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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

大台ヶ原でガイドウォークを開催しました

2021年08月30日
吉野 丸毛絵梨香


吉野管理官事務所(大台ヶ原担当)のアクティ・ブレンジャーの丸毛(まるも)です。
7月22日に大台ヶ原で上北山村共催のガイドウォークを開催しました。
コロナウイルス感染拡大の状況を考慮し、奈良県在住者のみと募集を制限したため例年よりも少人数の開催となりましたが、気軽に質問できる空気もあり、わきあいあいとしたイベントとなりました。
天候にも恵まれ、非常に良い一日となりました。
8月の開催は大雨のため残念ながら中止となりました。

では、「大台ヶ原」で環境省が力を入れて取り組んでいる「自然再生の取組」についてご紹介したいと思います。
ガイドウォークの自然再生ツアーではさらに詳細なお話を大学の先生から聞くことができます。
大台ヶ原では約60年前の伊勢湾台風をきっかけに、針葉樹が枯れ、ササが拡大し、森林が衰退していきました。
苔むす植生豊かな森林が失われつつある今、自然再生に向けた取組を継続的に行っています。
東大台でも西大台でも、周遊コースを歩くと防鹿柵(ぼうろくさく)と出会うことになります。
 
この防鹿柵、何のために設置しているのかと言うと、漢字のとおりシカからの害を守るためのものになります。
では、何をシカから守っているのか?
それはトウヒやウラジロモミといった針葉樹の「実生」や「稚樹」、つまりは子どもです。
大台ヶ原のウラジロモミの実生 ← ウラジロモミの実生
今の大台ヶ原は、シカが若い樹木を食べてしまうため、次世代を残すことが難しくなっています。
さらに、ササが繁茂しているため、地面は実生が生存していくには暗すぎる環境となっています。
現状では人の手がなければ、樹木が次世代を残すこと、「更新」が困難な状況です。
更新がうまく進まないと、大台ヶ原はササに包まれたササしかない山になってしまうでしょう。
現在、大台ヶ原では大きい防鹿柵を約60基、稚樹ひとつずつにかけた防鹿柵を約140基設置しています。
防鹿柵がもたらす効果・問題点はたくさんあって、ここで一度に紹介しきれないので、また少しずつお話出来ればと思います。
早く知りたい!と思う方は是非環境省の大台ヶ原のHPを覗いてみてください。
多くのお金と人の力、想いを注いで、この大台ヶ原の自然を守る取組を続けているのです。
大台ヶ原が持つ自然の力で持続する森林を目指して、多くの人への普及活動を含め、私も尽力していきたいと思います。


最後に、景色の良いところもご紹介します。こちらはお天気のいい日の大蛇嵓(だいじゃぐら)です。

夏の晴れた日の大蛇嵓
大台ヶ原は雨の日が多いので、気持ちのいいお天気の写真は少し貴重だったりします。
ここ最近は雨が多いので、散策の際は、足下にお気をつけください。