近畿地方のアイコン

近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

小さな苔の世界

2026年07月03日
吉野 橋本 隼AR
みなさま、こんにちは。
吉野管理官事務所の橋本です。
 
先日2日間にわたり、吉野熊野国立公園大台ケ原地区PV活動「苔の学習会」を実施いたしましたのでその様子を紹介します!

まずは、PV活動とは?のご紹介です。

PVとは「パークボランティア」の略称です。
国立公園において、自然観察会等の解説活動や美化清掃など、自然保護や環境保全に関する普及啓発活動に自発的に協力いただく、環境省登録のボランティアです。
私たちと共に国立公園の豊かな自然を守り、魅力を伝える活動を行っています。
その魅力を伝えるために、今回は大台ヶ原の魅力の一つである苔について学びました!
 
1日目は講師をお招きし、大台ヶ原の苔について学びを深めました。
大台ヶ原は国内有数の降雨量を誇る地域であり、苔が生育しやすい環境が整っているため、600種類以上の苔を見ることができます。
 
苔は一般的な植物と異なり、維管束や根を持っていません。
そのため、木の幹や岩など様々な環境に適応しながら進化してきました。
杉やヒノキのように主軸を基に側方から枝が形成される「単軸分枝」で成長するスギゴケに対して、主軸の成長が途中で止まり、わき芽が代わって階段状に成長する「仮軸分枝」で進化を遂げたイワダレゴケなど小さな苔の世界で様々な変化を発見することができました。
 
イワダレゴケの写真
〈仮軸分枝で成長するイワダレゴケ〉
岩に着生した苔を観察している様子
〈岩に着生した苔を観察中〉
木に着生した苔を観察している様子
〈木に着生している苔を観察中〉
小さな苔をルーペや虫眼鏡を用いて観察すると、肉眼では見えなかった葉脈や胞子を観察することができました。 また、霧吹きで水を与えることで乾燥して巻いていた葉が開く苔も確認できました。
ハマキゴケが乾燥し葉を巻いている状態
〈乾燥に耐えるため葉を巻いているハマキゴケ〉
ハマキゴケが水を得て、開いている状態
〈水をかけると葉が開き活性化するハマキゴケ!〉
2日目は、東大台で環境省が苔の再生活動を実施している「苔探勝路」において、苔の再生調査を行いました。
大台ヶ原に何度か足を運んでいる方でも、苔探勝路はまだ歩いたことがないという方もいらっしゃるかもしれません。
この場所は東大台で唯一防鹿柵内に一般の方も入ることができる貴重な場所となっており、鹿の食害を受けていない植生を観察することができます。
しかし「苔探勝路」という名前ではあるものの、現在はミヤコザサなどのササ類が繁茂したことで蘚苔類が衰退し、苔の観察が難しくなっています。
 
そこで環境省では、公園利用者のみなさまに苔を楽しんでみていただけるよう、2020年から苔の再生活動に取り組んでいます。
場所によって回復状況に差はありますが、全体として徐々に回復が見られており、今後の変化をこれからも見守っていきたいところです。
植生回復状況調査の様子
〈ネット枠内で苔の回復度を調査中〉
苔探勝路は駐車場から近い場所に位置しています。
下山後や軽いハイキングの際に利用していただき、苔に触れ、観察し、小さな苔の世界を楽しんでください!!