近畿地方のアイコン

近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

鳥の巣半島観察会~里山と里海のつながり~に向けて

2025年10月01日
田辺 戸口協子
みなさま、こんにちは。
吉野熊野国立公園田辺管理官事務所の戸口です。
ここ最近で一気に秋の空気が流れ込み、過ごしやすい日が多くなりましたね。秋の香りと、山が秋色に色づくのが楽しみです。
 
さて、みなさんは吉野熊野国立公園に、「鳥の巣半島」というところがあることをご存知ですか?今回はこの鳥の巣半島を少しご紹介するとともに、観察会のご案内をしたいと思います。
 
鳥の巣半島は田辺湾最奥部に位置する半島で、リアス海岸となる入り組んだ地形が特徴的な場所です。この半島を中心に近隣では、昔から漁業と農業の両方で生計を立てている地域で、山(田畑)や海と共に生活されています。
鳥の巣半島航空図
鳥の巣半島の国土地理院航空図(出典:国土地理院 https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html)
陸地部分では田んぼや果樹畑、溜池があり、半島の付け根部の川では河口部に汽水域がみられます。また、小さな入江ごとに水が湧き出しているところや干潟が広がっているところがあります。浅瀬には磯部分と、砂泥の干潟、藻場もあり、潮の引き方によっては海藻・海草がみられるところもあります。
このように、山、川、干潟、磯、藻場、海と、多様な環境が存在しているのが鳥の巣半島です。このような場所では多様な生物を育み、水を浄化したり、温室効果ガスである二酸化炭素を閉じ込めたりして、自然環境として大切な役割を果たす場所です。しかし、全国的にこのような環境が大変少なくなってきています。そのため、この貴重な環境は、未来に残したい豊かな場所であるということの認証として、昨年、「自然共生サイト」に認定されています。
(※自然共生サイト:https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/
 
環境省近畿地方環境事務所ではこの貴重な場所で、観察会を企画しています。この観察会では、生物多様性を構成する3つの要素を感じてもらえます。山から里海まで一続きとなっていて、様々な環境があることで「生態系の多様性」を、動物も植物もたくさんの種類を観察できることで「種の多様性」を、同じ種でも個体差があることを発見できることで「遺伝子の多様性」を、知ることができます。見て知って感じてもらい、面白さを体感することで「生物多様性」の大切さを感じてもらいたいという思いから企画したものです。
観察会では6km程度ある半島を徒歩で一周します。
先日、観察会の下見に行ってきましたので、観察会に先駆けて、豊かな自然を少しだけご紹介したいと思います。
鳥の巣半島の植物
吊り下げ花がかわいいニガカシュウ
鳥の巣半島の植物
色鮮やかなクサギ(蕾)
鳥の巣半島の植物
センニンソウと右はヘクソカズラ
鳥の巣半島の動物
昼寝中のシュレーゲルアオガエル
鳥の巣半島の動物
ハラビロカマキリ
鳥の巣半島の動物
サンゴに乗っているカクベンケイガニ
私がおもしろいと思ったものを一部、ご紹介します。これは何に見えますか?(答えは最後に表示)
鳥の巣半島の植物これはなに?
ニンニク?イチジク?
鳥の巣半島の動物これはなに?
地球外生命体の活動?
鳥の巣半島の菌類これはなに?
パン?
観察会の参加募集は本日から開始となっています。
良かったらみなさん、是非、ご参加くださいね。
 
イベント案内:「指定90周年吉野熊野国立公園 鳥ノ巣半島自然観察会 ~森と里海のつながり~」の開催について | 近畿地方環境事務所 | 環境省
 
吉野熊野国立公園は来年2月で指定90周年を迎えます。みなべ町~すさみ町の田辺地域は、吉野熊野国立公園の追加拡張部にあたり、拡張されてからちょうど10年の節目を迎えます。
今回のイベントは、その周年企画の一つでもあります。
これからも末長く、吉野熊野国立公園の味わい深い自然環境をみなさまと共に楽しみ、愛でていけたらと思います。
(最後の3つの写真は、ハマユウの実・コメツキガニの巣の周り・ノウダケ(きのこの1種)でした♪)