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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

六甲山の秋(東お多福山)

2025年10月01日
神戸 中村高也
みなさま、こんにちは。神戸自然保護官事務所の中村です。暑かった夏もやっと終わりが近づき、神戸では日中の気温が30度を下回る日も出てきました。
そんな秋の気配が漂う中、先日は六甲山系の東側に位置し、瀬戸内海国立公園にも指定されている「東お多福山」に行ってきましたので、その様子をご紹介します。

六甲山系 東お多福山の紹介

標高697mの東お多福山は、芦屋市と神戸市の境界上に位置しており、山上からは東側の大阪方面の街並みを見下ろすことができます。
東お多福山山頂からの景色
すっかり秋になりました
東お多福山の特徴は、なんといっても山頂周辺に広い草原が存在していることです。秋になるとその草原にはススキを初めとする草原性の植生がハイカーたちを楽しませています。
秋の草原と自生する野草(オミナエシ)
秋の草原とオミナエシ
東お多福山に広がる草原は自然にできた植生ではなく、人為的干渉によって置き代わった代償植生です。人の暮らしに近い山である六甲山では、かつて生活のために人々が山に入って草木を刈り取っていたことにより、自然と草原が維持されてきました。その後生活様式の変遷に伴って山に人の手が入らなくなることにより、刈り取りも減少し、この東お多福山も草原が失われてしまいました。そこでかつてのススキ草原を再生しようと、地元の有志団体である、東お多福山草原保全・再生研究会が中心となって平成19年より活動を始め、その結果、草原が復元、維持され、現在では六甲山に残る数少ない草原の山となっています。
繁茂するネザサの刈り取り
草原の維持のためにネザサを刈り取ります
今回は東お多福山に残る草原の紹介と、草原維持のために行われているササ刈りの様子をお届けしました。夏がひと段落して六甲山もハイカーが多くなり、秋の登山シーズンを迎えています。ぜひ六甲山系に上られる際は、東お多福山にも一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
東お多福山とススキ
秋の東お多福山の山頂からの景色とススキ草原をぜひご覧ください

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