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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2018年12月11日Memories of Oodaigahara in 2018

吉野熊野国立公園 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野の小川です。

 12月に入り、2018年もあとわずかとなりました。寒さも増してきたので、近頃はこたつでみかんに幸せを感じる日々を過ごしております。

 さて、大台ヶ原も冬に入り、12月3日15時に山頂へ繋がる大台ヶ原公園川上線(通称:大台ヶ原ドライブウェイ)が閉鎖されました。今シーズンもたくさんの方が訪れ、景色や生きものを楽しんでいただけたことと思います。そこで今回は、大台ヶ原で活動するパークボランティア(PV)の活動とともに、2018年に大台ヶ原が私たちに見せてくれた景色の数々を振り返っていきたいと思います!

 まずは春。

 4月20日に開山してすぐの頃はまだ冬の様相を残しています。やがて、鳥が囀り、色とりどりの花が咲き、瑞々しい新緑へ移り変わる様子を楽しむことができます。パークボランティアも早速活動を開始し、利用者の方が分かりやすく、気持ちよく楽しめるよう願いながら、冬の間に汚れた看板拭きや歩道の確認、ごみ拾いを行いました。

PV活動(看板拭き) ツツジの開花 新緑と熊野の海
PV活動(看板拭き) ツツジの開花 新緑と熊野の海

 次に夏。

 1年を通して降雨が多い大台ヶ原ですが、梅雨から夏にかけて見ることができる、しっとりした雨上がりの森はおすすめです。鮮やかな新緑と水が滴る深い緑の苔がむす世界のなか、時には霧が出て幻想的な雰囲気が漂う西大台を味わった方も多いのではないでしょうか。

 本格的な夏になると大台ヶ原でも暑い日がありましたが、パークボランティアの自然観察会にもたくさんの方に参加いただきました。正木峠付近では、一足早くシロヤシオが色づいていく様子を見ることもできました。

雨上がり新緑の西大台 PV自然観察会 シロヤシオの色づきと日出ヶ岳
雨上がり新緑の西大台 PV自然観察会 シロヤシオの色づきと日出ヶ岳

 そして秋。

 夏から秋にかけて例年以上に台風の影響が強い季節でもありましたが、晩秋は秋晴れとなる日も続き、紅葉を楽しむことができました。パークボランティアもボランティア内での学習会を開催し、今後の観察会をより良いものにすべく、実践練習をしながら自然情報を収集しました。

シロヤシオの紅葉

ナナカマドの紅葉 PV学習会 大蛇嵓の紅葉
シロヤシオの紅葉 ナナカマドの紅葉 PV学習会 大蛇嵓の紅葉

 最後に冬。

 冬期閉鎖があるため冬を楽しめる時期は短くなりますが、日によっては樹氷や冠雪を見ることができます。更にこの時期は最も空気が澄み渡り、木々の葉も落ちているため、遠方を望むことができます。パークボランティアも11月下旬には、この1年の感謝を込めた清掃活動と自然再生(※)へ向けた作業を行い、大台ヶ原での今年度の活動を締めくくりました。

樹氷(ドライブウェイ) 樹氷 日出ヶ岳から望む大峰山系 PV活動(自然再生事業)
樹氷(ドライブウェイ) 樹氷 山頂から望む大峰山系 PV活動(自然再生事業)

 皆さんに是非見ていただきたい大台ヶ原の姿はまだまだあります。そして2019年の大台ヶ原は、また違った姿を見せてくれることでしょう。今年行かれた方もまだ行ったことがない方も、来シーズンの大台ヶ原に思いをはせつつ、次の開山を楽しみにお待ちください。そして、冬の間もAR日記を通し、大台ヶ原の様々な話をお届けしたいと思っています。そちらもどうぞお楽しみに!

 それでは皆さま、素敵な新年をお迎えください。

-------------【大台ヶ原公園川上線(大台ヶ原ドライブウェイ)冬期通行止め】------------

平成30年12月3日(月)午後3時~平成31年4月19日(金)午後3時(予定)

上期間中は冬期閉鎖のため、大台ヶ原山上へ通じるドライブウェイは通行止めです。

詳細はこちら→ http://www.pref.nara.jp/secure/205319/toukituukoudome.pdf

※ 環境省では、森林生態系の衰退を食い止め、大台ヶ原の自然を後世に残すために「大台ヶ原自然再生事業」を行っています。シカの侵入を防ぎ、植生の回復を促す防鹿柵(ぼうろくさく)の設置、シカによる樹木の皮剥を防ぐためのネット巻など様々な取組み(詳細はこちら→ http://kinki.env.go.jp/blog/2018/07/post-83.html)や普及啓発活動を実施しています。パークボランティアもその補助となる作業を随時行っています。

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2018年09月30日大台ヶ原の秋の訪れ

吉野熊野国立公園 吉野 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野自然保護官事務所の小川です。

涼しい風が吹き、日が暮れる頃には鈴虫の鳴き声が聞こえ、町中でもだいぶ秋らしさを感じる頃となりました。1年を通して旬の味覚を味わいたい私にとって、特に食指が動く季節でもあります。さんま、きのこ、栗、さつまいもなど魅力的な味覚がたくさん並ぶなか、いかに効率よくどれも逃さず、美味しく食べていくかを考えるだけで楽しい日々です。

 さて、山の秋は麓よりも少し早くやってきております。大台ヶ原ドライブウェイ沿いにはススキの穂が茂り、山中でも紅葉し始めた木々が少しずつ見られるようになりました。(※例年大台ヶ原の紅葉は10月中旬頃からになりますが、色づき具合はその時の天候によって差があります)

 本格的な紅葉はこれからになりますが、徐々に秋の色が深まっていく、この時期ならではの山の風景を楽しむことができます。

 なお、大台ヶ原は平地より10度程気温が低く(天候等により変動あり)、これから更に寒さが増していきます。雨具や防寒具などの備えを確認の上、お越し下さい。

ススキ群生(大台ヶ原ドライブウェイ沿い)2018年10月1日撮影

シロヤシオの色づき(正木峠付近から日出ヶ岳)2018年9月28日撮影

ススキ群生(大台ヶ原ドライブウェイ沿い)

シロヤシオの色づき(正木峠付近から日出ヶ岳)

 また、吉野自然保護官事務所では、旬の大台ヶ原をより堪能していただける自然観察会を予定しております。大台ヶ原で活動するパークボランティアから、東大台にまつわる話を深く知ることができる、今シーズン最後の機会となります。皆さま、是非ご参加ください。大台ヶ原で待っております☆

5月観察会の様子(尾鷲辻~牛石ヶ原)平成30年5月4日撮影

7月の観察会の様子(正木峠付近)平成30年7月22日撮影

5月の観察会の様子(尾鷲辻~牛石ヶ原)

7月の観察会の様子(正木峠付近)

☆吉野熊野国立公園 大台ヶ原地区自然観察会☆

日程: 10月7日(日)

詳しくはHP(http://kinki.env.go.jp/to_2018/post_123.html)をご覧下さい♪

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2018年09月07日この日何の日

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

Q「なぜ、あなたはエベレストに登りたいのですか?」

A「そこにエベレストがあるから。」

登山家のジョージ・マロリー氏が言ったとされる有名な台詞です。日本では「そこに山があるから。」で知られていると思います。山に登るのも良いですが、遠くから眺める方が好きな吉野自然保護官事務所の青谷でございます。

さて、既に過ぎてしまったのですが、8月11日は国民の祝日「山の日」でした。平成28年から新たに祝日として加わった「山の日」。海の日の親戚のように聞こえる「山の日」とは、そもそもなんぞや?という人もいるのではと思い、僭越ながら今回は「山の日」について少しだけ紹介をさせていただきます。

山の日とは、国民の祝日に関する法律によりますと、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。」とあります。吉野自然保護官事務所管内には大台ヶ原や大峰山系、近畿地方環境事務所管内まで広げれば那智山や六甲山などが加わり、国立公園外を見渡せば、ご近所には金剛山、葛城山など山は身近に沢山存在しています。それもそのはずで、日本は国土の7割ほどが山地となっているのです。半分以上が山!これは、山と関わらないというのは不可能です。

奈良県天川村 弥山の国見八方覗きからの風景                弥山の国見八方睨からの風景(大峰山)

 古来より、人は山から様々な恵をいただいてきました。薪や建材など木材としての木、キノコや山菜、獣肉などの食料。また、水源地は山に多く、その水は川になり田畑と私達の喉を潤します。登山などのアクティビティを楽しめる場としての利用もあります。

 他にも、信仰や修行の場にもなったり、神様の逸話や妖怪話などなど、人は山や自然に対し畏敬、畏怖の念を持ってきました。

 山中の森林や頂上からの眺めは神秘的であり、荘厳な雰囲気を醸し出しているものもあるので、そのような念を抱くことに疑問はありません。私がこの地に着任以来1番素晴らしいと感じた風景は、山上ヶ岳から見た日の出でした。

山上ヶ岳日の出

               山上ヶ岳宿坊近くからの風景(大峰山)

やはり、山からの日の出は登ってみて実際に見ていただきたいです。

 このように、我々は海と同じく山とも切っても切れない縁で繋がっていると言えるでしょう。来年の「山の日」には、そんな山に対して少しでも思いを馳せていただければと思います。

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2018年08月15日『上北山村 神秘の森 荘厳の山 大台ヶ原を歩く』

吉野熊野国立公園 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野自然保護官事務所の小川です。

8月に入り立秋も過ぎましたが、暑い日が続きつつも朝夕には涼しい風を感じる日も出てきました。

とはいえ、暑さにはまだまだ注意が必要です。私も、スイカにトマト、ナスなどさっぱりした旬の野菜を楽しみながらも、体力をつけるべくお肉は欠かさず食べている日々を送っています。

 

 さて、本日は、8月1日に開催した大台ヶ原ガイドウォーク『大台ヶ原を歩く』の様子をお届けします!(※7月28日開催分は、台風12号による影響が予想されたため、中止となりました)

このガイドウォークには、大台ヶ原を周回する歩道を歩く「西大台ツアー」と「東大台ツアー」のほか、大台ヶ原自然再生事業の取り組みにふれる「自然再生ツアー」があります。

「自然再生ツアー」では大台ヶ原自然再生推進委員会の委員でもある奈良教育大学 松井淳教授の案内により、東大台の自然再生推進事業の実施場所をめぐって、大台ヶ原の現状を見聞きしました。普段は入ることができない防鹿柵(ぼうろくさく)内にも入り、幼木の育ち具合など柵の中と外の違いを見ていただきました。

防鹿柵の解説

金属製剥皮(はくひ)防止ネットの解説

防鹿柵の解説

金属製剥皮(はくひ)防止ネットの解説

 現在、大台ヶ原で目にする景色は、数十年前から変わらない場所もあれば、大きく変わってしまった場所もあります。何が変わったのか、どうして変わってしまったのか、なぜ自然再生の取組みが必要なのか。このツアーで、豊かな自然の中でも随所で見られるシカによる森林への影響の様子など、何気なく歩くだけでは気が付かない部分を知っていただけたのではないでしょうか。

 「西大台ツアー」と「東大台ツアー」では、昨年10月より登録が始まった大台ヶ原登録ガイド(詳しくはこちら→http://vill.kamikitayama.nara.jp/guide/)の案内のもと、原生的な雰囲気あふれる西大台と雄大な景色が味わえる東大台をそれぞれ堪能していただきました。

 吉野熊野国立公園大台ヶ原を知っていただくために企画したガイドウォーク『大台ヶ原を歩く』も残すは9月開催のみとなりました。この機会を逃さず、是非参加してください。皆さまをお待ちしております☆

☆上北山村 神秘の森 荘厳の山 「大台ヶ原を歩く」☆

日程:9月28日(金)

内容:大台ヶ原登録ガイドや自然再生に詳しい特別講師による、ひと味違う大台ヶ原を楽しめるガイドウォークです(西大台、東大台、自然再生の3ツアーから選択)。

※公共交通機関の使用による参加が必須です。

※好評につき、西大台ツアーは満員となりました。

詳しくはこちら→ http://vill.kamikitayama.nara.jp/

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2018年07月24日大台ヶ原での取組み ~防鹿柵(ぼうろくさく)と剥皮(はくひ)防止ネットの巻~

吉野熊野国立公園 吉野 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野自然保護官事務所の小川です。

記録的な猛暑が続いていますが、アウトドア活動の際は、熱中症に気をつけて下さい。

また、山の天気は大変変わりやすいので天候や装備のほか道路状況などの確認もお忘れないようにしてください。

 さて、本日は、環境省が大台ヶ原で行っている取組みの一部をご紹介します。

大台ヶ原を散策していると、歩道沿いに突然、柵が建っていたり、木に網が巻いてあったりと、折角自然を楽しんでいるのに「何だろうこれは・・・?」と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。

これらは、大台ヶ原に生息するニホンジカの食害から植生を保護しているもので、ニホンジカの侵入を防ぎ、柵の中の植生を守る防鹿柵(ぼうろくさく)とニホンジカから樹皮はぎをされないようにする剥皮(はくひ)防止用ネット(通称:ラス巻)と呼ばれるものです。

東大台歩道沿いの防鹿柵の写真東大台歩道沿いの剥皮防止ネットの写真

     

     東大台歩道沿いの防鹿柵           東大台歩道沿いの剥皮防止ネット

 もともと大台ヶ原は苔むす森林が広がる山でしたが、昭和34年の伊勢湾台風をはじめとする大型台風による風倒被害やコケ類の衰退、ミヤコザサの増殖、ニホンジカの増加といった様々な要因により、森林が衰退してきました。

 国立公園の自然を皆さんにこれからもずっと親しんでいただくために、環境省では、森林の衰退を食い止め、森林生態系を再生していくために、「大台ヶ原自然再生事業」を行っています。防鹿柵と剥皮防止用ネットはその一環であり、大台ヶ原の自然を後世に残していく取組みの一つです。防鹿柵は、稚樹や下層植生の保護と回復をはかるため、山中や歩道沿いなど様々な場所にあり、剥皮防止用ネットも数多くの木々に巻かれています。自然の中では少し違和感があるかもしれませんが、大台ヶ原の自然に親しむ際に是非知っていいただきたい事柄の一つです。歩道沿いで見かけたら、遠目にはなりますが、柵の中と外、そしてネットを巻いてある木と樹皮はぎされた木の違いなどを是非ご覧下さい。

西大台歩道沿い防鹿柵の外と中の写真ニホンジカの食害にあった(剥皮された)木の写真

    西大台歩道沿い防鹿柵の外と中       ニホンジカの食害にあった(剥皮された)木

 さらに、環境省では、大台ヶ原での自然再生の取組みをより深く知っていただける特別な機会を準備しております。

大台ヶ原の自然や自然再生事業に詳しい特別講師とともに、普段は近寄ることができない防鹿柵を見学し、より深い話を聞くことができるチャンスです!

(※下記内容の3ツアーのうち、自然再生ツアー参加者が対象です。)

皆さまのご参加をお待ちしております。

☆上北山村 神秘の森 荘厳の山 「大台ヶ原を歩く」☆

日程:7月28日(土)、8月1日(水)、9月28日(金)

内容:大台ヶ原登録ガイドや自然再生に詳しい特別講師による、ひと味違う大台ヶ原を楽しめるガイドウォークです(西大台、東大台、自然再生の3ツアーから選択)。

※公共交通機関の使用による参加が必須です。

詳しくはこちら→ http://vill.kamikitayama.nara.jp/

大台ヶ原を歩くツアーの写真(表)大台ヶ原を歩くツアーの写真(表)

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2018年07月20日涼しげよしくま

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

夏が来ました。

吉野自然保護官事務所の青谷でございます。

吉野熊野国立公園では、夏の風物詩であるお祭りや花火大会が各地で開催されます。そんな各地のイベント情報がなんと近畿地方環境事務所のホームページで見ることが出来るのです!

URLはhttp://kinki.env.go.jp/to_2018/post_131.htmlで、吉野熊野国立公園のイベントカレンダー(7月-9月)と、山の日イベントカレンダー(7月-9月)をご覧になって、暑さに負けずに、よしくまに遊びに来て下さいな。

 とは言え、やっぱり暑いものは暑いのです。連日30℃を越える日が続き、クーラーが効いた場所は楽園のように感じます。また、外に出かけるとしても、海や川など水辺が好まれるのが人の世の常。吉野自然保護事務所管内には、残念ながら海はありませんが川があります。滝もあります。滝の近くに行ったり、川縁を歩いたりするのも、涼しい気持ちになれていいのではないかと思うのです。

垢離取場(こりとりば)三重の滝(みかさねのたき)

 ここは下北山前鬼の、垢離取場(こりとりば)(左)と 三重(みかさね)の滝(右)です。修験道の修行場でもあるので、心を静かにして水音を聞きながらひとときの静寂を楽しんでください。

天川村の洞川かじか滝の付近の風景  天川村の洞川かじか滝の付近の風景

 

 こちらは、天川村の洞川(どろがわ)にあります、かじかの滝付近の風景。この場所には近畿自然歩道が通っており、川沿いを歩くルートもあるので、清涼を感じられるのではないでしょうか。名水百選に選ばれている「ごろごろ水」で喉を潤すのも良いでしょう。

大杉谷の滝(シシ淵付近)大杉谷の滝(堂倉滝)

 最後は大杉谷。左の写真はシシ淵近辺の滝、右は堂倉滝(どうくらだき)になります。大杉谷は大小様々な滝がありまして、堂倉滝などは吹き付ける水しぶきに涼しさを感じます。道中は難所が多々ありますし、日帰りは難しい場所ではありますが、景色も壮大でありますので、十分な登山経験のある方は、必要な準備と日程を整えた上で、行ってみて下さい。

 今回紹介した場所では、川遊びやバーベキューをすることは出来ませんが、吉野熊野国立公園には、川遊びやバーベキューを楽しめる場所はちゃんとあります。アウトドアでアクティビティを楽しむ際は、それが可能かどうかの下調べが重要です。マナーを守って、事故のないよう、楽しい夏の一時を過ごして下さい。

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2018年06月21日大台ヶ原ARがオススメする大台ヶ原 ~雨の西大台 の巻~

吉野熊野国立公園 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野の小川です。

アジサイの花やカタツムリの姿が見られる梅雨の時期となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 「梅雨」という呼び方にはいくつか由来があるそうですが、その中の一つに、梅の実が熟する頃なので「梅」の漢字が当てられたという話を聞いたことがあります。それを思い出すと、じめじめした印象が強い「梅雨」という文字が美味しそうなイメージを醸し出してくるので、日本語とは奥が深いなぁと改めて思う今日この頃です。その由来にふさわしく、今年も梅をたくさん収穫して漬けることができたので、美味しい飲み物ができあがる日が楽しみです。

 さて本日は、しっとりした季節ならではの雰囲気を味わえる大台ヶ原をご紹介します。

東大台と西大台で全く違った趣がある大台ヶ原ですが、小雨や霧雨の天気に特にオススメするのは、西大台です。

(※西大台に立ち入るには、事前手続きと一定の登山経験やルートファインディング(地図で地形を読み取りながら自分が歩くルートを探す)技術が必要です。

詳細はこちら→ http://kinki.env.go.jp/nature/odaigahara/west_odai/west_odai_index.html

 苔むす岩や水が流れる森の中を歩く西大台は、雨の中ではより苔や葉がしっとりして深い緑に覆われた雰囲気を味わうことができます。

苔むす岩の間を流れる沢 苔むす岩の連なり
水を湛えた苔と実生 歩道近くの沢

            

 さらに雨の日には、普段はなかなか姿を現さない動物を見ることができる場合もあります。 

オオダイガハラサンショウウオ   ナガレヒキガエル  

 じめじめして汗ばむ季節になってきたから山に行くのはおっくうだなと思う方もおられるかもしれませんが、その時期にしか見ることができない風景をお見逃しなく!

(※山の天気は急変しやすく、麓との温度差も大きくなります。登山される時は、あらかじめ自分自身で天気予報や道路の状況を確認した上で、充分な装備でお越しください。)

 また、近畿地方環境事務所では、大台ヶ原を訪れる方々に安全により深く自然を楽しんでいただくために、大台ヶ原登録ガイド制度を設けております。行ってみたいけど不安だなという方も、これまでとは少し違った視点で楽しみたいという方も、是非ご利用ください。

 詳細はこちら!→ http://vill.kamikitayama.nara.jp/guide/

 皆さまの大台ヶ原へのお越しをお待ちしております♪

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2018年05月29日雨の季節に見える花

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

急に気温が上がり、所によっては30℃になろうかという日があったと思えば、肌寒く一枚羽織ろうかなんて、気まぐれな気候が続く今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか?吉野自然保護官事務所の青谷でございます。私はすっかりやられてしまい、風邪のような症状が出てしまいました。精進が足りませんでしたね。

さて、5月を過ぎれば雨の多い時期になってきます。今年は空梅雨にならないことを祈るばかりですが、それでも山に行くときは晴れが続く方がいいですよね。雨が降ると山にも行きにくいものですが、そんな時期だからこそ見られるものというものも当然あります。

吉野熊野国立公園吉野地域では、弥山、八経ヶ岳周辺で、6月から7月にかけて、オオヤマレンゲという花が咲きます。

オオヤマレンゲ

これがオオヤマレンゲです。弥山、八経ヶ岳周辺は、「オオヤマレンゲ自生地」として国の天然記念物に指定されています。

登山バッチ

大峰山系登山記念バッチにもばっちりデザインされております。漢字では「大山蓮華」と書くのですが、「大山」は大峰山のことで、「大峰山に咲く蓮に似た花」ということでこうなったと言われております。オオヤマレンゲは、ハスではなくモクレンの仲間で、学名にもMagnolia というモクレンを指す単語がはいっています。

奈良県版レッドデータブックでは絶滅寸前種に指定されており、環境省では、オオヤマレンゲをニホンジカの食害から守るために、防鹿柵を設置するなどして保全に努めております。皆さんも、可憐な花は愛でるだけに止め、決して無体なことをされませぬようお願い申し上げます。

これからの季節、急な降雨や雷には十分注意していただき、備えを万全に、お気を付けて登山を楽しんでください。それでは、今回はこの辺で、ご機嫌よう。


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2018年05月25日大台ヶ原から見える空と海

吉野熊野国立公園 吉野 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野の小川です。

 まだ肌寒い日もありますが、いつの間にか夏を感じる季節となりました。春の味覚を堪能した私は、

次は夏のおいしい味覚を逃さないようアンテナを張り巡らせている今日この頃です。もちろん、大台ヶ原

担当アクティブ・レンジャーとして、日々変化する大台ヶ原の魅力的な姿を捉える機会も狙っております。

 そこで今回は、数時間のうちに目まぐるしく変化していった大台ヶ原をお見せします。

 この日は雲が低く垂れこめて視界も悪く、景色は望めそうにない...と思いきや、強い風が吹いており、

一瞬、雲の隙間に緑が見えました。

雲に覆われた正木峠木道階段

雲がはれつつある木道階段

 そしてまた雲に覆われてしまい残念...と思いきや、次の瞬間には青い海と空が姿を現しました。

霧がはれた木道階段からの展望

 5月中旬ながら強い風が吹きすさぶ寒い日でしたが、霧に包まれた幻想的な姿から澄んだ青が広がる姿への急速な変化を何度も実感できる時でした。

 他の登山者からの歓声も聞こえ、まるでどんどん流れる雲の中を歩いているような気分だったのではないでしょうか。

 いつの間にかどんよりした雲は消え、南を見ると眼下に広がる尾鷲の海と空、振り返ると遠くに連なる山々を望むことができました。これぞ海に近い大台ヶ原ならではの景色ではないかと思います。

正木峠から望む海と空

正木峠木道階段からの展望

 今は新緑真っ盛りの季節を迎え、様々な鳥たちがさえずる恋の季節を感じることも出来ます。是非その一瞬一瞬の体験を味わいにお越しください 。

 さらに吉野自然保護官事務所では、下記の日程で、楽しく詳しく大台ヶ原の自然や自然再生の取り組みなどを知ることができるイベントを予定しております。パークボランティアやアクティブ・レンジャーと一緒に、東大台を散策してみませんか。

皆さまのご参加をお待ちしております。

☆吉野熊野国立公園 大台ヶ原地区自然観察会☆

日程:6月10日(日)、7月7日(土)、7月22日(日)、8月11日(土・祝)、8月18日(土)、

10月7日(日)

詳しくは下記のHPをご覧ください!

HPhttp://kinki.env.go.jp/to_2018/post_123.html

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2018年01月04日大峰山系雪景色

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

今年の冬は、よく冷えますね。奈良でも、所によっては雪が降り積もっているようです。事務所近くの吉野川に飛来しているカモを見て、もう冬だなと思ったりする今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?吉野自然保護官事務所の青谷でございます。

さて、吉野熊野国立公園の大峰もすっかり雪化粧。国道309号が通行止めになる直前の12月8日に、行者還トンネル西口の登山口に設置している登山者カウンターの回収に行った時の道の様子がこちら。

309号雪道

スタッドレスタイヤをはいた車を、ゆっくり慎重に運転しました。見渡す限り真っ白で、なかなか幻想的な雰囲気でした。道中では、ゆっくり走る車の前をニホンザルが横断していきました。餌を探していたのでしょうか?

これから2月にかけて、大峰山系にはどんどん雪が降り積もることでしょう。雪遊びや冬登山を楽しむなら、上北山村にある和佐又山がおすすめです。和佐又山のヒュッテ前では雪遊びが出来ますし、ソリやスキーも楽しめます(リフトはないので徒歩で上がりましょう)。

ソリ遊び

これは、昨シーズンの2月に和佐又山ヒュッテ前にてソリを楽しんでいる私です。ソリで遊ぶのは久しぶりで、童心に帰ることが出来ました。子どもだけでなく、大人の方もとても楽しめるのでおすすめです。

登山については、冬山ですので道中の油断は禁物ですが、和佐又山山頂からは雪化粧の大普賢岳などを眺めることが出来ます。

大普賢岳雪化粧

写真は一昨年2月に山頂から撮影した大普賢岳です。天気がよければ大峰の山並みも一望できます。

上北山村では和佐又山でのスノーシュー体験ツアーを企画していますので、よろしければ参加してみてください。詳しくは上北山村ホームページ(http://vill.kamikitayama.nara.jp/)から。

和佐又山に向かう道路には雪が積もります。スタッドレスタイヤやチェーン等、雪対策をしっかりとした上で、安全運転でお越しください。それでは、今回はこの辺でごきげんよう。

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