アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
梅雨の吉野熊野国立公園
2021年06月18日みなさま、こんにちは。
田辺管理官事務所の戸口です。
今年は春の花の開花が全国的に例年より2~3週間早く、西日本の梅雨入りも足並みを揃えたかのように早かったですね。
さて、梅雨とは「梅」の「雨」と書くように、梅が実る季節に降り続く雨を示した言葉です。
この季節には肉厚の梅があちこちでたわわに実っています。ちなみに、6月6日は「梅の日」だそうで、紀南地域の神社等では梅を奉納する神事がとりおこなわれていました。
先日、雨の中、レインスーツに身を包み巡視を行う機会がありました。
雨音を聞きながら出会った生物をご紹介します。
梅の実 |
これは和歌山県が全国生産No.1を誇る梅。赤く色づいた梅はスモモにも似て見えました。赤く色づいた梅で作るジュースはほのかにピンク色で華やか、私は好きです。
梅の中には名の知れた「南高梅(なんこううめ)」というものがあります。この梅は実が肉厚でやわらかく、優良品種栽培時に尽力されたのが南部高校の高田先生であったことから、南部高校の「南」と高田先生の「高」をとり、「南高梅」と命名されたそうです。
ビワの実 |
これはビワ。中国南西部原産で日本には古代に持ち込まれたと考えられています。日本では梅雨の頃に実がなるため、この季節の季語にもなっています。"ビワ"の由来は、葉や実の形が楽器の「琵琶」に似ていることが由来とされています。
サカキの花 |
みなさんは神様にお供えするサカキに花が咲いた様子を見たことはありますか?
私は今回、初めてサカキの花を見ることができました。葉の裏面となる側の枝に、たくさん白い花が下を向いて並んで咲いていて、控えめで品のあるとても良い香りがしました。
ネズミモチのつぼみ |
これはネズミモチ。「ネズミモチ」という名の由来は、秋になる実がネズミの糞に似ていること、また木の姿が"モチノキ"に似ていることで、この2つが合わさった名前となったようです。
アカテガニ |
アカテガニは海辺から少し内陸の山でもみられるカニです。カニはえら呼吸をするので、水がないと生きていけませんが、アカテガニは中でも乾燥に適応した種で、水を口から吐き出し、その水は腹部の脇を伝わせ足の付け根から再び体内に取り入れ循環させています。
カニが「泡を吹く」のは、循環させている水が蒸発して減ると、体液と混ぜるため、水に粘りがでて口から「泡を吹く」ように見えるのですね。
このときに出会ったアカテガニは雨をまとって、いつもに増して艶やかでした。
クチナシの花 |
これはクチナシの花。小さなかざぐるまのような直径10cmほどの白い花は存在感があり、キンモクセイと桃の果実の香りが合わさったような甘い香りを漂わせていました。
一見、平らな花ように見えますが、裏側を見ると高盆型で、漏斗の部分が長い花であることがわかりました。
梅雨はまだ少し続きそうですが、時には雨の中の散歩も新たな発見があるかと思うのでおすすめです。