗

 二つ目は、今年の2月に、吉野熊野国立公園が指定80周年を迎えました!国立公園に指定されたのは1936年(昭和11年)です。同時に指定された国立公園は、十和田国立公園(現:十和田八幡平国立公園)、富士箱根国立公園(現:富士箱根伊豆国立公園)、大山国立公園(現:大山隠岐国立公園) があります。ちなみに、「国立公園」として指定された世界初の公園は、アメリカのイエローストーン国立公園(1872年指定)です。

 また、吉野熊野国立公園は、去年の9月にその範囲を大規模に拡張しました。和歌山県串本町からみなべ町にかけて、海岸と海域を中心に大きく区域が拡張されました。

 80周年&拡張記念として、関係する三重県、奈良県、和歌山県の市町村でパートナーシップイベントが募集されています。すでに、いくつかは開催されており、これからも随時開催予定です!詳しくはこちらからご確認頂けます!

http://kinki.env.go.jp/to_2016/8024.html

 

 これから、良い行楽の季節になります。山・川・海・文化、様々な「よしくま」を楽しみに、是非足を運んでみて下さい。それでは、吉野事務所AR青谷でした。

山上ヶ岳からの日の出                 大峰山系山上ヶ岳より雲海の日の出

 

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2015年06月03日大杉谷登山について

吉野熊野国立公園 吉野 青谷 克哉

 皆様、初めまして。新たに吉野自然保護官事務所(大峯・吉野山・大杉谷地区担当)のアクティブ・レンジャーとして新しく着任致しました青谷 克哉(あおたに かつや)と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

 さて、6月は登山シーズンですね。登山道やドライブウェイも開通し、たくさんの方々が山に出かけられることでしょう。

吉野熊野国立公園内にも、登山のできる所は多数あります。三重県にある大杉渓谷(大杉谷)も、そんな中の1箇所です。

 

 平成26年に10年ぶりの全線復旧を果たした大杉谷登山道。開山前の歩道整備作業等で4月16、17日に行ってきたのですが、すばらしい眺望でした。大杉谷(大杉渓谷)は、新潟県の清津峡、富山県の黒部峡谷と共に、日本三大渓谷なんて言われたりもする所です。滝と吊り橋の多い所ですね。まさに秘境といった趣があります。

 さて、大杉谷はすばらしい所です。しかし、さすが秘境と言われる所、道中に危険な箇所が多々あります。実際、滑落による死亡事故が毎年発生しています。では、どのような事に気を付ければいいのしょう?

 

例えば、大杉谷はこんな所を登ったり、歩いたりします。

 

 足下が狭い、悪い、滑ると三拍子揃うところもあります。すると、どうしても下を見がちになります。そうすると・・・

 

こういった所で頭を打ちます。私も打ちましたが、ヘルメットのおかげで助かりました。

 常に気を張って歩くので、精神的にも体力的にもへとへとになります。危ない道は気を付けますが、何でも無いところで疲労からフッと気が抜けて、それが事故に繋がることもあります。

 

 そうなった時のために、ヘルメットの携行を強くお薦めします。木や岩に頭をぶつけるのもそうですが、万が一滑落してしまった時に、ヘルメットを装着していれば、事故の程度が少しでも軽くなる可能性があります。山に慣れている方、大杉谷に行ったことのある方、登山や大杉谷が初めての方、皆さんに例外なく、ヘルメットの装着を推奨します。

 

 そして、登山届けを必ず提出して下さい。登山届けは、大杉谷登山センターのホームページからダウンロードできますし、現地にも準備されています。

 

 しっかりとした装備、余裕を持った登山計画、ルールやモラルを守った行動、それらを遵守した登山を心がけて下さい。

            大杉谷はすばらしい所です。是非、足を運んでみて下さいね。

登山センターの連絡先はこちら

公益社団法人大杉谷登山センター

〒519-2634

三重県多気郡大台町大杉140-40

Tell:0598-78-3338

http://oosugidani.jp/

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2015年01月28日新たな年の始まり【その他】

吉野熊野国立公園 吉野 小川 遥

 みなさん、お久しぶりです。吉野の小川です。

遅くなりましたが、新年のご挨拶を申し上げます。

それにしても、長らくご無沙汰してしまいました...。

調べてみると2013年8月ぶり...。申し訳ありません...。

 そこで、改めまして、簡単な紹介を。

吉野自然保護官事務所アクティブ・レンジャー、大台ヶ原担当の小川です。

最近のマイブームはこたつとみかん、悩みは年明けから続くお餅の消費量。朝夕にお餅3つずつ、合わせて1日6つというのは食べ過ぎなのかなと、お腹周りを気にし始めた今日この頃です。

2015年という新たな年を迎え、改めて気も体も引き締め、今後も大台ヶ原を初めとするプチ情報を発信していきたいと思います!!

 さて、そんな大台ヶ原ですが、昨年12月初めに大台ヶ原ドライブウェイも冬期閉鎖され、次に利用頂けるのは4月下旬からとなります。

 そこで、少しでも皆さんに大台ヶ原に行った気分を味わってほしい、そして、来年度も是非大台ヶ原に行きたいと思ってもらうべく、今回はこのようなふり返り企画をご用意しました!!

 名付けて、"大台ヶ原ってどんなところ? こんなところ☆ 2014年ver. ~春の巻~"!!

【4月 大台ヶ原山開き】

【4月 大台ヶ原山開き】

訪れる方々の安全を祈願し、山の神様に祈りを捧げる重要な儀式です。毎年開山時に、ドライブウェー途中の伯母峰園地で執り行われ、昨年も多くの方がいらっしゃいました。

【4月 シオカラ谷付近】

【4月 シオカラ谷付近】

開山したばかりの大台ヶ原では、葉もまだ芽吹いておらず、青空をより近くに感じます。

木々の合間からは遠くの方も見え、時には残雪があることも☆

この時期にしか味わえない、澄んだ春の空気を是非感じに来て下さい♪

【5月 上道】

【5月 上道】

そして、5月に入ると木々の葉もどんどん芽吹き始め、、、

【5月中旬 大蛇嵓付近】

【5月中旬 大蛇嵓付近】

【5月下旬 日出ヶ岳】

【5月下旬 日出ヶ岳】

5月後半には、シャクナゲがたくさん咲き乱れる時期となりました!

2014年はシャクナゲの当たり年でしたね☆

私が大台ヶ原ARに着任してから3回目の春でしたが、これほどたくさんのシャクナゲの花を見たのは初めてでした。(※シャクナゲの花の咲き具合は年によって異なります)

 さて、まずは2014年4月~5月の大台ヶ原をざっと振り返ってみましたが、いかがでしたでしょうか。

みなさん、大台ヶ原の開山が待ちきれなくなったのでは?(笑)

 次回は、春に引き続き、2014年に大台ヶ原の初夏を彩った花々と夏の様子をご紹介できればと思います。 みなさま、乞うご期待!!

----------------------------------★大台ヶ原ドライブウェイ冬期通行止め★------------------------------------
平成26年12月1日(月)午後3時 ~ 平成27年4月23日(木)午後3時(予定)まで
上記期間中は冬期閉鎖のため大台ヶ原山上駐車場へ通じるドライブウェイが通行止めになります。自動車だけではなく、自転車、徒歩も通行が禁止されていますのでご注意ください。

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2014年10月23日弥山の防鹿柵補修とおまけ

吉野熊野国立公園 吉野 杉本 正太

みなさん、こんにちは

人智学者のルドルフシュタイナー曰く、コーヒーを摂取すると理屈っぽくなるらしいです。
どうも、最近コーヒーを1日1リットル近く摂取している理屈っぽい吉野自然保護官事務所の杉本です。

気がつけば、大峯山寺の戸閉式から一ヶ月経ち、秋が来て、そろそろ冬支度をしなくてはいけない季節になりましたね。みなさんいかがお過ごしでしょうか。

今月21日から2日間、弥山に行ってきました。紅葉がいい感じに色づいており、見頃まであとわずかと言ったところでしょうか。キレイでした。


8月の台風により狼平の防鹿柵が壊れてしまい、補修しなければと思いながらも、その後も台風が立て続けに来たり、作業人数の確保が難しかったりとなかなか実行できなかったのですが、ようやく先日補修することができました。

土砂が流されて大きく防鹿柵が抜けてしまっていましたが、これでシカは進入できないと思います。
ここの防鹿柵の中には、トウヒの実生やオオヤマレンゲの実生がたくさん生育しており、シカの被害が顕著になる前に対処できてよかったです。

○さいごに○
私事ですが、平成26年10月31日をもってアクティブレンジャーを退職することになりました。なので、これが最後のアクティブレンジャー日記になります。
これまで45件の日記を書いてきました。今回で46回目になります。ご愛読いただき本当にありがとうございます。「日記楽しく読んでるよ」とお声を掛けて頂くこともあったのに、3年目からは更新回数が少なくなり申し訳ないです。

2年と7ヶ月前に吉野にやってきてから、たくさんの方に出会いました。ここに来て出会えたみなさまには本当に感謝しております。みなさまからの温かい指導や、ここに来て得た経験で、私なりに成長できたと思っております。
とはいえ、まだまだ未熟な私です。新しい場所に行ってもここで得た経験を活かして、頑張っていけたらと思っています。

来月からまた新しいアクティブレンジャーがやってきます。
といったところで、私の日記はここまで。

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