近畿地方のアイコン

近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

六甲山 冬の自然観察

2020年01月28日
神戸 中村高也

 皆さん、こんにちは。神戸自然保護官事務所の中村です。今年もよろしくお願いいたします。

 ついに2020年になりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。今年は東京オリンピックが7月に開催予定で、日本にとって節目の年になりそうですね。

 さて、先日は外に飛び出して、瀬戸内海国立公園の六甲地域にございます六甲山ビジターセンターと近くのフィールドで開催された環境学習イベントに参加させていただきましたので、ご報告させていただきます。

 こちらのイベントは「六甲山を活用する会」の皆さんが毎年行っている四季の環境学習プログラムの一つ。大都市神戸から気軽に訪れることができる六甲山で、四季折々の自然の移り変わりを肌で感じてもらえることから人気を集めています。

冬の自然観察についてお勉強 自然観察をしながら、森を目指します

  【冬の自然観察についてお勉強】       【自然観察をしながら、森を目指します】

 六甲山ビジターセンターに集合して、まずは少しお勉強の時間です。春から秋まで森にいた生きものたちは冬になってどこにいったのか?また今年の干支であるネズミについてなど、講師の皆さんから丁寧な説明を聞いた後は、お待ちかねの探索タイム。自然観察に向けて森へ出発です。

森で見てほしい植物 これがクロモジの冬芽です

  【森で見てほしい植物"クロモジ"】        【これがクロモジの冬芽です】

 道中、みんなでクロモジという木を探しました。あまり目立たない植物ではありますが、北海道を除く全国の里山に生育するクスノキ科の樹木で、良い香りを持つことから和菓子を切る楊枝としても利用されています。お菓子の香料として使われるニッキ、シナモンも同じくクスノキ科の植物です。当日はクロモジを使ったお茶(クロモジ茶)もふるまわれ、自然をいっそう身近に感じる良い機会になりました。

森の中の池で生きもの調査 薄いですが、表面に氷が張っていました

  【森の中の池で生きもの調査】        【薄いですが、表面に氷が張っていました】

 

 続いては、このイベントの名物、二つ池での自然観察です。と言っても、動物や植物を観察するのではありません。池の氷を観察するのです。今年は暖冬のため、氷が張っているか心配でしたが、厚さおよそ0.5cmの氷が張っていました。割った氷を手にとって子ども達は大はしゃぎ。分厚い氷が張っていれば乗ることができるのですが、薄い氷でも子ども達には十分楽しかったようで、大人たちもホッと胸をなでおろします。標高の高い六甲山ならではの体験です。

たまった落ち葉の裏にマメシジミ 見つけた生きものは顕微鏡で観察

  【たまった落ち葉の裏にマメシジミ】      【見つけた生きものは顕微鏡で観察】

 1時間ほど二つ池で調査をして、マメシジミ(シジミに近い仲間の二枚貝)とトンボのヤゴを見つけることができました。

朽ち木を砕いて生きもの調査 中から幼虫(コメツキムシ類)を発見!

   【朽ち木を砕いて生きもの調査】     【中から幼虫(コメツキムシ類)を発見!】

 森から戻って朽ち木の中の生きもの調査。朽ち木を砕いていくと甲虫の幼虫などが見つかりました。

六甲山の寒い冬、地上ではほとんど生きものを見ることができませんが、水中や地中、朽ち木の中で、春が来るのを待っているのですね。

 近年、里山のような身近な自然は減少傾向にあります。雑木林での虫取り、池で遊ぶといったことも普段はできないと、保護者の方からも声がありました。だからこそ、このようなプログラムを通して子ども達が自然から学び、成長する場として、今後も六甲山をどんどん活用してもらえたらうれしいです。