アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
和歌山県生物多様性シンポジウム、ネイチャー・アワードから感じた吉野熊野国立公園田辺地域について
2024年03月28日
田辺
みなさま、こんにちは。
吉野熊野国立公園 田辺管理官事務所の戸口です。
さて今回は、2月末にありました和歌山県主催「守ろう!和歌山の生物多様性~未来の子供たちへ生物との共存を~」というシンポジウムに参加し、発見した吉野熊野国立公園のことをお伝えしたいと思います。
吉野熊野国立公園 田辺管理官事務所の戸口です。
さて今回は、2月末にありました和歌山県主催「守ろう!和歌山の生物多様性~未来の子供たちへ生物との共存を~」というシンポジウムに参加し、発見した吉野熊野国立公園のことをお伝えしたいと思います。
【シンポジウム 守ろう!和歌山の生物多様性】
このシンポジウムは、和歌山県が策定した「生物多様性和歌山戦略」の推進や、県民の皆さんの理解を深めることを目的に平成28年から実施されてきました。
基調講演は、和歌山県ご出身で公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)理事長の武内和彦氏による講演でした。演題は「昆明・モントリオール生物多様性枠組と2030年ネイチャーポジティブへの道筋」で、世界の潮流をお教えいただけるものでした。まだ聞き馴染みの薄い「グリーン・リカバリー」や「ランドスケープアプローチ」などの言葉もあり、少し難しく感じるものもありましたが、最近よく聞くようになったネイチャーポジティブ(◎)の具体例もご説明いただき、腑に落ちた貴重な機会でした。
(武内氏は和歌山県生物多様性戦略に委員として関わられていた関係もあり、このシンポジウムに毎回コーディネーターとしてご登壇されています。)
◎ネイチャーポジティブ
生物多様性が失われるなど「ネガティブ」な状態をくい止め、生物の種の数が回復していくなど「ポジティブ」な状態にしていくために、生態系が豊かになるような経済活動へ切り替えていく取り組み
(武内氏は和歌山県生物多様性戦略に委員として関わられていた関係もあり、このシンポジウムに毎回コーディネーターとしてご登壇されています。)
◎ネイチャーポジティブ
生物多様性が失われるなど「ネガティブ」な状態をくい止め、生物の種の数が回復していくなど「ポジティブ」な状態にしていくために、生態系が豊かになるような経済活動へ切り替えていく取り組み
【わかやまネイチャー・アワード】
このシンポジウムでは、2021年度からは、和歌山県の豊かな自然や生物多様性を将来に渡り保全するため、その担い手となる人材の育成を目的に、小学校から高校生の生物に関する活動成果を称えるものとして、「わかやまネイチャー・アワード」の表彰式も実施されています。また、いくつかの自由研究の口頭発表と、研究作品の展示もありました。子どもが抱いた疑問を、自由に探究し、家族と共にまとめたものに直に触れることができ、探究とまとめのレベルの高さに、毎回舌をまきます。展示を見せてもらう側にとっても、探究を通じて家族の絆も感じられるもので、なんだか希望を与えてもらえ嬉しい気持ちにしていただけるものでもあります。
【吉野熊野国立公園との関連】
今回、中でも私の目に止まったものがあります。吉野熊野国立公園となっている田辺湾で、海藻について調べた生徒さんがいらっしゃいました。田辺周辺の地域の方かと思ったのですが、田辺から遠く離れた和歌山市の小学校の生徒さんでした。
海藻は、海でCO2削減に貢献してくれる大切な生き物。動くものに興味を持つ子どもさんが多い中、海藻に興味を持って探究されていることを知り、探究の話を個別に拝聴するなかで、生物多様性を守ってくれる大切な未来の研究者のたまごだと感じました。
田辺管理官事務所においても、これまで海藻観察会などを実施するなかで、講師の先生が海藻のおもしろさと共に、“分類の難しさ”を語られていたことが印象に残っていました。この生徒さんも家族とともに探究するなかで、分類が難しかったということでした。
田辺管内では現在、環境省の「令和の里海づくり」モデル事業として、「新庄漁業協同組合」が田辺湾内の新庄で藻場調査やヒロメ養殖を通じ、ブルーカーボンやブルーツーリズムの取り組みを実施しています。同組合は、この区域が自然共生サイトに認定されることを目指しており、認定されれば海域における和歌山県第1号です。もちろん田辺管理官事務所もこの取組を応援しています!
海藻は、海でCO2削減に貢献してくれる大切な生き物。動くものに興味を持つ子どもさんが多い中、海藻に興味を持って探究されていることを知り、探究の話を個別に拝聴するなかで、生物多様性を守ってくれる大切な未来の研究者のたまごだと感じました。
田辺管理官事務所においても、これまで海藻観察会などを実施するなかで、講師の先生が海藻のおもしろさと共に、“分類の難しさ”を語られていたことが印象に残っていました。この生徒さんも家族とともに探究するなかで、分類が難しかったということでした。
田辺管内では現在、環境省の「令和の里海づくり」モデル事業として、「新庄漁業協同組合」が田辺湾内の新庄で藻場調査やヒロメ養殖を通じ、ブルーカーボンやブルーツーリズムの取り組みを実施しています。同組合は、この区域が自然共生サイトに認定されることを目指しており、認定されれば海域における和歌山県第1号です。もちろん田辺管理官事務所もこの取組を応援しています!
田辺地域にはこのような熱い動きもあることから、海藻の探究環境が整っているようにも感じます。自分の興味の探究から、たくさんの人とつながり、またさらにどんどん興味を広げていってもらいたいと感じました。このような人のつながりから地域活性化となるものが生まれ、地域もよくなっていく好循環が生まれると理想的だと考えます。紀南エリアは南方熊楠をはじめとし、生活で身近な生物に目を止め、興味と親しみを持っている方が多くいらっしゃる基盤があることを肌で感じます。
吉野熊野国立公園で行われているこのような研究が、地域を巻き込み地域活性化に繋がる「好循環」を起こし、世界を巻き込んで広がって欲しいと思います。
吉野熊野国立公園で行われているこのような研究が、地域を巻き込み地域活性化に繋がる「好循環」を起こし、世界を巻き込んで広がって欲しいと思います。
令和の里海づくり事業(新庄漁協)
田辺湾奥部|SATOUMI STORY (env.go.jp)
自然共生サイト
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/
田辺管理官事務所で実施した海藻観察会
カラフル海藻観察会~天神崎で海の春を体感!~ | 近畿地方環境事務所 | 環境省 (env.go.jp)
田辺湾奥部|SATOUMI STORY (env.go.jp)
自然共生サイト
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/
田辺管理官事務所で実施した海藻観察会
カラフル海藻観察会~天神崎で海の春を体感!~ | 近畿地方環境事務所 | 環境省 (env.go.jp)