アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]
知られざる白浜 ~番所山の夏の海~
2020年08月03日大暑も過ぎ、遅目の梅雨明けで夏本番ですね。
みなさま、初めまして。このたび、田辺管理官事務所のアクティブ・レンジャーになりました、和歌山県紀北出身の戸口と申します。
田辺管理官事務所の担当エリアは、吉野熊野国立公園の和歌山県西岸部を中心とするみなべ町からすさみ町までのエリアです。先輩アクティブ・レンジャーさんに引き続きエリアの魅力を伝えていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!
担当エリアの中でも、パンダや白良浜、円月島などの関西では観光で名の知れた白浜。そんな白浜ですが、まだあまり広く知られていないスポットを今回ご紹介したいと思います。
天然アーチ越しに望む田辺湾 |
ここは番所山。田辺湾の南側で、紀伊水道に突き出した小さな半島です。かつては島でしたが、海流により東側の陸地との間に砂地の平地(陸繋砂州)ができて陸続きになりました。
陸繋砂州で繋がる番所山 |
県道34号沿いにある町営臨海浦海水浴場から砂浜沿いに咲く自生植物の花畑を楽しみながら西進すると、そこに広がる海には...
天然のアーチ、見物です! 砂浜沿いに咲くユウスゲ(上) オニユリ(下) |
この天然のアーチは塔島礫岩層(とうじまれきがんそう)の比較的柔らかい礫岩からできています(崩落・落石のおそれがあるため、近づきすぎないようご注意ください。)。まさに、波が織りなす自然のオブジェです(円月島も成り立ちは同じ)。
タイドプール越しに望む田辺湾 |
降雨後でも水が濁ることがほとんどなく、田辺湾口にある塔島の岩礁地帯により、外洋からの波も打ち消され、穏やかで流れもほぼありません。海岸沿いでジオ観察、岩場ではシュノーケルや磯観察、釣りなど、多様な楽しみ方ができます。
臨海浦海水浴場から望む番所山・塔島 |
番所山には、100年以上前に「エコロジー」の考え方を提唱した世界的博物学者である南方熊楠の研究の軌跡を紹介する南方熊楠記念館があります。故・小嶋一浩氏による洗練されたデザインの内装・展示室には、粘菌の細胞の中の原形質が約60~120秒毎に逆流するのを観察できる顕微鏡があります。また、展示内容もさることながら、屋上デッキからの田辺湾の見応えある360°展望には、つい予定より長居されるお客様が続出です!
南方熊楠記念館展望デッキから望む風景 |
記念館では番所山ハイキングマップ等も配布されていますので、散策の際にもぜひお立ち寄りください。
番所山ハイキングマップ(提供:南方熊楠記念館) |
今夏は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、楽しみにしていた夏休みも短くなっているところが多いと思います。こんなご時世だからこそ、3密に気を配りながら、自然からパワーをもらい、身体と心の軸を整えられるお休みになるといいなと思います。
新型コロナウイルス感染症の収束を心から願います。
※海水浴場や南方熊楠記念館などの施設利用に際しては、各施設のHP等の情報をご確認いただいき、新型コロナウイルス感染拡大防止の対策をとったうえでのご利用をお願いいたします。