アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
植生豊かな丹後砂丘
2021年06月18日皆さまこんにちは。
竹野自然保護官事務所の久畑です。
少し前ですが、京都府京丹後市のロングビーチのうち、小天橋から箱石海岸までの見廻りをしましたのでその様子をご紹介します。
この長い砂浜は丹後砂丘と呼ばれ、海浜植物などの植生がとても豊かな場所です。国立公園の中でも風致を維持する必要性が特に高い地域として第1種特別地域に指定されています。
小天橋から箱石海岸までの区間は木道が整備され、歩きやすくなっています。所々浜に降りられるようになっており、砂の感触を楽しむこともできます。
遊歩道沿いには様々な海浜植物が自生しています。
(左上から:コウボウムギ・ハマベノギク・ハマハタザオ
左下から:ハマニガナ・ハマヒルガオ・ハマエンドウ)
少しの距離でたくさんの植物を見ることができました。
(ハマウツボ:開花前) (ハマウツボ:開花時)
ツクシのような開花前と、紫色の花を咲かせているハマウツボ。
葉のない植物で、寄生植物です。このハマウツボは、一緒に写っているカワラヨモギの根に寄生している事が多いです。
(ハマボウフウ:開花前) (ハマボウフウ:開花時)
ハマボウフウは食虫植物を思わせる見た目にびっくりします。
花が開くと、ねぎぼうずのようなポンポンです。この小さなつぼみ一つ一つが花です。
一方で、生態系等に大きな被害を及ぼすおそれのある外来種として「重点対策外来種」に選定されている植物も見られました。
(コマツヨイグサ) (コマツヨイグサの群生)
ふんわりとした、かわいらしい花のコマツヨイグサ。辺りを見回すと一面に咲いていました。
(イタチハギ)
また、焦げ茶色のつぼみに紫の花、花から飛び出たオレンジ色の葯。見るからに強そうな雰囲気を醸し出しているイタチハギ。土手や町中など至る所で見かけますが、ここにもありました。
探せば他にも侵略性の高い外来種がいるかもしれません。
丹後砂丘はたくさんの貴重な海浜植物が観察できる場所です。豊かな植生が守られるよう、これからも見守っていきたいと思います。
歩くからこそ見える景色もある☆
それではまた次回。