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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

桜の下の力持ち

2024年11月18日
吉野

みなさん、こんにちは。
吉野管理官事務所の濵田です。
 
今年も残すところあと2ヶ月を切りましたが、みなさんどのような1年を過ごされましたでしょうか?
今年は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」が登録20周年を迎えました!
構成資産である吉野山も記念すべき年ということで、昨年に引き続き子どもパークレンジャー事業を吉野山で実施しました。
吉野山の桜を縁の下で支えている吉野山保勝会の方から、桜を守り続けていくための取り組みについて体験を交えながら教えていただきました!
 
まずは今年から本格的に始まった土壌改良のお話から・・・。
吉野山では20年ほど前に若い桜が弱っているという話が住民さんの間で上がっていたようです。京都大学などによる調査が行われたところ、カチカチの土壌に問題があることが判明。桜の木の根っこが成長しやすい柔らかい土壌にすべく、吉野山保勝会が実際に行っている土壌改良作業を参加者のみなさんも体験します!
 
まず、桜の木の近くにダブルスコップで50㎝くらいの穴を掘って・・・

 
穴の中に木の枝や落ち葉を入れていきます。

 
土をかぶせて完成!

 
吉野山保勝会では、化学肥料に頼らず自然にあるものを使って土壌改良を行っています。
 
 
午後からは桜の苗木を育てている育成園へ↓

 
育成園では、枝が折れた桜の苗木に、桜を弱らせてしまう菌の侵入を防ぐための墨汁を塗る作業を体験しました。
(こちらも化学的な薬品に頼らず、自然に近い素材を使って対応されています。)

 
そして、育成園で育った苗木は山に植えられ、↓の写真のような厳重なシカ除けの柵に守られて大きくなります。

柵がこの最終形態にたどり着くまでにも、シカとの長い長い戦いがあったそうです・・・。
 
イベントでは、このほかにも桜の木を枯らすクビアカツヤカミキリの話など、お話に体験に盛り沢山な1日でした(とても全てをAR日記には書ききれません・・・)。
参加者のみなさんも真剣に耳を傾けてお話を聞かれていましたが、私もこんなにもいろいろな作業をされていたのかと本当に驚きました。
 
吉野山保勝会では試行錯誤を繰り返しながら、強い桜の育成のために日々活動されています。
春に吉野山へ桜を見に来られる際は、ぜひ桜の下の力持ちたちのことを思い出していただければと思います。
 
 
◆吉野山保勝会の活動についてはこちらをご覧ください↓
https://hoshoukai.yoshino.jp/
 
◆吉野山の桜について知りたい方は、こちらの動画もご参考にどうぞ!↓
『子どもパークレンジャー「吉野山の信仰の桜ってなに?」』