アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
防鹿柵の中はどうなっている?
2024年10月22日みなさん、こんにちは。
吉野管理官事務所の濵田です。
大台ヶ原では自然再生事業の一環で、シカの食害から植物を守る防鹿柵を設置しています。
東大台、西大台の歩道から柵を見た覚えのある方もいるのではないでしょうか・・・?
↑東大台上道から見える防鹿柵。登山口から入って10分ほどの場所からも見えるのですが、みなさん気づいていましたか・・・?
これらの防鹿柵は歩道外に設置されており、通常一般の方は中に入ることができません。
しかし、10月5日に開催されたイベント「神秘の森 荘厳の山 大台ヶ原を歩く」では、自然再生事業の講習を受けた大台ヶ原登録ガイドが、特別に防鹿柵の中に一般の方をご案内しました!
ツアーの様子をご紹介しながら、いつもは見ることができない防鹿柵の中をみなさんにもお見せしたいと思います。
まずは、2001年頃にトウヒの保護を目的に設置された東大台正木峠近くにある防鹿柵・・・
こちらは柵が設置された2001年頃の写真です。ササの背丈が低く、歩きやすそうですね。
そしてこちらが10月のイベント時の写真です。同じ防鹿柵の入り口を入ってすぐのところですが、ササが人の肩くらいの高さまで伸び、約20年間の成長ぶりがよくわかりますね。
西大台の防鹿柵も見てみましょう。
こちらは、植物の多様性保護を目的に設置された防鹿柵です。
柵の内側と外側(写真の左側手前が内側です)で植生が全くことなっていることがわかるかと思います。
シカの食害から逃れた多様な植物が繁茂しています。
オオイタヤメイゲツやブナの稚樹を見ながら、柵の中を進んでいきます。
東大台の防鹿柵内とはまた異なった景観が広がっていますね。
イベントでは、このような防鹿柵設置以外の自然再生事業(樹木へのシカの樹皮剥ぎ防止ネット巻き(通称ラス巻き)やニホンジカの個体数調整など)についても解説を行いながら、実際に現地でその様子や成果を見学していただきました。
イベント終了後に記入いただいたアンケートにも、「大台ヶ原の自然再生事業についてもっと知りたい」というコメントがあり、大台ヶ原で進められている自然再生事業について、少しでもお伝えすることができて良かったなと感じました。
自然相手の仕事というのは正解がわからないことも多く、「今やっていることが本当に将来自然に良い影響を与えるのだろうか・・・」と、少し不安に思うこともあります。
今回のようなイベントをきっかけに、多くの人に自然と人の未来について考えてもらい、いろいろな意見を聞いていけたらなと思います。
閉山の日も少しずつ近づいてきましたが、引き続き秋の大台ヶ原をお楽しみください!
(クマの目撃情報が少しずつ増えてきていますので、クマ対策をお忘れなく!)