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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

どこか懐かしさを感じる近畿自然歩道「北山峡筏師のみち」

2024年06月19日
熊野 湊 英也

 こんにちは、吉野熊野国立公園管理事務所の湊です。6月に入り、梅雨入り前になりました。今年は比較的過ごしやすい日が多いのですが、またあのジメジメムシムシとした日々が来るのかと思うと少し憂うつな気分になります。
 今回は、三重県(熊野市)、奈良県(十津川村)、和歌山県(北山村)の三県境にまたがる熊野川の支流「北山川エリア」で、近畿自然歩道「北山峡筏師のみち」を歩いてきました。
 北山川は、瀞峡(どろきょう)と呼ばれる絶景の峡谷が有名(瀞峡は公共交通機関ではたどり着けない、まさに秘境なのです)ですが、かつてはその上流の山で生産された木材を出荷するため、熊野川河口の新宮まで筏流しが行われ、さらに新宮からは北山川上流の集落へ川舟で生活物資を運ぶとても重要な水路(川)でした。
瀞峡と川舟
瀞峡と川舟
 その筏流しを行う非常に危険な仕事(そのため一家の跡継ぎとなる長男は筏師になれなかったそうです)を担っていたのが「筏師」と呼ばれる職人たちで、丸太の筏を組んで上流から下流に流しては、歩いて帰り、また筏を組んで流す仕事を繰り返し行っていました。その歩いて帰る道が「筏師のみち」で、平成に入って整備された近畿自然歩道の一部となっています。
北山川観光筏下り
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 当日は、熊野らしさを象徴するあいにくの雨でしたが、天候も筏師の方々が歩いていた当時を偲ばせるに十分な演出となりました。ガイドの案内によりおよそ6kmの行程を約4時間歩きました。その一部を紹介します。
スタート時に筏師のみちのレクチャーを受ける
初めに「筏師のみち」のレクチャーを受けてスタート
雨の中、当時と変わらないであろう風景の中を歩く
雨の中、当時と変わらないであろう風景の中を歩く
集落跡に残る開村記念碑
集落跡に残る開村記念碑(かつての風景がよみがえる)
道中にはヒキガエルなどがお出迎え
道中では、ヒキガエル、サワガニ、イモリなどもお出迎え
途中に見える北山川は、まさに絶景の一言
途中に見える北山川は、まさに絶景の一言

 北山川周辺では、今回の筏師のみちウォーキングの他に、北山川観光筏下り、瀞峡SUP体験、おくとろ温泉、おくとろ公園キャンプ場、瀞峡めぐりができる川舟、吊り橋など、自然を体感するにはたいへん魅力的なエリアとなっています。
 今年の夏は、ぜひ吉野熊野国立公園で秘境「北山川・瀞峡」を満喫してみませんか。