大台ヶ原における自然再生の目標(第2期)
大台ヶ原の現存する森林生態系の保全を図るとともに、天然更新により後継樹が健全に生育していた昭和30年代前半までの状況をひとつの目安として、豊かな動植物からなる質の高い森林生態系の再生を目指すとともに利用との両立を図ります。
大台ヶ原を特徴づける森林生態系の保全
長期目標に掲げた大台ヶ原を特徴づける森林生態系の保全を目指します。
森林更新環境の回復
森林更新の阻害要因を取り除き、健全な森林更新環境を回復させることにより、実生が定着し、後継樹が健全に生育する森林生態系の回復を目指します。
森林後退の抑制
現存するトウヒを中心とする亜高山性針葉樹林の減少を抑制することを目指します。
ミヤコザサ草地から森林への遷移
亜高山性針葉樹林がミヤコザサ草地に退行遷移した場所を森林生態系の基礎条件を整えることにより、森林へ誘導することを目指します。
ニホンジカ個体群の保護管理
ニホンジカ個体群の適正な生息密度への誘導・維持します。
適正利用に係る交通量の調整~マイカー規制等の実施~
ピーク時における車両の入込み台数の調整と、利用の分散化を図るための手法を検討、導入し、自然環境に対する一時的な過剰負荷を軽減します。
より良好な森林地域の保全と質の高い利用の提供~利用調整地区の運用~
西大台地区については、適正に利用調整地区を運用し、良好な森林地域の保全とより質の高い自然体験学習の場を提供することを目指します。
適正利用に係る交通量の調整~マイカー規制等の実施~
利用者が自ら自然の大切さを学ぶことを促すため、施設の整備とふれあい啓発に関する取組の両面から、周辺資源の活用を図りながら、幅広い主体の参画と協働を得た形で一体的・総合的に取り組むことにより、利用の質の改善を図ります。
自然再生の基本的考え方(第2期)
利用者が自ら自然の大切さを学ぶことを促すため、施設の整備とふれあい啓発に関する取組の両面から、周辺資源の活用を図りながら、幅広い主体の参画と協働を得た形で一体的・総合的に取り組むことにより、利用の質の改善を図ります。
自然環境の特性や人との関わりを踏まえた総合的な取組の実施
森林生態系のこれ以上の衰退を防止するため、残された良好な自然環境の保全を強化するとともに、東大台地区・西大台地区それぞれの植生等の自然環境や利用の特性と自然の復元力を踏まえ、その特徴に応じて総合的な取組を実施することにより、自律的に存続する健全な生態系の再生を目指す。
長期的な視点に基づく取組の実施
森林生態系の再生には長い年月を要することに留意し、長期的な視点の基に一つ一つ段階を踏みながら、取組を進めていく。大台ヶ原においては100 年単位の視点のもと、具体的な方針・目標を設定し取組を進める。
科学的知見に基づいた順応的管理
自然再生の推進に当たっては、自然という複雑な系を対象とすることから、得られた科学的な知見や情報をもとに、仮説を立て予測することを通じて、再生までの道筋を検討し、効果的に取組を進める。取組の効果についてはモニタリングによる科学的な検証を行い必要な修正を加えつつ順応的に進める。
関係者間の連携
自然再生の各段階における必要な情報を大台ヶ原に関係する多様な主体が共有し、合意形成が図られるようにする。本計画の策定主体である環境省のみでなく、林野庁、奈良県、三重県、上北山村、川上村、大台町等の地元関係行政機関、地域住民、自然保護団体、一般利用者等の間で情報を共有することにより、関係者間の円滑な合意形成を図り、計画の着実な遂行を目指す。
成果の活用と普及啓発の推進
自然再生を通じて得られた成果については、質の高い自然体験を実現するための取組や、自然環境学習の場等において活用されるよう情報提供の充実を図る。紀伊半島ひいては全国における自然再生の取組が効果的に行われるよう、技術的な情報等の発信を積極的に行う。
大台ヶ原自然再生推進計画(第2期)に係る意見募集の実施結果のお知らせ