山陰海岸国立公園 竹野
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2018年10月15日秋の散策におすすめの絶景スポット
山陰海岸国立公園 竹野 派谷 尚美
皆さま、こんにちは。竹野自然保護官事務所の派谷です。
風が心地よく、外を歩くのにちょうど良い季節となりました。関東地方出身の私には山陰地方の秋は初体験です。日々、自然の豊かさ、美しさに感動しながら散策を楽しんでいます。
今日は秋の散策におすすめの場所として、山陰海岸国立公園内にある兜山 (かぶとやま) の様子をご紹介いたします。
兜山は京都府京丹後市久美浜町にある、標高191.7mの山です。流紋岩の溶岩からできた溶岩円頂丘で、その形が武士の兜に似ているところから名付けられています。
兜山山頂への道は舗装されているので歩きやすく、ゆっくりと歩いて45分程で絶景を味わえる、山陰海岸国立公園内のおすすめスポットの一つです。
この時期は、ススキ、栗、キノコなど秋を感じさせる光景を至る所で目にします。
山頂までの道の途中で木々の開けた場所があり、久美浜湾を見下ろすことができます。久美浜湾は、日本海と砂嘴 (さす) で隔てられた内湾で、カキの養殖が盛んです。
日頃あまり歩かない方は、坂道がややきつく感じられるかも知れません。無理のないように、休みながらゆっくりと登ってみてください。山頂では絶景が待っています。
こちらが山頂からの眺めです。久美浜湾と小天橋 (しょうてんきょう)、日本海を一望できます。
山頂には展望デッキがあり、雄大な景色を落ち着いて楽しむことができます。
写真には収め切れない景色の素晴らしさ、植物や土の匂い、虫や鳥の鳴き声など、現地でなければ体感できない魅力がたくさんありますので、ぜひ兜山に足を運んでいただけたらと思います。
参考情報
兜山は、京丹後市久美浜町甲山にあります。
※山頂の展望台までは車で登ることができません。
最寄駅は京都丹後鉄道宮豊線かぶと山駅です。
周辺には久美浜湾、丹後砂丘、城崎温泉などの観光スポットがありますので、併せて訪れていただくと、山陰海岸の様々な魅力をさらに味わうことができます。
2018年07月11日アベサンショウウオの飼育展示
山陰海岸国立公園 竹野 派谷 尚美
みなさま、こんにちは。
竹野自然保護官事務所アクティブ・レンンジャーの派谷尚美(はたちや なおみ)です。
これからどうぞよろしくお願いいたします。
今回は山陰地方にすむ珍しい生き物の「アベサンショウウオ」について紹介いたします。
実はこの写真にアベサンショウウオの幼生(子供)が写っています。
どこにいるか分かりますか?
こちらは成体(大人)です。
おとなしい性質で、ほとんど動きません。
アベサンショウウオは成体になっても10cm程度の小型のサンショウウオで、水のきれいな湿地で生息しています。
森林伐採や道路建設などの開発によって生息地が失われたり、生息地周辺における里地里山の管理方法が変化したことにより生息数が減り、環境省版のレッドリスト2018には「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」として、絶滅危惧ⅠA類に掲載されています。
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(参考) レッドリストのカテゴリー (環境省HP)
https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/redlist/rank.html
アベサンショウウオは京都府、兵庫県、福井県、石川県の一部の地域にしか生息しておらず、生息が確認されている地域においても知らないという方が大勢いらっしゃいます。
そこで、将来みんなでアベサンショウウオを守っていくために、地域住民の方々に知ってもらうことから始めようと考え、種の保存法による「アベサンショウウオ保護増殖事業」に基づき地域の小学校で飼育展示を始めました。飼育に携わった子どもたちから、多くの人たちにアベサンショウウオのことを伝えてもらえればと思っております。
※小学校におけるアベサンショウウオの飼育展示は種の保存法 (絶滅のおそれのある野生生物の種の保存に関する法律) によるアベサンショウウオ保護増殖事業計画に基づき行っているものです。アベサンショウウオを勝手に捕獲等することは、種の保存法で禁止されています。
レンジャーから、アベサンショウウオのことや生態系を守ることの大切さを伝え、飼育方法について教室で説明した後・・・
実際に子どもたちに餌やりに挑戦してもらいました。
餌は冷凍イトミミズです。
細くて小さなイトミミズをピンセットでつまみ、水中の小さなアベサンショウウオにあげる作業は大変ですが、みんな一生懸命お世話をしてくれていました。
子どもたちに大人気のアベサンショウウオ。
まだ幼生のため大きさは2cm程度ですが、少しずつ大きくなっていることが目に見えて分かります。
アベサンショウウオが成体になる前に元の生息地に返してあげるため、数週間程度の短い期間にはなりますが、子どもたちに飼育してもらうことで、身近にいる生き物に関心を持ち、生き物たちのすむ自然環境を守ることの大切さに気付いてもらいたいと考えております。
元気に成長したアベサンショウウオを、山に返す日が楽しみです!
2017年06月14日パークボランティア研修会
山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明
皆さんこんにちは。
竹野地区アクティブ・レンジャーの酒井です。
竹野スノーケルセンターでは本格的な夏シーズンを迎える前に、5月20日、21日に今年度最初のパークボランティア研修会を開催しましたので、今回は研修会の様子をご報告したいと思います。
パークボランティアとは、多くの方々に自然の中での体験に参加してもらいながら、自然環境への高い意識を持ってもらうことを目的として、国立公園などにおいて自然観察会等の解説活動や美化清掃、利用施設の維持管理などの各種活動を行っていただく熱意あるボランティアさんのことです。
今回の研修会は山陰海岸国立公園の「夏シーズン自然体験活動中の安全の確保」というテーマで行われました。具体的に何をしたのかというと「救急救命講習」と「スノーケル研修」、そして「水上安全研修」の3つの研修を行いました。
海での体験活動が多い地区ですので、専用の道具の取り扱いを習得しておくこと。海でやってはいけないこと知ること。万一事故が起こった場合、きちんと救急法を実施できることが必要になります。
また、陸とは違い、海という特殊条件で事故が起こった場合にどう動くのか、あるいは事故を起こさないためにどうすべきか、ということをしっかりと理解し、訓練しておくということはとても大事です。
楽しい海の活動を支える研修であるため、1年で一番大事な研修となっております。
実際の研修はどのような様子だったかというと・・・
救急救命講習
心肺蘇生とAEDの扱い方を訓練しました。
毎年行っている研修ですので、パークボランティアの皆さん方もこういった心肺蘇生とAEDが必要な場合、どう動くのかということがわかっている方も多いのですが、それでも年に一度確認と復習を行う事はとても大事です。
スノーケル研修
ウェットスーツを着て海に入り、スノーケル器具の取り扱いや竹野スノーケルセンターで行われるスノーケル教室での活動の流れを復習しました。
5月ということでかなり水温が低いのではないかと予想していましたが意外と20℃近い水温がありかなり海は暖かかったです。
海の中には・・・
オビクラゲというクラゲがぷかぷか浮かんでいました。
水上安全研修
これも毎年行っている研修なのですが、溺水者を岸まで運搬する方法や、救助用浮き輪の使い方等を学んだ後、毎回必ず行うことがあります。
写真に写っている救急救命訓練用人形を実際に海に沈め、海で遊んでいた子が溺水者となって海に沈んでいる、という想定で演習を行うのです。
行方不明者が出たという第一報から捜索、通報、溺水者の発見、海からの引き上げ、救急救命処置、救急隊への引き渡しまでの流れを行います。
実際に海に沈んでいるところを見ると人形だとわかっていても毎回肝が冷えます。
こうして行った研修が夏のシーズンの安全を支えています。
とはいえスノーケル研修以外の研修は活かされる機会がないことが理想なのですが・・・
皆さんも夏シーズンの海の事故には十分気をつけて海水浴など海のアクティビティを安全に楽しみましょう!
2016年07月19日竹野夏シーズン開始しました。
山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明
皆さんこんにちは竹野の酒井です。
7月に入り、竹野ではさんさんと夏の日差しがアスファルトを照りつけています。
これだけ暑いと、涼を求めて海水浴をしたくなりますね。
そんな方に朗報です。
竹野浜は7月1日に今シーズンの海開きを行いました。海水浴、もうできます!
今回は竹野浜の海開きの様子をお伝えしたいと思います。
今年も例年通り7月1日に海開きが行われました。
昨年、一昨年の記事を見て頂けるとわかるかと思いますが・・・・
なぜかこの日は毎年天候が悪くなることが多く、いつも幸先の悪いスタートだなぁと思う、ことが多かったのですが、今年は快晴の青空。
幾年かぶりに幸先の良いスタートを切ることができました。
海開きの会場は竹野浜の中央にテントを張り、御神域を作ります。
その後神主さんが祝詞を上げ、たけの観光協会長や市役所の方などが今夏の無事故安全と好天に恵まれるよう祈った後、玉串を奉納していきます。
竹野浜は国立公園ですので、竹野の自然保護官も玉串を奉納します。
豊岡市のマスコットキャラクター、玄武洞の玄さんも玉串奉納していました。
その後は・・・
地域の幼稚園児による泳ぎ初めが行われました。
子どもたちは大変楽しそうに竹野の海を一番乗りしていました。
何しろ快晴でとても暑い日だったので、自然保護官と二人、子どもたち楽しそうで涼しそうで良いなぁと羨んでしまいました。
さて、そんな海開きが行われ、竹野浜のシーズンがやっと始まりました。
是非是非皆さんも竹野の海を体感しにいらして下さいね!
もちろん海水浴以外にも、スノーケルやジオカヌーやダイビングといった海遊びもおすすめですし、ちょっと離れた所には温泉だってたくさんあります。
まだ今年の夏休みの計画が立っていない方、今年は山陰、竹野の海を訪れてみてはいかがでしょうか。
2016年06月06日冠島に行ってきました【巡視報告】
山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明
皆さんこんにちは、竹野の酒井です。
5月末に恒例業務となっている冠島の調査に泊まりがけで同行してきましたので、
今回はその様子をお伝えいたします。
まず冠島とはどんな島か?というところからお伝えしたいと思います。
冠島・沓島は京都府舞鶴市の沖にある小さな二つの無人島で、国の天然記念物である海鳥
「オオミズナギドリ」の繁殖地として国指定鳥獣保護区に指定されている島です。
普段は上陸禁止の島ですが、年に2回のオオミズナギドリ繁殖調査の際には、許可を受けた人に限り上陸することができます。
今回は繁殖調査の前期分にあたる冠島調査研究会の調査に同行してきました。
昨年参加したときは後期調査、つまりオオミズナギドリの子育て時期でしたが、
今年はつがいを作る期間、つまりオオミズナギドリの恋の時期の調査です。
舞鶴の桟橋から海上自衛隊の船に乗り込み、冠島へ出発します。おおよそ二時間半程度で船旅を終え上陸し、野営地を設置します。その後標柱のチェックを行います。
標柱とは何かと申しますと・・・
島内の海岸にある、この島が国指定鳥獣保護区であることを示す柱看板の事です。
この標柱がしっかりと立っているか、痛んでいないかの確認を行います。
日本海沿岸にお住まいの方ならお分かりになるかと思いますが、
冬の日本海沿岸は潮気のまざった風、波がとても強い土地です。
土地柄、海岸の側にある、ありとあらゆる物が痛みやすい環境ですので年に2回のチェックとメンテナンスは欠かせません。
ちなみに、その他のお昼の作業は島内を巡視する程度です。
と、言うのも、オオミズナギドリは昼は海で餌をとりに行き、夜、島に戻ってくる鳥です。
そのためお昼の時間、オオミズナギドリは殆ど島にいないのです。
調査は夕方から明け方に行われ、昼夜逆転生活を送ることになりますので、お昼の時間の多くは調査員の睡眠時間にあてられます。
夜になると、あたりは帰ってきたオオミズナギドリでギャアギャアとうるさくなり・・・
このようにオオミズナギドリがあたりをうろうろし始めます
ちなみにどの程度、オオミズナギドリがいるかというと・・・
このぐらい一面にオオミズナギドリがいる光景は全く珍しくないと思うレベルです。
オオミズナギドリをアップで撮ってみるとこの通りです。左にある穴はオオミズナギドリの巣穴です。
ちなみにこの個体はライトで照らしたら隠れてしまいました。
・・・ここまで見事な「頭隠して尻隠さず」は久々に見ました・・・。
さて、そんなオオミズナギドリを見つつ、調査員の方々とあたりを歩いているオオミズナギドリを捕まえて金属製の足輪のチェックをしていきます。足輪のついていない個体については足輪の装着をしていきます。
夜の調査はこれを繰り返しますが、明け方の調査ではそうした足輪の確認と同時にオオミズナギドリの鳥の飛び立ち数、雌雄が分かる個体ならば、重さや体長、嘴長などもはかります。
これを三日間繰り返し、島での調査は終了となります。
次回は夏調査、春と比べてどう変化したか、どう変化するのか、楽しみです。
2016年01月13日クリスマス工作やってきました!
山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明
皆さんこんにちは。
そして今年もよろしくお願いいたします。
竹野の酒井です。
さて昨年の話になってしまいますが、12月に毎年豊岡市立図書館と合同で開催している「クリスマス工作教室」を開催しました。
今回はその様子をお伝えいたします。
この「クリスマス工作会」は毎年恒例となっており、クリスマスにちなんだ絵本の読みきかせと工作を行うものです。一昨年はクリスマスツリーを作り、昨年はクリスマスリースを作りました。そして今年はオーナメントを作成しました。
ちなみにオーナメントとは何かというと、言葉自体には飾り、装飾という意味があります。それが転じてクリスマスツリーにつける飾りのことをオーナメントと呼ぶことが多く、今回作成したものも、クリスマスツリーのオーナメントです。勿論、ネイチャークラフトとして、竹野や日高など豊岡市の自然の中で採取した物を使用して作ります
このように輪切りにした木材にドングリや松ぼっくりなどを自由に飾り付けていただきました。
当日はまず下の写真のように豊岡市立図書館の司書の方の絵本の読みきかせから始まりました。
今回の読みきかせに使った絵本は「ぐりとぐらのクリスマス」
どの世代でも一度は読んだ、聞いたことがある作品です。
私も横で読みきかせを聞いていて非常に懐かしくなりました。
読みきかせが終わると今度はクラフトです。
あらかじめ土台となる木を輪切りにしておいて子どもたちに配り、子どもたちのセンスに任せて飾り付けてもらいました。
ホットメルトを使い、このようにドングリやハンノキの実、綿などを土台にくっつけています。一番最初の写真は試作品としてリボンやベル等はついていませんでしたが、本番はこのように特にクリスマスらしい素材も用意しました。
小さい子にはお母さんが手伝っていました。
中には子どもより熱中しているお母さんも・・・
その気持ちは本当に良く分かります。
飾り付けセンスは子どもたち任せなので、このようにユーモアにあふれた飾り付けもありました。
何層にもドングリを重ねて立体的なオーナメントを作り出す子や、逆に飾り付けをごくごくシンプルにしたオーナメントなど、できあがったオーナメントには子どもたちの個性が反映されているようでした。
最後に作品と共に記念撮影を行って終了です。
今回一人につき2個以上のオーナメントを作ってもらいました。
おおよそ2時間程度のイベントということで、比較的短い時間でしたが読みきかせ、クラフト、ともに子どもたちは楽しそうに参加していました。
今回のイベントにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
2015年09月24日冠島オオミズナギドリ調査!
山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明
皆さんこんにちは。
竹野自然保護官事務所の酒井です。
9月に入り、竹野のあちこちが大わらわだった夏シーズンが終わり、竹野はいつもの静けさを取り戻しました。
今夏は天候に恵まれたこともあり、竹野をはじめとした山陰地域を多くの方々に訪れていただいたようでした。
さて、8月末の恒例業務となっている冠島の調査に泊まりがけで同行してしてきましたので今回はその様子をお伝えいたします。
まず冠島とは何か?というところからお伝えしたいと思います。
冠島沓島は舞鶴市の沖にある小さな二つの無人島で国の天然記念物である海鳥「オオミズナギドリ」の繁殖地として国指定鳥獣保護区に指定されている島です。
普段は上陸禁止の島ですが、年に2回のオオミズナギドリ繁殖調査の際には上陸することができます。
今回は冠島調査研究会のオオミズナギドリの調査に同行してきました。
舞鶴の桟橋から海上自衛隊の船に乗り込み、出発します。
おおよそ二時間半程度で船旅を終え、冠島に上陸します。
上陸後は下に写真のように野営地を設置します。
基本的にオオミズナギドリ繁殖調査は夕方から早朝に行うため、お昼の間は睡眠や休憩、そして鳥獣保護区である島内の調査を行います。
その他のお昼の調査としては下の写真のように巣穴の雛の重さを量り、成長具合や採餌の頻度なども調べます。
雛は巣穴にずっといるのですが、大人のオオミズナギドリは夜明け前に島を立ち、昼の間は海で餌を採り夕方になると島に帰ってくる生活スタイルです。
そのため、夕方になると島の周りには下の写真のようにオオミズナギドリが大きな群れをなして飛んで帰ってきます。
上の写真に写っている黒い点々は蚊やハエではありません。
全て鳥です。これを鳥柱といいます。
夕方を過ぎると帰ってきたオオミズナギドリが下の写真のように、野営地をはじめとした島内のいたる所をうろついていています。
冠島調査研究会の方々があたりを歩いているオオミズナギドリを捕まえて金属製の足輪をつけます。足輪をつけたら逃がします。
夜の調査はこれを繰り返しますが、明け方の調査ではそうした足輪の確認と同時にオオミズナギドリの重さや体長、嘴長、鳥の飛び立ち数などもはかっています。こうした夜の調査と明け方の調査をそれぞれ三回行うと三泊四日間の調査は終了となります。
島での作業はここまでです。今回の調査結果は過去の調査と比較し、冠島調査研究会が営巣状況がどう変化したか考えるそうです。
過去調査と比べて営巣は増えているのか減っているのか、結果を聞くときが楽しみです。
2015年07月09日2015夏シーズン始まりました。
山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明
竹野の夏シーズンはじまりました。
皆さんこんにちは、竹野の酒井です。
7月1日に竹野の夏シーズン始まりの合図である海開きが行われました。
今回はその様子をお伝えします。
海開きは例年竹野浜で行われます。
この日の天気は雨、そして強風。
少し出鼻をくじかれた気がしますが、夏休みの間の荒れた天気の日が前倒しで神事の日に来たと思うことにします。
そのような天候でしたので、急遽テントを立てての実施となりました。
テントの下には竹と注連縄でご神域を作っています。
神事は着々と進み、関係者による玉串奉納が行われました。
豊岡市のゆるキャラ、玄武洞の玄さんも出席し、玉串を奉納し柏手を打っていました。
今夏のシーズンが無事故無災害で天候に恵まれたものになることを切に願います。
神事後は、地元の小学生と幼稚園児によるヒラメの稚魚の放流と泳ぎ初めが行われました。
例年放流した魚が波に流されて浜に何個体か打ち上がってしまうのですが、今年は天候こそ悪いものの、波、水温、透明度といった海の状況は非常に良く、見た限りですが放流した稚魚は陸に上がること無く無事海へと旅立ったようでした。
その後、幼稚園児による泳ぎ初め(実際には泳いでいないので海水浴初めとでもいいましょうか)が行われ、幼稚園児たちは竹野の夏の海を誰よりも先に味わっていました。
今回は竹野の海をご紹介しましたが、それ以外にも、山陰地域には素晴らしい海水浴場がいくつもありますし、兵庫県の今年の水質調査で日本海側の海水浴場は海水浴にとても適している最上級の評価を受けております。
夏休みは是非、竹野をはじめとした山陰海岸の海に遊びにいらして下さい。天候さえ良ければ下の写真の海で海水浴、スノーケル、カヌー、ダイビングと行ったアクティビティも楽しむ事ができます。
皆さんが山陰で夏休みを楽しまれることを心よりおまちしております。
2015年03月24日知られざる希少種[生物]
山陰海岸国立公園 竹野 酒井 良明
季節は春分をすぎ、3月も終わろうとしています。
山陰は冬の観光の目玉であるズワイガニの漁期も終わり、海のシーズンまで一休みといった様子です。
梅も咲き、あたりはようやく春めいてきました。
海もずいぶんと穏やかになり、5月6月の海シーズンに向けてそろそろスノーケル器材等のメンテナンスを行わなくてはならないなと考えている今日この頃です。
ところで話は変わりますが、皆さんは「アベサンショウウオ」という生きものの名前を聞いたことはありますか?
アベサンショウウオとは京都、兵庫、福井、石川の1府3県に生息するサンショウウオで、いわゆる絶滅危惧種といわれる希少な生きものです。
竹野自然保護官事務所がある豊岡市、山陰地域では、希少な生きものというと真っ先にコウノトリの名前があがりますが、実はコウノトリと同じぐらい希少な生きものがこのアベサンショウウオなのです。
アベサンショウウオの大きさは大人でも9cmぐらい。とても小さな生きものです。
子どもはもっと小さくこのぐらいの大きさです。
地元の小学生に「アベサンショウウオっていうコウノトリと同じぐらい貴重な、小さな生きものが豊岡市にもいるのだよ」
と説明すると、はじめて聞いたという子やその小ささに驚く子も結構います。
(もっとも、小ささについては彼らの中では、サンショウウオというと豊岡市のマスコットキャラクターにもなっているオオサンショウウオ[下写真]のイメージが強すぎるせいもありますが・・・・)
地元にも余り知られていない種です。
ただ、知名度こそ低いものの、非常に希少な種であり、日本の両生類の中では最も絶滅に近いとされているとても大事な生きものです
そんな知られざる希少な生きもの「アベサンショウウオ」
皆さんも是非頭の片隅に名前だけでも留めておいてください。
皆さま、こんにちは。
竹野自然保護官事務所の派谷です。
竹野といえば、「竹野ブルー」とも称される夏の海のイメージが強く、観光で訪れる方の多くは夏の海を目にします。
しかし今回は敢えて、3月の海岸の様子をお伝えしたいと思います。
2019年3月のとある日の大浦湾 (兵庫県豊岡市竹野町)です。
スッキリと晴れて、海は深みのある青色です。
素晴らしい透明度!
水に濡れない所から少し覗いただけでも、ヒトデ、ウニ、ヤドカリが見られました。
しかし浜に視線を向けると、もっとたくさんのあるものが目につきます......。
たくさんの漂着ごみです。
日本海に面した大浦湾では、季節風の影響で冬を中心に漂着ごみの量が増えます (夏の台風通過後なども大量のごみが流れ着きます)。
特に多いのはペットボトル、プラスチック製品、ロープやフロートなど漁で使う道具です。
ボトルのラベルを見ると韓国語や英語のものがあり、外国からのごみが混ざっていることが分かります。
風や海流に乗って様々な国からごみが運ばれて来ますが、同様に、日本のごみも海に流れ出て、世界中に散らばっていることは容易に想像できます。
私が大浦湾を訪れたこの日、一人のパークボランティアさん(※)と出会いました。この方は、長い間大浦湾の海岸清掃を続けてくださっています。
ご了承をいただいて、お話を伺いました。
(パークボランティアさんのお話)
「こんなにきれいな海を前にして、浜辺がごみで汚れているところを見るのは悲しいです。少しでもごみを拾うことで、少しでもきれいにできたらという思いで続けています。
私は中国にたくさんの知人がいまして、元気を知らせる便りを送るときに、海岸清掃の写真を添えています。日本の海岸に大量のごみが流れ着いていること、こんなふうに人の力で拾っていることを少しでも伝えることができたらと。
中国の人たちを山陰海岸のきれいな海に連れて来ると、皆、海水の透明度に衝撃を受けます。このきれいな海でも、岸辺にはたくさんのごみが打ち上げられているという現実を少しでも伝えたいです。
外国からのごみが流れ着いている一方で、日本から出たごみも外国に運ばれています。(大浦湾を見渡して)この状況に対処するには、時間と人力を使ってコツコツと清掃を続けることが必要だと思います。」
この日だけでも、こんなにたくさんのごみを回収してくださいました。
それでも大浦湾にはまだまだごみが残っています。
大浦湾は、段差や砂利などの影響で重機を使った海岸清掃が難しい場所です。
そのため、パークボランティアの多くの方々が、ごみをひとつひとつ手で拾う作業を少しずつ続けてくださっています。
一度きれいにしても、別のごみが次々と流れて来ます。だからといって何もしなければ、ごみは増える一方です。
少しずつでも拾って片づける、そしてそれを続けることが今私たちにできる一番の対処法だということを、私も海の近くで暮らしたこの一年間を通して強く感じてきました。
この日、パークボランティアさんのお話を改めて聞き、私自身もさらに力を入れてこの問題に取り組むぞ~!と気合を入れ直しました。
※パークボランティアとは、自然保護思想の普及啓発を図ることを目的として、国立公園での活動に自発的に協力頂ける方にご登録頂いている環境省のボランティア団体です。竹野地区では、竹野スノーケルセンターの運営補助や海岸清掃を中心とした活動にご協力を頂いています。