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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 熊野

355件の記事があります。

2013年01月10日ヒドリガモ【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 鎌田遼

こんにちは。吉野熊野国立公園 熊野地区担当の鎌田です。
今日は、和歌山県 那智勝浦町にある宇久井ビジターセンター周辺で見られるヒドリガモを紹介します。

ヒドリガモは冬になるとやってくる渡り鳥(冬鳥)です。
宇久井周辺の砂浜海岸でも、毎年数十羽が越冬します。
オスは頭部が緋色で白線があります。
メスは多くのカモと同様に地味な色です。

近縁種に、オスの頭部が緑色をしたアメリカヒドリがいます。(下の写真参照、光量が足りなくて色が分かりづらいですが、頭部は緑色で体はヒドリガモと同様褐色です。)
写真のヒドリガモのオスも眼の後ろが淡い緑色を帯びていますが、アメリカヒドリではありません。

(写真上)ヒドリガモ出航、先頭がメス、後続がオス2羽。(写真中)ヒドリガモは目のうしろが淡い緑色をしているものもいます。(写真3)眼のうしろが淡い緑色の個体は、頭部のほとんどが緑色のアメリカヒドリとは違います。



ヒドリガモは植物食です。
昨日は、岩場でノリの様なものを食んでいる様子を見ることができました。

ノリ(?)をついばむヒドリガモ



カモのメスは識別が難しいですが、ヒドリガモのメスは比較的容易です。
他にも特徴はありますが、分かりやすいのは「おでこのライン」。
マガモと比べたマンガが下です。

マガモとヒドリガモの頭部のおでこラインを比較。


マガモの額ははなだらかな曲線ですが、ヒドリガモは微妙にS字カーブしています。
微妙な違いに見えるかもしれませんが、例えば、

「よくわからないカモの雌がいる」
「双眼鏡で見ているけど遠い!」
「おまけに逆光で色合いもよく分からない!」

なんてときに、おでこのラインが最後のヒントになるかも?
遠くてもおでこの形は比較的よく分かります。

どこにでもいるヒドリガモですが、ぜひ観察してみてください!

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2013年01月09日須賀利大池調査に行ってきました【景観】【動物】【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 鎌田遼

こんにちは、吉野熊野国立公園 熊野地区担当の鎌田です。
尾鷲市 須賀利大池に調査に行ってきました。



須賀利大池は、国立公園の特別地域に指定されており、また天然記念物にも指定されています。
須賀利大池は「海跡湖」と呼ばれ、かつての津波の折などに海水が侵入し痕跡が湖底に堆積しています。この堆積物の解析は津波研究の一助になります。
また、絶滅危惧種であるハマナツメの大規模群落見られるなど、生物相も大変特徴的ですが、現在この群落は、主にシカの食害によって衰退してしまっています。

環境省では、昨年度に防鹿柵(鹿の進入を防ぐ柵)を設置し、ハマナツメ群落のシカ食害対策を行ってきました。今回の調査は、柵の現状確認のためのものです。
現地を確認したところ、柵の周りにはシカがぞろぞろと歩き回った跡がありますが、柵の中は大丈夫なようでした。



枯木の倒壊や動物(タヌキ?)による柵の破損が一部ありましたが、以前は見ることのできなかったハマナツメの芽吹きや、大きく実生が生育しているなど、防鹿柵が効果を発揮していることが確認できました。




須賀利大池は船以外ではアプローチしにくい場所にあります。行ける機会は少ないですが、可能な限り今後も注意深く経過を観察したいと思います。

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2013年01月07日星空観察に行ってきました【景観】

吉野熊野国立公園 熊野 鎌田遼

開けましておめでとうございます。
吉野熊野国立公園 熊野地区担当の鎌田です。
昨夜は、和歌山県新宮市にある王子ヶ浜に星空観察に行ってきました。


18:00過ぎ頃撮影、焦点距離12 mm、ISO1000・f/4で30秒露光しました。市街地近くですが、撮ってみると思っていたより沢山星が写りました。



今度は、街の光がもっと少ない所に行ってみようと思います。

夜空の澄む冬は、皆様も国立公園で星空観察はいかがでしょうか?

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2012年12月04日那智山に行ってきました/写真のはなし【景観】

吉野熊野国立公園 熊野 鎌田遼

こんにちは、吉野熊野国立公園 熊野地区担当の鎌田です。
先日は、和歌山県那智勝浦町にある那智山にパトロールに行ってきましたので、紹介します。

那智の滝や那智大社などで有名な那智山は、吉野熊野国立公園に指定されており、また「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも登録されています。



写真1.那智の滝。1段の落差が日本一で、133 mあります。
那智の滝の源流部は、「那智原生林」として、吉野熊野国立公園 特別地域に指定されており、もっとも厳重に保護されています。



写真2.青岸渡寺の三重塔と那智の滝。自然信仰に基づいた熊野修験の歴史を垣間見ることができます。

この他にも、那智山山域には、那智山の参詣道「大門坂」や、妙法山阿弥陀寺など、文化的スポットがたくさんあります。
また、那智勝浦町の沿岸部では、温泉やマグロ・イセエビ料理が楽しめたり、奇岩の続く海岸風景が楽しめるジオスポット「紀の松島」など、さまざまな観光名所があります。
年末は、熊野三山(本宮・新宮・熊野)を参詣する「熊野詣で」や、熊野古道でのトレッキングなどをはいかがでしょうか?



〇写真のはなし
みなさんは、写真を撮るとき、「背景が明るすぎて、撮りたいものが真っ暗」(黒ツブレ)になったり、「撮りたいものは写ったけど、こんどは背景が真っ白」(白トビ)になってしまったことはありませんか?
肉眼ではちゃんと見えるのに、カメラには写らない...カメラの能力の限界ですね。
コンピュータを使って少し工夫すると、黒ツブレ・白トビを軽減した写真を作ることができます!

【手順】※コンパクトデジカメでもできます
(1)三脚にカメラをセットする。または、適当な高さの場所にカメラを置く。
(2)シャッタースピードを変えて、明るい写真(白トビが多目)と暗い写真(黒ツブレ多目)を撮る。
(3)写真のどちらかを半透明にして、重ねる。
(4)丁度よい明るさの写真ができる。




この方法そのままだと、写真の色合いが絵の具のようにべったりしてしまいますが、写真の「鮮やかさ」・「明るさ」・「コントラスト」・「重ね方」などの工夫しだいで、肉眼で見たままの風景を近い所まで再現できます。
また、色合いを極端に調整することで、逆に絵画的な表現を楽しむこともできます。

みなさんも、国立公園にお越しの際は、美しい風景をテーマに、写真撮影や写真アートを楽しんでみるのはいかがでしょうか?

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2012年11月13日ジオパーク関連講演会 開催のお知らせ【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 鎌田遼

こんにちは、熊野地区担当の鎌田です。

2012年11月17日(土)に、宇久井ビジターセンターにてジオパーク関連の講演会を実施します!
南紀熊野の豊かな海洋環境を、豊富な写真や、3Dメガネで「凹む」海底地図などのビジュアル情報を通してお伝えします!

<イベント情報>
1.名称
『南海トラフ巨大地震に備える―地球深部探査船「ちきゅう」展』同時開催
「ちきゅう」来訪記念・ジオパーク認定応援イベント
『熊野の海の秘密を探る―わくわく深海探検!』

2.日時
平成24年11月17日(土)13:30~15:30

3.場所
環境省 宇久井ビジターセンター(和歌山県那智勝浦町宇久井830番地)

4.プログラム
『「消えた」陸地―黒潮古陸』後 誠介 氏(30分)
『熊野の海の秘密を探る―わくわく深海探検!』JAMSTEC 谷口 典孝 氏(60分)
質疑応答(30分)

5.参加費
無料

6.参加方法
宇久井ビジターセンター事務室へ電話連絡 (tel : 0735-54-2510、水曜休館)

詳しくは、近畿地方環境事務所のウェブサイト(イベント開催案内)をご覧ください!

チラシ(pdf, 2.397kb)はこちらです。

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2012年10月22日台風のお土産?【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 鎌田遼

こんにちは。熊野地区担当の鎌田です。
先先週の台風が、熊野地区沿岸にお土産を残して行ってくれました。

田畑・川・電線に鳥・鳥・鳥!普段は見ない鳥がたくさんいます!
インターネットの情報によると、愛知県の藤前干潟や三重県の松坂などでも出現していたそうです。
渡りの途中で、台風から避難してきたのかもしれません。


これらは「クロハラアジサシ」です。
夏羽は、名前の通りおなかが黒くなります。
ですが、今回見られたものはほとんどが冬羽または幼鳥でした。
クロハラアジサシの仲間には、ハジロクロハラアジサシとハシグロクロハラアジサシがいます。(舌をかみそうですね!)
クロハラアジサシの群れには、まれにハジロクロハラアジサシが混じっていることがあるのですが、とても似ているので、私は見つけられませんでした…(ハシグロクロハラアジサシは迷鳥なので、更に珍しいです)



黒っぽいもの(写真上)のもいました。
これらは夏羽から冬羽への換羽の途中のようです。
換羽が終了しているものが写真下です。

台風の後は、珍しい海鳥が陸に避難してくることがあります。
みなさんも、台風の後の珍鳥探しをされてみたらいかがでしょうか?

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2012年10月11日古座川ウォーキングイベントのお知らせ【イベント】

吉野熊野国立公園 熊野 鎌田遼

こんにちは、熊野地区担当の鎌田です。
今回は、さわやかな秋にぴったりのイベントをお知らせします!




カルデラとは、火山活動でできた凹型の地形のことです。
和歌山県東牟婁郡古座川町に位置する古座川には、「幻の巨大カルデラ火山」が眠っています。
「古座川の一枚岩」「高池の虫喰岩」などの特徴的な地質名所(ジオサイト)を訪ねながら、太古の火山活動の秘密が眠る古座川を、地元に詳しいガイドさんと一緒に探索してみませんか?
豊かな自然・歴史・文化の話を聞きながら、近畿自然歩道に指定されている秋の古座川沿線を満喫しましょう!
温泉入浴券も付いています!
ご応募お待ちしています!

【詳細情報】
1.名称
全国・自然歩道を歩こう月間「古座川に眠るカルデラを歩こう」~ジオパークを目指して~

2.実施体制
共催:環境省 近畿地方環境事務所・古座川町・古座川町教育委員会・古座川町観光協会
後援:和歌山県

3.日時
平成24年10月28日(日)9:00~15:00(予定)(受付は8:30~)

4.場所
和歌山県古座川町 近畿自然歩道沿線

5.集合場所
古座川町役場(和歌山県東牟婁郡古座川町高池673-2)(無料駐車場があります)

6.行程
古座川町役場―高池の虫喰岩―牡丹岩―古座川直売所 みんなの家―(バス移動)―古座川の一枚岩―天柱岩―(バス移動)―古座川町役場
(うち歩行距離約11 km)

7.持ち物
ウォーキングのできる服装と靴・リュックサック・飲み物・帽子
(必要な方は、ストック・日焼け止め・カメラ等)

8.参加費
1人3,000円(温泉入浴券・昼食のお弁当付。バス利用料・保険料・ガイド料等を含む)

9.参加対象
一般(小学生以下は保護者同伴)

10.定員
20名(募集期間中先着)

11.申込方法
古座川町観光協会へ電話予約

12.申込期間
10月9日(月)~19日(金)9:00~17:00

13.荒天時
雨等の気象条件によりイベントの開催が難しいと判断された場合イベントは中止とし、当日朝7:00までに参加者に対して電話連絡を行います。

14.お申し込み・お問合せ先
古座川町観光協会
Tel: 0735-67-7277
e-メール: info@kozagawakanko.com
※前日の宿泊についても、古座川町観光協会にお問い合わせください。

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2012年10月02日要注意外来植物「ノハカタカラクサ」【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 鎌田遼

こんにちは、吉野熊野国立公園 熊野地区担当の鎌田です。

今日は熊野周辺で見られる要注意外来生物の「ノハカタカラクサ」(別名「トキワツユクサ」)を紹介します。

「要注意外来生物」とは?
環境省が選定した取扱いに注意が必要な生物を指します。これらの生物が野外に広がると、在来の生物と競合してこれを駆逐してしまったり、雑種を作って在来の生物の独自性を損なわせてしまうなど、さまざまな問題が起こる可能性があります。
また、外来生物法に基づき「特定外来生物」に指定された生き物は、栽培(飼育)や運搬が法律で禁止されています。アライグマやブラックバスなどがこれに該当します。



ノハカタカラクサは南アメリカ原産の外来植物です。園芸用に栽培されていたものが野外に逸出したものです。別名「トキワツユクサ」の通り、ツユクサの仲間です。
葉が波打っており、白い花が咲きます。


これは理科の実験でもおなじみの「ツユクサ」。こちらは青い花が咲きます。


ノハカタカラクサの繁殖力は旺盛で、あちこちで群落になっているのを目にします。茎にある節から根を伸ばせるので、植物体がちぎられても、片方が根付いて増えていきます。ノハカタカラクサの群落が地面を覆ってしまうと、背丈の低い在来の植物の成長を阻害してしまいます。


ノハカタカラクサの群落を機械を使って刈り払っても、生育範囲を広げてしまうので、防除のためには一本一本手で抜くしかありません。

ノハカタカラクサをはじめ、外来植物を処理する場合には、2~3日の間天日にさらして完全に枯死させた後、ビニール袋などに密封して、各自治体の方法に従って処分してください。
外来生物がむやみに広がらないように、みなさまのご協力をよろしくお願いします!
外来生物については、環境省の外来生物法のサイトもご参照ください。
http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html

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2012年09月14日鳥の渡りの季節になりました【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 鎌田遼

こんにちは、熊野地区担当の鎌田です。
和歌山県那智勝浦町にある宇久井ビジターセンター(http://www.ugui-vc.jp/)では、定期的に鳥の調査をしています。少しづつ暑さも和らいできたこのごろは、秋の渡り鳥が見られるようになってきました。

今回の調査で見られた渡り鳥は、くちばしの上反りが特徴的なソリハシシギ(写真1. 1)・以前紹介したキアシシギ(写真1. 2)・小さなシギの仲間のトウネン(写真1. 3)でした。

ソリハシシギとキアシシギは、摩耗のないきれいな幼羽でした。つまり、今年生まれの新入りです。シベリアなどで生まれた後に、ここ宇久井まで渡ってきたのだと思われます。


調査で見られたその他の留鳥その1です(ヒヨドリ(写真2. 1)・メジロ(写真2. 2))。
どこにでもいて、うるさく鳴いているヒヨドリですが、すぐ逃げるので撮影するのは難しいです。




調査で見られたその他の留鳥その2です(ハクセキレイ(写真3. 1)・カワウ(写真3. 2)・イソシギ(写真3. 3))。
今回見られた他のシギと違ってイソシギは留鳥です。
今回見られたイソシギも幼羽でした。宇久井の周辺で生まれた個体なのかもしれません。



紹介した種を含めて、20分ほどの簡単な調査で約10種類の鳥を見ることができました。他にも、熊野周辺では、メダイチドリやキョウジョシギなどもやってきています。
もうすぐもっといろいろな種類の鳥が見られるようになると思います!

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2012年08月27日串本海中観察会開催しました!【イベント】【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 鎌田遼

こんにちは、熊野地区担当の鎌田です。
毎年大人気のイベント、串本海中観察会が開催されました。

串本海中観察会とは、吉野熊野国立公園の中でも「海域公園地区」に指定されている串本の海で、シュノーケリング楽しむことができるイベントです。
台風接近のため、残念ながら海の水は少しにごり気味・・。
写真上:フィン(足ひれ)をはいて準備をする参加者。写真下:海の中でブリーフィング。海水はにごっています。
ですが、すこし沖に出ると、いろいろな生きものを見ることができました!


生きものの写真。上から、1.岩の間にいるオオシジイシモチ、2.ソラスズメダイ、3.イソギンチャクに暮らすクマノミ、4.大きなボラ(~50 cmほど)、5.ガンガゼとサンゴ


みなさんも、ぜひ串本海域公園地区に遊びに来てくださいね!

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