アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
ふれあいイベント~五感で体験・植物観察会「お香・お線香を作ってみよう」~
2024年02月02日
田辺
みなさま、こんにちは。
吉野熊野国立公園田辺管理官事務所の戸口です。
紀南では1月でも今年は15℃を上回る日が多く、梅の花も例年より早くに開花しており、春の香りに鼻をくすぐられます。二十四節気の最終節に当たる1月20日の「大寒」においても、場所によっては既に6割ほど咲いている梅の木もあり、暖冬予報を体感しております。また、雨の多い冬ということについても、気候の大きな偏りを感じます。
吉野熊野国立公園田辺管理官事務所の戸口です。
紀南では1月でも今年は15℃を上回る日が多く、梅の花も例年より早くに開花しており、春の香りに鼻をくすぐられます。二十四節気の最終節に当たる1月20日の「大寒」においても、場所によっては既に6割ほど咲いている梅の木もあり、暖冬予報を体感しております。また、雨の多い冬ということについても、気候の大きな偏りを感じます。
そんな中、1月21日(日)、田辺管理官事務所では、ふれあい観察体験会を実施しました。
前日まで天気予報が安定せず、雨の予報もあったものの、当日は一時的に霧雨・小雨となることもなく青空も顔を見せてくれる天気となりました。
今回のふれあい観察体験会は、『五感で体験・植物観察会~お線香・お香を作ってみよう!~』というものです。
みなさんはお線香が何からできているか、ご存知ですか?ヒントは、ある植物からできています。
答えはタブノキです。お線香の代表のようなものとしてよく見かける緑色のお線香は、タブノキの枝葉の粉・タブ粉とスギの枝葉の粉・スギ粉を混ぜて作ったものです(厳密には現在は配合が異なるものもあります)。
前日まで天気予報が安定せず、雨の予報もあったものの、当日は一時的に霧雨・小雨となることもなく青空も顔を見せてくれる天気となりました。
今回のふれあい観察体験会は、『五感で体験・植物観察会~お線香・お香を作ってみよう!~』というものです。
みなさんはお線香が何からできているか、ご存知ですか?ヒントは、ある植物からできています。
答えはタブノキです。お線香の代表のようなものとしてよく見かける緑色のお線香は、タブノキの枝葉の粉・タブ粉とスギの枝葉の粉・スギ粉を混ぜて作ったものです(厳密には現在は配合が異なるものもあります)。
タブノキは、現在では沖縄から青森県に分布(北限近くでは海岸沿いのみ見られる)していますが、暖かいところを好む木です。氷河期には南九州の沿岸部や紀伊半島沿岸部をレフュージア(逃避地)としていたとされる研究もあり、その後、関東以南までを中心に広がったとされています。
吉野熊野国立公園の位置する和歌山県すさみ町では昭和初期頃まで、線香水車が動いていました。線香水車とは、水車の動きに合わせて杵が臼に入っているものをつく仕組みの水車で、お線香の材料となる粉を作っていたもののことを指して呼んでいいます。粉にするのは、乾燥させた枝葉です。すさみ町のこの線香水車では、論文等の記載からすると、タブ粉とスギ粉を製造していたようです。
タブ粉の特性として、水を加えて練ると粘性が増してきます。これが糊の役割をして、お線香を形作っています。
このような地域の自然資源を生かした産業が、この地にあったことを知っていただくことと、タブノキの性質である粘性を直に感じていただき、日本の文化であるお線香に親しんでもらう機会として、イベントを開催しました。
イベントは受付後、アイスブレイクで体を動かし温めてから近隣の沿岸林に移動して、是澤講師による植物観察です。道中の植物のおもしろく覚えやすい紹介が好評でした。坂を登って、タブノキが観察できる上ミ山古墳へ。冬芽をつけたタブノキをみんなで観察しました。
吉野熊野国立公園の位置する和歌山県すさみ町では昭和初期頃まで、線香水車が動いていました。線香水車とは、水車の動きに合わせて杵が臼に入っているものをつく仕組みの水車で、お線香の材料となる粉を作っていたもののことを指して呼んでいいます。粉にするのは、乾燥させた枝葉です。すさみ町のこの線香水車では、論文等の記載からすると、タブ粉とスギ粉を製造していたようです。
タブ粉の特性として、水を加えて練ると粘性が増してきます。これが糊の役割をして、お線香を形作っています。
このような地域の自然資源を生かした産業が、この地にあったことを知っていただくことと、タブノキの性質である粘性を直に感じていただき、日本の文化であるお線香に親しんでもらう機会として、イベントを開催しました。
イベントは受付後、アイスブレイクで体を動かし温めてから近隣の沿岸林に移動して、是澤講師による植物観察です。道中の植物のおもしろく覚えやすい紹介が好評でした。坂を登って、タブノキが観察できる上ミ山古墳へ。冬芽をつけたタブノキをみんなで観察しました。
次に、線香水車の見学です。講師は、線香水車の所有者である井澗講師です。この線香水車は講師のお祖父様の代まで動いていて、お線香の材料を作っていたほか、最盛期にはお線香の製造もされていたことなどを伺いました。その後、産業の衰退と共に水車は放置されていましたが、井潤さんを中心にした線香水車復活活動隊で組み直して、現在は水車部分のみ(杵などはまだ連動していない)、動く姿が見られるようになりました。
その後、お昼ご飯を食べて、最後にお線香作りです。
材料は、お線香発祥の地とされる淡路島にあるお線香製造会社のものを使用させていただきました。タブ粉に水と香油を入れ、練ります。
タブ粉の粘性が増してくるのを感じながら練り上げ、ひとまとまりになったら次は形成です。
材料は、お線香発祥の地とされる淡路島にあるお線香製造会社のものを使用させていただきました。タブ粉に水と香油を入れ、練ります。
タブ粉の粘性が増してくるのを感じながら練り上げ、ひとまとまりになったら次は形成です。
お線香・型抜きしたお香・コーン型お香の3種を作りました。参加者のみなさまには、形作ったお線香等をお持ち帰りいただきました。その後は3日~1週間、ご自宅で乾燥させた後に、火を付けて香りを楽しんでいただきます。
ちょうど今頃、参加いただいたみなさんがそれぞれ、香りを楽しんでくれていることと思います。きっと、観察、体験していただいたことを思い出しながら…。
この先、線香水車に杵が連結され、昔のように動きだす日を迎えられると、すさみ産の材料で作られたお線香が生まれるかもしれませんね。
ちなみに、芯がなく、燃え尽きると細かい灰だけとなる儚く繊細なお線香を使うのは、日本固有の文化であるようです。
お線香を焚く行為は、神社仏閣でのお清めや、お墓や仏前で大切な人に心を込めて、また、気分転換に香りを楽しむためなど、使用の目的は様々ですが、伝承されてきた日本の大切な文化の一つであると思います。
心澄むお線香の香りを感じながら、お線香・お香とその背景にある自然環境とのつながりにも興味をもっていただけると嬉しく思います。
この先、線香水車に杵が連結され、昔のように動きだす日を迎えられると、すさみ産の材料で作られたお線香が生まれるかもしれませんね。
ちなみに、芯がなく、燃え尽きると細かい灰だけとなる儚く繊細なお線香を使うのは、日本固有の文化であるようです。
お線香を焚く行為は、神社仏閣でのお清めや、お墓や仏前で大切な人に心を込めて、また、気分転換に香りを楽しむためなど、使用の目的は様々ですが、伝承されてきた日本の大切な文化の一つであると思います。
心澄むお線香の香りを感じながら、お線香・お香とその背景にある自然環境とのつながりにも興味をもっていただけると嬉しく思います。