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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

カラフル海藻観察会~天神崎で海の春を体感!~

2022年03月28日
田辺 戸口協子

みなさま、こんにちは。田辺管理官事務所の戸口です。

紀州和歌山では三寒四温が続いていますが、梅、桜の順に春を届けてくれています。

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みなべの梅の花 田辺・闘鶏神社の桜の花

 

さて、今月3月5日、田辺管理官事務所で実施した「カラフル海藻観察会~天神崎で海の春を体感!~」についてご報告いたします。

今回の自然観察会では、紀南の海で「ヒロメ」というワカメの仲間の海藻を研究されている講師をお招きし、ご応募いただいた小学4年生から大人までを対象に天神崎で海藻について教えていただきました。

(海藻については、1月のアクティブ・レンジャー日記でも取り上げておりますので、是非ご覧ください。 URLhttps://kinki.env.go.jp/blog/2022/01/2022.html )

田辺市にある天神崎は、ナショナル・トラストの先駆けとなった場所でもあり、地域住民のみなさんの手で、山から海へ一帯となった豊かな自然環境を守られてきた場所です。

天神崎には海岸部分にシンボルとなっている丸山があり、満潮時にはその周辺一面が水面下となるものの、潮が引くと平らで広大な磯が姿を現します。

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干潮時の天神崎・丸山

集合場所で安全対策などの話をしてから、いざ出発。

磯場への降り口にはこんな看板がありました。

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警告板

講師からも、海藻の中には水産資源として管理されるものがあり、場所によっては採取が禁止されているところもあることを教えていただきました。海藻の採取についても魚や貝と同じで、規則があるので、守らないといけませんね。

磯場につながるスロープを降りた場所の周辺に、早速、満潮時に打ち上がった海藻が集まっているところがありました。その中に、小さな丸いものが付いている海藻を発見。この海藻はホンダワラという海藻の仲間であることを教えてもらいました。

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ホンダワラの仲間

この丸いものは、海の中で浮きの役割をしているものだそうです。海の中で生息している海藻は、光合成をするため、太陽のある上に向かって伸びますが、その時に体を安定させるため、浮きをもつものがあるそうです。

この浮きは、指で潰すと

「プチッ」

音を鳴らして潰れます。これはやってみるとなかなかおもしろく、みんなでプチプチ鳴らして遊びました。

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「プチッ」を体験

次に、磯の先端を目指して波打際沿いに移動しながら、海藻を観察しました。緑色をした海藻と、茶色をしたひげのような海藻が多く見られるところがありました。岩礁にくっついている状態ではなんてことのない海藻に見えますが、実は、普段私たちの生活の身近にあるものです。

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緑が鮮やかなアオサ・茶色をしたひげのようなフノリ

緑が鮮やかな"アオサ"や、ひげのような"フノリ"は、お味噌汁の具にもなる海藻です。 "アオサ"は、焼きそばやお好み焼きなどにかける青のりの1種としても食べたことがあるかと思います。また、 "フノリ"は、食材としての他、古くには「天然糊(のり)」として漆喰の材料や織物の糊付けに利用されてきました。そのため漢字では「布糊」という字が当てられています。相撲力士が廻しにつける「下がり」を糊付けするのにも用いられているそうです。

岩礁の先端近くで、波が比較的強くあたる場所には、さらにたくさんの海藻を見ることができました。

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カヤモノリ タイドプールの海藻 ウミトラノオ、と...?

その中にあるこの海藻、何だか分かりますか?

ヒントは給食のレギュラーメニューで、きっと、ほとんどの人が食べたことのある海藻です。

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お馴染みの海藻です

これは、なんと、あの「ヒジキ」です!参加してくれた小学生からは、「いつも食べているヒジキからは想像がつかない」という声があがっていました。

ヒジキは生の時は写真のように黄褐色をしており、渋みが多くてそのままでは食べられません。生のヒジキはお湯にくぐらせると、苦み成分のポリフェノールがお湯に移ることでお湯は茶色くなりますが、ヒジキ自体は鮮やかな緑色になるそうです。

茹でる時間が長くなるほど、ヒジキの色がくすんできます。長く茹でることで苦みが取れ、鍋の素材が鉄である場合、その鉄と反応してヒジキはより黒くなるそうです。

茹でた後、天日干しをして、みなさん、お馴染みの黒いヒジキとなります。ヒジキは思いのほか、手間のかかった食べ物であることを勉強し、今後はヒジキをしっかりありがたくいただこうとみんなで話しました。

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観察会の様子

その後は室内で、海藻についてお話しを聞きました。

「かいそう」には、「海草」と「海藻」があること、

「海藻」には大きく分けると緑色(緑藻類)、茶色(褐藻類)、紅色(紅藻類)の3種類があること、

茶色の海藻はお湯にくぐらせると鮮やかな緑色に変化することなどを教えていただきました。

最後に、これらの海藻を紙に押し当て、乾燥させて絵を作る「おしば体験」をしました。

(※おしば体験で使用した海藻は、講師が事前に適切に準備したものです)

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1.海藻選び 2.紙に海藻を広げ、絵にする
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3.水切り 4.乾燥準備
おしば体験

みんな初めてのおしば体験がおもしろく、独創性のある作品が次々に並んでいました。これら作品は乾燥後、ラミネート加工して完成となります。

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参加者の作品

今の季節は海岸で観察できる海藻の種類が多く、いろいろな発見があると思います。多種多様なカラフルな海藻を探しに、ぜひ、春の海岸へ足を運んでみてください。繰り返しになりますが、採ってはいけない海藻は、無断で取らないようにしてくださいね。

※天神崎は干潮時には広大な磯場が広がりますが、潮が満ちて来ると、帰り道が海水で見えなくなることがあります。お越しの際は、事前に干満の時間を確認し、安全に気を付けて楽しんでください。また、磯場には滑りやすいところがあるので、足元にはよく注意してください。