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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

フェニックスに生息する生きものたち

2023年05月31日
田辺 戸口協子
みなさま、こんにちは。
吉野熊野国立公園 田辺管理官事務所の戸口です。
新緑が美しい季節。先日の梅雨入りで、山の木々は、梅雨明けの強い日差しに耐えるため、深緑の葉への変身準備に入っているようです。
 
さて、今日は、これまでフェニックス褶曲巡視の際に、出会った生物をご紹介します。
フェニックス褶曲は、吉野熊野国立公園の中でも特別保護地区に指定されているところで、砂岩と泥岩が互層になった地層が固まりきる前に力がかかり、グニャッと曲げられたものです。
(フェニックス褶曲の紹介:すさみ町のフェニックス褶曲 | 近畿地方環境事務所 | 環境省 (env.go.jp)
フェニックス褶曲とその周辺(パノラマ画像)
フェニックス褶曲とその周辺(パノラマ画像)

4月17日、晴れて波が穏やかな日に出会ったこの体長1.5cmほどの生物、なんだか分かりますか??フェニックス褶曲の中でも、少しの波で潮が風にのってかかる岩場にいました
 
この生物は…?
この生物は…?
ここで見つけました
ここで見つけました
 
この写真の生物、「イシノミ」という生物です。
お尻が3本のしっぽのようになっていたことから、私はてっきり「カゲロウ」かと思いました。これまでは「カゲロウは淡水の水生生物である」と認識していたため、海水のかかる場所にいることに驚いたのですが、その話を有識者の先生に確認したところ、「イシノミ」という生物であることを教えていただきました。まだまだ知り得ることは世の中にたくさんあります!
 
また、今年の梅雨入りした先日5月29日に、和歌山県の職員さんとフェニックス褶曲に巡視に行った際のことです。その日は風が少しあり、波が少々荒れていました。この日は植物を探しに行ったのですが、海岸から山を見るためにフェニックス褶曲近くの海岸へ出たところ、生物に詳しく野生の目を持つその方が、沿岸間近で泳ぐウミガメを発見されました。波間に一瞬、顔を出すというウミガメを、目をこらして探していると、私も見つけることができました。
「見つけた!!大きいですね!!!」と興奮して伝えたところ、そんなに大きくないのでは…?とのこと。感覚は人それぞれだなぁ、と思っていたところ、その方と私は相互に、始めに見た大きさと異なるウミガメを発見しました。なんと、狭いエリアに2頭もウミガメがいたのです。ウミガメの習性からすると、波で寄せられたクラゲを狙って、または海岸沿いの海藻を狙って沿岸に寄って来たのではないかと思われます。
荒波の合間のどこに、いつ姿を現すか分からず、くっきりとした姿を捉えた写真が撮れなかったのが残念です。
 
小さい方のウミガメが姿を見せ、すぐ潜った様子
小さい方のウミガメが姿を見せ、すぐ潜った様子
 
これから初夏は、アカウミガメは上陸産卵することもあり(参照:みなべ町沿岸で見つけた未確認ライン(跡) | 近畿地方環境事務所 | 環境省 (env.go.jp))、アオウミガメも沿岸域に来るシーズンで、ウミガメに出会える機会が増えると思います。この日のように、場合によっては陸からもウミガメを確認することができるチャンスがあるかもしれません♫
 
みなさんも、安全第一でフェニックス褶曲の規模感を感じていただき、周辺の生物も一緒に楽しんでいただくことで、特別な感動の体験していただけたらと思います。

〔フェニックス褶曲園地利用はこちらをご確認ください↓↓〕
吉野熊野国立公園フェニックス褶曲園地の利用について | 南紀熊野ジオパーク (nankikumanogeo.jp)