アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
宝探し 時々 海岸清掃 のち プラゴミの由来(前編)
2021年09月29日みなさま、こんにちは。
吉野熊野国立公園、田辺管理官事務所の戸口です。
秋の空気を感じる季節になりました。今年は夏らしい日が短かったこともあるのか、季節の移り変わりがいつもより早く感じます。
最近、仕事を通じて、私には新たな興味が湧いてきました。
それは、ビーチコーミングです。直訳では「海岸や砂浜(beach)を櫛(くし)でとく(combing)という意味」となりますが、簡単に言えば海岸や浜辺に打ち上げられた漂着物を収集することです。
きっかけは、9月に実施された管内の志原海岸におけるビーチクリーンアップのイベントに参加したことです。
イベントでは、海ゴミ問題への関心を高めるために、清掃活動の後に拾った海岸ゴミの内容を国際海岸クリーンアップ(ICC)の手法で調査・分析しました。
私自身はあくまで清掃活動の一員に加わるという感覚で参加しましたが、終えてみると自分でも意外なくらいに"おもしろかった"です。
漂着物には色々あるところ、今回は人工物をゴミとして拾い、何かおもしろそうな物があれば、別にして拾ってみる、という形で清掃活動を始めました。
人工物か自然由来のものかを見分けていると、それまではひとくくりの"漂着ゴミ"だったものが、個々で見えてきました。すると、おもしろそうなものが見えてきて、すぐに自ずと楽しくなっていました。となると、もう宝さがし状態♪お宝を探ししつつ、しかもゴミも拾うことができ海岸をきれいにできるわけです!
私の宝箱...形の異なるカイメン(※)を見つけ、つい、夢中に集めてしまいました (※)カイメンは海綿動物門に属する動物の総称です。海中に生息する生き物で、体内を通り抜ける水の中から有機物微粒子や微生物を捕らえて栄養とします。拾ったスポンジ状のものは、カイメンの骨格です。 |
清掃活動を終え、回収した人工物の漂着ゴミを"種類別に分けてみる"ということをしたところ、プラスチックゴミは群を抜いて多かったです。
みんなで集めた漂着ゴミ |
今回のイベントでは、これらのプラスチックゴミの一部の由来をお教えいただきました。その中で、私が興味深いと感じた物を紹介します。
これは夏場に子どものおやつになる氷菓子の容器です。きれいな四角の穴が3つ...これは、フグ科の魚の歯形だそうです。穴の開き方や破れ方で、どんな動物が噛んだか分かるとは。陸上にいても海の動物の生態の一部がわかるなんて、他の噛み跡にも興味が広がりました。
海岸をたまに歩いていると、意識せずとも漂着ゴミの中にこのようなものがあったなという記憶があるくらい、見つけることができるプラスチック製品があります。
これらは漁具の浮子(うき)で、養殖網などに利用されているものです。
浮子(うき)は網を張るとき、網の上部に付けるもので、下部に付ける沈子(ちんし)=重りと対をなすもののようです。浮子は昔ではコルクや桐、竹などの自然素材が使われていたようですが、プラスチック製品ができてからは形が揃っていて使いやすく、丈夫で安価なため、自然素材から置き換わりました。
写真のものは、海外製のものです。浮子があるということは、沈子も存在するのですが、沈子はきっとどこかの海の底に沈んでいると思われます。(なお、青い浮子は鉛を含む物があるというので、見つけたら早めにゴミとして集めたいものです。)
ここまで紹介したものはほんの一部で、まだまだ紹介したいものがありますが、つづきは来月公開の後編をお楽しみに!