ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 吉野

606件の記事があります。

2019年12月06日大台ヶ原の冬に向けて

吉野熊野国立公園 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野の小川です。

近頃は日を追うごとに空気が冷たくなり本格的な冬に入りつつあります。この時期になると、ゆっくりお風呂につかり、秋の味覚に未練を残しつつもこたつで鍋とみかんに幸せを感じながら、年末に向けた食べ納めに思いを巡らせております。

 さて、今回は、先日行った大台ヶ原での取組みのひとつをご紹介したいと思います!

大台ヶ原といえば、特徴のひとつに、東大台のトウヒ林を主とする亜高山帯針葉樹林や西大台に広がる大規模なブナ-ウラジロモミの針広混交林があります。特に最終氷期時代の生き残りであるトウヒが近畿地方でまとまって見られることはとても貴重です。

トウヒ

ウラジロモミ

ブナ

トウヒ

ウラジロモミ

ブナ

 しかし、大台ヶ原に多数生息するニホンジカにより剥皮され枯死してしまうことが問題となっています。そのため、環境省ではかねてより剥皮防止として樹脂製ネットを巻き、母樹の保護に取り組んできました(詳しくはこちら

シカによる剥皮は時期に関わらず確認されていますが、春先開山後に食害がより目立っていると感じられます。そこで、閉山に備えて、職員にてトウヒを中心にネットを設置する作業を行いました。数人で1本1本巻いていく地道な工程ですが、1本でも多くの木々を守ることから大台ヶ原の森林維持や再生に繋がることを願っています。

剥皮された木

ネット巻き作業

ネット巻き後

剥皮された木

ネット巻き作業

ネット巻き後

 そして、大台ヶ原も遂に今シーズンの終わりが近づいてきました。12月2日(月)15時に山上駐車場へ続く道路が冬季閉鎖となり、それに伴って大台ヶ原ビジターセンターも閉鎖いたします。

また、三重県側から大台ヶ原へ続く大杉谷の登山シーズンは、今春に設定していた開山期間のとおり、11月24日(日)をもって終了いたしました。

 今年もたくさんの方に季節ごとに移り変わる様々な大台ヶ原や大杉谷をお楽しみいただけたことかと思います。ご来訪ありがとうございました!

【お知らせ】

☆大台ヶ原公園川上線(大台ヶ原ドライブウェイ)通行止め☆

令和元年12月2日(月)15時~令和2年4月17日(金)15時(予定)

上期間中は、冬季閉鎖のため、大台ヶ原山上へ通じるドライブウェイは通行止めです。

詳細はこちら

☆大台ヶ原ビジターセンターのFacebookが始まりました☆

今年度8月より、こちらのFacebookにて、大台ヶ原ビジターセンター窓口による大台ヶ原の情報をお知らせしております(開山時期のみ)。皆さま、是非ご覧ください。

☆大台ヶ原登録ガイドをご紹介☆

環境省では、大台ヶ原をより深く楽しく安全に満喫いただくために、大台ヶ原登録ガイド制度を運用しております。ガイドを選んで自分だけの大台ヶ原をカスタマイズしてみましょう。くわしくはこちら→Let's enjoy Oodaigahara!!

★平成31年4月1日より、事務所の名称が変更となっております★

(変更後)吉野管理官事務所  ←(変更前)吉野自然保護官事務所

住所及び電話番号に変更はありません。引き続きよろしくお願いいたします。

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2019年12月04日デンジャラスなトレイル

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

 吉野管理官事務所の青谷でございます。吉野は気温も下がって冬の気配を感じる間もなく、いきなり到来してしまっている感じです。寒くなると暖房器具が手放せませんが、本格的に稼働する前に点検は欠かせませんね。火事には十分気をつけたいものです。

 さて、点検ということでは去る11月13日に天川村にある登山道の点検に行って参りました。その登山道は双門弥山線歩道と言いまして、天川村の熊渡りという所から弥山山頂を目指す登山道になります。我が管内では最も過酷で危険な歩道であると思っています。

 この時期は日暮れも早く気温も下がりやすいのでスタートを早めにしようと早朝4:30に事務所を出発して登山道入り口へ。しかし現地は真っ暗闇でした。流石に早すぎたかと登山道を維持管理している天川村の職員と相談し、これは危険と一緒に一時待機。ヘッドライト無しでも行けるかな?という具合を見計らって出発しました。

 天川村は熊渡りからスタートで、まずは白川八丁を目指します。下の写真は白川八丁にたどり着いてすぐの風景です。

白い石場をどんどんと進んで行きます。最近雨も降っていないので水量は少なく、道中にある釜滝も細々としておりました。

 釜滝からは斜面を登り、山に分け入っていきます。山中はまた過酷な道で、よくもこんな所に道を作ったものだと思いますね。工事をした人々の苦労が忍ばれます。感謝の念に堪えません。そんな道中にある梯子を登り、鎖を掴み、根っこをよじ登ってもう大変です。

鉄梯子鉄梯子

険しい道を進んでいると、いよいよ弥山川に突き当たります。そこからは河原を上流にたどり河原小屋跡へ。

河原小屋跡地付近

昔の台風のせいで岩がごろごろ。開けたところで一休み、昼食をとって英気を養います。河原小屋跡からは岩場を登る道が始まり、こちらもハードな道行きです。

切り立つ崖にある鉄棒だけの足場を越えたりします。怖すぎますね、命を大切に。狼平まで登れば一安心。避難小屋で休憩し、あとは歩きやすい登山道を登るだけです。

 こんな危険な登山道で何を点検するのかというと、梯子や鎖をメインに道の状態などです。施設の破損は危険に直結します。危険な道をさらに危険にするわけにはいかないので見回るわけです。緩みはないか、鎖は無事かを見回り、必要があれば修繕します 。アクティブ・レンジャーは、こういう過酷な場所でも仕事をします。

 双門弥山線歩道は上級者向けのコースであり、体調良く体力の充実した状態の時に二人以上で挑んで下さい。このコースの下りは危険度が跳ね上がりますので下からの登りのみにして下さい。ヘルメットも忘れずに。途中で引き返すということが非常に困難な登山道でもありますので、下調べをしっかりとして無理と思えば行かない選択も必要です。また、引き返すときは早めに決断をしてください。

 しかしながら、過酷な道行きに危険ばかりと脅すだけでは折角の歩道整備も意味が薄れるというもの。双門弥山コースは、吉野管理官事務所管内のどの山とも違った登山が楽しめます。まさしく登っていくという言葉が似合う、足だけでなく両手、時には全身を使っての登山は、すばらしい達成感を与えてくれます。山間を行くので展望は所々しか開けていませんが、それでもはっとする様な景色が見えるときがあります。

こんな感じです。方角はみたらい渓谷、観音峰の方向になります。登った!という満足感が欲しい方には大変オススメのコースですが、これからの時期は冬山になりますので、早速のチャレンジはオススメしません。山小屋も閉まっており、車道も通行止めになります。道中の岩場や鉄梯子も凍結し、積雪があるでしょう 。来年、暖かくなってから挑戦して下さい。

 それでは、今回はこの辺でごきげんよう。

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2019年11月08日有害鳥獣捕獲とジビエ

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

 11月です。早いもので、もうすぐ令和元年も終わりです。つい最近元号が変わったと思ったのですが、光陰矢の如しとはよく言ったものです。そんな令和元年は亥年ですが、野生のイノシシ(成獣)に出会えていません、吉野管理官事務所の青谷でございます。うり坊は見たのですけどね。

 さて、今の時期は狩猟解禁時期です。日本では、狩猟が出来る期間が決められており、それを猟期と言います。北海道は10月から、他の都府県が11月からで、だいたい2月から3月までの期間になります。猟区や有害鳥獣捕獲はこの限りではありませんし、鳥獣保護区など通年で狩猟が出来ないところもあるので注意が必要です。そうでなくても狩り放題というわけでもありませんので、詳しい情報は各都道府県にお問い合わせ下さい。

ニホンジカ樹皮剥ぎ

 日本では、海外で行われるゲームハンティングのような趣味の狩猟より、農林業に被害を出すものを捕まえる有害鳥獣捕獲での狩猟のほうが主流であると思います。野生鳥獣による農林業への被害問題というのは今に始まった話ではありません。農林水産省の平成29年データによると、野生鳥獣による農林業被害額は約168億円。年々減少はしているようですが依然高水準であり、その中でもシカとイノシシの割合は断トツです。吉野熊野国立公園でも、右の写真のようにシカによる木の皮を剥ぐ樹皮剥ぎや下層植生の食害等による植林地などでの森林環境の衰退が問題視されており、自治体などによって有害鳥獣捕獲が行われております。

 有害鳥獣として捕獲されたら、ではその後どうなるかと言いますと、国は食肉としての利用を推進しています。最近はテレビなどで耳にすることもある「ジビエ」と言うものですね。フランス語で野生鳥獣から手に入れる食材を指す言葉です。他にもペット用のフードに使われたりもします。私も最近レトルトカレーに加工されたものを食べました。左がシカ、右がイノシシを使っています。見た目は一緒ですね。

シカのカレーイノシシのカレー

 どちらも、お肉のサイズは大きく、他の具材は溶かし込まれているようでした。シカ、イノシシともにウシやブタとは違う風味があり、そこは賛否を分けるところかなとも思うのですが、このカレーではほとんど気になりませんね。食感もほろりと崩れて良い感じ。ごちそうさまでした。

 値段が牛豚鶏より高いところもあり、気軽に入手はできないものなのが残念ではありますが、一度は食べてみるのもご一興かなと思います。ジビエを食べるということは、その分有害鳥獣を減らすことにも繋がるのです。

 これから寒さもひとしおになるでしょうが、どうぞ皆さんご自愛下さいませ。それでは、今回はこの辺でご機嫌よう。

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2019年10月25日大台ヶ原に行ってみよう♪

吉野熊野国立公園 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野管理官事務所の小川です。

夏も過ぎ去って寒さが増し、そろそろ鍋やシチューなど身体温まる煮込み料理で幸せを感じる季節となりました。お店で見かける鍋の味の種類も増えてきており、見ているだけで楽しい気持ちになる日々を過ごしています。この冬はこれまで以上に様々な鍋を食べることがひそかな目標の1つです。

 さて、大台ヶ原では、麓よりも一足先に秋がやってきており、冬も近づきつつあります。紅葉はすでにピークを迎え、東大台や西大台でも樹木の色づきがみられています。

東大台日出ヶ岳下テラス付近

東大台日出ヶ岳から正木峠を望む

西大台ナゴヤ谷付近

東大台日出ヶ岳下テラス付近

(令和元年10月19日)

日出ヶ岳から正木峠を望む

(令和元年10月19日)

西大台ナゴヤ付近

(令和元年10月24日)

 今シーズンの大台ヶ原を楽しめるのも、残り1ヶ月ちょっととなりました。秋から冬のへと移り変わっていく大台ヶ原も、寒い時期ならでは春や夏とはまた違った味わいがあります。

(※天候や気温によってはばらつきがあるため、必ず見ることができるとは限りません)

大台ヶ原DW沿い霧氷

東大台日出ヶ岳霧氷

日出ヶ岳から望む大峰山系

大台ヶ原DW沿い霧氷

(平成30年11月)

東大台日出ヶ岳霧氷

(平成30年11月下旬)

日出ヶ岳から望む大峰山系

(平成30年11月下旬)

これから更に寒さが増し、11月初旬に入るとドライブウェイは一部凍結もしくは冠雪が見られる場合があります。雨具や防寒具のほか、11月以降はスタッドレスタイヤやチェーンなどの備えをお忘れないようお気をつけください。皆さまのお越しをまだまだお待ちしております♪

【お知らせ】

☆大台ヶ原公園川上線(大台ヶ原ドライブセウェイ)通行止め☆

令和元年12月2日(月)午後3時~令和2年4月17日(金)午後3時(予定)

上期間中は冬季閉鎖のため、大台ヶ原山上へ通じるドライブウェイは通行止めです。

詳細はこちら

☆大台ヶ原ビジターセンターのFacebookが始まりました☆

今年度8月より、こちらのFacebookにて、大台ヶ原ビジターセンター窓口による大台ヶ原の情報をお知らせしております。皆さま、是非ご覧ください。

☆大台ヶ原登録ガイドをご紹介☆

環境省では、大台ヶ原をより深く楽しく安全に満喫いただくために、大台ヶ原登録ガイド制度を運用しております。ガイドを選んで自分だけの大台ヶ原をカスタマイズしてみましょう。

くわしくはこちら→Let's enjoy Oodaigahara!!

★平成31年4月1日より、事務所の名称が変更となっております★

(変更後)吉野管理官事務所  ←(変更前)吉野自然保護官事務所

住所及び電話番号に変更はありません。引き続きよろしくお願いいたします。

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2019年09月06日大台ヶ原・大杉谷の森林再生応援団!!

吉野熊野国立公園 吉野 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野管理官事務所の小川です。

9月に入って更に涼しさが増し、夜には鈴虫の鳴き声が聞こえるなど秋を感じる季節となりました。おいしかった夏の野菜に未練を残しつつも、すでに秋の味覚が楽しみでたまらない日々を送っています。

 さて、本日は、是非知っていただきたい取組みにして、参加いただきたいイベントをご紹介します。これまでにも、大台ヶ原で環境省が行っている防鹿柵やネット巻きをはじめとする大台ヶ原自然再生の話をしてきました。(過去の記事はこちら) 

 その一環として、東大台正木峠には小型の柵がたくさんあります。展望がよい場所なのに人工物が点在している・・・と思われるかもしれませんが、この中には大台ヶ原の代表的な針葉樹であるトウヒやウラジロモミなどの稚樹がいます。今はササが広がる開けた場所になっていますが、かつてコケに覆われた森林だった頃の生き残りです。ササに覆われて目立ちにくいものの、シカの食害で枯死する個体も多く見られたため、1本でも多くの稚樹を保護するべく設置しています。

木道階段から見える稚樹保護柵(正木峠) 1963年の正木峠(写真提供:菅沼孝之氏)
木道階段から見える稚樹保護柵(正木峠) 1963年の正木峠(写真提供:菅沼孝之 氏)

 柵もあるしこれで安心・・・と思いきや、周辺のササも一緒に囲われるため、ササが伸びすぎると稚樹に十分な太陽光が当たらず、生育に影響があるのではという懸念も出てきました。そのため、稚樹がササの背丈を超える程度の高さになるまで、ササを刈る作業を毎年行っています。

柵内のササ刈り(作業:パークボランティア) トウヒの稚樹(ササ刈り後)
柵内のササ刈り(作業:パークボランティア) トウヒの稚樹(ササ刈り後)

 この自然再生へと繋がる大切な一歩一歩を皆さんにもご協力いただくべく、林野庁と環境省の共催で、「大台ヶ原・大杉谷の森林再生応援団」を平成28年度より開催しております。

(※正木峠周辺は奈良県と三重県の県境であり、大杉谷エリアにつづく場所です。三重県側は林野庁、奈良県側は環境省が主体となって自然再生への取組を行い、協力して進めています。)

 

 今回も、稚樹保護柵内のササ刈り、又は林野庁も取り組んでいる剥皮防止ネット巻きを行います。大台ヶ原の森林に起きていること、そしてそれぞれの取組を体感できる貴重な機会です。

 是非ご参加ください。お待ちしております♪

☆大台ヶ原・大杉谷の森林再生応援団☆

日程:9月28日(土)

詳しくはこちらのHPをご覧ください。

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2019年08月30日涼しげよしくまリターンズ

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

 8月は「葉月」とも言われます。8月には青々とした葉っぱが沢山だし、そういう青々とした景色が広がるから葉月というのかな?と思っていたら、「葉も落ち始める時期、葉落ち月から来ている」という一説が・・・。確かに、旧暦では8月は秋とされていましたからね。それに、台風でいっぱい葉も落ちるし!・・・季節というのは、昔とは随分と変わってしまったようです。四季のある国日本ですが、その四季があるのもいつまでなのか。地球温暖化が騒がれていますのでまずは冬がなくなるのかな?嫌な想像ですね。そうならないように、皆さんもCOOLCHOICEしませんか?インターネットで「クールチョイス」と検索いただければ、環境省開設のホームページで詳しく知ることが出来ますよ。是非中を覗いて、地球温暖化対策のために「賢い選択」をご一考くだされば幸いです。

 さぁ露骨な宣伝が終わったところで、皆さんいかがお過ごしでしょうか?吉野管理官事務所の青谷でございます。今回は、去年の7月にも書きました涼しげよしくまのリターンズをお届けします。私、青谷の担当地域である吉野山・大峰山脈・大杉谷から、独断と偏見により選び出した涼しそうだなと思う写真などを掲載します。

大杉谷の川七ツ釜滝.MOV

まずは大杉谷!やっぱり涼しさと言えばここです。前回もセレクトしましたがここは外せません。今回は初の動画投稿にチャレンジです。上のリンクを押すと、七ツ釜滝の映像が見られます。見られない場合は当方の不具合か、対応した再生ソフトが入っていない可能性があります。

天川村_水の中2

やはり涼しさと水は切っても切れないもの。前回は滝がメインで川少々だったので、水の中に入ってみました。魚が泳いでいますね、こちらは全て天川村での撮影になります。天川村は水が豊富で、洞川地区も温泉宿や宿坊の隣に川が流れていて涼しげです。標高も少し高いところにあるので事務所のあるところより涼しく感じます。

「ひゃっこい」とか「ちべたい」とはどこの方言でしたっけ?それくらいの水温なので入るときは夏でも気をつけて。

氷柱_大普賢岳道中

 

 

最後は氷柱です。季節は冬なのですが、今なら涼しげと思いました。笙の窟(しょうのいわや)というところで、和佐又山ヒュッテから大普賢岳に行く道中にあるのですが、冬に行く際は装備を万全に、無理をせずに登山してください。

 後は、写真はないのですが、天川村にある鍾乳洞(面不動、五代松)や吉野山の金峯山寺蔵王堂内も涼しいです。これがビックリするくらいで、むしろ寒い。鍾乳洞は特にしばれます。拝観料は必要ですが、是非とも体験してみてください。

 世間では海に川にとアウトドアレジャーで暑い中、外に出ないといけないことがあると思います。日射病、熱中症の対策は十分に、無理なく楽しく過ごしましょう。

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2019年07月30日お釈迦様の降り立つ山

吉野熊野国立公園 青谷 克哉

 梅雨の明けた近畿地方からこんにちは。皆さんいかがお過ごしでしょうか?吉野管理官事務所の青谷でございます。

 私の仕事はアクティブ・レンジャー(通称AR)です。ARは日々何をしているかというと、パソコンをカタカタして書類を作成したり、国立公園を見回り、登山道の様子や山中に立つ標識、看板など問題ないか確認したり、様々な情報配信や普及啓発活動なんぞをやっております。仕事の拠点となる吉野管理官事務所は、吉野熊野国立公園の山岳部(北側地域)を主に担当しております。

 そんな吉野事務所管内は山ばっかりです。大台ヶ原に大峯山脈と、聞いたことがあるぞという山々の中から、人気の山を紹介しましょう。歴代のARがすでに紹介しているかもしれませんし、私も書いたかも?と思うのですが、そこは生暖かい目で見て下さい。

 人気がある山、それは釈迦ヶ岳(しゃかがたけ)です。この山は標高1799.9mあり、大峰山脈では近畿最高峰の八経ヶ岳(はっきょうがだけ1915m)、それを挟むように存在する弥山(みせん1895m)、明星ヶ岳(みょうじょうがたけ1894m)に次ぐ4番目に高い山となっております。晴天の景色は「峯中、第一の秀峰」と呼ばれるにふさわしい絶景で、東に台高山脈、南は笠捨山に玉置山、北は八経ヶ岳まで360度に展望がひらけます。

釈迦ヶ岳山頂の釈迦如来像

 

右の写真は、八経ヶ岳方面を見たもので、大峰奥駆道が稜線を走ります。左の写真は、山頂に御座します釈迦如来像です。釈迦ヶ岳山頂に建立されたのは大正13年で、その後平成19年に修復されたそうです。岡田雅行という剛力が、一人で担ぎあげたといわれています。すごいですね。ちなみに、剛力とは職業のことで、大ざっぱに説明すると道案内もする歩荷さんです。

 お隣の仏生ヶ岳が釈迦誕生の地、釈迦ヶ岳は入滅の地と伝えられ、釈迦ヶ岳はお釈迦様のいる世界、我々の暮らす世界とは別のところにつながっていると言われており、聖地、巡礼地として今なお祈りを捧げられています。

 釈迦ヶ岳という山は全国で7山ほど見つけることが出来ましたが、奈良県の釈迦ヶ岳の標高が一番高いようですね。所在地は下北山村と十津川村の村界上であり、下北山村からは前鬼にある宿坊、小仲防の裏から登ります。十津川村からは旭口から登れます。こちらの方が、楽なルートだと思います。

 吉野熊野国立公園には、登れる山がたくさんあります。今のシーズンは山登りには少々暑いのが難点ですが、是非トレッキングに来て下さい。

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2019年07月03日吉野のイチオシ企画!『大台ヶ原自然観察会』

吉野熊野国立公園 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野管理官事務所の小川です。

早いもので2019年も半ばを過ぎ、もう7月となりました。暑さも増して本格的な夏がやってきますが、夏といえばアウトドア、そして美味しい夏野菜がたくさん並ぶ季節でもあります。野菜売り場に行っては幸せな気持ちになる日々を送っていると、今年の夏も乗り切れるという気持ちになってきます。皆さまも暑さ対策には気をつけながら、是非アウトドアを初めとするアクティビティを楽しんでいただければと思います。

 そこで、本日は、皆さまに大台ヶ原で行っている自然観察会をご案内します☆

このアクティブ・レンジャー(以下AR)日記でも度々登場する大台ヶ原パークボランティア(以下PV)と吉野管理官事務所のARが、皆さまと一緒に東大台を歩き、見どころや動植物の紹介、大台ヶ原にまつわる色々な話をしております。見落としてしまいがちな花やひょっこり現れる動物にいち早く気がついたり、大台ヶ原を歩く上でのコツなど、大台ヶ原で活動するPVだからこそ分かる目線から見た楽しみ方や、環境省が行っているここだけの自然再生の取組みなどを知る絶好の機会です。

珍しい昆虫を発見!!(H30.5観察会)   シロヤシオをルーペで観察♪(H30.7観察会)
珍しい昆虫を発見!(H30.5観察会) シロヤシオをルーペで観察♪(H30.7観察会)

 さらには、天気が良い時は見応えある展望が広がり、雨の時はコケの緑が鮮やかな森の中を歩いたり、霧がたちこめる幻想的な景色を見たり、、、というように、その時にだけ現れる大台ヶ原の姿をより深く堪能することができます。

展望広がる大蛇嵓(H30.10観察会) 霧立ちこめる正木峠(H29.10観察会) 熊野方面の雲海(H29.10観察会)

展望広がる大蛇嵓

(H30.10観察会)

霧立ち込める正木峠

(H29.10観察会)

熊野方面の雲海

(H29.10観察会)

 大台ヶ原は初めてという方にも、行ったことがあるという方にもオススメの自然観察会は、下記の日程で開催予定です。是非ご参加ください。お待ちしております♪

☆吉野熊野国立公園 大台ヶ原地区自然観察会☆

日程:7月13日(土)、7月21日(日)、8月11日(日・祝)、8月24日(土)、10月6日(日)

詳しくはこちらのHPをご覧ください。

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2019年02月27日大台ヶ原登録ガイドが増えました!

吉野熊野国立公園 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野の小川です。

 日が経つのは早いもので、節分の恵方巻きやバレンタインスイーツを楽しんでいる間に2月も終わりに近づき、日々過ごす中での天気や動植物の変化に春が訪れつつあることを感じるようになってきました。こちらの事務所でも、来シーズンの大台ヶ原に向けて、より楽しく利用してもらうために様々な取組みを進めております。今回は、その一つをご紹介します。

 平成29年10月より運用開始となった「大台ヶ原登録ガイド制度」。

大台ヶ原に訪れるみなさんに、深く、楽しく、安心して東大台や西大台を満喫していただくために始まりました。ニーズに対応しつつ大台ヶ原が持つ魅力を伝えていく、一定の要件を満たした多様な得意分野を持つガイドの方達が登録されています。

登録ガイドによるコケのお話

登録ガイドの解説

登録ガイド案内の東大台ツアー

登録ガイドによるコケのお話

登録ガイドの解説

登録ガイド案内の東大台ツアー

 そしてこの度、新規の登録ガイドを募集し、登録講習会を開催しました。

大台ヶ原というと、吉野熊野国立公園を代表する山の一つ、紀伊半島において希少な自然や景観がある場所といった印象がありますが、魅力はそれだけではありません。大台ヶ原がある上北山村ならではの地域づくり、間近で感じることができる自然再生への取組み、独特の歴史やまつわる話などたくさんの要素があります。

 これからガイドを利用される皆さんにそれらを広めるために、登録ガイドとなる方達には、倫理や安全管理を踏まえたガイドとしてのあり方やエコツーリズムからみた観点も含め、さまざまな視点から大台ヶ原を捉えた講習を受けていただきました。

自然再生についての講習

大台ヶ原における安全管理の話合い

自然再生についての話

大台ヶ原における安全管理の話合い

 新たに登録された方も含め、大台ヶ原登録ガイドは、現在なんと31名!

大台ヶ原登録ガイドのHPでは、登録ガイドの皆さんを紹介しております(※今後更新予定の箇所もあります)。是非チェックして、次のシーズンでは、登録ガイドと一緒に大台ヶ原を楽しんでみてください。きっと今まで知らなかった大台ヶ原が見えてくることと思います♪

---------------------【大台ヶ原公園川上線(大台ヶ原ドライブウェイ)冬期通行止め】--------------------

平成30年12月3日(月)午後3時~平成31年4月19日(金)午後3時(予定)

上期間中は冬期閉鎖のため、大台ヶ原山上へ通じるドライブウェイは通行止めです。

詳細はこちら→ 【報道資料】平成30年度奈良県内冬期通行止めについて

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2019年01月18日2019年!大台ヶ原の恵方

吉野熊野国立公園 小川 遥

 皆さま、こんにちは。吉野の小川です。

遂に2019年となりました。1月も半ばを過ぎたものの、残念ながら正月にお餅を食べることができなかったので、この先もまだまだお雑煮や焼き餅、ぜんざいなどを食べていこうと、私の中で密かな餅ブームが到来しています。

 ところで2019年といえば、干支はイノシシにも象徴される己亥、恵方は東北東です。そこで今回は、今年の大台ヶ原をより楽しんでいただくために、2019年大台ヶ原の恵方を紹介します!

 地図とコンパスを取り出し、大台ヶ原における大体の東北東方面を確認してみると・・・。そこには、大台ヶ原の山頂である日出ヶ岳(ひでがたけ)があります。

東大台の地図 日出ヶ岳に続く道 正木峠から見た日出ヶ岳
東大台の地図 日出ヶ岳に続く道 正木峠から見た日出ヶ岳

 日出ヶ岳(標高約1,695m)にはベンチや地図が備わる展望台があり、昼食やコース確認を兼ねたちょっとした休憩にオススメです。山中で唯一避雷針が備わっている場所でもあるため、天候が急変しやすい大台ヶ原ではチェックしておくべき場所の一つです。春から夏には周辺でシャクナゲが咲き、耳を澄ませると遠くの山で鳴く鳥の声が聞こえ、夏から秋にはアキアカネが飛び交います。木々が芽を出し、美しい新緑から紅葉、そして冬の樹氷へと移り変わる山の四季を感じることができます。

日出ヶ岳展望台 シャクナゲ(東大台) 日出ヶ岳から東を望む
日出ヶ岳展望台 シャクナゲ 日出ヶ岳から東を望む

 展望台から恵方を含む東の方角を見ると、熊野の海を見渡すことができ、空が澄んだ日には、日の出とともになんと富士山を拝めることがあります。更にこの方角は、日本三大渓谷に数えられる大杉谷と繋がっており、そちらには大きな滝やそそり立つ岩壁が連続し、見事な景観が広がっています。

(※大杉谷は中上級者向け登山道であり、安全面上、大台町にある大杉峡谷登山口から大台ヶ原へ登るコースを推奨しています。ヘルメット着用を含む装備の準備、ルートや天候などの事前確認、山小屋への宿泊、登山届の提出など十分な計画を立ててお越し下さい)

大杉谷の岩壁 七ッ釜滝(大杉谷) 吊り橋(大杉谷) 堂倉滝
大杉谷の岩壁 七ッ釜滝(大杉谷) 吊橋(大杉谷) 堂倉滝(大杉谷)

 また、日出ヶ岳展望台から西の方角に目を向けると、近畿最高峰の八経ヶ岳を含む、世界遺産の一部である大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)が通る大峰山系を一望できます。北の方角には高見山地や御在所山方面に連なる山々、南の方角には大台ヶ原の正木峠に続く景色が広がります。

日出ヶ岳から西を望む 日出ヶ岳から北を望む 日出ヶ岳から南を望む

 現在は車道が冬期通行止めとなっていますが、今年は大台ヶ原に行こうと思っている方もまだ予定にはない方も、節分の日には、大台ヶ原の恵方に思いを馳せてみてください。展望台でのんびりしてから東大台を一周するのもよし、大杉谷から日出ヶ岳まで登ってくるのもよし、早朝から日の出と富士山を眺めるのもこれまたよし!是非大台ヶ原にお越しいただき、2019年にしか味わえない日出ヶ岳をお楽しみ下さい。今年もたくさんの方々に、大台ヶ原を気持ち良く楽しんでいただけることを願っております。

----------------------【大台ヶ原公園川上線(大台ヶ原ドライブウェイ)冬期通行止め】---------------------

平成30年12月3日(月)午後3時~平成31年4月19日(金)午後3時(予定)

上期間中は冬期閉鎖のため、大台ヶ原山上へ通じるドライブウェイは通行止めです。

詳細はこちら→ 【報道資料】平成30年度 奈良県内 冬季通行止について(リンク)

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