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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

浜甲子園にシギ・チドリが飛来しています

2024年05月13日
神戸 中村高也
 皆さま、こんにちは。神戸自然保護官事務所の中村です。
 
 先日、国指定鳥獣保護区である浜甲子園にて、地元のNPO団体海浜の自然環境を守る会が主催する「シギ・チドリ観察会」に参加しました。

 
【浜甲子園に広がる干潟】
【干潟に飛来する鳥を観察しました】
 兵庫県西宮市枝川町に位置する浜甲子園は、4月から5月にかけてシギ科・チドリ科に代表される渡り鳥が訪れるシーズンです。彼らは繁殖地である北半球の高緯度地域を目指して長距離移動をすることが知られており、例年この時期に休息や栄養補給のための中継地として浜甲子園の干潟に立ち寄る姿を観察することができます。

 西宮市は、シギ・チドリの餌場の確保を目的とした「自然と共生するまちづくりに関する条例」により干潟の一部を甲子園浜生物保護地区に指定し、4月から5月の間、干潟への立ち入りを禁止しています。
【干潟への立入禁止を掲げるのぼり】
【手すりにも注意喚起】
 このため、浜甲子園の周囲に整備された遊歩道から干潟に飛来した鳥達を観察します。今回は観察会にて見られた鳥の一部を紹介します。

キアシシギ(シギ科)

【餌を探して歩き回るキアシシギ】
 浜甲子園に飛来するシギの中で最も多くみられるのが、このキアシシギです。黄色い脚が特徴的で、動き回って干潟に潜む餌を探しています。動き回る姿を見ているだけでも楽しい鳥です。

チュウシャクシギ(シギ科)

【どこに鳥がいるかわかりますか?】
沖の石干潟のどこかに鳥が映っています。わかりますでしょうか。
正解は写真中央部。拡大してみると、チュウシャクシギが映っています。
【チュウシャクシギ】
【嘴が下に曲がるのが特徴】
全長40cmを超える大型のシギで、嘴の長さが頭の2倍弱ほど。特徴的なのは嘴が下に曲がっていることで、この曲がりを利用して、岩の隙間に潜むカニ等の甲殻類を捕食します。

コアジサシ(カモメ科)

【岩場の上で休むコアジサシ】
 コアジサシはカモメ科なのでシギ・チドリの仲間ではありませんが、浜甲子園ではこの時期、浅瀬にいる魚を採餌するためにたくさん集まってきています。コアジサシは全長30㎝弱と小型の鳥類ですが、黒色の頭と黄色い嘴が特徴的なので、離れていても目立っています。
【上から水中の魚を探すコアジサシ】
【水中に飛び込み、魚を嘴で捕まえた様子】
 この時期に浜甲子園で観察できる鳥類3種を紹介しました。干潟に集まる鳥がどういった行動をしているのか、実際の干潟の状況等、写真では伝わらないこともありますので、この機会にぜひ一度、浜甲子園を訪れてみてはいかがでしょうか。

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