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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

自然ふれあいイベント「川から温泉?川湯温泉のナゾにせまる」を実施しました

2025年11月27日
熊野 湊 英也
 みなさんこんにちは、吉野熊野国立公園管理事務所の湊です。今年の秋は、何かとても短く感じました。冬が見え隠れするような冷え込む日が多く、休みの日に紅葉狩りに出かけるのが楽しみな私は、ここ数年見ごろを逃してしまっています。今回は、先日開催しました自然ふれあいイベントの報告をします。
 和歌山県田辺市本宮町には、河原に温泉が湧く「川湯温泉」があります。私がうん十年前の中学生ぐらいのころには、熊野には河原に温泉が湧く川湯というところがあると、その存在を知っていましたが、特に何か疑問を抱くこともありませんでした。それが今になって、実は北海道や秋田県、長野県、そしてここ和歌山県などに数か所しかない全国的にも珍しい場所であることを知り、改めて「なぜ川から温泉が湧いているのか?」と不思議に感じるようになりました。そこで、今回はそのナゾにせまると題した自然ふれあいイベントを、小中学生の親子16名を対象に実施しました。当日の状況を写真とともに紹介します。
河原を掘る参加者
写真①足湯作り:河原を掘って足湯を作ります
即席の足湯を体験する参加者
写真②足湯体験:約50℃の温泉を川の水で適温にして足湯を楽しみました
川湯の説明を聞く参加者
写真③川湯温泉の学習:この場所に温泉が湧く仕組みを学びました
河原の石を調べる参加者
写真④河原の石調べ:この石なあに?と先生に質問する子供達
鮎漁の実演を見学
写真⑤鮎漁の学習:漁協の職員による小鷹(こだか)網漁の実演 ※許可を得た方が実施しています
温泉水の調査
写真⑥実験:温泉水を沸かして残った結晶を集めます
温泉成分のPHを確認
写真⑦実験:集めた温泉の結晶のPHを試験紙で確認
足湯を作った河原の整地作業
写真⑧後片付け:イベント終了後は、河原の足湯を埋め戻しました

 この川を掘ればどこでも温泉が湧いてくるわけではないそうです。イベント会場の対岸にあるマグマ由来の岩場近辺で温泉が湧いているらしく、少し下流に離れると河原を掘っても先ほどのような暖かい水は湧いてきませんでした。地下のプレートの活動によって長い年月を得て海水や雨水が地下深く引き込まれ、熱水となりマグマ由来の岩からなる岩脈に沿って地下から上昇し、湧き出てくるそうです。ちなみに川湯の泉質は、「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉」です。この川湯地区では、例年12月上旬~2月下旬に「仙人風呂」がオープンします。近くには、つぼ湯で有名な「湯の峰温泉」、熊野三山の1社「熊野本宮大社」、日本一大きい鳥居のある「大斎原」など見どころいっぱい、冬でも楽しみいっぱいな吉野熊野国立公園に是非お越しください。 
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