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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

新舞子浜で生き物観察会

2022年10月18日
神戸 中村高也
 みなさんこんにちは。神戸自然保護官事務所の中村です。神戸では10月になって急に秋らしい涼しい風が吹くようになりました。食いしん坊の私は、秋はさんまの塩焼きや栗ご飯など、おいしい秋の味覚が楽しみです。秋は紅葉の季節でもあり、毎日事務所の窓から六甲山を見て、今年の色づきはどうなるかなと楽しみにしています。
 
 さて、少し前になりますが、兵庫県たつの市の新舞子浜にて生き物観察会が開催され、私も講師として参加してきましたので、その様子をご紹介します。
 
干潮時は広大な干潟が現れる新舞子浜
 イベントの参加者は地元小学生4年生~6年生の子ども達。私は講師として、新舞子浜も含まれる瀬戸内海国立公園の説明をした後、新舞子浜にはどんな生き物が住んでいるのかの探索と、見つけた生き物の解説を行いました。
 
みんなで干潟の生き物を探します
 このイベントは例年たつの市環境課が行っている地域の環境教育の一環で、私も参加するのは今年で3回目。今回も元気いっぱいに子どもたちがたくさんの生き物を見つけてくれました。ここでは見られた生き物の一部を紹介します。
 
ヨウジウオ
ヨウジウオは浅瀬の砂地の海底やアマモ場で生息する魚で、タツノオトシゴの仲間です。新舞子浜の周辺には、アマモ場がありますので、ヨウジウオの貴重な繁殖地になっているのかもしれません。
 
アミメキンセンガニ
カニは砂浜や石の下にいるイメージがありますが、このアミメキンセンガニは新舞子浜のような遠浅の砂地の海底で生活するカニです。あみあみの模様も特徴的ですが、ハサミ以外の4対の足の形状が板のようになっていて、遊泳や砂の中に潜るときに役立ちます。
 
 
スナガニ
スナガニは兵庫県のレッドデーターブックでBランクに指定されているカニですが、新舞子浜に広がる砂浜には多数のスナガニが掘った穴があり、そこを出たり入ったりするスナガニの姿を見ることができます。活動時期は夏~秋の間で、冬になると冬眠してしまいます。

 いかがでしたでしょうか。紹介できたのは見つけられた生き物のほんの一部で、新舞子浜の干潟には他にもたくさんの生き物が生息していますので、ぜひ一度お越しいただき、探して観察いただければと思います。
 
 また、これから冬を迎えるにあたり、新舞子浜では、日の出の時間と干潮時間が重なることで干潟の波模様と朝日が織りなす絶景「黄金の干潟」が現れます。
太陽の上る位置や潮の満ち引き、当日の天気等いろいろな条件が整って初めて見ることができるこの絶景ですが、興味のある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
 
今年1月に撮影した新舞子浜の朝日