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アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

近畿地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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吉野熊野国立公園 熊野

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2008年11月18日ドングリの季節 【植物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

皆さん、こんにちは。ここ最近、蚊によって安眠を妨げられ、その活動時期の長さに感心を覚えている熊野アクティブレンジャーです。11月に入り、日本各地の紅葉や実りの便りが盛んに届けられる季節となってきました。ここ熊野では紅葉はあまり見られないのですが、ドングリの実をつける木の下には、たくさんの実をみることができます。

ということで、本日はいま旬を迎えているドングリについてご紹介します。宇久井半島で見られるドングリは、人によって利用されてきたウバメガシ、コナラ、クヌギ、スダジイ、マテバシイです。

ドングリといっても、マテバシイのように細長いものやクヌギみたいにずんぐりしたものがあり、種によって特徴が異なります。

今年は、マテバシイやウバメガシがたくさん実をつけている一方で、昨年非常に多く見られたスダジイの実なりが悪く、見つけることが難しいです。その激変ぶりをみると、これをエサとしているツキノワグマやリスなどの生き物達は大変だろうと、思わず老婆心が生まれます。
 
現在、ビジターセンター周辺では、ウバメガシの実が多く観察できます。外出するには良い季節ですので、足下のドングリにも目を向けながら散策してみてはいかがでしょうか。
※ウバメガシの詳細はビジターセンターにて確認できます。

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2008年11月12日蛾?蝶? 【動物】

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

 ここ数日急激に寒気立ってきて、身を縮こませるようになりました。実りの季節を迎えた植物達には、鳥などの生き物たちが集まり、事務所横にある柿の木には実を食べに来るメジロが寄ってくるようになりました。

 ビジターセンターにおける情報の充実を図るため、蝶に関する調査を行っているのですが、11月に入ると観察個体も減少し、アゲハチョウをはじめとする大型の蝶も姿を見せなくなっています。本日はそのような中でも、最近観察される風変わりな蝶をご紹介したいと思います。


クロコノマチョウ(黒木間蝶)
地味な模様で、一見すると蛾のようですが、蝶の仲間です。

 日が差す明るい開けた場所ではあまり見られず、暗い森の中でよく観察されます。飛んでいると比較的大きいので目に付くのですが、静止していると、翅が落ち葉と非常によく似た模様をしているので、近くにいても気付かないことが多いです。
 今年の蝶の時期は見納めに近づきつつありますが、もうしばらく観察できそうです。

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2008年11月06日スケッチで絵はがきを作ろう 【イベント】

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明日は立冬ということで、熊野でも朝晩の温度が低く感じるようになってきました。全国的な渡りを行う蝶で知られるアサギマダラが長旅の最中にある優雅な舞いを見せてくれるようになりました。

去る3日、文化の日にちなんで芸術的なふれあい行事、「吉野熊野国立公園『自然観察会』スケッチで絵はがきを作ろう」を宇久井ビジターセンターにて開催しました。


スケッチは野外で行う予定でしたが、あいにくの雨模様だったので、屋内で行いました。
それぞれ思い思いの画材を使って、スケッチをしてくれました。描いている時はみんな真剣で、イベントをしているとは思えないくらい静かだったそうです。(私も描いていたので気付きませんでした。)

できあがった作品はどれも力作揃いです。

作品を飾る額についても自然の物を使って作ってもらいました。

あいにくの雨でしたが、雨の日にしか見ることが出来ない自然の姿を味わうことができました。スケッチの対象を探したり、描いたりすることで自然をじっくり観察することになり、普段見過ごしている点にも気付いてもらえたようでした。
尚、今回作成してくれた作品の一部はビジターセンターにて展示しております。近くにお越しの際には、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

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2008年10月29日「木を使ったものづくり体験」~ネイチャークラフトをつくろう!~ 【

吉野熊野国立公園 熊野 畝井良幸

皆さんこんにちは。
今週に入り、秋の深まりを感じるような寒さの朝晩となってきました。この頃、縄張りを主張するモズの高鳴きやヒヨドリのけたたましい鳴き声があちらこちらでBGMとなっていて、にぎわしい季節を迎えています。

先日様々な樹木について関心をもってもらうべく、宇久井ビジターセンターにて、吉野熊野国立公園「木を使ったものづくり体験」~ネイチャークラフトをつくろう!~を開催しました。

地元に生育している樹木を利用して、キーホルダーや小物などを作成する木工作業です。

いろいろ試行錯誤をしながら、魅力的な作品を作ってくれました!

割り当てられた樹木を探しています。

樹皮ではかなり似ている木も多く、成長段階によっても変化するため、難しかったようでした。

樹木や標本について少し知ってもらおうということで解説を行いましたが、胃腸薬やワインの栓などへの利用等の身近な話題になると、やはり親近感が沸くようで、興味深げに耳を傾けてくれました。またルーペを使った樹木表面の観察でも、普段なかなか機会が無い知らない世界が垣間見られるためか、皆さん熱中していました。
木に対して特に普段気にも留めない方も多いかと思いますが、木は私たちと切り離すことが出来ない関係にあり、私たちはその恩恵を受けて生活しています。そのような現状について少しでも関心を深めてもらえればと思います。

ビジターセンターに樹木標本コーナーができました。

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2008年10月21日情報発信 【その他】

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 皆さん、こんにちは。このところ9月末頃の陽気が続いている熊野からお伝えします。

 宇久井ビジターセンターでは、利用者や一般の方々への情報発信を目的として、A5版8ページの情報誌「つれもて宇久井へいこら♪」を今年から毎月発行しています。「つれもて」は「一緒に」、「いこら」は「行こう」という意味のこの辺りの方言です。

宇久井ビジターセンター情報誌「つれもて宇久井へいこら♪」

 この情報誌では、旬な自然情報のほか、宇久井ビジターセンターでのイベントの予定や結果報告、地元の方からの宇久井にまつわるお話などを掲載されています。
 また自然保護官とアクティブレンジャーが交代で、自然公園のルールや国立公園の見どころを紹介する「レンジャー通信」というコーナーもあります。来月第11号は「レンジャー通信」を私が担当することとなっています。今回は和歌山県北山村や七色峡についてとりあげ、有名な見どころである瀞峡についての原稿を作成しています。巡視に行った際に覚えた感動やお勧めポイントを紹介し、吉野熊野国立公園の魅力を少しでもお伝えできればと思います。この他、北山村の歴史や自治体が取り組まれているユニークな事例についても案内したいと思います。

 本情報誌「いこら♪」は、宇久井ビジターセンターや休暇村南紀勝浦等に置いています。これを読めば、宇久井通になれちゃうので、お目に止まりましたら是非ご覧ください。

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2008年10月14日まだ遊べます 【イベント】

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 皆さん、こんにちは。昨日までは暑い程の晴れ模様だったのですが、秋晴れは続かないというように、今日は朝から雨が降り出しました。

 昨日、那智勝浦町観光協会主催のふれあい行事「夏山海岸の美しい磯で大自然と遊ぼう」に自然保護官と共に講師として参加しました。夏山海岸は、和歌山県太地町にある太平洋岸の内湾です。

 昨日は太陽が顔を覗かせ、夏を彷彿とさせるような気温となりました。色鮮やかな熱帯魚の稚魚や面白いカニなど、たくさんの生き物を観察することが出来ました。


子供達だけでなく大人達も熱中。

面白い格好をしたフグ。有毒らしく、キタマクラ(北枕)と呼ばれています。

非常に巧みな保護色です、見分けられますか?
左手は藻で、右手にカニを持っています。

 熊野海域では水温が高く、まだ磯遊びやスノーケル等のマリンレジャーが堪能可能です。陸上は秋の装う季節となってきていますが、夏を感じられる海を訪れてみてはいかがでしょうか。

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2008年10月06日くっつき虫 【植物】

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昨日の強雨とは打って変わり、今日は雨上がりの晴れ間が広がっています。ここ熊野では10月に入って、生き物達も次第に秋の様相が濃くなりつつあり、赤とんぼの乱舞、クモの活躍が目に付きます。ただ、まだ蚊の活動は収まりそうになく、森の中に入ると本当に秋なのかという位、蚊の大群に襲われます。
本日はこの様な季節の移ろいの中にある、種がひっつく植物をご紹介します。


ヌスビトハギ(盗人萩)
名前は盗人の忍び足の足跡からきているそうです。

イノコズチ
小さな実を大量につけます。

チヂミグサ
粘り気のある実でくっつきます。

皆さんも野山等で衣服にこの様な種を知らず知らずのうちにくっ付けていた経験があるかと思います。毛や衣服にくっ付いて、種子を運んでもらい、生息場所を広げる手法に若干の嫌気を覚えつつも、自然の巧みさに感心させられます。

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2008年10月02日サンゴの北限海域【動物】

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 熊野では台風15号が通過し、台風一過の天候となっています。それに伴い昨日までの肌寒い気温とは違ってかなり暖かくなり、一気に秋の深まりとはいかないようです。

 先日、三重県熊野市にある二木島海域のサンゴ調査に同行し、スノーケルによる巡視に行って参りました。台風の影響により波が高かったため、外洋に面した海中公園地区での調査は中止となり、二木島湾内のかつて海中公園地区の候補地となった海域での巡視となりました。 

カラフルな魚たち(青い魚はソラスズメダイ、縞模様の魚はオヤビッチャです)

海上からは陸域で規制の厳しい特別保護地区に指定されている楯ヶ崎も展望できます。(こんもりした場所です)
 
 海中では、色鮮やかなソラスズメダイやツノダシ等の魚たちを観察することができましたが、海面からおよそ10m位までを観察するスノーケルでは、残念ながら大きなサンゴは確認できませんでした。串本海中公園センターの方によると、温帯域の浅い海域には海藻が繁茂し、また冬期の海面温度の低下の影響でサンゴは生育しにくいが、水深20m付近の海藻が減り、温度変化も少ない所には生育しているようです。深い潜水が可能なダイビングで調査した同センターの方々の話では、大きなもので1m位のサンゴが見られたようです。
 二木島海域は温帯と亜熱帯の生物が同居し、海藻とサンゴがせめぎあう独特の環境が形成されています。そのため貴重な海域に設けられる国立公園の海中公園地区に指定されています。この様な貴重な海の中を少し垣間見ることができた巡視となりました。

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2008年09月17日フォトコン入賞作品展 【イベント】

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皆さん、こんにちは。スズムシやコオロギ等の鳴き声が、より一層涼しく感じさせられる今日この頃です。

先日宇久井ビジターセンターで実施していた宇久井半島フォトコンテスト2008の投票展示を終了しました。
投票によって決まったグランプリ、準グランプリ、3位に加え、後日選考会を行って、郷土賞、自然塾賞、休暇村賞、レンジャー賞、アクティブレンジャー賞も決定いたしました。
これら入賞作品展を来る9月18日より11月3日までの間、同ビジターセンターにて行います。


受賞作品は本地域で観察される植物や動物などの生き物や見応えのある風景等を垣間見られる力作ばかりです。是非ご覧になって、知らない宇久井半島を発見してみてはいかがでしょうか。

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2008年09月10日白いウミガメ 【動物】

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一昨日あたりから秋の高気圧が勢力をのばしてきているようで、熊野でも晴れ間の中に心地よい風が吹き抜けています。畦道などには秋の七草の一つであるオミナエシが花を咲かせ、秋の到来を感じる風景がみられます。

吉野熊野国立公園の三重県七里御浜や和歌山県王子ヶ浜の砂浜では、毎年夏期になると環境省のレッドリストに記載されているアカウミガメが、産卵をしにやって来ます。
 先日、王子ヶ浜で産卵されたものを高波等の危険から守るために、有志の方々によって保護され、孵化したウミガメの中に、普通とは異なり色素をもたない白い個体が生まれました。 



上が白っぽい子ガメで、下が通常色の子ガメです。
 
ウミガメの専門家によると、これは遺伝によるものらしいです。白みを帯びた状態では、自然界では天敵に狙われやすく成長することが困難です。ただ、以前に生まれた白い子ガメは、1ヶ月程で普通の色に戻ったそうで、今回も時間の経過と共に通常の色に戻るとみられ、徐々に赤くなりつつあるようです。
現在串本海中公園センターにて、飼育展示されています。非常に珍しいので、お越しの際には是非ご覧下さい。
 
今年は例年に比べて産卵回数がはるかに多く、多くの子ガメが誕生しています。全国的にも同様の傾向がみられるようです。しかし、孵化した子ガメのうち無事親ガメに成長する個体はごく一部であるといわれています。
七里御浜及び王子ヶ浜ではウミガメやその卵を保護するために、産卵孵化の時期にあたる5月から9月にかけて、浜への車両の乗り入れ規制を実施しています。
皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

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