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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

宝探し 時々 海岸清掃 のち プラゴミの由来(後編)

2021年10月15日
田辺 戸口協子

ここのところ、田辺では夏が舞い戻ったような日差しが続いています。

時折吹く風だけは秋をまとっていますが。

みなさま、こんにちは。吉野熊野国立公園 田辺管理官事務所の戸口です。

今回は、前回記事から引き続き、9月に参加したビーチクリーンアップのイベントで集めた漂着ゴミの中で、私が興味深いと感じたものの紹介を続けたいと思います。

(前回記事はこちら: https://kinki.env.go.jp/blog/2021/09/post-195.html

イベントで集めたゴミを種類別に分けることで、海に漂着するゴミは、プラスチックゴミが群を抜いて多いことを知りました。

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これらは垂下式と呼ばれる方式のカキの養殖のため、日本で使われているものだそうです。海に漂うカキの卵はロープに通したホタテの貝殻と長さ1.5cmの「豆管」を幾重にも重ねた貝殻の部分に付着します。その後、カキが大きく成長するために間隔を取るため、豆管は「パイプ」に交換されます。「ワッシャー」はロープ最下部の留め具となります。

これらの漁具は本来であれば再利用されるようですが、非常に強い荒波や台風などがあった際に流出してしまい、紀南にまで流れ着いたと考えられます。

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これは昔、よく使われていた浮子の一種で、ガラスでできています。とてもきれいで、ビーチコーミング※される方にもファンが多いそうで、実際に手にしてみると納得できる一品でした。

※ビーチコーミング...海岸や浜辺に打ち上げられた漂着物を収集すること

現在は、写真右に見られるようなプラスチック浮子が代役を務めているようです。

このとおり、かつては別の素材で利用されていたいろいろな物が、現代ではプラスチック製品に置き換わっています。

プラスチックの便利な点は、ゴミになると大きな問題になります。

プラスチックの便利な点と大きな問題

壊れにくい・分解しない →

 ずっと環境に残る

 生物に絡むと外れない

 誤飲すると消化されない

軽くて 便利      →

 風や海流で容易にどんなところ

 (拾うことが困難な場所や遠く海外等)

 にも運ばれる

発泡スチロールを例に考えてみます。

発砲スチロールはコルクの代用に使われ出したのをきっかけに、用途が広がっているものです。発砲スチロールもプラスチックの一種で、断熱性に優れ、また衝撃吸収にも優れたもので、陸上・海上で重宝されています。

原材料となるビーズを熱で膨らませ、接着剤などの化学薬品を使わずに熱でくっつけることで成型しており、原材料体積は製品体積のわずか2%であることから、省資源素材と言えます。

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発泡スチロールゴミ

一方で、上の表のとおり、便利だからこそ、ゴミになってしまうと回収が難しい側面も持っています。「軽くて丈夫で耐水性がある」ということは、「風でどこにでも飛ばされ分解されにくく水に浮く」ということです。また、熱で圧着しているだけなので、一度劣化すると容易にはがれてバラバラになりやすいという性質を持っています。実際に、海岸で大きな発泡スチロールの塊を見つけたことがありますが、表面が朽ちており、風が吹く度に細かい粒が飛ばされるのを目にしました。

プラスチック製品の多くは、劣化してしまうと細分化され無数の破片になって散らばるため、回収は非常に困難になります。

「大きな塊のうちに」、そうでなくとも「拾うことができるうちに」、回収できるものは回収したいものです。

私の家ではキッチンから出るゴミをみると、生ゴミ以外のゴミはほぼプラスチック包装であることになんとなく罪悪感があります。しかも毎日のこと。

チリも積もれば山となりますが、チリほど小さくないプラスチック製品ではゴミ山が容易にできます。商品を取り出して不要になり、1回しか使われないプラスチック包装が嵩を増すごとに、代用品はなにかないかな...と思いを馳せますが...

これだけ便利になった時代に、プラスチックを使わない生活に戻ることは難しいです。そんな中で私たちができることは、なるべくプラスチックのゴミを減らすこと・使える物は繰り返し使うこと。そして使用から廃棄まで、総量を減らさないと問題は膨れあがるばかりに思います。

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9月の清掃活動は、プラスチックゴミの由来を想像しながらの宝さがしを楽しみつつ、できることから取り組んでいきたいと、心改まる機会となりました。

Save the Ocean、 Save the Earth...

皆さまもどこかの海岸に行くことがあれば、のんびり散歩がてら、漂着物の観察をしてみると楽しいですよ。