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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

植物?動物?/ハコフグの仲間その2【動物】【その他】

2011年09月28日
熊野
こんにちは!
熊野地区担当の鎌田です。
波の高い日の後に海岸へ行くと、いろいろなものが流れ着いています。
宇久井半島周辺の海岸で拾った物を紹介します。


1.スポンジ状のなぞの物体

おわん型で、手ざわりはざらざらしています。
海水につけると柔らかくなり、まるで「スポンジ」みたい。

この正体は、つぎのうちどれだと思いますか?
(1). 海藻が干からびて脱色したもの
(2). 無脊椎動物
(3). 断熱材などの建材が流されたもの



以下の検索結果などで、生きている時の写真を見ることができます。
<”Demospongiae”の画像検索の結果>
http://www.google.co.jp/search?tbm=isch&source=hp&q=Demospongiae&btnG=%E7%94%BB%E5%83%8F%E6%A4%9C%E7%B4%A2&gbv=2&oq=Demospongiae&aq=f&aqi=&aql=&gs_sm=s&gs_upl=0l0l0l1016l0l0l0l0l0l0l0l0ll0l0

これらは「カイメン」の仲間で、こんななりでもれっきとした動物の一種です。英名もまさに“sponge(スポンジ)”、昔はこれをお風呂のスポンジとして使っていました。現在のプラスチックスポンジは、これに似せて作った物なのです。

ということで、正解は(2)でした。カイメンには眼も口もなく、岩や海底に張り付いて、海水をろ過して小さな浮遊物を食べて生活しています。ふしぎな生き物ですね。



2.ハコフグの“かんぴんたん”
南紀では、干からびてしまったもののことを“かんぴんたん”と呼ぶようです。以前のエントリでもハコフグ仲間の1種を紹介しました。
<2011年6月2日 「さかなミイラ【動物】>
http://kinki.env.go.jp/blog/2011/06/1274.html
今回はまた別な種類のミイラを拾ったので、再び紹介します。


ハコフグ科コンゴウフグ属、「シマウミスズメ」です。頭とおしりにある角・体の表面にある不規則な線の模様が特徴的です。この模様は、生きているときはきれいな青色です。

日本近海の主なハコフグの仲間は、大きく3種類に分けることができ、それぞれ体の形に特徴があります。


ハコフグ属(画像左)は、体の断面が4角形で、ハコフグ・ミナミハコフグなどの種が含まれています。南紀ではもっとも普通に見られる分類群です。
コンゴウフグ属(画像中)は、ウミスズメなどの種を含み、眼の上の角が特徴的です。体の断面は釣鐘型の5角形です。
ラクダハコフグ属(画像右)は、体の断面が膨らんだ3角形をしています。背中のでっぱりがラクダのコブのような形をしています。以前紹介したハマフグも、ラクダハコフグの仲間です。

ハコフグの仲間には独特のかわいさがあり、ダイバーにも人気の魚です。みなさんも海岸を歩かれた際には、“かんぴんたん”をぜひ探してみてください!