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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

2026年 午(うま)年 スタート

2026年01月09日
田辺 戸口協子
みなさま、新年あけましておめでとうございます。 
今年2月に指定90周年を迎える吉野熊野国立公園 田辺管理官事務所の戸口です。 
本年もどうぞよろしくお願いいたします。 

今年の三賀日はキリっとしたこの季節らしい気温で、時折、寒波からのこぼれ雪やあられが見られる幕開けとなりました。
2026年元旦の日の出
元旦の空
さて、今年の干支は「午」。今年も恒例で、午年にちなんだ吉野熊野国立公園で見られる「ウマ・馬」を名前に持つ生きものを紹介したいと思います。 
吉野熊野国立公園でも田辺管理官事務所が紹介するもので欠かせないものとして、「ウバメガシ」があります。 
ウバメガシの木
ウバメガシ
ウバメガシを一般的に漢字で「姥目樫」と書きますが、ここ、和歌山では炭焼職人さんをはじめ、地域でもウバメガシのことを「ばべ」と呼びます。この「ばべ」とは、漢字にあてると「馬目」となり、その由来は、ウバメガシは樫のなかでも硬い葉を持ち、その葉の形が馬の目に似ているからだそうです。このようなことから、ウバメガシの当て字とし「馬目樫」と使われることがよくあります。 
このように生活とのつながりが強いウバメガシは、和歌山県の県を代表する県木であり、田辺市の市を代表する木でもあります。また、ウバメガシは世界農業遺産10周年を迎えた「みなべ田辺の梅システム」では、生態系の好循環を支えている薪炭林として重要な役割を果たしていることが評価の一つになっています。 
木は水に浮くと思われがちですが、ウバメガシは生木が水に沈みます。これは、木の目が詰っているからであり、このように詰まった目の材である「ばべ」から作られる備長炭は良質な炭になるわけです。 
ウバメガシの実となるドングリには、大きさや形に個性がよく見えます。巡視の際にも、場所や木ごとに違いがあるため、個人的にも興味深いものの一つです。 
ウバメガシのどんぐり
大きさや形に個性があるウバメガシのドングリ
他にも、前回の鳥の巣半島でのふれあいイベントで見つけたウマがあります。 
それは、「ウマブドウ」です。ウマブドウの正式和名は「ノブドウ」。蔓性植物で、同じ蔓になる実でも隣り合っている実の色が多様で、心惹かれ、絵になります。日本に広く分布する野草の1つで、ウマブドウと呼ばれる1説には、馬の治療に使われたことが由来するようです。
ふれあいイベントの際に見つけた植物
ウマブドウ(正式和名ノブドウ)
山で見られるウマの次に紹介するのは、海で見られるウマです。 
海で見られるウマには、「バフンウニ」があります。バフンウニとは、馬の糞のようなウニという名前で、その味は数あるウニのかなでも高級品です。お正月に食べた方もいるのではないでしょうか。このウニは、味も格別ですが、私は巡視時に異なる楽しみがあります。それは、漂着物になったウニの殻を見つけることです。 
吉野熊野国立公園の海岸を歩いていると、時折、見つけることができます。個別に色や色彩に違いがあり、個性を感じられて楽しいです。 
漂着物のウニ殻
バフンウニのウニ殻(骨格)
もう1つ、海のウマを紹介したいと思います。 
それは「マテガイ」です。
漂着物の貝殻
マテガイの貝殻
マテガイは細長い二枚貝で、一見、ウマに関係なさそうですが、マテガイを漢字で書くと「馬刀貝」。諸説ありますが、貝殻の形が中国の刀剣である馬刀(マータオ)や、日本の短刀である馬手差(めてざし)の形が似ていることが由来になっているようです。マテガイは日本各地の干潟に複数種が生息していて、干潮時に深く穴を掘ってして生息しています。干潟に開けられた穴に塩を入れると、飛び出してくる貝で、潮干狩りなどでも遊んだことのある方も中にはいらっしゃるかもしれませんね。全国的に干潟が減ってきていることから、生息数も少なくなりつつある生物の1つで、田辺管内でも貝殻の漂着物さえなかなか拾うことができません。新庄漁協の組合長さんの話によると、田辺湾でも減ってきているとのことですが、湾内の自然共生サイトでは、保護ネットを張っている部分があり、そのネット下では生息の確認ができているとのことです。 

今年の午年は、なかでも60年に一度巡ってくる丙午の年。気力が高まり勢いがある年と言われる丙午ということで、地域の皆さまと共に未来の吉野熊野国立公園や将来につなげる自然環境に馳せる気持ちも高めて過ごしたいと思います。