アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
大台ヶ原・大杉谷の森林再生応援団
2020年11月05日皆さま、こんにちは。吉野の小川です。
本日は、10月初めに開催したボランティアイベント「大台ヶ原・大杉谷の森林再生応援団」をご紹介します。平成28年度から林野庁と環境省との共催で行っており、台風や大雨の影響を受けて中止となる年もありましたが、5年目となる今回は天候に恵まれ、無事にイベントを開催することが出来ました。
東大台正木峠を散策していると、一面にササが広がる光景が広がります。実はその中には、かつて森林だった頃の生き残りであるトウヒの稚樹が隠れています。この稚樹をシカの食害から守るために小さな柵(稚樹保護柵)で囲っていますが、まだまだ小さい稚樹は周辺のミヤコザサの勢いにまけて、覆われそうになってしまいます。そのため、稚樹に太陽光が充分当たるよう、稚樹がササの背丈を超える高さになるまで、周りのササを刈る作業が必要となります。また、正木峠から少し離れた森の方では、シカの樹皮剥ぎから守るため、成木に防止ネットを巻いています。
正木峠に広がるササ原 |
歩道から見える稚樹保護柵 |
剥皮防止ネット |
このイベントではボランティアを募集し、皆さまにササ刈りとネット巻きを行っていただきました。
作業の合間には、森林再生の取組の紹介や山と人との関わりの話なども織り交ぜ、青空と少し早いシロヤシオの紅葉を味わいつつ歩きながら、大台ヶ原の森の良さだけでなく、衰退が進みつつある場所や保全・再生への取組などを体感していただきました。
ササ刈りの様子 |
ササ刈り後のトウヒ稚樹 |
取組紹介 |
今は大台ヶ原の紅葉も終盤を迎え、麓より一足早く冬が近づきつつあります。11月に入ると、冷え込みが更に増し、天候によってはドライブウェイの一部凍結や積雪が見られる場合もあります。雨具や防寒具のほか、スタッドレスやタイヤチェーンなどの備えにもご注意の上、お越しください。
【〈注意〉ツキノワグマについて】
大台ヶ原はツキノワグマ生息地です。今年度はドライブウェイや歩道周辺での目撃情報が多く寄せられています。熊鈴の携帯やビジターセンターでの情報確認、人気が少ない時間帯の入山は控えるなど対策にお気をつけください。
【大台ヶ原の利用におけるお願い】
大台ヶ原を気持ちよく楽しんでいただくために、下記のご協力をお願いしております。
・ゴミのお持ち帰りにご協力ください。
・駐車場やドライブウェイでのキャンプや焚き火はご遠慮ください。
・新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、ビジターセンターでは、マスク着用の呼びかけや消毒液の設置などの対応を行っております。入館時には、玄関にある留意事項をご確認ください。
大台ヶ原ビジターセンター窓口による大台ヶ原の情報をお知らせしております。
環境省では、大台ヶ原をより深く楽しく安全に満喫いただくために、大台ヶ原登録ガイド制度を運用しております。ガイドを選んで、是非自分だけの大台ヶ原をカスタマイズしてみてください。