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近畿地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [近畿地区]

有害鳥獣捕獲とジビエ

2019年11月08日
吉野熊野国立公園 青谷 克哉

 11月です。早いもので、もうすぐ令和元年も終わりです。つい最近元号が変わったと思ったのですが、光陰矢の如しとはよく言ったものです。そんな令和元年は亥年ですが、野生のイノシシ(成獣)に出会えていません、吉野管理官事務所の青谷でございます。うり坊は見たのですけどね。

 さて、今の時期は狩猟解禁時期です。日本では、狩猟が出来る期間が決められており、それを猟期と言います。北海道は10月から、他の都府県が11月からで、だいたい2月から3月までの期間になります。猟区や有害鳥獣捕獲はこの限りではありませんし、鳥獣保護区など通年で狩猟が出来ないところもあるので注意が必要です。そうでなくても狩り放題というわけでもありませんので、詳しい情報は各都道府県にお問い合わせ下さい。

ニホンジカ樹皮剥ぎ

 日本では、海外で行われるゲームハンティングのような趣味の狩猟より、農林業に被害を出すものを捕まえる有害鳥獣捕獲での狩猟のほうが主流であると思います。野生鳥獣による農林業への被害問題というのは今に始まった話ではありません。農林水産省の平成29年データによると、野生鳥獣による農林業被害額は約168億円。年々減少はしているようですが依然高水準であり、その中でもシカとイノシシの割合は断トツです。吉野熊野国立公園でも、右の写真のようにシカによる木の皮を剥ぐ樹皮剥ぎや下層植生の食害等による植林地などでの森林環境の衰退が問題視されており、自治体などによって有害鳥獣捕獲が行われております。

 有害鳥獣として捕獲されたら、ではその後どうなるかと言いますと、国は食肉としての利用を推進しています。最近はテレビなどで耳にすることもある「ジビエ」と言うものですね。フランス語で野生鳥獣から手に入れる食材を指す言葉です。他にもペット用のフードに使われたりもします。私も最近レトルトカレーに加工されたものを食べました。左がシカ、右がイノシシを使っています。見た目は一緒ですね。

シカのカレーイノシシのカレー

 どちらも、お肉のサイズは大きく、他の具材は溶かし込まれているようでした。シカ、イノシシともにウシやブタとは違う風味があり、そこは賛否を分けるところかなとも思うのですが、このカレーではほとんど気になりませんね。食感もほろりと崩れて良い感じ。ごちそうさまでした。

 値段が牛豚鶏より高いところもあり、気軽に入手はできないものなのが残念ではありますが、一度は食べてみるのもご一興かなと思います。ジビエを食べるということは、その分有害鳥獣を減らすことにも繋がるのです。

 これから寒さもひとしおになるでしょうが、どうぞ皆さんご自愛下さいませ。それでは、今回はこの辺でご機嫌よう。