近畿地方のアイコン

近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

修験道の世界、吉野山モニターツアー

2020年12月09日
吉野 早川諒介

 皆さま、こんにちは。吉野管理官事務所の早川です。

 先日、山遊び塾ヨイヨイかわかみさんが主催する吉野山モニターツアーに参加させていただきました。本ツアーは、環境省の国立公園への誘客推進事業補助金を活用した事業の一環となります。

モニターツアーは、12月に開催される一般公募ツアーに先駆けてのプログラムになります。テーマが「山伏とともに五感であるく修験の地」として、吉野山にてゲストハウスの女将もしながら修験者として修行を積まれている講師の片山文恵さんに案内をしていただきました。

 まず金峯山寺に向かう道中には銅鳥居(かねのとりい)があります。高さ約8mの銅製の鳥居となり、扁額(へんがく)には「発心門」(はっしんもん)と書かれ、修行への志を固める意味があり、修験者が修験道に向かう最初の入り口になります(写真1)。

銅鳥居の付近には、行者堂があります。中には石造りの役行者(えんのぎょうじゃ)、前鬼(ぜんき)、後鬼(ごき)がおられます。役行者は修験道の開祖であり、前鬼・後鬼は役行者に従えていた鬼の夫婦になります(写真2)。

 金峯山寺の敷地内には、護摩供(ごまく)、祈祷(きとう)を行う場所があります(写真3)。今回は金剛蔵王大権現の特別ご開帳拝観の期間内(開帳期間:令和2年10月16日~11月30日)でしたので、間近で護摩供や蔵王権現像を見ることができました。

銅鳥居 行者堂

写真1(銅鳥居)               写真2(行者堂)

護摩供、祈祷を行う場所

写真3(護摩供、祈祷を行う場所)

 案内の途中には、石積みに生育している地衣類の説明もしていただきました。地衣類とは菌類と苔類の複合体になります。普段は見過ごしがちな植物の説明もしていただき、様々な種類や特性を知ることができました。

地衣類の観察

(地衣類の観察)

 昼からのプログラムとして、修験者の方が日々行われている止観(座禅)瞑想を体験しました。初めての止観瞑想でしたが、修験者の修行を肌で感じることができました。また、修験者の方はホラ貝を持っており、邪気を払う魔除けの役割や修験者達の意思疎通としても使用されているそうです。

止観瞑想 ホラ貝

(止観瞑想)                 (ホラ貝)

 モニターツアーでは修験者の講師の方から、実際に行われている修行の体験やお話を聞くことができました。修験道は言葉では説明しにくい部分が多いため、実際に修験者の日々の一部(止観瞑想・ホラ貝)など五感を通じて体験することができ、より身近に感じることができました。また、利用者のメインルートからはずれた脇道沿いにも、修験道にまつわる歴史的、文化的な資源がたくさんあることを、発見できました。吉野山は桜が有名ですが、少し寄り道をして金峯山寺や修験道の歴史・文化に目を向けて散策すると、これまでとは違う風景や空気感を感じることができると思います。

山遊び塾 ヨイヨイかわかみ:https://www.yoiyoi-kawakami.com/